STEP

課題

研修効果の測定・定着

人事担当者向け支援

課題解決のポイント

研修の「効果測定」から、「効果の持続・向上」へ

「研修効果」とは、受講者が研修で学んだことを職場に戻って実践し、研修の目的を達成することです。したがって、研修終了時に会場で回答する受講満足度アンケートでは、本当の意味での研修効果を測ることはできません。一定の期間を経た後、受講者が研修での学びを生かしてどのような実践をしているか、本人や職場にどのような変化が表れているかを捉えることで、初めて研修効果の測定ができるのです。同時に、そこで初めて向上策を練ることが可能になります。では、研修効果を高めるために、研修企画担当者は何をしたらよいのでしょうか。

1 つ目は、研修直後に最初の実践行動を促し、その後も定期的にリマインドを図ることです。一般的に、研修はアクションプランを立てて終えることが多いですが、その内容を人材開発部門に提出するだけでは意味がありません。職場に戻った受講者は、溜まった日常業務に追われ、研修で培った意識が薄れていき、そのうち実践を始めるきっかけを失っていきます。そうしないために、研修担当者は研修後の2~3カ月の間、さまざまなアプローチを続けて、受講者が速やかに実践の第一歩を踏み出すことを促し、見守る必要があります。

2つ目に、実践状況の振り返りをしっかりと行い、「PDCAサイクル」を回すことです。研修後1 ~2カ月の比較的短いサイクルで、受講後の実践状況を小まめに振り返ってもらうのです。その際、研修での学習内容を覚えているか、アクションプランを実践しているかを単に問うだけでなく、実践を進める上で障害になっていることや、実践の過程で自分や周囲に起き始めた変化など、本人の内省を促す観点を振り返り項目に加えると、より効果的です。

3つ目に、受講者と上司・職場メンバーとの接点を意図的に作り、周囲からの関心や支援を得られるように工夫することです。受講者が研修で立てたアクションプランは、少なくとも本人にとっては「新しいチャレンジ」です。受講者は、不安や迷いを抱えながら実践していくことになりますが、実践を本人の意識・意欲のみに委ねてしまうと頓挫することもあるでしょう。もちろん本人の意欲、能力の関与は大きいのですが、職場の上司や周囲がそのチャレンジに関心をもち、支援に前向きであるかどうかは、研修効果に少なからず影響を与えます。研修後の受講者が上司や職場のメンバーと学びや実践内容を共有し、議論する機会があるかないかで、その後の実践度合いが大きく変わってくるのです。

ここまで述べてきたことは、あくまでも「研修後」のポイントです。本当に「研修効果の持続・向上」を目指すのであれば、さらに「研修前」の段階から、トータルで施策を考えていく必要があります(図表参照)。

職場実践の阻害要因・促進要因

そこで以下に、「研修前」と「研修中」に研修企画担当者が工夫できるポイントもご紹介します。

【研修前】

参加者のニーズを把握・分析する

「何を鍛えるのか?」「誰がメインターゲットか?」「どのような組織で行うのか?」「期待される成果は何か?」「どのように実施し、どのように評価するか?」「効果を促進・阻害する要因は何か?」など、参加者個々人のニーズを把握します。

参加者を動機付けるために、事前準備をきちんと行う

  • 学習意欲の高い参加者を選定する。例えば、現在困っている/困り始めている人を対象にする
  • 周囲の関わりによって学習意欲を高める。例えば、上司が事前面談で、受講する研修が仕事にどのように関係するかなど、内容と期待される効果を説明する
  • 事前案内や周囲の関わりを工夫し、目標志向性を確立させる。例えば、上司が受講者に対して事前に期待を伝える際に、「学んだことを必ず成果につなげるように」と成果に向けて動機付けるのではなく、「研修での学び自体を楽しんでほしい」と学習行為自体に対して動機付ける
  • 周囲の関わりを通じて、自己効力感を高める。例えば、本人に、過去の研修や仕事の成功経験を想起させ、うまく今回の研修から学ぶことができそうだと思わせる

【研修中】

研修で扱う場面・ケースを日常に近い形でデザインする

  • 学習した内容が、日常のどのような場面で活用できるか想起できるようにする。例えば、職務遂行時と同じ状況を経験できるような機会を研修の場で与える

参加者が自分のパフォーマンスをモニタリングできるようにする

  • 目標達成に向けて、必要な努力の量や方向性に注意が向くようなデザインにする。例えば、講師が「あなたが学んだことは、職場でも活用できますか?」などの効果的な質問を行う

行動規範の考えを取り込む

  • 学習すべきスキルや行動を規則として示す。例えば、「○○という状況では、××という行動をしましょう」と規則を明示する
  • 手本となる行動を講師がモデルとなって示す(ポジティブな内容だけでなく、ネガティブな内容も)

失敗から学ばせる

  • 失敗を避けるのではなく、研修という場でうまく失敗させ、実践に向けて教訓を得るようにする。

以上のように、「効果の持続・向上」を考える上では、「研修後」のみならず、「研修前」「研修中」も含めた全体設計が重要になります。

施策事例

事例1生活用品関連企業

メールを活用した効果継続の取り組み

背景
  • 毎年、研修を行っているが、「継続がなかなか難しい」といった受講者の反応があり、以前から研修後のフォローが課題だと感じていた
  • 研修を単体の施策で終わらせず、上司も巻き込んだ形で、「研修前」から「研修後」のフォローまで行いたいと考えていた
施策
  • 入社4~7年目の中堅社員を対象とした階層別研修に、上司も巻き込んだ形で、「研修前」から「研修後」のフォローまで行うプロセスを設計した
  • さらに、受講者や上司に、研修準備や興味喚起のためのメールを研修前に送信した
  • 研修直後、受講者に研修で立てた行動計画を改めて整理してもらい、研修1カ月後には中間レビューとして、受講者と上司に振り返りと本人の変化についてのアンケートをメールで依頼。研修2カ月後には、受講者に再度振り返りと今後の取り組みについての最終レビューを依頼する仕組みを構築した
  • 得られた情報を「定量」「定性」で分析し、今後の施策全体の改善に活用した。さらに、上司向けに具体的なフィードバックを行うことで、効果的なサポートを要請できるようになった
  • 研修後に受講者がどのような思いでどのような取り組みを行い、どのような変化が起こったかを具体的に確認でき、実際の効力感を肌で感じることができた
  • この仕組みによって、上司とメンバーが対話の時間をあまりとれない職場でも、受講者の考えや変化を知ってもらえたことで、上司の育成に対する意識も向上した

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