用語集
カタルシスとは? 心理学における意味やビジネスでの役立て方を解説
- 公開日:2014/04/18
- 更新日:2025/02/21
カタルシスとは、過去に感じた恐怖や罪悪感など、心に閉じ込められている感情を解放し、精神状態を浄化することを指します。医学用語や宗教用語で使用されるほかに、ビジネスの現場などでも広く用いられているのが特徴です。ギリシャ語の「katharsis(浄化)」に由来する言葉で、古代ギリシャ哲学者のアリストテレスの著書『詩学』で展開される、悲劇論で使用されていました。
カタルシスによく似た言葉に「カタストロフィ」があります。カタルシスは「浄化・純化」を指しますが、カタストロフィは「破滅」を表現する際に使用される言葉のため注意が必要です。
カタルシス効果とは
カタルシス効果とは、心のなかにある悲しみや苦しみなどの、ネガティブな感情を吐き出すことで得られる解放感や安心感などを指します。嫌なことや不安を人に話すことで、心が軽くなり、すっきりした経験を持つ人も多いのではないでしょうか。実はこの「負の感情を解放してすっきりする」ことが、カタルシス効果を得るということです。
カタルシス効果の有用性
カタルシスを起こすと、どのような効果が得られるのでしょうか。続いては、カタルシス効果の有用性を解説します。
ストレス解消につながる
カタルシス効果が得られる行為は、ストレス解消につながります。思い切り涙を流したり、不安や不満を人に打ち明けたりすることで、心の負荷が軽減するかもしれません。感動する映画を見て思い切り泣いたあとは、すっきりする人も多いでしょう。また適切にストレスを解消できると、心にゆとりが生まれてリラックスできる可能性もあります。
周囲と信頼関係が築ける
カタルシス効果により心にゆとりができると、相手の話に向き合いやすくなる点も有用性の1つです。重要なアドバイスや自分にとって良いことを言われていても「今は受け入れる余裕がない」と、素直に聞けない経験をしたことがある人もいるかもしれません。相手の話をしっかり聞くためには、受け入れられる心のゆとりが必要です。また、相手の話をしっかりと聞くことは、信頼関係の構築にもつながります。
自己表現ができる
感情を吐き出したり言葉にしたりする行為は、カタルシス効果を得られると同時に自己表現にもつながります。自分の感情を適切に相手に伝えることは、コミュニケーションスキルを磨くことにもなるでしょう。また、カタルシス効果が得られる行為を創作活動に置き換えてみるのも良いかもしれません。絵や小説などの創作物のなかで自分の感情を表すと、創作スキルが向上する場合もあります。
カタルシス効果が業務で役立つ具体例
カタルシス効果は、ビジネスシーンでも役立ちます。続いては、カタルシス効果が業務で役立つ例を具体的な場面も用いて解説します。
営業
カタルシス効果が業務で役立つ例の1つに、営業職が挙げられます。営業は、お客様と対峙して何かしらの商品やサービスを販売する仕事です。しかし販売するうえで、お客様との密なコミュニケーションが必要になるケースも多いでしょう。
傾聴の姿勢を大切にしながらお客様と信頼関係を構築すると、悩みや不満、不安などのネガティブな感情も打ち明けてくれやすくなります。負の感情を解放してカタルシスを感じたお客様は、営業担当に対しより好意的に対応しようとする可能性が高くなるでしょう。結果的に売上上昇につながるなど、良い効果が得られるかもしれません。
人事
人事も、業務のなかでカタルシス効果を役立てることができます。人事の主な業務は自社に合う人材を選ぶことです。しかし応募があった求職者でも、ご縁がなくお断りするケースもあるでしょう。ご縁がなかったとお断りする際に一方的に不採用を伝えると、企業に対して嫌な感情を持つ求職者もいるかもしれません。
しかし、メッセージのやり取りや面接の際に求職者の話にしっかりと耳を傾け、良いことも悪いことも最後まで聞く姿勢を見せることで、不採用だった場合でも「言いたいことは言い切ったから満足」と求職者のなかでカタルシスが起こり、納得してもらえる可能性が高くなります。
販売
カタルシス効果は、販売職でも役立てることができます。買い物の際、店員に一方的に商品をお薦めされて嫌な感情を持ったケースがある人もいるでしょう。状況を鑑みず、一方的に提案されることを嫌がる人は少なくありません。
しかし「欲しい商品は決まったので、あとはサイズをどちらにするか……」といった段階で「サイズにお悩みですか?」と声をかけてもらえれば「(自分の悩みを)分かってもらえた!」と顧客が感じ、カタルシスを起こせる可能性があります。販売職でカタルシス効果を与えるには、お客様が求めるタイミングで適切な声かけを行う必要があるでしょう。
マーケティング
マーケティング業務でも、カタルシス効果を生かせます。マーケティングは、販売したい商品やサービスのターゲットとなる、顧客の感情の動きやベネフィットを考える必要がある職種です。「商品やサービスを購入するとストレスを解消できる」=「カタルシス効果を得られる」といった内容を適切にターゲットに打ち出せれば、カタルシス効果を活用して成果を上げられる可能性が高くなります。
コールセンター対応
カタルシス効果は、コールセンター対応の際にも役立ちます。特にクレーム対応など、お客様が不満を抱えている際に効果的です。お客様が発散した不満を真摯に受け止めることで、カタルシスが起こり、徐々に冷静さを取り戻してもらえる可能性があります。
お客様がお怒りの場合はまず徹底して不満を吐き出していただき、落ち着くのを待つと良いかもしれません。お客様にカタルシスが起き、冷静になったタイミングで再度話をすれば、対応が円滑に進むケースもあるでしょう。
カタルシス効果を高めるために必要なスキル
カタルシス効果を高めるために必要なスキルは「傾聴力」「表現力」「思考力」の3つです。それぞれ詳しく解説します。
傾聴力
話し相手へのカタルシス効果を高めるためには、傾聴力を磨くのが有効です。傾聴力を身につけると相手が「話しやすい」と感じ、ささいな不満や抑圧した感情も打ち明けやすくなる可能性が高まります。話を聞く際は相手を否定せず、相手のペースを大切にしながら話してもらうとより効果的です。
表現力
表現力も、カタルシス効果を高めるために必要なスキルの1つです。特に、相手に話すことで自分にカタルシスを起こしたい際、適切に感情を表現して伝えるスキルが求められます。言葉だけでなくジェスチャーなどの行動も含め、自分の気持ちを表現する方法を身につけると良いでしょう。
表現力を鍛えるには、創作活動がお薦めです。自分の思考を適切なかたちでアウトプットする癖をつけやすくなります。
思考力
相手と適切なコミュニケーションを行うための思考力は、カタルシス効果を高めるうえで必須です。相手の様子をよく見て「相手はどのような結果を求めているのか」「今どう感じているのか」などを考える習慣をつけると良いかもしれません。「〜だろう」といった思い込みで相手の状態を決めつけると、円滑なコミュニケーションが取れない可能性があります。
カタルシス効果を活用するポイント
最後に、カタルシス効果を活用する際に留意しておきたいポイントを紹介します。
相手が話しやすい環境をつくる
カタルシス効果を活用する際は、相手が話しやすい環境をつくるのがポイントです。相手の不満や抑圧している感情を無理に聞き出そうとすると、かえって話しづらくなる可能性があります。
相手が話しやすい環境をつくる際は、聞き役に徹することが大切。話す相手を急かさない、会話のなかで信頼関係を構築するといった工夫をすると良いでしょう。
自分の意見を押し付けない
カタルシス効果を得るためには、自分の意見を強要するのもNGです。話し相手がカタルシスを起こすには「自発的に打ち明けられている実感」が不可欠。相手が話している際に自分の意見を押し付けてしまうと、相手が「自分が話しても無意味だ」「聞く耳を持ってくれない」と感じ、心を閉ざす可能性もあります。
まとめ
カタルシス効果は、心に閉じ込めていた負の感情を解放し、精神が浄化されることを指します。適切に感情を解放することで、ストレス解消や周囲との信頼関係構築、自己表現といったさまざまなメリットが得られます。ビジネスの現場でカタルシス効果が役立つ場合もありますので、活用してみても良いかもしれません。
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