導入事例
持続的成長に欠かせないマネジメント研修
日産自動車株式会社

- 公開日:2012/11/12
- 更新日:2024/11/18
事例概要

背景・課題
日産自動車が将来、中長期的に成長を続けていくためには、マネジャーのピープルマネジメント向上が欠かせないと考えました。

検討プロセス・実行施策
明日から実践できるピープルマネジメント向上の具体案・具体的方法を持ち帰ってもらえる研修にできたら、という思いが強くありました。

成果・今後の取り組み
「3ヵ月間、実践すると決めたことに取り組めましたか?」という質問に対して、上司・本人ともに96%が「はい」と回答していました。
背景・課題
中長期的経営視点から、ピープルマネジメント強化に取り組む

2008年、私たちはマネジメント強化のためにトレーニングプログラムをつくろうと考えていました。
なぜなら当社が掲げる高い経営目標を達成するためには、従業員一人ひとりのパフォーマンスとアウトプットを向上させる必要があり、その鍵となるのがマネージャー層のマネジメントだったためです。
今後の日産の持続的な成長を支えるために、これまで以上のマネジメント品質(Quality of Management=以下、QM)の向上が不可欠だと認識していました。
そのトレーニングプログラムをつくる上で、私たちはQMを2つの要素に分けました。仕事の側面である「ジョブマネジメント」と、人の側面である「ピープルマネジメント」です。特に、ピープルマネジメントは長い間、普遍的な課題となっていました。
当時も多くのマネジャーが、部下との関係構築や人材育成の重要性と必要性を意識していましたが、それに十分な時間とパワーを充てられずに悩んでいたのです。むしろ、以前よりも部下の人員構成や価値観が多様化していることや、複雑な課題に対して常に短期間で成果を出す必要に迫られている仕事の状況などが、ピープルマネジメントの難しさに拍車をかけていました。
マネジャーはその悩みを相談する場も暇もないまま、日々の業務に忙殺されていたのです。自らのピープルマネジメント向上について、明らかに手助けを必要としている状態でした。そこでマネジャーが効果的、かつ効率的なピープルマネジメントを行うための施策が必要だったのです。

ソリューションプランナーの声
ピープルマネジメントの強化は、ほぼすべての日本企業が抱える課題です
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 担当ソリューションプランナー
今、ほとんどの企業の管理職がプレイングマネジャーであると言って過言ではありません。しかし、プレイングマネジャー制度は本質的な問題を抱えています。プレーヤーとマネージャーを兼務していると、どうしてもプレーヤーの思考・行動パターンに引きずられてしまうのです。結果、「仕事のマネジメント」はできていても、将来を見据えた「人のマネジメント」はほとんど手をつけられていません。
ところが調べてみると、一部の優秀なマネジャーには共通の部下への仕事の任せ方があり、それによって成果を出していました。私たちは、その方法を元に、プレイングマネジャーのマネジメント強化に実践的効果のある研修をつくりあげました。今回、日産自動車様にご提供したサービスも、このプログラムが元になっています。
検討プロセス・実行施策
実践的なアクションプランを納得して持ち帰り実践してもらう

この施策は、明日から職場で実践できる具体案・具体的方法を持ち帰ってもらえるものにできたらという思いが強くありました。小さくても少しずつ成功体験を積み重ね、マネージャーたちに自信をつけてもらうことが良いスパイラルを生むからです。
そのような考えのもとにコンペを行い、日産内外のマネジャーの現状をよく知っていて、かつそのソリューションのアイデアをお持ちだったリクルートをパートナーに選び、具体的な研修プログラムの検討に入りました。
まずは徹底的に受講者の気持ちを想像し、仮説を立て、その仮説の精度を上げながら実際の研修プログラムを組み立てていきました。忙しい中でいかに効率的にピープルマネジメントの質を上げられるか。マネジャーの状況と心情に寄り添いながら、最も効果のある研修プログラムを目指して、時には終電まで、リクルートの方々と私たちで細かな検討をくり返しました。
その過程で、マネジャーの上司からの支援が欠かせないと判断し、上司の巻き込みも行うこととしました。マネジャーが研修を通して自ら立案したアクションプランを実践するには、必ず上司の後押しが大きく影響するとわかっていたからです。具体的には、マネジャーと上司の間で研修前後にコミュニケーションを取ってもらいました。
特に研修後、部下であるマネジャーがどのような気づきを得て、どのようなプロセスで何をしようとしているのかを理解してもらい、マネジャーの持ち帰ったアクションプランを支援してもらうよう、上司にお願いをしました。
こうして「QM開発トレーニング」のプログラムが完成しました。マネジメントの現状を自覚した上で、効果的にマネジメントを行うための3つのヒント「やる気を引き出すための視野・視点」「ジョブとピープルマネジメントを両立させる方法」「部下を動機づけする具体策」を学び、それをもとに明日から実行できる自分専用のマネジメントプランを作成し、持ち帰ってもらうという内容です。
マネジメントの問題を解決できる魔法のセリフやツールはありません。マネジャーに自分自身をふり返ってもらい、自ら解決策を考え出してもらうほかないのです。その解決策を得てもらう場として、この研修を活用してもらえたらと考えていました。

トレーナーの声
自分のマネジメント行動を再確認できた瞬間、QMが向上する
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 担当トレーナー
この研修のキーワードは「実感値」。前提として、「すべては一人ひとりの意欲から始まる」という考え方を中核に据えたNISSAN WAYがあります。まず、最近の自分のマネジメント行動を「どのような場面で」「誰に」「何をしたのか」という観点で書き出します。ここでは、何よりも行動事実に焦点をあてます。ついで、それらの行動について「なぜそのような行動を取ったのか」「そうすることで何をどうしたかったのか」を受講者同士が聴き合い、受け止め合う。ここまでで、日頃のマネジメント行動の背後に、意図や思いがあることが明らかになってきます。さらには、その意図や思いは、マネジメントとして望ましいものなのか否か、自問自答と相互共有を深めていきます。
マネジャーであれば、誰しも一生懸命マネジメント行動をとっています。セッションが進むにつれ、受講者が自信を持って意図や思いを語るようになったり、自分の行動に確信を強めたりする場面があちこちで飛び出します。実感値をもって自分のマネジメント行動を再認識できた瞬間、受講者のマネジメントに対する意欲は高まり、QMも一歩向上したといえるでしょう。
成果・今後の取り組み
研修後の実践度は96% マネジャーも周囲も変化を実感

研修直後の受講者の反響は非常にポジティブでした。また、研修実施3ヵ月後に実施したアンケートでは、作成したアクションプランの実践度は96%に達しており、その効果を確認できました。
「職場のコミュニケーションが活発になった」「部下の手戻り業務が減った」など、この研修をきっかけにマネジャーの意識や行動が変わったことで、職場にもさまざまな良い影響を及ぼしていることもわかってきました。
また、「上司がピープルマネジメントへの取り組みに理解をしてくれたので自信がもてた」「経験から適切なアドバイスをもらえたのがうれしい」など、上司の巻き込みが大きな要因となってこのような期待以上の結果を得られたと考えています。
この成功を受け、2012年度からはQM開発トレーニングを新しいマネジャー研修へと発展させ実施しています。マネジャー職3年目を対象に絞り、マネジメントスタイルの違いを踏まえつつ、ジョブマネジメントとピープルマネジメントを高いレベルで両立できる素地を早期に習得してもらうというねらいがあります。
こちらも効果は確実に出ています。しかし、これらの研修でマネジメントにおける問題がすべて解決したわけではありません。これからも多くのマネジャーが生き生きと活躍できるよう、さまざまなサポートを続けていきたいと思います。

受講者の声

「権限委譲」と「中長期的視点の共有」に意識的に取り組んでいます
日産自動車株式会社 EV技術開発本部 主担 池田 達彦 様
私は、以前から部下とコミュニケーションを取るのが好きで、楽しく仕事ができるチームづくりを目指してきました。しかし、ただ会話をするだけではチームとしてのアウトプットの最大化は図れません。それは何となくわかっていましたが、「QM開発トレーニング」を受講したことで課題が明確になりました。
それ以来、部下メンバーとの会話の中で、メンバーの「動機の源泉」をよく知るように心がけ、アウトプットに対して今まで以上に感謝や褒める言葉を素直に口に出すようにして、自分の仕事の合間にできる範囲で業務や悩みなどの相談にも乗るようになりました。
また私には、多忙な時でも、何でも自分で判断しやってしまう傾向があることにも気づかされました。冷静に今後を考えると、明らかに権限委譲を進める必要がありました。権限委譲は非常に勇気のいる行為でしたが、実際に行ってみると、権限を委譲されたメンバーが自ら責任を持って行動しアウトプットしてくれることがわかってきました。
さらに、メンバーと中長期的視点の共有ができていませんでした。そこで面談などの機会を使い、今の仕事が社会や会社に与える価値や、本人のキャリアにおいてどのような仕事になるのかなどを話し合うようにしています。
これらの取り組みによって、少なくとも私が感じる限り、チームの雰囲気が今までよりも良くなってきただけでなく、チームとしてのアウトプットが確実に向上しています。受講後1年経っていますが、「QM開発トレーニング」で得たことはいまだに日々生きています。もちろん、私のマネジメントは未熟でまだまだ不足がありますので、今後も試行錯誤していきたいと思います。
取材日:2012/11/12

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