サトーで活躍している社員の皆さんに、ライフとワークの両方を具体的に深く考える場を用意したかった
小板橋:私たちサトーグループは、2021年度中期経営計画の成長戦略の柱の1つに「ESG経営の強化」を掲げ、重点テーマの1つに「人的資産の強化(新・成長戦略では人的資本経営の強化)」を挙げました。このテーマを実現するために、今まさに人財育成をさらに強化しています。
落合:主な取り組みの1つが、社内大学構想の立ち上げです。SATO Campusは、教育研修に限定せず、キャリア支援、理念浸透などさまざまな施策を含む人財開発全般の取り組みです。
SATO Campus キャンパスマップ
(出所:サトーホールディングス株式会社 社内資料)
SATO Campusの際立った特徴は、「キャリア」がすべての中心にあることです。私たちサトーグループは、キャリア目標やキャリア自律を極めて重視しているのです。仮に新卒で入社して65歳で定年を迎えるまで働けば、約40年ものキャリアの旅をすることになります。私たちは、そのキャリアの旅を一人ひとり固有で価値あるものにしてもらいたい、と願っています。もちろん、キャリアは一人ひとりが自律的に努力してつくっていくものですが、私たちはそれに対して支援を惜しみません。
小板橋:私たちのキャリア支援施策の中心にあるのが、2017年に始めた「ライフキャリアデザイン研修」です。社会人3年目・10年目・20年目・30年目の節目に、人生のステージと仕事の目標について、立ち止まって考えてもらう時間です。特に、社会人30年目の研修は「いっしんセミナー」と名づけ、これまでの人生を振り返ると共に、これからの人生を展望してもらう場にしてきました。
ライフキャリアデザイン研修を5年ほど続けてきたのですが、2022年に見直しを始めました。これまでのライフキャリアデザイン研修は、「どんな人生を送りたいか」を主軸にした内容でした。「ライフ」の方にかなり重心を置いていたのです。人生で重視する価値観や最終的に成し遂げたいことを言語化してから、それを実現するために何を考えればよいか、どう過ごせばよいかを考えるプログラムになっていました。
私たちは、この内容にある程度満足していました。“人生を振り返る良い機会になりました” “将来の展望が見えました”など、受講者のコメントにポジティブなものが多かったからです。ただ5年続けてみたときに、本当にこのままでよいのだろうか、と考えるようになりました。最も気になったのは、日々の仕事との接続が図られているのかということです。国内人財部の我々としては、研修で得た気づきや学びを職場に持ち帰ってほしいという思いがありましたし、受講者も目の前の「ワーク」についてもっと考えたいのではないか、意欲や働きがいを高めたいのではないか、と思ったのです。
落合:この5年で、日本社会はさらに激しく変化しました。今後はもっと変わるでしょう。その変化を踏まえたとき、実はライフだけでなく、ワークについても再考する機会が必要ではないか、と思うようになったのです。サトーで活躍している社員の皆さんに、ライフとワークの両方を具体的に深く考える場を用意したい。2022年度下期、その想いのもとで、私たちはライフキャリアデザイン研修の「リデザイン」を始めました。