「経営人材育成」を考えるときに、知っておきたい4つのこと 第2話 誰を選んで、どう評価する?

執筆者情報
ソリューション統括部
コンサルティング部
マネジャー
岩下 広武

もし……あなたがある日突然、社長から「我が社でも、将来の経営者を計画的に育てるべし」と言われたらどうしますか? 何から手をつけますか?

そんな状況に直面した、ある人事部長と課長のショートストーリーを交えながら、経営人材育成を考える際に最初に押さえておくべきポイントをまとめました。 

経営人材育成は一朝一夕にできるものではありません。中長期的に、継続して取り組む必要があります。本シリーズでは、その取り組みを4つのステップに分けてご紹介します。

【STEP1】人材要件を設定する
【STEP2】人材を把握し、候補者を選ぶ
【STEP3】候補者を評価しプールし育成計画を立てる
【STEP4】候補者に成長機会を与える


登場人物

誰を次世代リーダー候補にしたらいいと思う?

木下 「人材要件がようやくできましたね!」

山口 「できたな。経営陣からも『納得感は高い』と言われてホッとしたよ。まあ、経営陣の皆さん全員にインタビューしてつくったのだから、当たり前といえば当たり前だけどな」

木下 「じゃあ、いよいよ次世代リーダー育成研修ですね」

山口 「ちょっと待て」

木下 「どうしました?」

山口 「木下課長、誰を次世代リーダー候補にしたらいいと思う?」

木下 「私たちがつくり上げた人材要件をもとに、各部署の本部長や部長に選んでもらうのではないのですか?」

山口 「普通はそう考えるよな。でも、それだけでいいのかな」

木下 「というと?」

山口 「要件があるといっても、結局、本部長や部長の好みの人選になってしまうんじゃないだろうか」

木下 「その可能性はありますね」

山口 「でも、その部署でいま一番輝いているメンバーが、次世代リーダー候補者として一番いいとは限らないと思うんだよ」

木下 「なるほど」

山口 「そのためには、現場任せにしない選抜方法を考えた方がいい気がするんだ」

木下 「そうかもしれませんね」

山口 「それから、選抜した後も評価を続けていく必要があると思う。成長する人もいれば、なかなか期待どおりには成長しない人もいるだろうからな」

木下 「確かに……。分かりました。選抜と評価について調べてみますね」

山口 「ありがとう。よろしく頼んだよ」

各種のアセスメントツールを組み合わせて
人材のポテンシャルが把握できる仕組みをつくりましょう

 
経営人材候補を早期選抜する企業が増えている

人材要件が固まったら、次に候補者となる人材をどのようにして選ぶのかを考えましょう。経営人材育成は長期的に実施するものですから、「誰を」「どの時点で」「どのような点に着目して」「どのようにして評価し」選抜するのか、という視点を抜きにしては実行できません。日本でもコーポレートガバナンスコードが導入され、創業者や現社長の“鶴の一声”で選ばれるのではなく、対外的に説明のできるプロセスや仕組みを構築する必要性が高まっています。

選抜に関しては、「早期選抜」をいかに実現するかが、より重要になってきています。育成に満足している企業は、新入社員から課長層までに最初の選抜を行っているケースが多いこと(図表1)が分かっています。

また、今後は管理職未満を対象にした選抜・育成を予定する企業が増えていること(図表2)から、早期選抜が注目されていることがうかがえます。なかには、新卒採用時から独自枠で採用を行ったり、入社時から公募・選抜を始めたりしている企業もあります。そうしたプログラムが次々に立ち上がっている背景には、「40代でビジネスリーダーポストに着任できる人材を育成したい」、あるいは「グローバルな環境でビジネスをリードする若いトップマネジメントを継続的に輩出したい」といった企業のねらいがあります。欧米のグローバル企業と同様に、日本企業でも「40歳社長」を求める時代なのです。

人材は多面的に評価するのが有効

一般的に、候補人材の選抜において中心となっている手法は、「360度評価」と「面接」です。特に、360度評価が効果的なのは、その人物を複数かつ多様な視点から評価できるからです。
人材要件を落とし込んだ360度評価を定期的に実施することで、リーダーとしての資質を継続的に見ることができます。また、昨今の不祥事の例を引くまでもなく、どれだけ優秀であっても経営者として失敗するケースは後を絶ちません。こういった「ディレイルメント(経営者の脱落・失敗)」は、自己評価の甘さや自己理解の不足に起因していることが少なくありません。

ディレイルメントを避けるためにも、360度評価とそのフィードバックによって、定期的に自己を見つめる機会をリーダー候補が持つことは、本人にとってだけではなく会社にとっても有用なことといえるでしょう。

ただし、1つの手法だけで人材のポテンシャルを確度高く測定することは、現在の技術ではまだ難しいでしょう。そこで、「アセスメントセンター」や「認知能力検査」を組み合わせることで、多面的に人材の情報を収集することも効果的です(図表3)。

次回は、【STEP3】候補者を評価しプールし育成計画を立てる をご紹介します。

バックナンバー

第1話 経営人材育成、まず何から始める?

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