用語集
外発的動機付けとは? 内発的動機付けとの違いについて解説
- 公開日:2014/02/21
- 更新日:2025/01/22
心理学の考え方で、動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2つがあるとされています。外発的動機付けは、行動の要因が評価・賞罰・強制などの人為的な刺激による動機付けのことです。一般的には、外発的動機付けの効果は一時的であり、人格的成長には必ずしもつながらないという見解がありますが、外発的動機付けによって行動をしているうちに、次第に興味・関心が生まれ内発的動機付けへと変化していくこともあるといわれています。本記事では、外発的動機付けについて以下の点を中心にご紹介します。
- 外発的動機付けとは
- 外発的動機付けを活用するメリット・デメリット
- 外発的動機付けから内発的動機付けにつなげる方法
外発的動機付けについて理解するためにも参考にしていただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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外発的動機付けとは
外発的動機付けとは、外部からの報酬や評価、罰則などによって行動を促す心理的な働きかけを指します。例えば、「この仕事を完了すればボーナスがもらえる」や「期限を守らないと上司に叱られる」といった状況が該当します。このように、行動の動機が外部の要因に依存している状態です。
外発的動機付けのメリットは、短期間で多くの人に行動を促す効果が期待でき、組織全体の生産性向上に寄与しやすい点が挙げられます。しかし、報酬や罰則に慣れてしまうと効果が薄れ、持続的なモチベーション維持が難しくなるデメリットもあります。また、外発的な報酬が内発的な意欲を低下させる‟アンダーマイニング効果”も指摘されています。
効果的な人材育成や組織運営のためには、外発的動機付けと内発的動機付けをバランスよく組み合わせることが重要です。外発的な報酬や評価を適切に活用しつつ、個々の興味や関心を引き出し、内発的な意欲を高める環境を整えることで、持続的なモチベーション維持と成果を引き出すことが可能とされています。
外発的動機付けの具体例
外発的動機付けの報酬パターンについて、具体例を交えて解説します。
金銭的報酬
外発的動機付けの一例として、金銭的報酬があります。これは、給与やボーナス、インセンティブなど、金銭的な利益を提供することで、従業員の行動意欲を高める手法です。例えば、特定の目標を達成した際にボーナスを支給する、業績に応じて給与を引き上げるといった方法が挙げられます。このような金銭的報酬は、短期間での効果が期待でき、多くの人に対して動機付けとして機能します。
しかし、報酬に慣れてしまうと効果が薄れ、持続的なモチベーション維持が難しくなる可能性があります。また、金銭的報酬だけに頼ると、内発的な意欲が低下するリスクも指摘されています。そのため、金銭的報酬を活用する際には、内発的動機付けとのバランスを考慮し、従業員の興味や関心を引き出す工夫が求められます。
物質的報酬
外発的動機付けの一例として、物質的報酬があります。これは、金銭以外の具体的な物品やサービスを提供することで、従業員の意欲を高める手法です。例えば、業績を上げた社員に対して高級レストランの食事券や新しい電子機器を贈る、特別な休暇を付与するなどが該当します。これらの物質的報酬は、従業員にとって具体的な価値を持つため、短期的なモチベーション向上に効果的です。
しかし、物質的報酬に頼りすぎると、報酬がない場合に意欲が低下するリスクや、内発的な動機付けが損なわれる可能性があります。そのため、物質的報酬を活用する際には、従業員の内面的な成長や興味を引き出す工夫と併用することが重要です。
感情的報酬
外発的動機付けの一例として、感情的報酬があります。これは、他者からの称賛や感謝の言葉、評価など、感情に訴えるフィードバックを通じて、個人の行動意欲を高める手法です。例えば、上司から「素晴らしい仕事だった」と褒められたり、同僚から「ありがとう」と感謝されたりすることで、次も頑張ろうという気持ちが湧き上がります。このような感情的報酬は、金銭的・物質的報酬と比べて直接的なコストがかからず、組織内の人間関係や職場環境の向上にも寄与します。
しかし、感情的報酬に偏りすぎると、評価が得られない場合にモチベーションが低下するリスクもあります。そのため、感情的報酬を活用する際には、個々の価値観や感じ方を尊重し、内発的動機付けと組み合わせてバランスよく取り入れることが重要です。
外発的動機付けと内発的動機付けの違い
外発的動機付けとは、報酬や評価、罰則など外部からの刺激によって行動を促すことを指します。例えば、給与やボーナス、上司からの称賛や叱責などが該当します。
一方、内発的動機付けは、興味や関心、自己成長など内面的な要因から生じる意欲を意味します。行動そのものに対する興味や関心、楽しさから生じる意欲を指します。例えば、「このプロジェクトは自分のスキルアップにつながるから取り組みたい」と感じる場合です。内発的動機付けは、自己成長や達成感を求める内面的な欲求に基づいています。
外発的動機付けは短期的な効果が期待でき、行動を迅速に引き出すのに有効ですが、持続性に欠けることがあります。一方、内発的動機付けは持続性が高く、創造性や自主性を高める効果が期待できます。効果的な人材育成や組織運営のためには、これら2つの動機付けをバランスよく活用することが重要です。
外発的動機付けを活用するメリット
外発的動機付けを活用することで、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。
動機付けがしやすい
具体的な報酬や評価基準を提示することで、従業員は自分の行動と成果が直接結びつくと認識し、短期間でモチベーションを高めることが可能とされています。例えば、目標達成時にインセンティブを提供することで、従業員はその報酬を得るために努力を惜しまなくなります。
短期間で効果が期待できる
短期間で効果が期待できる点は、ビジネスシーンにおいて特に重要です。報酬やペナルティなど、個人にとっての損得が明確に示されることから、外発的動機付けは行動に直結しやすい傾向があります。
例えば、期限までに目標を達成すれば特別ボーナスが支給されるといったインセンティブを設定することで、従業員の意欲を即座に高められます。これは、短期的な成果が求められる場面や、厳しい納期の仕事などで特に効果が期待できるでしょう。また、仕事への興味や関心が薄い従業員に対しても、効果が期待できるでしょう。
外発的動機付けを活用するデメリット
外発的動機付けによるメリットがある半面、デメリットも存在します。
動機付けの効果が持続しない
最初は報酬や評価が効果的に機能しても、時間が経つにつれて慣れが生じ、同じ刺激ではモチベーションを維持できなくなることがあります。さらに、報酬が得られない場合や評価が減少した際に、意欲が急激に低下するリスクも存在します。外発的動機付けによるモチベーションの短期的な効果は期待できますが、長期的なモチベーション維持には限界があるため、内発的動機付けと組み合わせて活用することが重要です。
内発的動機で働く従業員のモチベーションが下がる場合がある
外発的動機付けには、内発的動機で働く従業員のモチベーションを低下させる可能性があるというデメリットがあります。具体的には、もともと仕事自体に興味ややりがいを感じている従業員に対して、過度な報酬や外部からの評価を与えると、内発的な意欲が損なわれることがあります。これは、行動の目的が‟仕事の楽しさ”から”報酬獲得”へと無意識にシフトしてしまうためです。その結果、報酬が得られない場合にモチベーションが低下したり、創造性や自主性が失われるリスクがあります。
外発的動機付けの注意点
以下の注意点を理解したうえで、外発的動機付けをうまく活用しましょう。
報酬への慣れや耐性が生じる
最初は効果的だった報酬も、時間が経つにつれて従業員が慣れてしまい、同じ報酬ではモチベーションを維持できなくなることがあります。このような状況では、より高額な報酬や新たな刺激を提供しなければ、従業員の意欲を引き出すことが難しくなります。さらに、報酬が得られない場合や期待に反する場合には、モチベーションが急激に低下するリスクも存在します。
アンダーマイニング効果
アンダーマイニング効果とは、もともと内発的な興味や関心で行っていた活動に対して外的な報酬を与えることで、内発的動機が低下し、全体的なモチベーションが下がってしまう現象を指します。例えば、趣味で行っていた作業に報酬が与えられると、その作業が報酬獲得の手段と認識され、純粋な楽しさが減少することがあります。このような状況では、報酬がなくなると意欲も低下し、活動自体を続ける意欲が失われる可能性があります。
外発的動機付けから内発的動機付けにつなげる方法
外発的動機付けから内発的動機付けへと移行させるには、どのような工夫ができるのでしょうか。
エンハンシング効果
エンハンシング効果とは、外発的動機付けを通じて内発的動機付けを高める現象を指します。例えば、上司からの称賛や評価といった外的な要因が、個人の自己効力感を刺激し、結果として仕事自体への興味ややりがいを増幅させることがあります。この効果を活用するためには、結果だけでなく努力や過程を評価し、適切なフィードバックを提供することが重要です。
また、他者の前での称賛や間接的な評価も、個人のモチベーションを高める手段として有効です。ただし、過度な外的報酬は内発的動機を損なうリスクがあるため、バランスを考慮した動機付けが求められます。
適切にフィードバックを行う
外発的動機付けから内発的動機付けにつなげるためには、適切なフィードバックが重要です。具体的には、成果だけでなく、努力やプロセスを評価し、肯定的なフィードバックを提供することで、個人の自己効力感や達成感を高めます。外的な報酬に依存せず、仕事自体への興味ややりがいを感じる内発的動機付けへと促されます。
また、フィードバックの際には、具体的で明確な言葉を用い、個々の成長や貢献を認識することが効果的です。このようなアプローチにより、短期的な効果が期待される外発的動機付けから、持続的な内発的動機付けへの移行が可能とされています。
おわりに
ここまで外発的動機付けについてお伝えしてきました。
外発的動機付けの要点をまとめると以下のとおりです。
- 外発的動機付けとは、外部からの報酬や評価、罰則などによって行動を促す心理的な働きかけを指す
- 外発的動機付けでは動機付けがしやすい、短期間で効果が期待できるなどのメリットがある半面、動機付けの効果が持続しない、内発的動機で働く従業員のモチベーションが下がるなどのデメリットがある
- 外発的動機付けを通じて内発的動機付けを高めるエンハンシング効果や、適切なフィードバックによって外発的動機付けから内発的動機付けにつながる可能性がある
外発的動機付けと内発的動機付けは、それぞれ異なる特徴と効果を持っています。外発的動機付けは即効性があり、短期的な目標達成に有効ですが、持続性に欠ける面があります。一方、内発的動機付けは長期的な成長や満足度の向上につながりやすく、自発的な行動へと促します。理想的なアプローチは、両者をバランスよく組み合わせることです。状況や個人の特性に応じて適切な動機付けを選択し、外発的動機付けから内発的動機付けへの移行を促すことで、より効果的なモチベーション管理が可能とされています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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