用語集
ファシリテーションとは? 役割や必要なスキルを解説
- 公開日:2019/09/24
- 更新日:2024/10/03
「時間をかけて会議したのに、いい結論が出なかった。一体どうすればよかったんだろう?」ビジネスシーンでのこのようなお悩みの解決に役立つのが、ファシリテーションスキルです。当記事ではファシリテーションの概要や、ファシリテーションの具体的な進め方について紹介します。
ファシリテーションとは?
ファシリテーション(facilitation)とは、複数名のコミュニケーションがスムーズに進むように舵取りをする手法のことです。単語としては「容易にすること」「促進すること」などを意味し、会議やミーティングを円滑化するビジネススキルとして注目を集めています。
ファシリテーターとは
ファシリテーターとは、そんなファシリテーションを担う人のことを指します。集団で行う議論の進行役として、さまざまな価値観や意見の擦り合わせをサポートするのが主な役目です。
具体的には、
- 会議の目的に沿って議題を提示し結論を導く
- 議論に必要な知識やノウハウを提供する
- アイスブレイクの話題を振って雰囲気を和らげる
- 発言が少ない人に話を振る
という役割を持っています。会議の参加者でありつつ、ファシリテーターの役割を担うこともあります。
ファシリテーションの目的
ファシリテーションの目的は、「よりよい結論や合意形成に向けて、話の流れを導くこと」にあります。
複数名の議論ではお互いの意見が食い違ったり、特定の人だけが発言している状態になってしまったりすることがあります。これは場に参加している一人ひとりの立場や個性、前提となる知識が異なるためです。
ファシリテーションスキルは立場の異なるメンバー全員の相互理解を助け、各自が建設的に議論できるようサポートしていくスキルといえます。会議やミーティングで出すべき「結論」にたどり着けるようガイドし、議論の生産性をアップさせることが主な目的といえるでしょう。
ファシリテーションスキルを向上させるメリット
効果的なファシリテーションがもたらすメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
会議の生産性が向上する
1つ目のメリットは、無駄な会議を減らせるという点です。会議は時に、「せっかく集まったのに何も結論が出なかった」という不毛な時間になってしまうことがあります。主な原因としては、「会議の目的がはっきりしていなかった」「話が脱線してしまった」「特定の人だけが発言し、意見交換にならなかった」などが挙げられるでしょう。
ファシリテーターはこのような事態にならないよう、会議の目的を明白にしたうえで進行します。会議の生産性を向上させられるところが魅力です。
発言しやすくなり意見が集まる
2つ目のメリットは、参加者が発言しやすくなる点です。ファシリテーターは中立の立場から、会議の参加者が平等に発言できるよう促します。参加者が話しやすい雰囲気をつくることで意見も出やすくなり、議論がよりよいゴールに到達するところが利点です。
参加者の理解が得られやすい
3つ目のメリットは、参加者の理解が得やすくなる点です。全員が主体的に参加した会議には、よりよい結論を導き出しやすいだけでなく、納得感や結束力を生む効果もあります。会議で決まった内容をもとに、スピーディに行動を起こしやすくなるところもメリットといえるでしょう。
ファシリテーターの役割
ファシリテーターは対話のサポート役として、主に議論の補佐や会議の雰囲気づくり、時間配分などを担います。具体的な役割について見てみましょう。
会議の目的へ導く
ファシリテーターの大きな役割として、「議題のゴールにたどり着けるようサポートする」という点が挙げられます。会議のテーマや議題を共有し、「今何を話し合うべきなのか」を明確にすることで、議論が円滑に進むように促します。ファシリテーターが結論を決めてそこに誘導するのではなく、あくまで「皆が結論を出せるように」支える点がポイントです。
意見を出しやすい雰囲気をつくる
会議は時に場が白熱して攻撃的になったり、逆に誰も意見を出さなかったりなど、「発言しにくい雰囲気」になってしまうことがあります。そんな時に、参加者が発言しやすいような場の雰囲気をつくることも、ファシリテーターの大切な役目です。発言していない人に意見を求めたり、発言しやすい話題に切り替えたりしながら、よりよい議論ができる環境を整えます。
時間をコントロールする
会議とは一般的に、所要時間と議題が決まっているものです。しかし会議の進行プランがあいまいだと、「1つの議題を話すだけで時間が来てしまった」「予定時間を大きくオーバーしてしまった」などの事態になりかねません。よってファシリテーターは、会議の予定時間内にすべての議題を話し合えるように、会議の進行を管理します。
時間を管理してより生産性高く業務に取り組みたい方は、こちらの記事もぜひご一読ください。
参加者の合意を取る
ファシリテーターは会議を円滑に進めるだけでなく、「会議で出た結論をまとめる」ことも担います。参加者の合意を取り、今後の行動に対する認識を一致させることで、会議の満足感・納得感を引き上げることが可能です。
ファシリテーションに必要なスキル
ファシリテーションの普及を担う民間非営利団体「日本ファシリテーション協会」の定義によると、ファシリテーターには以下の4つのスキルが有用です。
場のデザインスキル
1つ目は、話しやすい場をつくる「場のデザインスキル」です。本来、スムーズな対話の場には「相手との関係性の良好さ」「話し合う内容の明確さ」「共同意識の高さ」などが必要となります。会議の参加者がこれらの要素を満たせるよう、話し合いの段取りや情報共有を積極的に主導する姿勢があると好ましいでしょう。
特に会議とはただ参加してもらえばいいのではなく、今後の方針を決め、賛同してもらう必要がある場です。参加者同士が気持ちよく話し合い、チームとしての結束が生まれるよう、アイスブレイクなども交えて場を整える手腕があればなお好ましいでしょう。
対人関係のスキル
2つ目は、参加者の意見をできるだけ多く引き出す対人スキルです。単に聞き役になるだけでなく、発言しにくそうにしている人に声を掛けたり、言語化が苦手な人の発言をより分かりやすく皆に伝え直したりなど、対話を円滑にするサポートが求められます。
構造化のスキル
3つ目は、参加者から出た意見を分かりやすく整理・構造化するスキルです。会議で出た意見を整理し、引き続き議論すべきポイントを共有して、会議のこれまでとこれからを「見える化」します。話の脱線を防ぎながら結論に導くファシリテーションに欠かせないスキルといえるでしょう。
合意形成のスキル
4つ目は、結論をまとめる合意形成のスキルです。会議では必ず議題に対し結論を出す必要がありますが、結論とは参加者の合意があって初めて成り立ちます。意見が対立しても全員にとって納得感のある結論が見つかるよう、妥協点の発見や相互理解を促せるかがファシリテーターの腕の見せ所です。
ファシリテーションを効果的に行うためのステップ
次に、会議で効果的なファシリテーションを行うために必要なステップについて解説します。
会議前の準備
まずは会議前の準備として、会議のアジェンダを作成します。会議の参加者がどんなことを、どれくらいの時間で話し合うかを整理し、タイムスケジュールを立てましょう。併せて今回の会議に必要な設備を整え、会場を確保します。
会議の進行
会議がスタートしたら、参加者同士の関係性を踏まえたうえで、必要に応じてアイスブレイクを挟みます。参加者全員が話しやすい雰囲気をつくったら、会議の目的をあらためて共有し、議論に入りましょう。中立の立場を意識しながら時間の管理も忘れずに、適切に会議を進行していきます。
合意形成を行い今後のアクションを決める
会議が終盤に近づいたら、出揃った意見をまとめて合意形成を行います。参加者の意見はそれぞれ異なる場合が多いため、対立意見の妥協点を探すなどして、全員が納得する結論を導きましょう。会議の結論が出たら、具体的に今後行ってほしいアクションを各自に振り分けます。合意形成のスキルを身につけるノウハウを知りたい方は、こちらの記事もお薦めです。
ファシリテーションをうまく行うポイント
最後に、ファシリテーションをうまく行うポイントについて紹介します。
会議の目的を理解する
ファシリテーションを担う人は、前提として会議の目的や議論すべき内容をしっかりと理解しておく必要があります。タイムキーパーとして会議の進行表を作るためにも、「どんな議題を」「どれくらいの時間で」話し合うのか、きちんと整理しておきましょう。
中立の立場で行う
ファシリテーターとして会議に参加する際は、あくまで中立の立場を守りましょう。ファシリテーターが特定の参加者の意見に同意・反対してしまうと、周りもファシリテーターの支持する意見に偏ってしまう可能性があるためです。
また、本題からずれた話をしている人に対しても、遮らずに意見の1つとして記録することが大切といえます。相手の意見を聞かずに排斥してしまうと、参加者全員の発言の意欲を削ぐ恐れがあるからです。会議の残り時間に気をつけつつ、「なるほど。では、このような話(本題)についてどう思いますか」というように、話を切り替えるようにしましょう。
多様な意見を受け入れる
会議には価値観も個性も異なる、さまざまな意見を持つ人が出席しています。異なる意見は議論を活性化させ、発言者が増えれば会議の生産性も高まります。ファシリテーションをする際は多様な意見が出るように、相手の発言を歓迎する姿勢を見せるとよいでしょう。
まとめ
ファシリテーションの概要や、ファシリテーションの具体的な進め方についてご紹介しました。
昨今のチームリーダーには上記のようなファシリテーションスキルをはじめとする、さまざまなノウハウが必要になる傾向があります。現場での即戦力性を求められることも多いため、自分1人ではスキルアップが追いつかないことも珍しくありません。社内外のビジネス研修なども活用しつつ、ビジネスノウハウを底上げしていくとよいでしょう。
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