3カ月間の管理職研修で、課長層の部下育成意識を高める。NMAT・M-BT・フォローアップ研修の併用で未来をキヅク(気づく・築く)研修を

株式会社オカムラ

プロジェクト概要

背景・課題

現在のオカムラを取り巻く事業環境や社内の働く環境、メンバーの状況などを考えると、これまで以上に管理職のマネジメント力の強化が課題と捉えていました。どうしてもプレイングマネジャーになりがちな課長の役割意識を変えるため、特に「部下育成意識」を高めるための、新たな管理職研修を設計したいと考えていました。

検討プロセス・実行施策

事前WEB学習と対話重視の集合研修を合わせたブレンド型研修、1回やり切りではないオリジナルのフォローアップ研修、講師とのフィット感などを考え、リクルートマネジメントソリューションズを選定しました。研修を中心に、適性検査とフォローアップ研修を組み合わせた管理職研修を構築し、実施。その際、受講者の所属長を「サポーター」として巻き込みました。

成果・今後の取り組み

「WEB学習の受講率100%」「目標管理面談の実施率が53%→86%へ上昇」「所属長のコメント率70%」などの具体的な成果を上げることができました。また、以前よりも部下に仕事を任せるようになるなど、多くの課長が実際に変わりつつあります。まさに、課長たちが自分の未来に気づき、自分の未来を築く研修を用意できたと感じています。

背景・課題

管理職の役割意識を変革し、部下を育てる風土をつくりたい

三浦:オカムラといえば、「オフィス家具メーカー」というイメージが強いかもしれません。しかし実際は、オフィス家具だけでなく、オフィスや公共・研究・医療・高齢者施設などの全体の空間をつくる「オフィス環境事業」、小売店や商業施設などの陳列棚や冷凍冷蔵ショーケースなど店舗全体をつくる「商環境事業」、搬送機器など物流倉庫をつくる「物流システム事業」など、国内・海外にて『「場」を創る』ビジネスを展開しています。什器の設計・製造だけではなく、コンサルティング販売、施工、配送、アフターサービスまで行っています。

また、私たちはオフィスをつくると共に、40年も前から、オフィスと働き方についての研究を重ねてきました。2015年からは、その長年のノウハウを結集し、「はたらく」を考え変えていくプロジェクト「WORK MILL」を立ち上げました。このWORK MILLと自社の働き方改革を連携させ、長時間労働の是正やダイバーシティの浸透、業務改善などを推進してきました。2018年に「岡村製作所」から「オカムラ」へと社名変更をすると共に、会社全体で本気で「ジブンゴト」として本気で働き方改革に取り組む「WiL-BE」(「WiL」はWork in Lifeの略)と総称し進めることになりました。そのなかのアクションの1つが「人財育成・モチベーション」であり、Human Developmentチームとして、我々は「管理職の役割意識を変える」ことを目標に定めました。これが、私が生産本部へ異動する前、人財開発部で岸部と新たな管理職研修をつくることになった大きな理由です。

岸部:オカムラの課長はプレイングマネジャーが多く、特にプレイヤー型重視が多い傾向にありました。以前はそれでもうまくいっていました。近年は、環境の変化やクライアントの要望、オフィス環境についての提案も多様化してきており、自社の働き方も変化し始めています。フレックスタイム制度・直行直帰・フリーアドレス・テレワークなどを導入したことで、働き方は柔軟かつ多様になったものの、上司と部下の日常的な対話量が減ってきていました。そのため課長が部下の特性に合わせピープルマネジメントに意識的に力を入れないと、さまざまな面で職場が機能しなくなりつつありました。

だからこそ、本来の管理職の役割である部下を育てる風土をさらに醸成する第一歩として、当たり前のことではありますが、課長には、「半期に一度、部下との目標管理面談を100%実施する」という目標を設定しています。「目標設定面談とフィードバック面談」をセットで組み、部下と直接、定期的にコミュニケーションを取り、部下育成意識を高く持つことを求めているのです。特に、若手社員のサポートには定期的な面談が効果的です。目標設定に対して若手社員が自律的に考えながら少しずつ自信と実力をつけられるように、課長が現実的・具体的な目標を一緒に考え、達成をサポートすることで、若手社員の成長・モチベーション向上・離職防止につながるからです。

課長の役割意識に変革を起こすため、今一度「自身のマネジメントを知ること」「部下を想うこと」に重きを置き、私たちは新たな管理職研修を導入することを決めました。

三浦:景気に左右されやすいビジネスということもあって、私たちは「人財力」を極めて重視しています。その人財力を高め、組織力を高める要となるのが、課長です。マネジメント力・部下育成能力の向上は、部下が自律的に動き、個人の力が組織の力を変化につなげ、ひいては会社全体の変化を引き起こすと信じ、今回の課長向け管理職研修は、経営上重要な施策の1つと捉えました。

検討プロセス・実行施策

M-BTを中心にしてNMATとフォローアップ研修を組み合わせた

三浦:昨年、等級制度も変更されたこともあり、MG1という等級の課長向けに導入することを決めました。すでに一度は座学中心の管理職研修を受講したことのある社員が対象なので、施策の検討段階では、候補企業をいくつかピックアップしました。そのなかからリクルートマネジメントソリューションズを選んだのは、次のような理由からです。

最も大きな理由は、研修中に課長同士が話し合う場をなるべく多く設けたいと考えており、その条件にマネジメント研修「M-BT」の集合研修がピッタリ合っていたからです。また、研修の実効性を重視していたため、フォローアップや効果検証の仕組みが組み込まれていることも大きなポイントでした。さらに、私たちが以前から適性検査「NMAT」を利用していたこともプラスに働きました。つまり、リクルートマネジメントソリューションズにお願いすれば、M-BTを中心にして、NMATやフォローアップ研修を組み合わせ、総合的な課長育成をお願いできたのです。このことが大きな決め手です。

それから、初めての取り組みということもあって、私たちはトレーナーとのフィット感を重視していたため、トレーナーと直接面談できたのもポイントの1つでした。そのほか、自社の管理職のレベルを他社と比較するためのデータを多く持つ大手企業が望ましく、理論面を追求する組織行動研究所を持っていることも魅力に映りました。

岸部:今回の管理職研修は「M-BT+NMAT+フォローアップ研修」で構成したわけですが、具体的には、M-BTに次の2つのオリジナル施策を組み合わせました。1つ目に、M-BTの集合研修のなかに、NMATのアセスメント・サーベイの結果を使って、課長たちに自己理解を促すセッションを組み込みました。そうすることで、NMATのアセスメント効果を高めたかったからです。

2つ目に、M-BTの集合研修の約3カ月後にフォローアップ研修を行いました。まず集合研修では、課長一人ひとりに、自分なりの部下育成の打ち手を考えてもらいました。その打ち手を現場で試してもらった上で、フォローアップ研修では、打ち手の成果や結果を振り返り、さらなる打ち手を考えてもらったのです。課長の部下育成意識を高めるには、この2段階が必要だと考えました。

受講者の所属長を「サポーター」として巻き込んだ

三浦:こうして、私たちは2019年6〜11月に、88名のMG1等級の課長を対象にした管理職研修を実施しました。

実施にあたってのポイントは2つありました。1つは、受講者の所属長を「サポーター」と位置づけ、彼・彼女らをしっかりと巻き込んだことです。サポーターの所属長たちには、まず詳しい事前資料を配布し、研修の意義・意味を明確に伝えた上で、M-BTのWEB学習の内容を見てもらいました。このプロセスを入れたことで、受講者が所属長に遠慮することなく、業務中にもWEB学習を受講することができたのです。このことが、WEB学習の受講率を高める要因になったと考えています。

さらに、集合研修後には、所属長がM-BTのLMS(Learning Management System)「Learning Pit」に、受講者の言動の変化などを直接コメントしてもらえるよう働きかけました。このようにして、所属長が全体的に課長の成長を見守る体制を整えたのです。

岸部:もう1つのポイントは、集合研修内の「対話の時間」です。NMATのアセスメント・サーベイ結果で特徴が異なる4人を1組にして、自由に話し合ってもらったのです。例えば、あるグループでは、ミスの多い部下を抱える課長の悩みについて議論していました。このテーマは、共感する課長が多く、ディスカッションが白熱しました。その状況を見て取ったトレーナーが、急遽研修の時間配分を変え、対話時間を大幅に延ばしてくれました。これは素晴らしい采配でした。

また、フォローアップ研修時にも、集合研修と同じ組み合わせで対話してもらいました。ミスの多い部下に悩んでいた課長は、集合研修後、その部下に積極的に働きかけていました。そして、フォローアップ研修の際には、「諦めないで部下と関わり続けることが大事だと分かりました」と話していたのです。この言葉は印象的でした。このようにしてマネジメント上の悩みを打ち明けたり、相談したりする場はほかにほとんどありません。今後同じ立場で相談し合える関係性づくりも含め、本当に貴重な場になったと感じています。私は今回、この対話の時間が最も有意義だったと考えています。

トレーナーの声

対話を通して気づきが生まれる場にするために
HRDトレーナー
仁田山 真一


今回の施策を巡る意見交換を通して、オカムラ様が目指そうとされている「対話を通して自己理解・相互理解を促す風土の醸成」という組織の姿に私自身も強く共感しました。

この組織の姿を実現していくとき、その中心となるのは間違いなく今回の受講者の方々、課長のみなさんです。そのため、今回の施策を単にマネジメントについて学習する機会としてだけではなく、「対話」というプロセスや、それが生みだすもの、そして、その価値を肌で感じていただけるような機会にもしたいと思いました。

「対話という時間もいいな」「対話することで気づくこともあるな」
そんな風に感じていただければ、みなさんの職場における対話の実践のきっかけになるのではないか。そう考え、さまざまな場面に「対話」という手法を取り入れた運営を心がけました。

また、フォローアップ研修でお互いの職場実践を材料にして、正しい答えではなく、自分にとっての気づきを自由に語り合った場面は強く印象に残りました。こういった時間を通して「対話」について何か感じていただけたのであれば、トレーナーとしてこれ以上の喜びはありません。

成果・今後の取り組み

目標管理面談の実施率が53%から86%へ大幅上昇

岸部:研修実施から数カ月後の段階で分かっている成果は4つありました。

第一に、「WEB学習の受講率が100%」でした。先ほど三浦が話したとおり、所属長を巻き込み、業務時間内にも遠慮なくWEB学習を受講できたことが、受講率100%を達成できた大きな要因だと考えています。ただそれだけでなく、多くの受講者たちが、自分のマネジメント手法に不安や疑問を抱いていたのだろうとも思います。WEB学習でマネジメントの基礎をあらためて学べたことは、自身のマネジメントを見直す上で役に立っているはずです。

三浦:第二に、「目標管理面談の実施率が86%」へ大幅に上昇しました。目標管理面談の100%実施が目標ですから、この数値に満足しているわけではありません。しかし少なくとも、この研修が、受講者たちの役割意識を変えるきっかけになったことは間違いありません。この実施率の大幅な上昇が、何よりの証拠です。

岸部:第三に、研修後、多くの課長が実際に変わりつつあります。例えば、私はフォローアップ研修時に、受講者たちに直接ヒアリングしたのですが、「以前よりも部下に仕事を任せるようになった」と答えた課長がいました。なかには、「何かあったら私がフォローするから、自由に取り組んでほしい」と部下に声をかけ始めた課長もいました。また、課長が言動を変えたことで、課長を補佐している社員がこれまで以上にサポートできるように自律的にチームの「ハブ」となってくれた、という声を聞くこともできました。この研修をきっかけにして、自らコーチング研修を受ける課長まで現れました。

三浦:第四に、所属長の約70%が、「Learning Pit」に直接コメントを書いてくれました。多忙を極める所属長が多いため、70%という数値はかなり高いものだと感じています。多くの所属長が、課長の成長に興味を持っている証拠でしょう。今後、課長が継続的に変わっていく上で最も重要なのは、所属長が課長を育てる「育成の循環」をつくることです。今回は、その意味でも第一歩が踏み出せたと考えています。

課長たちが自分の未来に気づき、自分の未来を築く研修を用意できた

三浦:2020年10月から、オカムラでは、階層別研修は昇格時のみの研修とし、それ以外は未来を描きながら「学び」を楽しみ自分らしくいきいきと働く人たちでいっぱいの会社をつくっていくことを目標にする企業内大学「Okamura University」(略称オカユニ)を立ち上げます。2020年は新型コロナウイルスの影響により、計画していた研修を見直し、新入社員研修をはじめ、すべてをオンラインに切り替え、学びを止めることなく実施しています。今後は、学びの場を「Okamura University」にシフトしながら、主体的に学びたい社員をサポートしたいと考えています。社員の「主体性」をこれまで以上に重視したいと考えているので、今回新設した管理職研修は、マネジメントの基礎体系を再学習してもらうと共に、課長が主体的に変わるきっかけ、主体的に学ぶきっかけをつくる場と位置づけることができます。

岸部:人財開発部のミッションは「未来をキヅク(気づく・築く)」です。今回の管理職研修はまさに、課長たちが自分の未来に気づき、自分の未来を築く研修にすることができたと感じています。

ソリューションプランナーの声

研修をイベントで終わらせず、職場での実践につなげる
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ ソリューションプランナー
尾崎優香


事業の転換期であるオカムラ様。本施策を検討するにあたり、「対話を通して自己理解・相互理解を促す風土の醸成」に向けて、会社の核となる課長層の意識改革を行っていきたいと伺いました。

皆様の思いである、「研修をイベントで終わらせずに職場での実践につなげること」を実現するために、どうしたら受講者の方々に前向きに取り組んでいただけるかについて検討を重ね、研修名や研修のご案内の段階から工夫し、所属長の皆様にもご協力いただくこととなりました。

受講者の皆様の前向きなご反応やその後の実践につなげることができたのは、人財開発部の皆様の多大なるご協力がとても大きかったと感じております。
研修はきっかけにすぎないかもしれませんが、仕事に対してとても熱い思いをお持ちでいらっしゃる皆様に、「こんな自分の特徴に気づけた」「部下とこんな話をしてみたい」「次はこんなことを学んでみたい」といった、前向きな気持ちになれるようなきっかけになればと考えております。

今後は、オカムラ様の職場で「対話」が起こり、未来をキヅいていくための新しいことへのチャレンジが賞賛される風土醸成に向け、皆様のご協力を得ながら、少しでもお力になれるよう、努めていきたいと思っています。

企業紹介

株式会社オカムラ
オカムラは、創業以来「よい品は結局おトクです」をモットーに、オフィスをはじめ、教育・医療・研究・商業施設、そして物流センターなど、さまざまなシーンにおいて、質の高い製品とサービスを提供。あらゆる分野の知識・技術を生かした「総合力」を強みとし、快適な空間創造を目指している。