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パーパスとは? 注目される背景から策定方法やポイント、事例を解説

  • 公開日:2024/02/15
  • 更新日:2024/03/15

最近ビジネスシーンで注目されているパーパス。この記事ではパーパスの意味から策定のメリット、具体的な策定方法まで詳しく解説。パーパス経営を行っている企業の事例もご紹介します。

パーパスとは

パーパスとは「企業の存在意義」を意味する言葉です。「自分の会社は何のために存在するのか」「なぜこの事業を行うのか」という根源的な問いに対する答えを指します。

もともと英語のpurpose(目的、目標)から来た言葉ですが、ビジネスシーンでは経営戦略やブランディングのキーワードとして使われています。

パーパス経営とは

パーパスを掲げ、それに基づいて会社経営を行うことを「パーパス経営」と呼びます。ただ利益を追求するだけでなく、社会への貢献を目指して企業活動を行うのが特徴です。

経営の柱というと「経営理念」がありますが、パーパス経営は一般的な経営理念よりも「社会とのつながり」を強く意識した経営といえます。また経営理念は経営者の交代や時代の変化を受けて内容が変わりやすいのに対し、パーパスは変わりにくいのも特徴です。

ミッションとの違い

ミッションとは、企業が果たすべき使命のこと。パーパスを実現するための具体的な行動を指します。パーパスは「なぜ社会に存在しているのか」という“Why”への答え、ミッションは「何を行うべきか」という“What”への答えと考えると分かりやすいでしょう。

ビジョンとの違い

ビジョンとは、会社が目指す理想像や将来像のことです。「どこを目指すのか」という“Where”にあたります。

バリューとの違い

バリューは、パーパス・ミッション・ビジョンを成し遂げるための行動基準です。「どう行動するのか」という“How”にあたります。

クレドとの違い

クレドは、社員一人ひとりに向けた行動指針。「社員はどのように行動すればいいのか」という内容を、分かりやすく明文化したものです。バリューとよく似ていますが、バリューが「企業」の行動指針を表しているのに対し、クレドは「社員」の行動に焦点をあてているのが特徴です。

パーパスが注目される背景

パーパスが注目される背景

なぜ今、パーパスが注目されているのでしょうか? 主な理由を4つご紹介します。

VUCA時代

VUCAとは、社会を取り巻く環境が目まぐるしく変化し、将来の予測が困難である状態。VUCA時代の今、企業は常に変革を求められています。しかし判断基準がブレていると、誤った戦略を取ったり意思決定に時間がかかったりしてしまいます。そこで決してブレない軸として、パーパスが注目されているのです。

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組織や人材の多様性(ダイバーシティ)

日本ではダイバーシティの推進が求められています。多様な人材が集まるということは、異なる文化や価値観が集まるということ。企業が持つ価値観を自然に共有するのは難しくなるでしょう。そこで社員一人ひとりが同じ方向を目指して走るために、すべての社員が共感できるパーパスが必要とされています。

重要視される社会的意義や社会貢献

1980年代前半〜1990年代半ば生まれの「ミレニアル世代」は、社会問題に関心が強いといわれています。就職先を選ぶ際にも、企業規模や売上高などよりも企業文化や社会への貢献度を重視する傾向です。パーパスは、そうした人々の価値観にもマッチしているといえます。

消費動向の変化

近年は「エシカル消費」への関心が高まっており、政府も普及活動を行っています。エシカル消費とは社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む企業を応援したりしながら消費活動を行うことです。例えば地産地消やフェアトレード商品を選ぶといったことがあたります。企業はエシカル消費を意識する消費者に向けて、自社の社会貢献のあり方を示す必要が求められています。

パーパスを策定するメリット

パーパスを策定することで、どんなメリットがあるのでしょうか? 具体的に5つご紹介します。

ステークホルダーから支持を得られる

パーパスを掲げることで「社会に貢献している企業」だと内外に示せます。企業価値が向上し、イメージアップにつながるでしょう。消費者や株主といったステークホルダーからの支持も得やすくなります。

意思決定の軸がブレない

企業は、意思決定の連続。目まぐるしく状況が変化する昨今、精度だけでなくスピードも重要です。パーパスは、そんな意思決定をする際のブレない軸となります。経営陣はもちろん現場の社員にとっても、明確な判断基準があることで意思決定がしやすくなるでしょう。

社員のロイヤリティや自律性が向上する

パーパスを掲げることで、社員に対し「働く意義」をはっきり示せます。自分の仕事が社会貢献につながっていると実感すれば、やりがいが高まり、愛社精神も高まるでしょう。目標を明確にすることで自律性もアップし、生産性の向上が期待できます。

イノベーションの創出につながる

すべての社員がパーパスを共有することで、組織に一体感が生まれます。目指す方向も明確になるので、部署の垣根を越えた意見やアイディアが出やすくなるでしょう。イノベーションを創出しやすい組織風土になるともいえます。

SDGsやESGの推進

企業が持続的な成長を続けるためには、SDGsやESGへの取り組みが不可欠です。SDGsもESGも、社会への貢献性がカギ。しかし「具体的に何をしたらいいか分からない」と悩む企業もあるでしょう。パーパスを策定することで、SDGsやESGへ向けた活動の方向性がイメージしやすくなり、実践しやすくなります。

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パーパスの策定方法

パーパスの策定方法

パーパスを策定するには、どのような手順を踏めばいいのでしょうか? 具体的な流れをご説明しましょう。

パーパスの明確化

まずは自社のパーパスを明確にします。「社会課題の解決に貢献できるか」「自社の強みを生かせるか」「実現可能か」「社員の共感を得られるか」といったポイントを意識しましょう。会社の歴史を振り返ったり、さまざまな部署の社員が集まって議論したりすることで、ヒントが見えてくるかもしれません。

パーパスステートメントの作成

パーパスステートメントとは、パーパスを言語化してまとめたものです。作成のポイントは、分かりやすくシンプルにすること。自分の会社がどのような志を持って、どのように社会に貢献するのか、一読で伝わるようにします。多くの企業ではパーパスステートメントをホームページなどで公開しているので、参考にするとよいでしょう。

パーパスステートメントの実行

最も重要なことは、パーパスステートメントを実行することです。社員一人ひとりに浸透させ、あらゆる企業活動をパーパスに基づいて展開していきます。パーパス実現のために組織体制を見直してもよいですし、商品やサービスのブランディングに活用するのもおすすめです。

パーパスステートメントの評価・レポーティング

パーパスステートメントを実行したら、取り組みの内容を評価し、公開します。パーパスの実現に向けてしっかり取り組んでいることを内外に周知することで、ステークホルダーの満足度向上や企業のイメージアップにつながるでしょう。

パーパス策定のポイント

実際にパーパスを策定する際に、注意したい点がいくつかあります。ポイントを5つご紹介しましょう。

独自のパーパスを策定する

独自のパーパスは、消費者に対して強いメッセージを伝えられるだけでなく、他社との差別化にもなります。会社の歴史や強みを精査したうえで、自社にしか語れないパーパスを見つけましょう。

掲げたパーパスと企業活動に一貫性があるか

どんなに素晴らしいパーパスを掲げても、企業活動とかけ離れていたら実現できません。また具体的な取り組みが伴わないパーパスは「パーパスウォッシュ」と呼ばれ、ステークホルダーからの信頼を失う恐れがあります。

実現可能なパーパスであるか

あまりに現実離れしたパーパスも、実現が難しくなります。パーパスは大きな理想を語るものではありますが、見かけ倒しになっては意味がありません。実現可能な目標を設定し、着実に達成できるよう計画を立てることが大切です。

企業や社員の成長につながる内容であるか

企業である以上、利益も追求しなければいけません。パーパスを策定する際は「会社の成長を後押しできるか」という視点を持つことが重要です。「社会に役立っている」と実感できるパーパスは、社員の成長にもつながります。社員みんなが共感でき、自分の仕事に誇りを持てるような内容にしましょう。

社会的意義や社会貢献を含む内容であるか

パーパスは「社会における存在意義」を示したもの。社会貢献性を含んでいなければ、パーパスとはいえません。パーパス策定の際は「自社の企業活動とつながりがある社会貢献は何か?」という点をよく検討しましょう。SDGsやESGにおけるキーワードを参考にするのもおすすめです。

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パーパスの企業事例

パーパスを具体的にイメージするために、企業の実例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

デンソー

社員18 万人を擁する同社。パーパスを社員一人ひとりのキャリア自律に組み込むことで、企業の変革に挑んでいます。

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東京海上日動火災保険

同社の伝統は、人材育成を大切にすること。パーパスと社員の目標をつなげ、自律性を育むことに取り組んでいます。

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ベネッセホールディングス

教育事業と介護事業を通じて、社会課題の解決を目指す同社。「よく生きる」という理念が意思決定の判断軸になっているとのことです。

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おわりに

社会的な存在意義を示し、決してブレない指針ともなるパーパス。しかし単に掲げるだけでは意味がありません。社員一人ひとりに浸透させたうえで、パーパスに基づいた企業活動を行い、企業の成長につなげていきましょう。

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