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Will Can Mustとは? フレームワークを活用するメリットや目標設定方法を解説
- 公開日:2024/12/20
- 更新日:2024/12/20
Will Can Mustという言葉をご存じですか? キャリアプランや目標を立てるときなど、さまざまなシーンで役立つのがWill Can Mustを用いたフレームワークです。
本記事では、Will Can Mustについて以下の点を中心にご紹介します。
- Will Can Mustについて
- Will Can Mustを活用するメリット
- Will Can Mustを考えるタイミングとは
Will Can Mustについて理解するためにも参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
Will Can Mustとは
Will Can Mustとは、キャリアプランや目標を策定する際に用いられているフレームワークです。
それぞれの項目について、以下に詳しく解説します。
Will
Will(やりたいこと)は、キャリアや目標を考えるうえで、自分の内なる欲求や興味を探るための重要な要素です。自分が自然と引きつけられることや、情熱を感じることは、自分らしい生き方やキャリアの方向性を形づくる原動力となります。
自分のWillを見つけるためには、過去の経験を振り返り、何に満足や充実感を得たのかを考えることが重要です。特に、心から楽しいと感じた出来事や、達成感を覚えた瞬間を振り返ると、何が自分にとって大切かが見えてきます。また、将来に対する理想像を描くことで、自分が本当に目指したい方向を明らかにすることもできます。
Willを明確にすることは、CanやMustと組み合わせて、より納得感のあるキャリアや目標を築くための出発点となります。
Can
Can(できること)は、自身が持つスキルや経験、知識を指し、キャリアデザインや目標設定において重要な役割を果たします。先述した、やりたいこと(Will)だけを考えるのではなく、現時点での自分の能力を把握することで、現実的かつ効果的なキャリアプランや目標を描くことができます。
Canを明確にするには、これまで携わってきた仕事やプロジェクトの振り返りが重要です。成功体験や課題を乗り越えたエピソードを分析することで、自分の得意分野や習得したスキルを認識できます。また、周囲からの評価やフィードバックを活用し、自分が評価されている強みを見つけましょう。
さらに、スキルを可視化するためにスキルマップを作成すると、自分の能力を客観的に把握しやすくなり、自分の成長やキャリアの方向性を計画する手助けにもなります。
Must
Must(果たすべきの役割)とは、自身が果たすべき責任や期待される役割を意味します。キャリアデザインでは、個人の願望やスキルに加え、周囲との関係性や組織のニーズを意識することが欠かせません。
Mustを正しく理解することで、キャリアにおける他者との調和を図り、より大きな成果を追求する基盤がつくられます。
まず、自分に期待されている役割を把握することが大切です。組織全体が求める目標や自分の所属するチーム内での役割を理解し、その期待に応えるために行動する必要があります。また、現在の自分の貢献度について、自己評価や他者からのフィードバックを通じて、改善点や強みを明らかにすることも重要です。
さらに、作業と仕事の違いを理解し、単なるタスクの処理ではなく、役割を果たすことで組織全体にどう貢献するかを考える姿勢が、充実したキャリアを築く鍵となります。
Will Can Mustシートはリクルートで活用されている
リクルートでは、Will Can Mustシートという独自の目標管理ツールを活用し、従業員の成長と目標達成を支援しています。このシートは、従業員が自身の目指す姿や達成したいこと(Will)、持っているスキルや課題(Can)、取り組むべきミッション(Must)の3つを明確化する仕組みです。
半期ごとに記入されるこのシートは、従業員が自身のビジョンを上司と共有し、何をすべきか具体的な行動計画を立てる場として機能しています。創業当初から非形式的に行われていたコミュニケーションを形式化することで、個人の成長と組織の成果の両立を実現しています。
このシートを活用することで、従業員一人ひとりが目標を明確にし、自分の強みを発揮しつつ、必要なスキルを身につけるための行動計画を立てるサイクルを定期的に回しています。
Will Can Mustのフレームワークを活用するメリット
企業におけるWill Can Mustフレームワークの活用は、組織全体の生産性やパフォーマンスの向上に寄与します。従業員が「やりたいこと」「できること」「果たすべき役割」を明確にすることで、各自の強みが発揮されやすくなり、チーム全体の方向性が一致します。また、従業員のスキルや目標を正確に把握できるため、適材適所の人員配置が可能になり、モチベーションを考慮した育成計画も立てやすくなります。結果として、組織としての一体感が高まり、持続的な成長が期待できます。
個人としてWill Can Mustフレームワークを活用することで、従業員は自己理解を深めることができます。「やりたいこと」「できること」「果たすべき役割」を整理することで、自分の強みや目標を明確にできるだけでなく、優先順位をつけやすくなります。また、これらをチーム内で共有することで、自分がチームにどのように貢献できるのかを把握し、職場での存在意義を実感しやすくなります。これにより、仕事へのモチベーションが高まり、キャリアの方向性を主体的に考えるきっかけになります。
また、上司がWill Can Mustフレームワークを活用することで、部下とのコミュニケーションがスムーズになります。部下の「やりたいこと」「できること」「果たすべき役割」を明確にすることで、個々のモチベーションやスキルレベルを理解しやすくなります。その結果、適切なタスクの割り振りや、部下が成長できるような指導が可能になります。また、部下の目標や期待を具体的に共有することで、信頼関係が深まり、チーム全体のパフォーマンスを引き上げることにつながります。
Will Can Mustフレームワークの目標設定方法
それでは、Will Can Mustの目標設定の方法について、それぞれの項目別に見ていきましょう。
Willは、自分が本当にやりたいことや興味・関心のある分野を明確にする要素です。これを見つけるためには、以下の方法が有効です。
- 過去の経験を振り返る:これまでの経験のなかで特に「楽しい」「やりがいを感じた」と思える出来事を掘り下げ、その理由を考えます。これにより、自分の価値観やポジティブな感情の源を見つけることができます。
- 憧れや理想の姿を参考にする:尊敬する人物や理想とするキャリアパスを考えることで、自分のWillを明確にする手助けとなります。
自分にとってのWillを明らかにすることで、目標設定の基盤が整います。
Canを設定する
Canは、自分ができることや持っているスキル、強みを具体的に明らかにするステップです。以下の方法でCanを特定します。
- 過去の仕事や経験を振り返る:これまでの業務やプロジェクトで得意だった業務や成功体験を整理します。例えば、営業職であれば交渉力や新規開拓のスキル、事務職であればエクセルやデータ整理のスキルなど、具体的に洗い出します。
- 内面的な強みを考える:忍耐力や継続力などの内面的な強みもCanに含まれます。
- フィードバックや診断ツールを活用する:自分で見つけにくい場合は、他者からのフィードバックや適性診断ツールを活用して客観的に強みを把握します。
これにより、自分の能力やスキルを正確に理解できます。
Mustを設定する
Mustは、所属する組織やチームにおいて自分が果たすべき役割や責任を明確にすることです。以下の視点でMustを設定します。
- 組織の目標や課題を把握する:現在の組織やチームが直面している課題やニーズを理解します。例えば、業績が低迷している場合には売上を伸ばすための行動が求められるでしょう。また、人材不足が課題であれば、採用や育成に力を入れる必要があるかもしれません。
- 自分の役割を具体化する:組織が期待する成果を理解し、自分がどう貢献できるかを具体的に考えます。
Mustを明確にすることで、組織内での自分の立ち位置や責任がはっきりします。
Will Can Mustを統合する
各要素を洗い出した後は、それらを統合し、具体的な目標に落とし込む作業を行います。
- WillとCanの連携:明確にした自分のWill(やりたいこと)とCan(できること)が、組織の目標やニーズにどうつながるかを考えます。例えば、営業スキルを生かして顧客拡大を目指すといった方向性を決める段階です。
- Mustの明確化:上司と相談しながらMust(果たすべき役割)を明確化し、チームや会社が期待する成果を設定します。
- 具体的な目標設定:個人のビジョンと組織の方向性をすり合わせ、具体的な年間や月間目標を立てます。この段階を経ることで、より実現可能でやりがいのある目標が設定できます。
WillとCanの強みを生かしつつ、Mustを満たす目標を策定することで、個人と組織双方にとって意義のある成長が果たせるようになります。
Will Can Mustを社内に浸透させる方法
ここからは、Will Can Mustを社内に浸透させる方法について、4つのポイントをご紹介します。
以下の内容を実施することで、Will Can Mustの考え方が自然と日常業務に浸透していくでしょう。
MBO(目標管理制度)に組み込み上司と部下で認識を合わせる
MBO(目標管理制度)は、従業員と上司が共通のゴールに向けて認識を揃えるための効果的なマネジメント手法です。この制度を活用する際に、目標設定の過程でWill(やりたいこと)、Can(できること)、Must(果たすべき役割)を軸に議論を進めることがポイントです。従業員自身が主体的に考え、上司と目標を明確に共有することで、個々の働きがいを高めることができます。
例えば、部下が「何を成し遂げたいのか」「どのようなスキルを伸ばしたいのか」を具体的に語り、それを上司が適切にサポートする形が理想です。このようにWill Can Mustを目標管理の中核に据えることで、従業員は自らの役割を深く理解し、自発的に行動できるようになります。
MBOを導入する際には、定期的な目標の見直しやフィードバックも欠かせません。目標の進捗を共有するなかで、上司と部下の信頼関係を築き、Will Can Mustを組織文化として根付かせる土台を形成していきましょう。
キャリアデザイン研修の実施
キャリアデザイン研修は、従業員が自身の強みや役割を見つめ直し、キャリアの方向性を考えるためのものです。この研修では、自己診断を通じて自分の得意分野や特性を把握すると共に、周囲からの期待や役割を理解することに焦点を合わせます。これにより、各自が自身のWill(やりたいこと)、Can(できること)、Must(果たすべき役割)を再確認し、具体的な目標設定を行えるようになります。
さらに、研修を通じて個々のキャリアパスや自身の強みを明確にすることで、従業員が自発的に仕事に取り組む意欲を高められます。従業員が自分の可能性を引き出すために、定期的にキャリアデザイン研修を実施することが大切です。
1on1ミーティングの実施
1on1ミーティング(以下、1on1)は、上司と部下が定期的に1対1で対話を行う場であり、従業員の成長を支援するための方法です。このミーティングは、評価を伝える場ではなく、日常の業務で感じている悩みや課題をフランクに共有する場として機能します。
例えば、「どの部分が課題だと思う?」「次回はどのように改善したい?」といった問いかけを通じて、従業員が自ら問題解決の糸口を見つけられるように促すことが重要です。このプロセスは、自身のWill Can Mustを意識しながら、具体的な行動や目標に落とし込む助けとなります。
また、上司がアドバイスを提供しつつ、従業員の考えを尊重する姿勢を示すことで、信頼関係が深まり、自己成長への意欲を引き出せます。
柔軟な人事異動制度の導入
柔軟な人事異動制度の導入は、従業員のWill(やりたいこと)を実現し、意欲を高めるための手段です。従業員が自ら希望する部署や業務を選べる仕組みを設けることで、個々のモチベーション向上につながります。例えば、各部署が異動希望者を募る社内公募制度や、従業員が自ら希望する部署にアピールする社内FA制度などが考えられます。
このような制度は、従業員が自分のスキルや興味に基づいて新たな挑戦をする機会を提供します。また、組織にとっても、意欲的で適材適所な人員配置となり、業務の効率や成果が向上します。自発的な異動を促進することで、Will Can Mustのフレームワークが組織全体に浸透しやすくなるでしょう。
Will Can Mustを考えるタイミング
ここではWill Can Mustを考えるタイミングについて解説します。
新たな役職に就いたとき
新たな役職では業務内容や求められるスキル、期待される成果が大きく変わることもあります。このような変化に対応するため、自分のWill(やりたいこと)を明確にし、これからの方向性を確認しましょう。
同時にCan(できること)を整理し、これまで培ってきたスキルや経験が新たな役割でどのように生かせるかを把握することが重要です。そして、会社や組織が期待するMust(果たすべき役割)を再評価し、それに基づいたアクションプランを立てることで、スムーズな役職移行となるでしょう。
上司との1on1などのコミュニケーションに備えて
上司との1on1やフィードバック面談は、自分のWill Can Mustを整理する絶好のタイミングです。この場を活用することで、上司との相互理解を深め、自分のキャリアや役割について具体的な方向性を共有できます。
1on1の前には、Will(やりたいこと)として、自分がどのような業務やプロジェクトに興味を持っているのかを明確にし、将来的に挑戦したいことをリストアップしましょう。これにより、上司に自身の意欲や目標を伝えやすくなります。
次に、Can(できること)を整理し、これまでの成功体験や得意分野、伸ばしたいスキルを具体的に挙げます。これにより、上司に自分の強みや能力をアピールすると同時に、今後の成長に向けたアドバイスを受けやすくなります。
最後に、Must(果たすべき役割)を確認し、上司からの期待や現在の役割に関するフィードバックを求めましょう。自分が組織にどのように貢献できるかを明確化し、目標や優先順位を上司と一緒にすり合わせることが大切です。
1on1にWill Can Mustの視点で準備して臨むことで、より有意義なコミュニケーションが実現し、キャリアの成長につながる具体的なアクションプランを得ることができます。
定期的にキャリアを見直すとき
定期的に見直す習慣をつけることで、自分のキャリアの進み具合を把握し、次のステップを計画的に進める手助けとなります。そのため、年に1回や半年に1回、自分の現在の状況を振り返り、今後の目標や方向性を確認してみましょう。
このとき、Will(やりたいこと)が変わっていないか、Can(できること)がどれだけ増えたか、またMust(果たすべき役割)に新たな内容が加わっていないかを整理しましょう。変化を記録しておくと、自分の成長を実感しやすくなり、次の目標設定にも役立ちます。
新たなプロジェクトが始まるとき
新たなプロジェクトや挑戦をスタートする際、自分のWill(やりたいこと)を明確にすることで、そのプロジェクトにどう関わりたいかを考えることができます。さらに、Can(できること)を整理し、持っているスキルや経験がどの部分で生かせるかを把握することで、貢献の仕方が見えてきます。そして、プロジェクト内で期待されるMust(果たすべき役割)を理解することで、自分の行動がチームの成功にどうつながるかを意識できるようになります。
役割を明確にすることで、プロジェクトメンバー全員が自信を持って取り組むことができ、士気や生産性が向上します。新しい挑戦を成功に導くために、Will Can Mustの視点で自分の役割を考えることは大切です。
転職するとき
転職は、自分のキャリアの方向性を見直す絶好の機会です。このタイミングでWill Can Mustの項目を整理することで、次のステップに進むための明確な基準を持つことができます。
新たな環境に挑戦する際には、自分が本当に望む働き方や目指したい目標をWill(やりたいこと)として定め、それを実現するために生かせるスキルや経験をCan(できること)として明確化します。そして、転職先で期待される役割や責任をMust(果たすべき役割)として捉え、調和させることが重要です。
転職は単なる環境の変化ではなく、自分らしい働き方を再構築するチャンスと捉えましょう。
Will Can Mustに関するよくある質問
最後に、Will Can Mustに関するよくある質問に回答します。
Will Can Mustの具体例を教えてください
Will Can Mustは、さまざまな職種で活用できます。具体例を以下の表にまとめました。
Will Can Mustフレームワークとは何ですか?
Will Can Mustフレームワークとは、自分の考えを整理するためのシンプルで効果的な方法です。このフレームワークは、Will(やりたいこと)・Can(できること)・Must(果たすべき役割)の3つの視点で構成されています。それぞれを分けて考えることで、過去と未来の話が混ざり合うことなく、現在に焦点を合わせた具体的な目標や計画を立てやすくなります。
キャリアプランや転職先を検討する際、考えがまとまらずに悩む人も少なくありません。その理由の多くは、要素が混在してしまい、優先順位が不明確になることにあります。このフレームワークを活用することで、頭のなかが整理され、次に取るべき行動が見えてくるでしょう。
それぞれの要素を文字に起こし、グループ分けすることで、自分の考えが視覚的に整理され、方向性が明確になります。考えを形にする第一歩として、ぜひ取り入れてみてください。
おわりに
ここまでWill Can Mustについてお伝えしてきました。Will Can Mustの要点をまとめると以下のとおりです。
- Will Can Mustとは、Will(やりたいこと)、Can(自分にできること)、Must(自分の役割)を項目に沿って明確にしていき、自身のキャリアプランを策定する際などに用いられているフレームワークのこと
- Will Can Mustのメリットは、それぞれの要素を文字に起こし、グループ分けすることで、自分の考えが視覚的に整理され、方向性が明確になり、自己理解が深まるため、従業員の成長を促しながら組織全体の生産性やパフォーマンスを高められること
- Will Can Mustは、転職するとき、新たな役職に就いたとき、定期的にキャリアを見直すとき、新たなプロジェクトが始まるときなどに考える
Will Can Mustは、自分の目標や行動を具体化するフレームワークです。現在のやりたいことやできること、果たすべき役割を3つの視点から考えることで、混乱しがちな考えをクリアに整理してみましょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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