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「経営人材育成」を考えるときに、知っておきたい4つのこと

第1話 経営人材育成、まず何から始める?

  • 公開日:2018/06/04
  • 更新日:2024/03/27
第1話 経営人材育成、まず何から始める?

もし……あなたがある日突然、社長から「我が社でも、将来の経営者を計画的に育てるべし」と言われたらどうしますか? 何から手をつけますか?

そんな状況に直面した、ある人事部長と課長のショートストーリーを交えながら、経営人材育成を考える際に最初に押さえておくべきポイントをまとめました。 

経営人材育成は一朝一夕にできるものではありません。中長期的に、継続して取り組む必要があります。本シリーズでは、その取り組みを4つのステップに分けてご紹介します。

【STEP1】人材要件を設定する
【STEP2】人材を把握し、候補者を選ぶ
【STEP3】候補者を評価しプールし育成計画を立てる
【STEP4】候補者に成長機会を与える

目次
登場人物紹介
経営人材育成に本格的に取り組んでほしい
最初に「我が社らしい人材要件」を決めて 自社内でどのような経営リーダーを育成したいのかをはっきりさせましょう
「人材要件=共通のものさし」をつくることが選抜・育成の第一歩
「らしさ」のエッセンスを人材要件に落とし込もう

登場人物紹介

登場人物紹介
ショートストーリー 第1話 経営人材育成、まず何から始める?

経営人材育成に本格的に取り組んでほしい

経営人材育成に本格的に取り組んでほしい

木下 「……それにしても突然ですね」

山口 「そうなんだ。午前中の会議で突然、佐々木社長から、“経営人材育成、よろしく頼むよ!”と言われた。現在の本部長・部長クラスの顔ぶれを思い浮かべても、将来の経営者候補が足りないということで、“このままではまずい。至急、経営人材育成に本格的に取り組んでほしい”ということだった」

木下 「……部長、どうしましょうか?」

山口 「ウチの人事部で経営人材育成に詳しそうなのは誰かいたかな……」

木下 「ちょっと思い当たりませんね」

山口 「……そうか」

木下 「とりあえず、『経営人材育成』というキーワードでひっかかる研修を探してみましょうか?」

山口 「そうだな。よろしく頼む」

木下 「早速調べてみます」

~1時間後~

木下 「部長、研修を一通り調べてみました」

山口 「で、どうだった?」

木下 「正直に言って、どのプログラムも同じように見えて、違いが分かりません。いくつかの研修ベンダーに来てもらって話を聞いてみましょうか」

山口 「そうだな。ただ……」

木下 「何か気になることが?」

山口 「いきなり研修をやる、というのはどうなんだろう?」

木下 「というと?」

山口 「研修を1回やったら、経営人材が育つというわけじゃないだろう。そもそも、どんな研修をやるかの前に、どんなリーダーを育てたいのかを考えないと、内容も決めるに決められないんじゃないか?」

木下 「それはそうですね……。でも、どんなリーダーを育てるべきかって、どうすればはっきりするんでしょうか?」

山口 「それが分からないんだよなあ……」

コンサルタント岩下のアドバイス

最初に「我が社らしい人材要件」を決めて 自社内でどのような経営リーダーを育成したいのかをはっきりさせましょう

「人材要件=共通のものさし」をつくることが選抜・育成の第一歩

山口部長のように、人事の皆さんが社長や経営陣から「我が社でも経営人材育成に取り組むように」と言われたとき、最初に思い浮かぶのはおそらく「研修を開催すること」ではないでしょうか。「次世代リーダー育成」と銘打った研修サービスはすでに世の中にいくつもありますから、研修を選ぶこと自体はさほど大変ではありません。ですから、とりあえず研修をしようとするケースが多いのです。

しかし、ちょっと待ってください。山口部長の言うとおり、研修だけを行っても、経営人材は育成できません。経営人材は、長期視点を持って継続的に育成していく必要があり、単発の研修だけで何とかなるものではありません。

経営人材育成に長期的・継続的に取り組んでいくにあたり、そもそも、育てようとしている“経営人材”のイメージ「人材要件=共通のものさし」をつくることが選抜・育成の第一歩は明確になっているでしょうか。私たちは、「とりあえず研修」ではなく、まず「自社における経営人材とは、どのような人材なのか」を考えてみることをお勧めしています。

つまり、育成の「ゴール設定」です。経営人材に求められる「要件」を設定して「共通のものさし」をつくれば、各部署の人材選定におけるバラつきが少なくなりますし、リーダー候補者たちの能力測定や能力比較、育成プランニングなども可能になります。特に、企業規模の大きい会社や複数の事業を営んでいる会社、人材の多様性がある会社ほど、目線を合わせるための共通言語が重要です。事実、従業員規模が大きい会社、海外売上比率が10%以上の会社は、経営人材の要件を定義している割合が高いことが分かっています(図表1)。

図表1

「らしさ」のエッセンスを人材要件に落とし込もう

自社の人材要件を決める際にポイントとなるのは、その会社の「らしさ」です。なぜなら、どの会社にもあてはまりそうな「無個性な人材要件」では社内に浸透せず、結局使われなくなることが多いからです。だからこそ、その会社ならではのエッセンスを人材要件に落とし込み、社員が見れば「ピンとくる」人材要件をつくる必要があります。

例えば、自社の“DNA”(創業時から受け継がれてきたこと)を明らかにし、これからのリーダーが受け継ぐもの・変えるものを考えてみましょう。また、「ミッション・ビジョン・バリュー(M・V・V)」を反映したり、「社内でよく使われる言葉」などをうまく取り込んだりする工夫も効果的です。なお、要件定義は【対課題】【対人】【対自己】に分けると考えやすいでしょう。

次回は、【STEP2】人材を把握し、候補者を選ぶ についてご紹介します。

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