用語集
ハラスメントとは? 職場でハラスメントが起きる原因と対策
- 公開日:2024/06/27
- 更新日:2025/01/17
時代の流れと共に、さまざまな価値観が生まれている昨今、ちょっとした発言や態度から大きな問題に発展する可能性があるとしてハラスメントが注目を集めています。今回はハラスメントの定義から種類、問題が生じる原因や予防策まで解説していきます。
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ハラスメントとは
ハラスメントとは、日本語では「嫌がらせ」や「いじめ」にあたる言葉で、相手を不快にさせる言動によって苦しめたり悩ませたりする行為全般を指します。例えば、相手の尊厳を軽んじた発言や、圧力を与える態度など。故意的な迷惑行為はもちろん、たとえ無意識であったとしても、不用意な言葉や行動で相手を傷つけてしまった場合もハラスメントに該当します。
なお以下の研修では、ハラスメントの基礎知識から解説しています。
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ハラスメントは犯罪にあたるか
ハラスメントの内容によっては、民法上の不法行為や、場合によっては刑罰に処されるケースもあります。当事者の認識に関係なく、客観的判断から法的責任が問われる可能性もあるので、注意が必要です。
ハラスメントと感じるかは個人差がある
ハラスメントは、あくまで相手が不快感を覚えた時点で成立します。仮に自らの言動で相手が悩んで休職したなど、不利益が生じた際には、民法上の違法行為として損害賠償責任が生じるケースも。また「大勢の社員の前で侮辱する」「殴る、蹴る」など、第三者から見て明らかに悪質な場合には、刑法上の犯罪として逮捕・起訴される可能性があります。
ハラスメントに関する法律
職場におけるハラスメントは、おもに男女雇用機会均等法、パワハラ防止法(労働施策総合推進法)、育児・介護休業法により、事業主に対して防止に努めることが義務化されています。なおこれらの法律に従わず適切な対処がされない場合には、企業名の公表や、場合によっては罰則を科される可能性があります。
職場でのハラスメントの現状
厚生労働省が実施した調査によると、過去3年間にハラスメント相談があった企業において、もっとも発生率が高いのはパワハラ(64.2%)でした。次いで、セクハラ(39.5%)や顧客等からの著しい迷惑行為(27.9%)が多く起きている状況にあります。
なお過去3年間にハラスメント相談があった企業のうち、19.6%が「パワハラの相談件数が増えた」と回答。また都道府県労働局雇用環境・均等部(室)で取り扱うハラスメント件数も、年々増加傾向が見られます。
その背景としては、特にパワハラが増えたことに加え、ハラスメントに対する世間の注目が集まっている現状があります。さらにマネジメント層の意識や従業員の価値観も変わってきており、声を上げやすくなったのも要因の1つと見られています。
職場で起きやすいハラスメントの種類
実際に、職場で発生しやすいハラスメントの代表例としては、次の5つの種類が挙げられます。
パワーハラスメント
パワーハラスメントは、優位な立場から圧迫するような発言や行動で、心身状態や労働環境に害を与える迷惑行為です。例えば、度を越した過剰な叱責・要求・ペナルティ、チームや担当業務からの排除、キャリアやノルマの妨害、プライベートの侵害などが挙げられます。
セクシュアルハラスメント
セクシュアルハラスメントは、異性間や同性間に関係なく、性的な言動から相手に不快感や苦痛を与える迷惑行為です。例えば、体に不用意に触れる、性的事情を聞き出す・話すなど。また無理やり交際や性的関係を迫ったり、個人の性的固定観念を押し付けたりすることなども、セクシュアルハラスメントにあたります。
マタニティハラスメント
マタニティハラスメントは、妊娠・出産・育児をする社員に対し、不適切な対処や就労の妨害をする迷惑行為です。例えば、出産による雇い止めや降格、妊娠中の肉体労働や無理な要求、妊娠や出産を軽んじた配慮のない発言などが該当します。
モラルハラスメント
モラルハラスメントは、お互いの立場に関係なく、相手を傷つける発言や態度で精神的に追い詰める迷惑行為です。例えば同僚を無視したり、部下が上司の評判を貶める言動をしたりすることなど、暴力なく相手を傷つける嫌がらせ全般を指します。
パワーハラスメントと混同しやすいモラルハラスメントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
モラルハラスメント(モラハラ)とは? 企業に与える影響とモラハラ対策をご紹介
リモートハラスメント
リモートハラスメントは在宅勤務にともなう嫌がらせ行為で、おもにプライベートや作業環境の干渉・強要などが該当します。例えばオンライン会議中に映った部屋に対して揶揄したり、業務範囲以上に監視したりすることなどが考えられます。
職場で起きるハラスメントの原因
ではここまでに出てきたようなハラスメントが、なぜ職場で起きてしまうのか、よくある原因についても見ていきましょう。
コミュニケーション不足
コミュニケーションがなかなか取れていないせいで、個々の価値観・性格・志向などが分からず、そもそもお互いの関係性がうまく構築できていないケースが考えられます。信頼関係がないと、仮に意見の食い違いなどが生じた際にそれぞれの考えを共有できずに話し合いが進まない場合も。そうなると、常にどちらかの一方的な押し付けになってしまうなど、ハラスメントにつながりやすい状況ができていることもあります。
職場の雰囲気や風土
前述のように「コミュニケーション不足で仲間意識が薄い」などの風土があると、個々への配慮に欠けたハラスメントが生じやすくなることも。また難度の高すぎる目標・ノルマや作業量を課されているなど、業務上の困難が多い状況では、例えば上司が部下に無理強いさせるといったハラスメントが起きやすくなります。その他にも、責任者の権限が強すぎる・本社や他部署から現状が見えにくいなどの場合、パワーバランスの偏りによるハラスメントが発生するケースも考えられます。
個人の意識差と無意識の偏見
先ほどからも出てきているように、たとえ傷つけたり悩ませたりする気はなくても、相手の受け取り方によってハラスメントになってしまう場合があります。「自分だったら平気」と感じることでも、それはあくまで個人的な価値観で、誰にでもあてはまるとは限りません。こうした意識の差から生じた、ちょっとした発言や態度がハラスメントになることも。また「男性なら○○で当然」「入社△年ならできて当たり前」など、無意識の偏見による言動からハラスメントにつながるケースもあり、十分な注意が必要です。
マネジメント能力不足
例えば個人的な主観だけで業務の割り振りや評価に差をつけるなど、私情に任せたマネジメントは、ハラスメントと取られやすいので要注意。感情的な指導や管理から、無理難題を押し付けたり、圧をかけたりするなどの行為は、部下の強いストレスを生むパワーハラスメントになりかねません。上司としての信頼が得られなくなると、場合によっては、反対に部下からのモラルハラスメントにつながるリスクも考えられます。
職場でのハラスメント対策
ハラスメントが起こりやすいと、人材が定着しない・生産性が悪化するなど、さまざまな弊害も生じやすくなってしまいます。より健全な労働環境を整えるためにも、次のような対策も講じながら、ハラスメント防止に努めていきましょう。
風通しの良い雰囲気をつくる
風通しの良いコミュニケーションが活発な職場であれば、上下関係などを気にせずに、個人の意見や考えを発信しやすくなります。一人ひとりが圧力やプレッシャーを感じにくい環境になれば、日常的なストレス感が軽減されることで、ハラスメントにも発展しづらくなる効果が見込めます。
正しい知識を取り入れる
ハラスメント防止で重要なのは、まずは自分と他者との違いをしっかりと認識し、個々で多様な価値観が存在しているのを十分に理解することです。何がどのようなハラスメントになり得るのか、正しい知識を頭に入れておき、常に高い意識を持つことも予防策につながります。
なお以下の研修では、ハラスメント対策向けの講座も開催しているので、ぜひご活用ください。
実践コンプライアンス研修シリーズ
パワーハラスメント対策
パワーハラスメントは、多くの場合上司から部下に対して発生します。管理職がハラスメントを正しく認識できるような、マネジメント研修を実施する方法などが考えられます。またハラスメントと連動させた社内評価基準や、部下からの申し出を促す内部通報・相談窓口の設置なども予防につながります。
セクシュアルハラスメント対策
セクシュアルハラスメントは、さまざまな立場から生じる可能性があり、組織全体で正しく認識する必要があります。全社員向けのハラスメント研修や勉強会、セクシュアルハラスメントに対するルールの明確化など、組織全体での周知が防止につながります。またパワーハラスメントと同じく、内部通報・相談窓口などの対策も有効です。
マタニティハラスメント対策
セクシュアルハラスメントと同様に、研修やルールの周知など、マタニティハラスメントも組織全体で正しく認識できる対策が効果的です。また多様な働き方ができる社内体制を十分に整備することで、妊娠・出産・育児をともなう本人やその周囲の社員のストレス感も少なくなり、ハラスメント防止につながります。
モラルハラスメント対策
モラルハラスメントも研修やルールの明確化で防止する方法が考えられますが、その他にも社員同士の交流の機会を増やすなど、コミュニケーションの活性化を図るのも有効です。きちんと仲間意識を持つことでハラスメント防止にもつながるため、親睦会を定期的に開催するなどの対策も効果的でしょう。
リモートハラスメント対策
リモートハラスメントでは、例えば部屋を隠せるバーチャル背景を配布するなど、プライバシーを保護する対策が考えられます。また過度な干渉を防ぐために、作業報告の方法や頻度をルール化するなど、あらかじめリモートワークの適切な運用を検討しておくのも効果的でしょう。
まとめ
ハラスメントは誰から誰に対しても起こり得る問題で、場合によっては、相手を休職や退職に追い込んでしまう可能性も。またハラスメントになるかどうかは、非常にデリケートな部分でもあり、現代の価値観や時流を十分に認識して防止に努めることも重要です。一人ひとりが働きやすい労働環境のためにも、まずは組織としてハラスメントに対する理解を深めて、全社的に意識を高めることから検討することをお薦めします。なお以下の研修では、ハラスメント対策向けのセミナーや管理職向けのマネジメント講座を実施しています。ぜひハラスメント対策にご活用ください。
◆ハラスメント対策の基本 ~管理職として押えておくべき知識~
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