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従業員エクスペリエンス (EX ; Employee Experience) とは? 意味や企業が向上に取り組むメリット、事例を解説

  • 公開日:2025/02/17
  • 更新日:2025/02/17

慢性的な人材不足が叫ばれる現代において、従業員のパフォーマンス向上や定着につながる要素として注目されているのが従業員エクスペリエンス (EX ; Employee Experience) です。本記事では、そんな従業員エクスペリエンスの質を高めるメリットや、企業の取り組みの事例を紹介します。

従業員エクスペリエンス (EX ; Employee Experience) とは

従業員エクスペリエンス (EX ; Employee Experience /エンプロイー・エクスペリエンス)とは、企業のなかで従業員が働くことで得られるあらゆる経験や体験のことです。従業員エクスペリエンスを向上させることは、従業員の企業に対する愛着(エンゲージメント)を高め、定着促進に効果があるとして近年企業の間で大きな関心が寄せられています。

従業員エクスペリエンスには、経験・体験によって従業員自身に生まれる考えや感情といった精神的な反応も含まれます。そのため、「自社に対して貢献したい」という意欲であるエンゲージメントの高まりも、社内での出来事によって生じたものであれば従業員エクスペリエンスの一部といえるでしょう。

従業員エクスペリエンス (EX)の向上が重要視されている背景

従業員エクスペリエンスの向上が重要視されるようになった背景には、以下のような要因があります。

人材の流動性向上

かつての日本では、1つの企業で定年まで勤務を続ける働き方が主流であり、多くの人材が終身雇用を前提としたキャリアプランを描いていました。

しかし、昨今は終身雇用制度の崩壊や価値観の多様化によって転職や中途採用が一般的となり、人材の流動性は高まり続けています。そのため、限りある人材の定着を目的として従業員エクスペリエンスの向上に取り組む企業が増加傾向にあるのです。

労働力不足

採用市場における慢性的な人材不足も、従業員エクスペリエンスへの関心の高まりに影響を与えている要因の1つです。労働人口の減少が続く今、企業は人材の確保・離職防止に向けて、従業員エクスペリエンスを活用した、より競争力の高いアプローチを必要としています。

また、労働力不足を補うためには、従業員1人ひとりのパフォーマンスを最大化することも重要です。こうした生産性の向上においても、従業員エクスペリエンスの向上が果たす役割には期待が寄せられています。

情報の透明化

従業員エクスペリエンスが向上すると、自社へのエンゲージメントが高まり、その企業についてポジティブな情報が広まります。そのため従業員エクスペリエンス向上は、採用活動に対してもプラスに働きます。

特に、現代ではインターネットで企業の情報を簡単に調べられることから、求職者はよりリアルで信憑性の高い情報を求めています。そんな情報の透明性が増した今の時代において、実際に勤務している従業員の声は大きな価値を持っています。

従業員エクスペリエンスを向上させる企業側のメリット

従業員エクスペリエンスの向上には、企業にとって数多くのメリットが存在します。

優れた人材の獲得や定着

多くの人がより良い体験や経験ができる環境で働きたいと考えています。そのため、従業員の自社での従業員エクスペリエンスが向上すると、採用市場における企業の訴求力も増し、優秀な人材が集まりやすくなります。

加えて、継続的に質の高い従業員エクスペリエンスを提供できれば、自社で長く働きたいと考える従業員が増え、離職率の低下も期待できます。

エンゲージメントの向上

従業員の企業に対する愛着である「エンゲージメント」は、企業への満足度や帰属意識に直結するとして近年注目を集めている指標です。

エンゲージメントが高い従業員は、企業が困難な状況に置かれた時も「自社のために頑張りたい」と奮起してくれるでしょう。こうした従業員のエンゲージメントの向上につながることも、従業員エクスペリエンスの質を高めるメリットの1つといえます。

業務の品質改善につながる

従業員エクスペリエンスの向上は優れた人材の獲得や従業員のエンゲージメントの高まりを通じ、生産性やパフォーマンスといった業務の品質改善にも効果を発揮します。

また、業務の品質が高まれば、生まれた利益や時間的な余裕を従業員に還元できるようになり、さらに従業員エクスペリエンスが向上するといった好循環も見込めます。

Employee Journey Mapの作成方法

従業員エクスペリエンス の向上に有効な取り組みとして知られているのが、Employee Journey Map(エンプロイージャーニーマップ)の作成です。Employee Journey Mapとは、従業員が入社から退職までに経験する従業員エクスペリエンスを時系列に並べた表です。

Employee Journey Mapの作成には、想定される従業員エクスペリエンスやその心理的な影響を従業員目線で把握し、事前に対策できるようになるという利点があります。ここからは、そんなEmployee Journey Mapの作成方法を解説します。

ペルソナ設定

ペルソナとは、対象として想定する人物像のことです。Employee Journey Mapは1人の従業員の経験を図式化したものとなるため、まずはモデルとなる従業員を設定しましょう。

設定するペルソナは実在の従業員ではなく架空の人物で構いませんが、あいまいな人物像では分析の精度が低下してしまいます。性別や年齢、経歴など、ディテールをしっかりと決めておくことが大切です。

フェーズの洗い出し

ペルソナが設定できたら、従業員が入社してから退社するまでの一連の流れをフェーズごとに分けて洗い出します。

発生するフェーズは企業によっても異なりますが、入社⇒教育⇒配属⇒業務⇒育成⇒評価⇒退職という流れが一般的とされています。

ペルソナの感情や行動を分析・予想する

洗い出しが完了した後は、各フェーズの検証に移ります。フェーズごとにペルソナが抱く感情や、取るであろう行動を考えていきましょう。

分析にあたっては、困難や挫折などのネガティブな反応も想定することが重要です。予測が難しい場合には、実際にフェーズを経験した従業員に感情や行動をヒアリングするのも1つの手です。

分析結果をもとに従業員エクスペリエンス向上のための施策を立案する

分析が完了すれば、従業員エクスペリエンス向上にあたって解決すべき課題や改善すべき点が見えてくるはずです。その内容を踏まえて、組織として実施する施策の立案に移りましょう。

従業員エクスペリエンス(EX)向上に取り組む企業事例

ここからは、実際に従業員エクスペリエンス向上に取り組み、一定の成果を上げている企業の事例を紹介します。

Starbucks Corporation

日本でもスターバックスの名で知られる世界的コーヒーチェーンのStarbucks Corporationでは、従業員エクスペリエンス向上を目的として学習支援に力を入れています。

例えば、同社はアリゾナ州立大学と提携し、従業員に向けて同大学のオンラインプログラムを受講する費用と機会を提供しています。興味のある分野を従業員が主体的に学べる環境を整えることで、スキルだけでなく従業員エクスペリエンス の質も高めているのです。

Airbnb

Airbnbは民泊サイトを運営する新興企業であり、設立10年以内ながら評価額が10億ドルを超える「ユニコーン企業」として大きな注目を集めています。同社では社内に従業員エクスペリエンスの専門部署を設置するなど、企業運営において従業員エクスペリエンスを重視していることでも有名です。

なかでも、従業員がいち早く企業に馴染むことを目的とした教育カリキュラムである「オンボーディングプロセス」は、入社間もない従業員の従業員エクスペリエンス向上に大きな効果を発揮しています。

Hilton Worldwide Holdings Inc.

アメリカに本社を置くホテルチェーン大手のHilton Worldwide Holdings Inc.は、2018年から「従業員へのホスピタリティの徹底」を掲げ、さまざまな取り組みを実施しています。

代表的なところでは、ホテル内に従業員専用のカフェテリアを設置し、控え室やロッカールームを刷新。これらの施策は従業員の従業員エクスペリエンス 向上だけでなく、「顧客に対して世界最高峰のホスピタリティを提供する」という同社のミッションの浸透も目的としています。

まとめ

企業が従業員エクスペリエンスの向上に取り組むことは、従業員本人だけでなく事業や組織にも多くのメリットをもたらします。人材の希少価値が高まり、従業員1人ひとりの活躍がより重視されるこれからの時代の企業運営において、従業員エクスペリエンスの重要性はさらに高まっていくことが予想されます。

そんな従業員エクスペリエンスの向上に関しては、弊社でも組織診断に活用できる多彩なサービスを提供しています。なかには、実施目的に応じて自在に設計可能な調査項目を用いて、従業員の認識を定量的に測定できるサービスもあります。社内における従業員エクスペリエンスの現状把握や、従業員エクスペリエンスの質を高める施策の立案にぜひお役立てください。

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