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中小企業の人材育成を考える 特別編

採用が難しい時代だからこそ考えたい「人が育つ組織」づくり

  • 公開日:2024/03/18
  • 更新日:2024/05/16
採用が難しい時代だからこそ考えたい「人が育つ組織」づくり

弊社はこれから初めて本格的に人材育成に取り組む、という中小企業の皆様からもご相談をいただいています。
本コラムではそのようなご相談を年間約1000件お受けしている、インサイドセールス部門の担当者から人事の方に向けて、お役立ていただける情報を発信していきます。

中小企業における人事課題の潮流について
今の時代「採用に困っていない会社はない」
若手や中途社員のオンボーディング
中小企業が定着率を高めるには
ますます難しくなる上司のコミュニケーション
最後に

中小企業における人事課題の潮流について

中川 和明(なかがわ かずあき)
HRD・OD事業推進部 営業推進グループ
企画スタッフ
2016年入社。大手・中堅企業様を対象とした営業を経験。現在、人事の方からのご相談をお受けするインサイドセールス部門に所属。チームメンバーと共に年間1000件以上のご相談に乗っている。

佐藤 修美(さとうなおみ)
マーケティング営業部3グループ
シニアソリューションプランナー
2007年入社。以来、一貫して中小・中堅企業様を対象としたセクションに在籍。営業、営業マネジャー、北海道支社長を務める
担当した企業は延べ1000社に上る。セミナーの企画運営・講師担当。中小企業診断士。

弊社の人材育成、組織開発部門でインサイドセールスを担当している中川和明と申します。 人事の皆様からいただくお悩みとそれに対してお答えしている内容をもとに、主に中堅・中小企業の方が人材育成について考える時にヒントになる情報を発信したく、このコラムシリーズをスタートし前回までに6つのテーマでお伝えしてきました。

本コラムシリーズの趣旨については第1回に記載していますので、ご参照ください。

中小企業の人材育成を考える 第1回人材育成のよくあるお悩み「マネジメントを強化したい」はなぜダメなのか?

7回目となる今回は前回までの振り返りの意味も込めて、中小企業の人事の方を日々サポートしている弊社シニアソリューションプランナーの佐藤との対談形式でお送りします。テーマは中小企業の人事課題を取り巻く背景・潮流と、そのために必要な取り組みやサポートについてです。

今の時代「採用に困っていない会社はない」

中川:佐藤さんは、ソリューションプランナーとして、これまでも多くの中小企業のお客様を担当して人事課題の解決を支援していますが、昨今の人事の方のお悩みはどんなものが多いと感じていますか?

佐藤:中小企業においては昔からあるベーシックなお悩みでもありますが、「労働力不足」のお悩みがここのところ深刻になっている印象があります。少子化・高齢化により企業でも人手不足が進むことは以前から言われていましたが、ここに来ていよいよ現実となってきている実感を持たれている方が多いようです。

中川:確かに、労働力の減少については、ニュースなどでデータでも示されることが増えてきています。企業における採用がますます難しくなっていきますね。

佐藤:中小企業に限らず大手も含めて、今や「採用に困っていない会社はない」と言えると思います。そこに対して「どう採用していくか」という観点でリファラル採用など採用手法の多様化が進んでいます。ただし、それだけでは現実に対応していけません。

これまでと同じ水準、タイプの人を採用できないなかで、どう組織を動かしていくかということも重要なポイントです。

例えば、これまでは「日本人の新卒・若手」が採用の主流だったとしても、今後は外国人やパートタイムの人・専門性がある人の副業、なども含めて業務を回していくことを試行せざるを得なくなります。そうなると、多様性を持った人がいる前提でのマネジメントが求められていきます。

若手や中途社員のオンボーディング

中川:マネジメントについてのご相談は増えていますね。また、若手や中途社員を中心に、定着や活用支援のご相談を伺うことも増えました。採用が難しいなか、せっかく採用した人に辞められてしまうと企業としては大きな痛手です。

佐藤:それが今「オンボーディング」というキーワードに注目が集まっている背景ですね。Z世代の育成や定着についてのご相談をいただくことはとても増えていますが、新卒社員を前提としたオンボーディングだけでなく中途社員についても定着・活躍支援の仕組みを整えることが重要になっています。

中小企業が定着率を高めるには

中川:インサイドセールスでも人材不足のなかで中途採用した人に活躍してもらいたい、というご相談を伺うことが多いです。その際に必ずお伝えしているのは、本人の育成だけでなく育成やマネジメント環境を整えることが重要だということです。

また、優秀な人が採用できるような人事制度に変えたいというようなご相談も増えています。

佐藤:給与水準を上げれば採用力は上がるかもしれませんが、それは簡単にできることではないですからね。採用力を上げるためにも働き方の自由度や育成の仕組みなど給与以外の魅力を打ち出していく必要があります。最近、従業員のエンゲージメントの観点からリモートワークでなく出社に戻っている企業も増えていますが、リモートワークができることは採用の際にはメリットになるので、そこのバランスは見ておかないといけません。

中川:離職について、最近は「嫌だから辞める」ではなく「他に魅力的な会社を見つけたから」「やりたいことができたから」というような、本人にとっては前向きな理由も増えているようです。ただ、今の職場にいる意味が見つかる可能性があるにもかかわらず、早期に見切りをつける「もったいない離職」が増えているともいわれています。

参考:2023年 新人・若手の早期離職に関する実態調査 第2回新人・若手の早期離職問題といかに向き合うか

ますます難しくなる上司のコミュニケーション

佐藤:そのようなもったいなさを回避するためには、マネジャーがメンバーのキャリアについても1on1などの場で会話しておくことがまず第一歩だと思います。終身雇用の時代ではなくなり、人の多様性や流動性が高まっているのは事実ですが、流動的に働きたい人ばかりかというとそうではなく安定的に働きたい人もいる。

上司はメンバーそれぞれがどういう仕事観やキャリア観を持っているかに合わせてコミュニケーションを取っていく必要があります。

中川:マネジャー層が価値観の違う若手と上手くコミュニケーションを取れない、というお悩みを伺うこともありますね。本音が読めない、関わり方の温度感が分からない、というようなお悩みです。

佐藤:Z世代の育成についてのご相談は増えています。ただ、Z世代や、その少し上の世代はすでにマネジャーやリーダーになっている会社も出てきています。昔に比べて踏み込まないコミュニケーションスタイルになっているのは、若手側だけでなく双方だった、というようなケースもあると思います。

中川:リモートワークや、そうでなくても職場のコミュニケーションスタイルが変わり「厳しいことを言っても、飲みの場でフォローする」という、いわゆる昭和のマネジメントスタイルはほとんど通用しなくなっています。特にリモートで相手にとってネガティブなことを伝えてしまうとリカバリーが非常に難しい。

佐藤:そうなると、その場のコミュニケーションで相手に受け入れやすく、分かりやすい伝え方をすることが必要になってきます。そんななかで多様なメンバーの本音を引き出すコミュニケーションを取る、という非常に難度の高いことが今の上司には求められているのです。

最後に

中川:上記のように管理職を取り巻く環境が難しくなるなか、佐藤さんはソリューションプランナーとして管理職研修の実施などの施策をご支援していると思います。お客様をご支援するなかで大事にしていることはありますか?

佐藤:私が人事の方によくお伝えしているのは、継続的な施策を考えていくことが必要だということです。誤解を恐れずに言うと、1回の研修で状況が劇的に変わることはありません。管理職を指導する立場の人や、部下側の意識も変えていかないとなかなか現実は変わらず、場合によっては3カ年計画になることもあります。じっくり一緒に取り組みましょう、というサポートを心がけています。

中川:教育体系の構築のご相談が増えていることとも繋がっていますね。私も単発の研修ではなく、「人が育つ組織をつくる」ことが重要だと思います。インサイドセールスでは、初めて人材育成に取り組むお客様からのご相談を多く受けます。いろんな課題があるなかで1歩目に何をするかということを一緒に考えさせていただいています。

佐藤:いろいろやった方がいいことは分かっているなかで、最初に何から始めたらいいのかが分からない、というご相談は多いですね。全体計画を考えたうえで初手を決めること、そこにプランナーが併走する価値があると思っています。無料セミナーでも教育体系や各階層の育成についてお伝えしていますので、ぜひご活用いただきたいです。

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