育成体系の設計・運用

課題解決のポイント

何年後を目指して育成するのか、変えるべきは意識かスキルか

人材育成の基本は「目指すべき人材の育成」です。まずは、今後の事業戦略推進を担える人材像を明確に設定し、OJTと育成体系を構築していきます。育成体系は、「階層別教育」「職種別教育」の2つの観点から、OJTとの連動性を重視して構築します(図表参照)。このとき、目指すべき人材像が更新されず、以前設定したものを前提に育成体系が組まれているケースが少なくありません。前提として、目指すべき人材像の定期的な更新は欠かせないといえます。

階層別教育と職種別教育

次のポイントは、どの程度の期間をかけるのかという点です。通常、目指すべき人材像は、多くの社員にとって、現在のキャリアの延長線上にはありません。今の仕事で、今の経験を積み重ねれば必ず到達できるものではないのです。その道のりでは数回の大きな転換点があり、時には乗り越えなければならない壁が立ちはだかります。人によっては、この壁をうまく乗り越えられずにスタックしてしまうこともあるでしょう。短期間で目指すべき人材になるのは難しいものの、いつまでも待てるわけでもありません。何年かけて、どのようなステップを踏むことで目指すべき人材を育てていくのかというその青写真が重要となります。

さらにポイントとなるのが、キャリア上の大きな転換点で「何を身につけてもらうか」「何を変えてもらうか」を明確にした上で施策を展開する点です。通常、育成というと「スキル付与」をイメージする方が多いかもしれませんが、行動変革のためにはスキル付与に加えて、「マインドセット」「業務での経験とフィードバック」という3つのアプローチが求められます(図表参照)。どのアプローチを、どのような順序で実行するのが最も効果的かを明確にすることが重要です。

行動変容における3つのポイント

施策例

事例:広告・情報サービス関連企業 昇格時に「マインドセット」研修を新たに組み込む

背景

  • 人員構成の変化から、若手層では以前より昇格年齢が早まっていた
  • これまでは昇格後に、当該資格に必要とされるスキルを身につけてもらう研修を行っていた
  • しかし、以前よりも昇格後の立ち上がりが遅くなっており、期待するパフォーマンスを発揮するまでに時間がかかるようになっていた

施策

  • 役員クラスや部門長クラスへのインタビューを通して、「求める人材像」を改めて確認し、求める人材像が大きく変わったわけではないことを明確にした
  • さらに昇格者へのインタビューを行ったことで、昇格者の多くが、「昇格後に何が求められるか」「昇格前と何が異なるのか」を十分に理解しないまま昇格していたことが判明した
  • 上記2点から、大きく役割の転換が求められる「メンバー→リーダー」への昇格時、「リーダー→マネジャー」への昇格時をターゲットに定め、マインドセットを促す研修を展開した
  • その後、能力を発揮しているかどうかを見極めた上で昇格を決定し、昇格後に改めてスキル付与の研修を行う形に変更した

成果

  • 昇格前にマインドセットを促すことで、昇格を目指し、上位資格に近い業務に積極的にチャレンジする前向きな社員が増加した
  • 対象者は昇格を意識した業務経験をした後に、昇格後にスキル付与研修を受講するため、より気付きが高まった

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