中高年社員をひとまとめにせず、対象層ごとに手を打つ
新人・若手社員、中堅・リーダー社員と異なり、中高年社員は40〜60歳と年代の幅が広く、組織の中で担う役割も人それぞれ大きく異なります。そのため、中高年社員をひとまとめにして、モチベーション向上・活躍施策を考えることは難しいでしょう。そこで、中高年社員をひとまとめにせず、対象層ごとに課題を整理して、必要な手を打つ必要があります。例えば、中高年社員を(1)管理職にならなかった40代社員、(2)役職定年後の50代後半から定年までの社員、(3)再雇用後の60代社員に区分した場合、以下のようなアプローチが考えられます。
(1)管理職にならなかった40代社員
社内の専門職制度が十分確立していない企業は多く、処遇やキャリアパスなどを十分に描けない方がいます。また、昇進・昇格などの外発的な動機付けができないため、内発的な動機付けが必要となります。
(2)役職定年後の50代後半から定年までの社員
制度上は役職を退いていても、実際の現場での職務が変わらず、処遇と業務との乖離が生じているケースが散見されます。後進のポジションのことを考えて、自発的にポストオフを選択する環境を作りたいところです。
(3)再雇用後の60代社員
これまで比較的容易だった関連会社などへの出向・転籍ですが、関連会社に自主性を求めてきた経緯もあり、希望する要件を満たす人材でなければ配置が困難になってきています。また、これまで出向・転籍を行うのが慣例だった企業でも、雇用義務を果たすため、会社に残り、後輩の下で働いてもらうケースも出てきています。現役戦力として引き続き必要とされる人材がいる一方で、なかなか成果を生み出せない人材もいます。総額人件費の制約があって、再雇用者の賃上げは安易にできないため、優秀な再雇用社員のモチベーションをいかに維持・向上させるかが重要になってきます。
再雇用者の活用に向けた制度の見直し
- 再雇用者を配置する職務と処遇のバリエーションが少なく、当事者のモチベーションが低下していた
- 将来のことを考えた現役社員から、再雇用制度への不満が高まっていた
- 今後増加する再雇用者を積極的に戦力化したいと考えており、全面的な制度の見直しに着手した
- 40代以降の社員に、定年再雇用後の雇用形態や希望職務などの意向調査を行った
- 多様な再雇用者に適した職域開発を実施した
- 職務内容と現役社員の希望する働き方がマッチングするよう、複数のコースを設計し、それぞれのコースに見合った処遇・評価制度を設計した
- 再雇用者やその予備軍のモチベーションが向上した
- 中高年社員のキャリア意識が醸成された
- 働き方や提供価値に応じた処遇設計により、不要な人件費増加を抑制し、付加価値の向上を実現した