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導入事例

新たな未来を切り開くため、支え合うチームづくりを加速する

株式会社デンソー

新たな未来を切り開くため、支え合うチームづくりを加速する
  • 公開日:2013/03/13
  • 更新日:2024/04/19

事例概要

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背景・課題

社内の人員構成変化、フラット化、仕事の高度化・細分化等の職場環境変化を受け、管理者のマネジメント・リーダー不足といった問題が徐々に顕在化。ミドルのマネジメント力強化施策をスタートしました。

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検討プロセス・実行施策

当社の用語、言葉遣いを盛り込むことで、「管理者としての自覚」を再確認する仕掛けを検討しました。また、管理者になる前の段階からマネジメントの原理原則を学び、管理者の実践を促す工夫を行いました。

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成果・今後の取り組み

受講者の満足度は非常に高く、上司から見ても、受講者の意識・行動が変わったとの声が多く寄せられており、その効果に手応えを感じています。現在はフォロー施策の強化に向けて検討を開始しています。

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背景・課題

未来を切り開く、支え合うチームをつくりたい

未来を切り開く、支え合うチームをつくりたい1

私たちは、自動車技術、システム、製品を、世界の主要なカーメーカーに提供している自動車部品サプライヤーです。世界の30以上の国と地域で事業を展開し、12万人以上の社員がトップレベルのモノづくりと価値創造に向けて、日々挑戦しています。
しかし近年、私たちは大きな転換期を迎えています。自動車産業を取り巻く技術の多様化、新興国市場の台頭、働き方の多様化が進む中で、過去のやり方に捉われない変革をリードできる人材を発掘・育成していなければなりません。一方で、2000年以降の急速な事業拡大やグローバル展開の中で、社員の高資格化・高年齢化に伴う人員構成の歪み、仕事の高度化や細分化、組織のフラット化などの影響を受け、職場では管理者のマネジメント・リーダー経験が不足するといった問題が徐々に顕在化してきました。(山口 様)

未来を切り開く、支え合うチームをつくりたい2

そこで当社は、2010年度から「Opening New Frontiers」と銘打った新たな人事施策に取り組んでいます。具体的には、「成長し続ける個人づくり」「支え合うチームづくり」「挑戦する風土づくり」の3本の柱を掲げています。その中の「支え合うチームづくり」では、これまでのフラットな組織体制を見直して、組織の中核を担う管理監督職に「長」(課長・係長・班長)を復活させました。それに加え、事技系(いわゆる総合職に該当する社員)と、技能系(生産現場で製造、加工、組立などを行う社員)それぞれの「長」に、新たにマネジメント強化施策を展開することになりました。

事技系の新任係長格(担当係長)には、「Opening New Frontiers」に先行して2009年から「新任係長格研修」をスタートしています。しかし当社の場合、事技系係長格はチームをまとめること、人事考課に関与することは求められますが、正式な部下は持ちません。正式に部下を持つのは、最短で6年後の課長格への昇進後。つまりこれは、6年後以降から始まるマネジメント業務のために、30代前半でいち早く部下育成の意識を醸成し、後進の育成とモチベーション醸成に関与する姿勢を身につけてもらうための研修です。

一方で製造現場(技能系)においては、「長」を頂点とする、チーム全員での業務遂行がモノづくりの結果を大きく左右します。そのため「支え合うチーム」を築いていくためにも、現場の管理監督職、とりわけ班長に対するマネジメント強化が最大の課題になっていました。そこで、2011年に「新任班長格研修」を導入し、同時に「既任班長格研修」も実施して、マネジメント強化を一気に図ろうと考えました。新任班長は毎年約500名、既任班長は当時約4500名。初年度は計約5000名が受講する大規模研修となりました。 (神谷 様)

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ソリューションプランナーの声

実質マネジメントに関わる6年前から研修を実施するというのは、稀有な例
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 担当ソリューションプランナー

通常、管理者を育成するにはかなりの手間と時間がかかります。デンソー様の事技系「新任係長格研修」は、その意味で非常に賢明かつ稀有な判断と言えるでしょう。管理者になる6年前からマネジメントを教える会社は数少ないですが、これは確実に将来に活きるだけでなく、日常業務にもプラスになる良策です。また技能系「新任班長格研修」においては、ベテラン社員の増加や班長自身の業務増加により、班長や係長のマネジメントの難易度が確実に上がる中、新たなマネジメント教育体制の構築が必要だったのです。

検討プロセス・実行施策

「管理者としての役割」を認識してもらう

「管理者としての役割」を認識してもらう

事技系「新任係長格研修」は、リクルートのマネジメント研修セミナーに参加して、良い印象を持ち、導入を決定。最も魅力的に感じたのは、「自身の経験をふり返りながら、マネジメントの原理原則を自分なりに習得する」という研修プロセスです。単なる座学研修では決して実現できない「実効性」があると感じたのです。

仕事の高度化・細分化が進み、チーム内の関わり合いが減る中で「支え合うチーム」を構築するためには、管理者になる前、つまり最前線できめ細かく指導・育成を担う段階でのマネジメント教育が必須だと考えていました。特に当社の社員は、役割を自覚すると力を発揮する傾向が強いため、管理者としての自覚と気概を持った「長」が増えれば、当社の組織は必ずさらに強くなる。私たちには、その確信がありました。
そのため第一命題としたのは、上司が部下のやる気・成長に責任を持つ「管理者としての自覚」を持ってもらうこと。そのためリクルートには、受講者に「自分事」として捉えてもらうよう、当社ならではの用語や言い回しをプログラムに盛り込んでいただいたり、、プログラム全体を調整するなどのブラッシュアップをお願いしました。

こうして完成した研修を、2009年は通い2日間のプログラムで試験的に実施。その成功を受けて、研修所を使った1泊2日のプログラムに拡張して実施しています。研修のスタート時はたいてい発言が少ないのですが、共感できる経験や想いがひとつ出ると、グループや会場全体に火がついて、自分の考え方や価値観を本音でぶつけ合い、時間を忘れるほど話が止まらなくなるのがこの研修ならではの特長です。(山口 様)

技能系「新任班長格研修」では、一時期は主にプレーヤーとしての能力が求められていた班長に、その意識に加えて、マネジメントの意識を強めてもらう必要がありました。そのため、全班長格を対象とした5000名規模の研修を何としても一気にやりきって、組織全体の意識や空気をがらりと変えることが重要だと私たちは考えていたのです。

この研修で最も難しかったのは、全班長に研修のために現場を離れてもらうことでした。現場のキーパーソンですから、長期間の離脱は不可能です。そこでリクルートにお願いし、1日でできるマネジメント研修を設計していただきました。しかし事技系と同様、デンソーの「管理者としての自覚」だけは外さないでほしい、とお願いしました。それは、この大規模研修をやりきることと同じくらい、私たちにとって大事なこだわりなのです。
また職人の世界ですから、その世界と関係のない内容や、その世界の理解が浅いトレーナーを社員たちは信頼してくれません。そのためカリキュラムの細部への注意だけでなく、トレーナーへのインプットにも力を注いでいただきました。

研修準備だけでなく、実施もまた大変でした。 全員がOff-JTの場を快く思っているわけではありません。正直、スタート時のモチベーションが高くない受講者もいました。ファシリテートはかなり難しいことでしたが、力量のあるトレーナーの方々のおかげで大きな成果を残すことができました。最初は「帰りたい」と言ったベテラン社員も、最後には「参加してよかった」「無駄ではなかった」という感想を話してくれました。(神谷 様)

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トレーナーの声

ヒントは必ず受講者の経験の中にある
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 担当トレーナー

大きな成果貢献を期待され、その達成に奮闘している受講者の日常は非常に忙しい。また事技系係長格は部下を持たないため、マネジメント学習に対する意欲の個人差も大きいものでした。そのため研修の成果を左右するのは、受講者の現実に役立つ実感を持つことができるかどうか、「現実感」の湧き立つ議論をいかに引き出すかでした。
しかしそれに当たり、新たな知識を学ばずとも、ヒントは受講者のこれまでの経験の中に豊富にあります。学習テーマに沿って、一人ひとりが日常のマネジメント行動を思い出し、その行動の背景や大切にしているこだわりをぶつけ合うことで、マネジメントの原理原則へと繋がりました。「これまでのマネジメント(被マネジメント含む)体験の中で印象的なこと」を事前課題にしたこともあって、受講者同士の自発的な質問で議論が進み、ポイントが理解、納得してもらうことができました。
最近では、研修の中で自分の上司のマネジメントの変化を話題にする受講者もいます。これは継続してマネジメント強化に取り組んでいるからこその変化です。今後も、マネジメント強化、事業戦略実現に向けたパートナーとして共に走り続けたいと考えています。

成果・今後の取り組み

役割を自覚する受講者、変化に手応えを感じている上司の声

役割を自覚する受講者、変化に手応えを感じている上司の声1

私が事技系「新任係長格研修」をオブザーブしてきた中で、「頭をフル回転させたのでとても疲れた」「今まで受けた研修の中で一番良かった」という感想を最も耳にしました。研修直後のアンケートでも、これまで私たちが実施してきた様々な研修と比べて、かなり高い満足度の平均値が出ています。また職場に戻ってからも、受講者から「よく後輩に声をかけ、コミュニケーションを増やすようにしている」「上司が何をどのように考えているのかわかるようになった」といった自覚の声をよく聞きます。
実はこのように、職場のチームワークを高め、上司と部下の相互理解を深めるという意味でも、この研修は役に立っています。研修を受講した新任係長への実質的効果が表れるのは、課長格への昇進後。その際にどのような活躍を見せてくれるか、今から楽しみでなりません。

以上のように「新任係長格研修」は一定の成果を確認していますので、今後も続けていきますが、さらなる工夫は必要だと考えています。そのひとつとして最近始めたのが、「実践ナビ」です。「実践ナビ」とは研修前後の3カ月間、様々なアンケートで研修効果を測るWEBサービスです。これによると、実施継続率83%、自己変化率75%、職場変化率73%という驚きの結果となりました。さらに「実践ナビ」終了後も、2週間に1度の割合でメールマガジンを送付することで、研修成果のさらなる定着を目指しています。それから、これはまだ構想段階ですが、いずれ現在の新任係長格研修を受けた受講者が新任課長となる時には、「アドバンス版」の実施も想定しています。(山口 様)

役割を自覚する受講者、変化に手応えを感じている上司の声2

技能系「新任班長格研修」の受講後アンケートでは、「班長を続ける勇気が出た」「もっと早くから受けたかった」といった感想を多くの受講者が書いてくれました。もちろん、満足度も非常に高い値が出ています。どの回でも、特に「年上の部下をどうマネジメントするか」「仕事の管理と人の管理をどう両立させるか」という2つの切実な問題について、新任班長とベテラン班長が入り混じって熱いやり取りが交わされたことが意義深い経験になったようです。

またその後、受講者の上司である係長を対象に「研修後の班長に変化が起こっているか」を尋ねたところ、いくつもの興味深い実例を聞くことができました。
ある班長は、朝礼・昼礼でメンバーに伝達事項を伝える際、これまでは「今週は安全週間なので、各自気をつけましょう」と必要なことだけを伝えていたのに、研修後、「今週は安全週間ですが、そもそもなぜ安全が大切かというと…」というように、自分の言葉で語るようになったそうです。それを目撃した係長は、「この班長は自分を前面に出していくタイプではないと思っていたので、彼の管理者としての自覚を感じました」と言っていました。
この例は顕著ですが、今回の研修では上司から見ても、受講者の意識・行動が変わったとの声が多く寄せられています。

現在はこのような結果を受けて、新任班長格研修、新任係長格研修をはじめとして、昇進に合わせた5回の研修を実施。何度もくり返すことで学びの定着をねらっています。2段階の育成プロセスの中から、「支え合うチーム」の核となり、新たな未来を自ら切り拓くメンバーを数多く輩出したいと考えています。(神谷 様)

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取材日:2013/03/13

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