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用語集

ゲシュタルト心理学とは? 意味や影響を分かりやすく解説

  • 公開日:2014/02/21
  • 更新日:2025/02/17

ゲシュタルト心理学とは

ゲシュタルト心理学とは、ドイツのマックス・ヴェルトハイマーを中心にして起こった心理学の学派の1つです。人間が物事を認識するプロセスを明らかにしようとする分野であり、「人は個別の要素の集まりを見た時、それを単なる個の集合体ではなく、別物として認識する」という考え方を原則としています。

分かりやすい例として、お気に入りのメロディを想像してみてください。メロディは個別の音が連なったものですが、私たちはそれを「一つひとつの音」として個別に捉えるのではなく、「ひとまとまりのお気に入りのメロディ」として認識します。

「全体は部分の総和ではなく、別物である」というゲシュタルト心理学の原則は、現代の日常生活やデザイン、教育といったあらゆる場面でも活用されています。

ゲシュタルト崩壊とは

ゲシュタルト崩壊とは、元々まとまりのあるものとして認識していた形や意味が、認識できなくなる現象を指します。日常的な例を挙げると、1つの文字をずっと見つめることで本来の意味が分からなくなったり、何度も見たメールの定型文に、急に違和感を覚えたりする現象などが該当するでしょう。

ゲシュタルトの基本7法則(プレグナンツの法則)

プレグナンツの法則とは、ゲシュタルト心理学の中核的な原理です。「人は脳の情報処理を減らすために、可能なかぎり単純で秩序立った形を知覚しようとする」という考え方であり、具体的には以下の7つのパターンで、知覚を簡略化しているとされています。

近接

近接の法則とは、近くに配置されたもの同士なら異なる要素であってもグループとして見なされやすいという法則です。例えば、「●×▲■」といった異なる図形であっても、同じ枠内に並べてあれば1つのグループとして認識されやすくなります。

実際のビジネスにおいても、「近くに配置することでグループとして認識してもらう」という手法が活用されています。例えば店舗の陳列棚では、類似商品を同じ棚に並べることで、メーカーや成分の差異があっても関連商品として認識してもらうことが可能です。

類同

類同の法則とは、色や形、向きが似ているものは同じグループとして認識されやすいという法則です。近接の法則と同じく、異なる要素同士でも色や形を揃えることで、グループとして見なされるようになります。

例えばExcelなどの表において、同カテゴリに属するデータを同色でハイライトした場合、表内の数字が異なっていても視覚的なまとまりが生まれます。ブランド戦略なら、ブランドカラーをつくるという手法が有名です。ブランドカラーをつくり、パッケージデザインやカラーパレットを統一することで、「知らない商品でも一目でそのブランドだと分かる」という認識を持たせることができます。

連続

連続の法則とは、途切れずに続いている線や曲線を、1つのまとまりとして認識する仕組みです。例えば地図のルート案内では、ルートを表す矢印や点線が途切れずに表示されることで、目的地までの道筋を直感的に理解できます。ユーザーの視覚的な動線をスムーズにするために役立つ法則といえるでしょう。

閉合

閉合の法則とは、不完全な図形や情報であっても、閉じた形であれば脳が自動的に補完して認識するという仕組みです。例えば、広告デザインで「完全に線が繋がっていない円」が使われていても、私たちはそれを「繋がった円」として認識します。ミニマルなデザインにもよく活用されている法則です。

共通運命

共通運命の法則とは、「同じ方向や速度で動いているオブジェクトを、同じグループとして認識する」という仕組みです。近くに配置されたもの同士をグループ化する「近接の法則」や、色・形・向きが似ているものを同一グループとする「類同の法則」よりも優先して認識されやすいところが特徴といえます。

面積

面積の法則とは、重なっている2つの図形を見た時に、面積の小さい方が浮き出て見える仕組みのことです。面積の小さい方が視覚的なインパクトをもたらすため、印象に残りやすくなります。

対称

対称の法則とは、「左右対称・上下対称の形状ほど印象に残りやすい」という仕組みです。例えば、左右対称のロゴや建築物は安定感や調和を感じさせるため、視覚的に好まれやすくなります。

対称の法則を活用することでバランスの取れた印象を与えやすいことから、建築物はもちろん、WEBデザインや名刺のレイアウトといったあらゆるところで活用されています。

クルト・レヴィンの「心理学的場の理論」とは

既に述べたとおり、ゲシュタルト心理学は「複数のものを“部分の集まり”ではなく、まとまりとして捉える」ところが特徴です。20世紀初頭のドイツで提唱されたこの理論は、さまざまな学問に影響をもたらしました。社会心理学の父と呼ばれるクルト・レヴィンが提唱した「心理学的場の理論」もその1つといえます。

「心理学的場の理論」は、人の行動は個人と環境の相互作用によって決まるとする理論です。例えば同じ人であっても、チームワークを重視する企業に勤めた場合と、個の成績を重視する競争的な企業に勤めた場合では、思考や振る舞いに違いが出ます。このように「場」が「個」に影響を及ぼすという考え方は現代にも通じるものであり、ビジネスにおける組織開発にも活用されています。

おわりに

ゲシュタルト心理学の概要や、基本7法則などについてご紹介しました。

「人が物事を認識する仕組み」を解明するゲシュタルト心理学は、日常はもちろんビジネスでも幅広く応用されています。会社組織という集団において、適切な行動を取りたい時や、人間関係を構築する際のヒントにもなるでしょう。

なお弊社では、集団での適切な行動を身につけるためのさまざまなサービスをご提供しています。下記の研修では相手のソーシャル・スタイルに合わせた効果的な対応法を学ぶことができますので、興味がある方はぜひご覧ください。

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