用語集
アドラー心理学とは? 人間関係・人材育成に生かすキーワードをご紹介
- 公開日:2020/08/25
- 更新日:2024/06/07
アドラー心理学とは、オーストリア出身の心理学者であるアルフレッド・アドラーによって確立された心理学のことです。アルフレッド・アドラーは、フロイトやユングと並び、心理学の3大巨頭の1人とされています。他の2人と比べると、日本では知名度の低い存在でしたが、2010年代の半ばにアドラー心理学に関する書籍がベストセラーとなったことなどから、次第に注目を集めるようになりました。
アドラー心理学では、「人間の悩みはすべて対人関係に起因する」と考えます。そのため、アドラー心理学は職場の人間関係の改善や、部下の指導・育成を行う際にも役立ちます。上記の場面などでアドラー心理学を生かすためのキーワードをご紹介します。
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アドラー心理学を職場の人間関係・人材育成に生かすためのキーワード
ここでは、職場の人間関係改善や部下の指導・育成に役立つ、アドラー心理学のキーワードを2つご紹介します。
人間関係の悩みを整理できる「課題の分離」
「課題の分離」とは、自分の課題と他人の課題とに線引きをすることです。
例えば、会議で同僚と意見が対立し、つい感情的に怒鳴ってしまったとします。その後、同僚が落ち込んだり機嫌が悪くなったりしているのではないかと気にする方は多いかもしれません。
しかし、会議後に同僚がどのようにふるまうかは、同僚自身が決めることです。そして、自分の決断と行動によって発生する利害を引き受けるのも、他ならぬ同僚自身です。
少し冷たい言い方に思えるかもしれませんが、同僚のことを気にかけて声を掛ける必要はありません。同僚がどのような態度であなたと接するのかはあなたの課題ではなく、「同僚自身の課題」だからです。
イギリスに「馬を水辺に連れて行くことはできても、馬に水を飲ませることはできない」ということわざがあります。馬が水を飲むかどうかは馬自身が決め、行動することです。
つまり「水を飲むか飲まないか」は馬自身の課題です。しかし、多くの人間は馬に水を飲ませようとします。そしてそれが上手くいかないことに苛立ちを感じたり、落ち込んだりするのです。馬の方も、今は水を飲みたくないのに人間に水を飲まされそうになるため、ストレスを感じることでしょう。
このように、人間関係のトラブルの多くは「他人の課題への介入」が原因となって起こります。勝手に他人の課題を背負い、踏み込むことで、双方がストレスを感じてしまうのです。
その出来事が「誰の課題なのか」を考え、適切な距離感を持って同僚や先輩・後輩と接していくことで、職場の人間関係を良好に保つことができるようになります。
部下の指導に用いたい「勇気づけ」
アドラー心理学において、「勇気づけ」という言葉は重要なキーワードです。勇気づけは「褒める」ことと似たものとして捉えられがちですが、両者には明確な違いがあります。
褒めるという行為は、「相手の行動の結果を評価すること」です。結果だけを褒めていると、相手は次第に、褒められないことについては意欲を失っていくようになります。
一方の勇気づけは、行動に対して取り組む姿勢を認め、結果ではなくプロセスを肯定することです。例えば、「目標を達成したこと」ではなく、「目標達成に向けて日々行っていた行動」についてのポジティブな感想を伝えます。結果だけでなくプロセスについても注視していたことにより、部下からの信頼が厚くなります。
また、結果だけを評価し続けていると縦の関係が生まれます。上司と部下の間でも、相手を褒めることで暗に「あなたは私よりも下の立場の人間だ」というメッセージを伝えることになるため、信頼を損なうことにつながりかねません。
プロセスに着目して勇気づけを行うことで、部下は自発的に動けるようになり、対等な立場で上司をサポートしてくれる存在にもなるのです。
部下に対して指導やフィードバックを行う際に、評価ではなく勇気づけを行っていくことで、部下との信頼関係を築くことができます。
おわりに
今回は、ビジネスシーンの人間関係にも活用できるアドラー心理学についてご紹介しました。
「課題の分離」を意識し、積極的に「勇気づけ」を行っていくことで、良好な人間関係構築と部下の指導・育成に役立てることができます。
アドラー心理学は、職場の人間関係はもちろん、家庭や友人などとのプライベートな人間関係でも役立つ考え方です。アドラー心理学を理解・実践することで、職場やプライベートの人間関係を改善し、良好に保ちましょう。
アドラー心理学については、以下の研修で詳しく紹介しています。
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