導入事例
「全5世代のキャリア研修」を一度に導入し、キャリアデザイン支援の第一歩を踏み出す
株式会社ADEKA

- 公開日:2024/10/07
- 更新日:2024/10/15
事例概要

背景・課題
グローバル競争の激化により、新たなビジネスモデルの構築や業務効率化が求められています。それを実現するためには、多様な経験やスキルを持った人財の育成や確保が欠かせません。能力と個性を最大限に発揮できる環境も必要です。その一環として「キャリアデザイン支援」を行うことを決めました。従業員一人ひとりが自身のキャリアを考え、行動するサポートを始めることにしたのです。

検討プロセス・実行施策
キャリア研修は、世代に合わせて行う必要があります。キャリアに関する知識や姿勢が異なり、研修の目的も違うからです。私たちは、入社2年目・20代・30代・40代・50代の「全5世代」のキャリア研修を一度に導入することを決めました。2023年度は、ADEKA全従業員・約1800名 に受講してもらいました。まず全員にキャリアの描き方の基本を学んでもらいたかったからです。

成果・今後の取り組み
アンケートでは、受講前にキャリア研修に期待していた社員は50%以下でした。しかし受講後は、全従業員の90%以上が「有意義な研修だった」と回答してくれました。ねらいどおりの効果が出た事例も分かっており、全体的に良い場になったと感じています。今後は、異動・昇格・教育などの人事制度も変革し、人事制度に紐づけてキャリア形成を支援する仕組みを構築していく予定です。
背景・課題
従業員一人ひとりが自身のキャリアを考え、行動するサポートを始める

水野:私たちADEKAは、創業100年を超えた“素財”メーカーです。先端材料から汎用品に至るまで、くらしに欠かせない素財を展開しています。
例えば、半導体メモリ向け高誘電材料のシェア50%以上、エンジンオイル向け潤滑油添加剤の国内新車採用率100%、プラスチック向け樹脂添加剤の世界業界シェアNo.2など、「地味だけど、すごい」素財をいくつも提供しており、新たな素財づくりにも挑戦し続けています。グローバル展開にも注力しており、海外売上高比率は50%を超えています(2023年度は54.2%)。ADEKA単体の従業員数は1,815名、グループでは5,512名です(2024年3月末現在)。
ご存じのとおり、ビジネスの世界はグローバル化がより一層進み、国内外の競争がますます激しくなっています。そのなかで私たちは、新たなビジネスモデルの構築や業務効率化を常に求められています。それを実現するためには、多様な経験やスキルを持った人財の育成や確保が欠かせません。能力と個性を最大限に発揮できる環境も必要です。その一環として、私たちは「キャリアデザイン支援」を行うことを決めました。従業員一人ひとりが、自分自身のキャリアを考え、行動するサポートを始めることにしたのです。経営も人財投資に積極的で、私たちの考えに賛成してくれました。
検討プロセス・実行施策
初年度はADEKA全社員・約1800名にキャリア研修を受講してもらった
水野:キャリアデザイン支援を具体的にどう進めるかは、時間をかけて検討しました。第一歩としてキャリア研修を行うことは決めていましたが、さまざまな情報を調べて、私たちに合うキャリア研修とは何かを探っていきました。
そのなかで、リクルートマネジメントソリューションズの研修を選んだのは、細かな部分まで私たちの希望に合わせたカスタマイズをしてくれたからです。例えば、研修で使うキャリアアップシートは、実際のキャリア面談に活用することも踏まえて、私たち独自の仕様にしてもらいました。また、打ち合わせに講師が同席し、その場でプログラムの進行の仕方を具体的に提示してもらえたことも好印象でした。加えて、すべてオンライン研修と決めていたので、オンライン対応の経験が豊富なことも決め手となりました。

福永:キャリア研修は、世代別に行うことが欠かせません。なぜなら第一に、世代によってキャリアに関する知識や姿勢が異なるからです。20代の若手社員は、高校や大学などでキャリア教育を受けてきた世代で、主体的なキャリア形成の大切さをすでに知っています。
一方で40代以上はこれまでキャリアについて考える機会がほぼなかった社員が大半を占めています。ですから、キャリアの何をどのように学んでもらうのか、世代ごとに考える必要があります。
佐藤:第二に、キャリア研修の目的も世代ごとに変化していきます。そこで私たちは、入社2年目・20代・30代・40代・50代の「全5世代」でキャリア研修を実施することを決めました。入社2年目や20代は、各自が担当している仕事にどのような社会的意義があるのか、どういったスキルが身につき、どういう将来につながるのかを意味づけする場にしました。30代は、管理職への昇進を意識してもらいながら、どのようなワークライフバランスが最適なのか、どういったキャリアを積むのがよいのかを考えてもらう機会を用意しました。40代には今後の環境変化に向き合い、リスキリングも見据えてさらなる成長に向けた一歩を踏み出すこと、50代には定年後を見据えたキャリアを考えてもらう場を設けました。
水野:以上の研修を用意したうえで、2023年度は初年度ということで、特別にADEKA全社員・約1800名にキャリア研修を受講してもらいました。まず全員にキャリアの描き方の基本を学んでもらいたかったからです。
福永:当然ながら、これだけの人数がいると、日程調整やグループワークの班分けは大変でした。私たちのキャリア研修はグループワークが中心になっています。このグループワークをできるだけ普段関わりのない人同士で行い、社内交流の場にもしてもらいたかったので、時間をかけて組み合わせを考えました。
成果・今後の取り組み
全社員の90%以上が「有意義な研修だった」と回答
水野:アンケートでは、受講前にキャリア研修に期待していた社員は50%以下でした。しかし受講後は、全社員の90%以上が「有意義な研修だった」と回答してくれました。実際に耳にする感想もおおむね好評です。
福永:アンケートの自由記述回答では、「講師が良かった」「話しやすい場づくりをしてくれていた」という声が目立ちました。
水野:私がオブザーブしたときには、受講者全員の前で発表する際、講師のポジティブな声がけが発表者の緊張感を和らげていました。講師のファシリテーションスキルのおかげで、受講者同士がよく打ち解けていると思いました。

佐藤:私たち3人も従業員として受講しました。実は私自身も、自分のキャリアをきちんと考えてきませんでしたから、異動して何を得られたのか、これからどう働くかといったことを考える良い機会になりました。
また副次的効果として、同世代の仲間たちが社内で何をしていて、どんなことを考えているかを知ることができたのもよかったです。事業や部署をまたいだ交流の場にもなりました。
福永:私は40代向けキャリア研修を受講しましたが、私を含めた40代はキャリアについてほとんど考えてきませんでしたから、キャリアという概念を知り、考えるきっかけづくりの場として役に立ったと感じています。ワークショップ中心のコンテンツが、事業・部署を超えた社内交流につながっていたのも有意義でした。
水野:私は50代向けキャリア研修を受講しましたが、周囲が自分のことをどう見ているのかを知って、自分の可能性に気づくことができました。おおげさにいえば、新しい自分を見つけることができたのです。また、他の50代社員のなかには、「定年はマイナスイメージだったが、これからの人生を前向きに考える気持ちになれました」という感想を書いてくれた従業員がいました。このようにねらいどおりの効果が出た声も聴くことができ、全体的に良い場になったと感じています。
今後は異動・昇格・教育などの人事制度に紐づけてキャリア形成を支援する

水野:今回のキャリア研修は、キャリアデザイン支援の第一歩に過ぎません。今後は、キャリア研修を研修だけで終わらせない仕組みを整えていきます。異動・昇格・教育などの人事制度も変革し、人事制度に紐づけてキャリア形成を支援する仕組みをさらに拡充していく予定です。
並行して2023年度から、キャリアアップシートを使った上司・部下の「キャリア面談」も始まっています。その準備として、全管理職450名に対して、キャリア面談について具体的に学ぶ「上司向けキャリアガイダンス」も行いました。管理職自身はキャリア研修も受講しており、キャリアについて両面から学んでいます。さらに「キャリアアピールシート」を使って、従業員個人が人事に直接希望を伝えられる仕組みも新設しました。
今後のキャリア研修は、入社2年目・20代・30代・40代・50代の各ポイントで、約10年ごとに受講してもらいます。これからもキャリアデザイン支援の人財投資を進め、主体的なキャリアデザインを社内に根づかせていきます。
<図表1>キャリアデザイン支援全体像


トレーナーの声

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDトレーナー
金田 裕子
2023年度は、ADEKA様全社員約1800名の方に受講していただきました。そのなかで全社員を通じ共通して見えた成果が2点ありました。1つは、同世代とのつながりが互いのエネルギーを高め、自身の働く意味・目的の再確認の場になったということ、もう1つは、参加した人の多くが研修機会に感謝の言葉を口にし、会社へのロイヤルティ向上にもつながったことです。交流そのものが刺激になり、今ここで働くことの意味をつながりから感じ合えたのです。
一方で、調和や信頼をベースにコツコツと積み上げてきた自社の強みは認めつつも、これまでのような価値観だけではいけないという将来を危惧する声も若手中心に上がりました。思い切った決断や意思決定に乏しく、徐々に改善・移行するという風土に対し戸惑いや葛藤を抱えている人が少なくないことも分かりました。これも、全社員の皆様とやり取りができたからこそ見えてきた事実です。
今年度は、今の業務・職場でどんな経験をしていくとキャリア研修で描いたキャリアプランにつながっていくのか、その経験学習の支援の仕掛けや設計がさらに重要になると思われます。「キャリア研修を研修だけで終わらせない」を合言葉に、主体的なキャリアデザインを根づかせていくためのご支援により一層注力していきたいと思っております。

企業紹介

株式会社ADEKA
ADEKAグループは化学品・食品・ライフサイエンスをコアビジネスに、幅広い市場で価値ある素財を提供するグローバル企業である。「人々のくらしを豊かにする」という思いを原動力に、時代と共に変化する社会課題と向き合いながら、新たな素財づくりに挑戦し続けてきた。価値ある素財の開発・提供を通じて、持続可能な社会と豊かなくらしの実現を目指している。
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