用語集
企業理念とは? 重要性や浸透させる方法・作成のポイントを解説
- 公開日:2024/10/03
- 更新日:2024/10/03
企業理念とは、企業の目的や大切な価値観を言語化したものです。多くの企業で定めているものですが「なかなか浸透しない」というお悩みもよく耳にします。この記事では企業理念を浸透させる方法や作成する際の注意点などを紹介します。
企業理念とは
企業理念とは、企業の存在意義を分かりやすく明文化したものです。「何のために事業を行うのか」「何を目標としているのか」といった、企業の根幹となる価値観や考え方を示しています。企業理念を掲げる一番のメリットは、企業の方向性が明確になることです。従業員に共有することで、組織に一体感が生まれるでしょう。
また、企業理念は従業員の一体感を高めるだけでなく、行動する際の指針や意思決定の軸にもなります。社外に対しても、企業の目標や社会への貢献性を示すことでブランドイメージの形成につながります。
経営理念との違い
企業理念と似た言葉に「経営理念」があります。経営理念とは、経営者が会社の経営を行ううえで重視している考え方や信念のことです。あくまで経営の方針を示したものなので、経営者が変わったら変更されることがあります。また経営者は変わらなくても、時代の流れや社会の変化に合わせて変更されることもあります。一方企業理念は、一度決定されたら基本的に変わることはありません。
企業理念を構成する要素
企業理念を構成する主な要素が、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)です。3つの要素すべてが必要というわけではなく、一部だけ定めている企業もあります。また最近では企業理念に近い概念として「パーパス」にも注目が集まっています。ここで、それぞれの意味を説明しましょう。
ミッション
ミッションとは、「会社が果たすべき使命」を指します。企業活動の目的を表したもので、企業が社会に対して提供する価値や、どのような課題を解決するのかを示しています。例えば「◯◯をすることで、△△に貢献する」「◯◯を通して、△△という課題を解決する」といった具合です。
ビジョン
ビジョンとは「会社が目指す未来の姿」です。ここでいう未来とは、会社の未来だけでなく、社会や世界の未来を含んでいます。事業活動を通して「どんな社会を実現させたいのか」「どんな世界を創りたいのか」という理想の将来を描いたものです。例えば「◯◯を通して、△△な未来を実現する」「人々が△△できるように社会を変える」といったものがビジョンあたります。
バリュー
バリューとは「会社が重視する価値基準や行動指針」です。「ミッションやビジョンを実現するために、どう行動するべきか」という行動規範を従業員に示したものです。「常にお客様のことを第一に考える」「仲間を尊重して助け合う」といった、具体的な行動につながるものを指します。
パーパス
パーパスとは「社会における会社の存在意義」です。企業の存在意義を示しているという点で企業理念と共通していますが、パーパスは「どう社会へ貢献するのか」という社会的意義に重点を置いているのが特徴です。例えば「環境に配慮した商品で、持続可能な社会づくりに貢献する」といった具合です。最近では企業理念の代わりにパーパスを掲げている企業もあります。
企業理念が必要な理由
多くの企業が企業理念を掲げていますが、それには理由があります。企業にとって企業理念が不可欠な理由を4つ紹介しましょう。
組織の方向性を示すため
企業は、さまざまな考え方や価値観を持つ人間の集まりです。目指すゴールが見えていないと、従業員はバラバラの方向に走り出してしまい、大きな成果にはつながらないでしょう。しかし企業理念を掲げることで、目指す方向が明確になります。従業員全員が同じ方向へまとまって動くことができ、組織が一体となって目標達成を目指せるでしょう。
モチベーション向上のため
企業の目的や存在意義をはっきり示すことで、従業員は自分の仕事が大きな目標につながっていることを感じることができます。使命感を持って仕事に取り組むことができるでしょう。企業理念に共感して「会社に貢献している」「社会貢献につながっている」と実感できれば、モチベーションも向上します。エンゲージメントも高まり、主体性のアップも期待できるでしょう。
意思決定の判断材料とするため
企業理念は、意思決定する際のブレない軸となります。ビジネスは意思決定の連続です。しかしビジネスを取り巻く状況が目まぐるしく変化する昨今、スピーディで的確な判断を下すのは簡単ではありません。企業理念で目指す方向性がはっきり分かれば、判断基準が明確になり、意思決定もしやすくなります。意思決定のスピードと精度が上がれば、企業の成長も加速するでしょう。
採用時のミスマッチを防ぐため
企業理念にリンクさせれば、採用基準も決めやすくなります。会社の価値観や考え方にマッチしている人材を採用しやすくなるでしょう。また企業サイトや採用サイトに企業理念を掲載することで、理念に共感した人材から応募がくる確率が上がります。あらかじめ企業の方針に納得している人を採用すれば、採用後も組織に馴染みやすく、早期退職のリスクを減らすことができるでしょう。
企業理念を浸透させる方法
企業理念は、社長室に飾ったりサイトに載せたりするだけでは意味がありません。社員に浸透させ、実際に行動に移してもらうことで、初めて効果が出るものです。ここでは企業理念を浸透させる方法を2つ紹介します。
企業のストーリーを伝える
企業理念を作っても、従業員が共感しないと主体的な行動にはつながりません。従業員の共感を得るためには、企業理念にまつわるストーリーを積極的に伝えることが大切です。企業が設立された経緯、今日まで歩んできた歴史、企業理念が誕生した背景、企業理念に込められた想いなどを、さまざまな機会を通じて社員に訴えかけましょう。社内報に掲載したり、ムービーを作ったりするのもお薦めです。
従業員が行動に移せる制度や仕組みを整える
企業理念は、実際に行動に移さないと、絵に描いた餅と同じです。企業理念を作ったら、従業員が企業理念に従って動けるように制度や仕組みを整えましょう。例えば「企業理念に沿った行動を、人事評価の項目に取り入れる」「お手本となる従業員を表彰する」などです。また企業理念が浸透する方法について、従業員に考えてもらうのも効果的です。チームをつくってプロジェクト化させるなどして、従業員を積極的に巻き込んでいきましょう。
また、プロの手を借りるのもお薦めです。リクルートマネジメントソリューションズでは、企業理念を浸透させるために以下のサービスを提供しています。
企業理念を作成する際の注意点
企業理念は企業の根幹を示すもので、一度作成すると長く使うことになります。しかし作成に力を入れすぎて、機能しない企業理念になってしまう恐れも。ここでは実際に企業理念を作成する際のポイントを紹介します。
従業員が理解しやすい内容にする
企業理念の内容が複雑すぎると従業員が理解できず、浸透しない原因になります。逆に、曖昧すぎても「分かるようで分からない」といったことになりかねません。企業理念は内容や背景まで含め、従業員が理解しやすいものにすることが大切です。実際に従業員に読んでもらって、反応を見たり感想を聞いたりするとよいでしょう。
ブランディングを意識する
従業員だけでなく、顧客や取引先といった社外の目も意識しましょう。例えば「売上日本一になる」という企業理念は、社内向けには成立しますが、ステークホルダーの共感は得られないかもしれません。社内でも社外でも共感してもらえる企業理念を作成すれば「この会社を応援したい」というブランドイメージの向上につながるでしょう。
企業ごとに適した理念を作成する
大企業から中小企業まで、事業規模はさまざまです。企業理念が自社の事業規模とあまりにかけ離れていても、従業員の共感を得るのは難しいでしょう。例えば地域密着型の企業が「世界の環境問題を解決する」といっても、従業員はピンとこないかもしれません。従業員がイメージしやすくて「実現できそう」と思える企業理念を作ることが大切です。
まとめ
従業員が企業理念に共感すれば「会社に貢献したい」という想いが強くなり、エンゲージメント向上にもつながるでしょう。結果的に職場の活性化や離職率の低下など、さまざまなメリットが生まれます。企業理念の作成はもちろん、企業理念の形骸化にお悩みの企業は、ぜひ本記事を参考にして下さい。
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