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「経営人材育成」を考えるときに、知っておきたい4つのこと

第3話 候補者たちの育成を考えるのは誰?

  • 公開日:2018/06/18
  • 更新日:2024/05/31
第3話 候補者たちの育成を考えるのは誰?

もし……あなたがある日突然、社長から「我が社でも、将来の経営者を計画的に育てるべし」と言われたらどうしますか? 何から手をつけますか?

そんな状況に直面した、ある人事部長と課長のショートストーリーを交えながら、経営人材育成を考える際に最初に押さえておくべきポイントをまとめました。 

経営人材育成は一朝一夕にできるものではありません。中長期的に、継続して取り組む必要があります。本シリーズでは、その取り組みを4つのステップに分けてご紹介します。

【STEP1】人材要件を設定する
【STEP2】人材を把握し、候補者を選ぶ
【STEP3】候補者を評価しプールし育成計画を立てる
【STEP4】候補者に成長機会を与える

登場人物紹介
いよいよ次世代リーダー育成研修ですね
人材開発委員会を立ち上げて各候補者に最適な 育成プランをチームで継続的に考えていきましょう
人材評価や育成プランニングはチームですべき
議論がいくら盛り上がってもPDCAを回さなければ意味がない

登場人物紹介

登場人物紹介
第3話 候補者たちの育成を考えるのは誰?

いよいよ次世代リーダー育成研修ですね

いよいよ次世代リーダー育成研修ですね

木下 「候補者をリストアップすることはできましたね」

山口 「できたな。期待できそうな面々じゃないか」

木下 「じゃあ、いよいよ次世代リーダー育成研修ですね」

山口 「いや」

木下 「……まだ何か?」

山口 「うん」

木下 「何が足りないんですか?」

山口 「育成といっても研修だけではないだろう。どんな仕事をさせればいいかなど、いろいろと考えることはありそうだが、誰が次世代リーダー候補者たちの育成プランを考えるんだろう?」

木下 「人事部……」

山口 「じゃ、ダメだろうな。人事部だけで経営者を育てるのは無理だよ。経営者じゃないと、経営人材の育成プランを考えて実行することはできないと思う」

木下 「じゃあ、佐々木社長?」

山口 「1人で考えてもらえばいいのかな」

木下 「じゃあ、経営陣の皆さんで……」

山口 「そうだよな。だとすると、経営会議とは別に、経営陣が候補者たちの育成プランを考える場が必要じゃないか?」

木下 「そうですね。ちょっと調べてみます」

~1時間後~

木下 「分かりました。経営陣が集まって育成プランを考える方法について、いくつか事例が見つかりました。例えばA社ではそういう場のことを“人材開発委員会”と呼び、人材開発委員会で候補者の育成についてかなり時間をかけて議論しているそうですよ」

山口 「うちにもその委員会が必要のようだな」

木下 「でも、実際にはどうしたらいいんでしょうか? 運営のイメージもまだつかめていません……」

コンサルタント岩下のアドバイス

人材開発委員会を立ち上げて各候補者に最適な 育成プランをチームで継続的に考えていきましょう

人材評価や育成プランニングはチームですべき

選抜・評価の仕組みが整ったら、選ばれた人材をプールして管理していく機能が必要になります。そういった機能を、私たちは「人材開発委員会」と呼んでいます(「タレントレビュー会議」など、企業によってこの機能の名称は異なります)。人材開発委員会とは、経営陣を中心とした委員会メンバーが、候補者一人ひとりの特徴や成長状況などを定期的に(例えば年1回)確認し、今後の育成プランを検討する場です。新たな候補者の選抜や入れ替えなども、この委員会のなかで行います。つまり、この人材開発委員会が、中長期的な経営人材育成を推進する中核機能となります。

なぜ人材開発委員会を立ち上げるかといえば、いくら経営者の能力が高くても、経営人材候補者の能力や成長度合いなどの見極めなどを1人で行うのは難しいからです。日産自動車のカルロス・ゴーン氏が次のように語っていますが、まさにそのとおりです。「人選というのは、決して1人で行ってはなりません。人選は常にチームですべきものです。多くの人に意見を聞いて、360度評価のようなかたちですべきです。どうして1人だけで人選をしてはならないかというと、選ぶ対象者について、自分には見えていない部分があるからです。複数の人間で人選をすれば、その見えていない部分は少なくなります」(『カルロス・ゴーンの経営論』日本経済新聞出版社)。

また、候補者はハイパフォーマーであることが多いので、その配置や異動は全社的な調整が必要となります。部門最適ではなく全社最適で考えて実現するためにも、経営陣が参加する人材開発委員会の場で検討するのが効果的です。

また、人材開発委員会のなかで、重要ポジションの後継者候補を選び、育成計画を立てる「サクセッション・プランニング(後継者育成)」を同時に手がけることもあります。その場合、事前にその会社における重要ポジションが特定されている必要があります。

議論がいくら盛り上がってもPDCAを回さなければ意味がない

人材開発委員会で気をつけなければならないのは、「議論だけで終わらない」ということです。実は、世の中には、議論だけで終わっているために、ほとんど効果を発揮していない人材開発委員会がいくつもあるのです。

そうならないためには、議論した後に、必ず「PDCA」を回すことが大切です。候補者の成長課題を設定した後、課題を解決するために、候補者一人ひとりを最適なポジションにつけたり、チャレンジングなミッションを与えたりして、成長を促します。一定期間が経ったら、候補者の課題は解決されたのか、さらなる成長は期待できるのかを確認します。そして、新たな成長課題を設定し、次のチャレンジ付与を繰り返すことで、候補者の経営人材としての適性を見極めていくのです。

企業の規模が大きくなり、地理的にも拡大するに従って、候補者一人ひとりの情報を管理する手間が増加し、属人的な管理に頼る方法では限界が訪れるようになります。

この際に便利なのが、「タレントマネジメントシステム」です。こうした統合システムを活用すれば、候補者の基礎情報の管理にとどまらず、条件にふさわしい後継者候補を抽出したり、候補者のキャリア開発計画や、学習履歴を管理することが比較的簡単にできるようになります。

次回は、【STEP4】候補者に成長機会を与える をご紹介します。

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