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導入事例

従業員の自律を実現するために、研修の事前・事後を改革して「研修実効性」を高める

CTCテクノロジー株式会社

従業員の自律を実現するために、研修の事前・事後を改革して「研修実効性」を高める
  • 公開日:2023/07/03
  • 更新日:2024/07/09

事例概要

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背景・課題

CTCテクノロジーはCTCグループのITインフラ保守の専門企業としてスタートしましたが、その後、ITインフラの構築や運用、設計やプリセールスと、ITインフラ開発の上流に向けてビジネスを拡大してきました。そのため自ら課題解決策を提案できる人材を育成する必要性が高まり、「自律」や「キャリア自律」をキーワードに教育体系の見直しを始めました。2020年から各種研修を順次バージョンアップしています。

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検討プロセス・実行施策

現場視点から各研修の事前・事後を徹底的に充実させ、現場での学びの定着を目指しています。研修前には「受講者説明会」と「一次上司向け説明会」で動機づけを行います。研修後は、受講者が研修で学習したことを現場で実践し成果を出すために、上司が支援・評価することに力を入れています。私たちは「受講日の2日間ではなく、事前・事後を含めた6~7カ月間が研修期間です」と伝えています。この視点が研修実効性を高める秘訣です。

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成果・今後の取り組み

第一に、部下育成に興味を持つ上司が多くなりました。一方、受講者では研修で自分の思いこみの枠を取り払って、変化の第一歩を踏み出すメンバーが目立ちます。今後は、「ワークショップや勉強会、対話の場」を新たに展開し、従業員の経験学習を支援したいと考えています。一人ひとりの自律的成長を長い目で見守る「学習する組織」をつくり上げるうえでも、こうした場が有用です。

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背景・課題

自ら提案できる人材を育成する必要性が高まり、「自律」がキーワードになった

自ら提案できる人材を育成する必要性が高まり、「自律」がキーワードになった

前田:私たちCTCテクノロジーでは、世間で「自律」が注目される前から、従業員の「自律」や「キャリア自律」をキーワードとしてきました。以前から「自ら考えて行動できる人材になってほしい」と発信していましたが、さらに自律の重要性が高まっています。

その背景には、ビジネスの変化があります。CTCテクノロジーはCTCグループのITインフラ製品の保守専門企業としてスタートし、しばらくはITインフラ保守だけに携わっていました。しかし、私たちはその後、ITインフラの構築や運用、設計やプリセールスと、ITインフラ開発の上流に向けてビジネスを拡大してきたのです。

現在では、例えばCTCグループの製造業向けITインフラ設計の多くはCTCテクノロジーが担っています。CTCグループの他のプロジェクトでも、CTCテクノロジーのエンジニアが上流から参加するのが普通になりました。私たちのビジネス範囲は大きく広がっています。当然ながら、クラウドデータベースなどITインフラの目覚ましい進化にもいち早く対応しています。

ITインフラ保守は、ミスなく正確に運用することが求められるサービスです。サーバーがダウンしたり、ネットワーク障害が起きたりすると、お客様のビジネスに大損害を与える恐れがあるからです。そうした事態を防ぐためには、正しい手順を守ることが何よりも大切です。そのため、ITインフラ保守専業だったときには、ルールや指示を遵守できることが人材育成の基準でした。

しかし、ITインフラの設計や構築は、保守とはサービスの質が異なります。設計・構築の局面では、メンバーが自ら課題を発見し、課題解決策を提案できる能力が求められます。一人ひとりが考えて行動を起こし、自分からお客様に企画・提案をしなければ、設計・構築サービスは決して拡大しないからです。設計・構築においては、従業員の自律的行動が必要なのです。

野々村:別の言葉でいえば、私たちは長らく「やり抜く力」を大切にしてきました。責任感や団結力、正確かつ機敏に業務を遂行する力を重視してきたのです。これらはITインフラ保守に欠かせない能力です。しかし現在は、やり抜く力に加えて、設計・構築に必要な「考え抜く力」が求められています。幅広い視座・感性や経営的視点を持って自ら思考し、企画・提案する力が求められるようになったのです。そうして研修では、自ら提案できる人材を育成する必要性が高まった、というわけです。

前田:そこで2019年頃から、自律をキーワードに教育体系の見直しを始め、2020年から各種研修を順次バージョンアップしています。「階層別研修」を改変し、新たに30代・40代・50代の各世代のキャリア自律を促す「キャリア研修」を充実させています。さらに、マネジャー向けの「コーチング研修」「評価者研修」などもスタートしました。リクルートマネジメントソリューションズの皆さんには、教育体系の見直しの企画・提案から入っていただいています。

検討プロセス・実行施策

「受講日の2日間ではなく、事前・事後を含めた6~7カ月間が研修期間です」と伝えている

「受講日の2日間ではなく、事前・事後を含めた6~7カ月間が研修期間です」と伝えている

鈴木:教育体系の見直しで最も重視したのは、「研修実効性」です。私たちは、「研修で学んだことは、現場で役に立たなければ意味がない」と考えています。そこで今、リクルートマネジメントソリューションズの皆さんと一緒になって、現場視点から各研修の事前・事後を徹底的に充実させ、現場での学びの定着を目指しています。

まず研修前に、オンラインの「受講者説明会」と「一次上司向け説明会」を始めました。主な目的は、動機づけです。例えば、事前課題1つとっても、その意味や必要性を理解してから取り組むのと、ただ漫然と取り組むのとでは、受講者のモチベーションや効果に大きな差が生じます。実際に説明会を始めてから、受講者の事前課題への姿勢は間違いなく前向きになりました。もちろん事前課題だけでなく、研修受講時の意欲や主体性、上司理解にもポジティブな変化が起きています。

研修後、一次上司は受講者が研修で学習したことを現場で実践し成果を出すために、支援・評価することに力を入れています。多くの研修では、最後に受講者がアクションプランシートに「自分の行動や思考をこれからどう変えるのか」を記します。しかし、書いただけでは何も起きません。最も大事なのは、アクションプランシートの内容を現場で実践し、自らの行動・思考を実際に変えることです。一方で、受講者が1人で変化するのは、実は大変なことです。そこで私たちは、受講者と上司が一緒になって変化・成長していくことを目指してもらっています。上司のサポートには、受講者の変容を後押しする効果が間違いなくあります。

私たちは、受講者にも上司にも「受講日の2日間ではなく、事前・事後を含めた6~7カ月間が研修期間です」と伝えています。実際、研修での学びを現場に役立てようと思ったら、半年くらいかかるのです。この視点が研修実効性を高める秘訣だと考えています。

野々村:私たちはいつも研修の最後に、「現場に帰ったら、研修の感想をぜひ上司に話してください。上司が楽しみに待っていますから」と伝えています。そうして上司と部下が話し合うところから、現場での行動変容が始まるのです。研修は、受講者が「自分の知らない自分」に気づくことができる場です。その気づきをきっかけにして、上司と一緒に自らを変えていってほしい、と願っています。

鈴木:研修の実効性をあげるため、リクルートマネジメントソリューションズのトレーナーの方々とは毎回細かく打ち合わせをして、カリキュラムや研修テキスト、運営手法や介入の方向性の継続的なブラッシュアップをお願いしていますが、いつも私たちと同じレベルの熱意を持って取り組んでいただいています。おかげさまで、研修テキストはバージョンアップを重ね、すばらしいものになりました。

野々村:リクルートマネジメントソリューションズの皆さんは、オンライン研修の進め方やZoomの扱い方なども熟知しており、常に新しい研修手法や運営手法を研究し、取り入れています。そうした面でも教えていただくことが多くあります。

成果・今後の取り組み

一人ひとりの自律的成長を長い目で見守る「学習する組織」をつくり上げる

前田:2020年に研修のバージョンアップを始めてから3年が経ち、さまざまな面で成果が出てきています。第一に、上司層の考え方が変わりました。例えば、私は部長・課長の皆さんから、「この研修は何のためにやるの?」と聞かれることがぐんと増えました。部下育成に興味を持つ上司が多くなったのです。なかには部下全員と毎月1on1を実行する課長も現れました。一次上司向け説明会を続けてきた成果が表れています。また、事業部長と部長・課長が中心となって、部門単位で独自に研修を展開するケースが増えています。マネジャーたちの自律性も高まっているのです。

鈴木:研修後の部下の変化・成長についてしっかりコメントしてくれる部長・課長が多くなりました。部下のことを今まで以上に気にかける上司が増えたのは間違いありません。

一方、受講者の変化で多いのは、他の受講者の話を聞いて、「そういうことをしていいんだ」「そんなことを言っていいんだ」と気づきを得るパターンです。自分の思いこみの枠を取り払って、考え方や見方を拡張し、変化の第一歩を踏み出すメンバーが目立ちます。

一人ひとりの自律的成長を長い目で見守る「学習する組織」をつくり上げる

野々村:今後は、既存の研修とは別に、もっと気軽に参加できる「ワークショップや勉強会、対話の場」を新たに展開したいと考えています。目的は、従業員の「経験学習」を支援することです。研修での学びや気づきを実力に変えるためには、一人ひとりが現場での経験から主体的に学ぶ経験学習が欠かせません。

ワークショップ・勉強会・対話の場を用意することで、研修での学びをときどき思い出してもらい、一人ひとりの経験学習をサポートしたいのです。勉強会で受講者同士が「その後、どう?」と会話を交わすだけでも、良い刺激になるはずです。また、こうした場は社内ネットワークをつくるうえでも役立つはずです。

鈴木:ワークショップや勉強会、対話の場は「組織開発」にも有効です。私たちは今後、一人ひとりの自律的成長を長い目で見守る「学習する組織」をつくり上げることを目指しています。そのためには、やはり日頃から組織内で対話し、学び合い、刺激し合うことが大切なのです。

さらに、キャリア研修を充実させたことで、キャリアに興味を持つ従業員も急速に増えています。CTCテクノロジーには「キャリア応援団」という名の社内キャリアコンサルタントがいるのですが、年1回の自己申告の時には、年齢を問わず利用する人が増えつつあります。部長・課長のキャリア形成支援力も高まっています。

前田:研修で学んだことは、すぐに実践につながるものではありません。従業員の成長は、中長期に見る必要があります。諦めずに粘り強く継続することが必要です。私は、上司の皆さんには「一人ひとりの可能性を伸ばし続けて下さい」と伝えています。私たち人事も、従業員の自律を実現するために、諦めずにチャレンジを続けていきたいと思います。

※記事の内容および所属等は取材時2023年1月のものとなります。

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企業紹介

CTCテクノロジー株式会社

CTCテクノロジーは、お客様のビジネスの円滑な遂行のため、「マルチベンダー」「マルチレイヤー/マルチソリューション」「ITライフサイクル」の 3つの軸で総合的なサービスを提供。単一機器だけ、インフラだけ、保守だけなどではなく、システム全体の構築から安定的なランニングに至るまでを担うことができるため、お客様はビジネス遂行に注力できる。

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