コラムCOLUMN
公開日:2023/07/10
更新日:2023/07/14

THEME 新人/若手

調査レポート2023年 新入社員意識調査【前編】

Z世代である新入社員の定着・早期立ち上がりに向けて

Z世代である新入社員の定着・早期立ち上がりに向けて
執筆者情報
HRD統括部
トレーニングマネジメント部
研究員
武石 美有紀

プロフィール

近年、企業の抱える悩みとして、若手層の「早期離職」「メンタル不調」「成長鈍化」などがよく聞かれます。どんな企業でも育成が難しくなっている現状があるなかで、どのようにすれば新入社員にいきいきと活躍してもらえるでしょうか。今回は、弊社が2023年度の新入社員を対象に実施した、以下2つの意識調査の結果から、注目したい傾向と考察 を行います。

■ 調査1
本記事で主に紹介する調査は、2023年3月23日〜4月20日に、全国各地で開催した公開型の新入社員導入研修「8つの基本行動」の当該期間での受講者509名(300名未満企業比率:67.0%)に、上司や職場に対しての期待や不安などに関する質問について、回答いただいたものです。
■ 調査2
補足となる調査は、2023年3月1日〜2023年4月23日に弊社のインハウス型新入社員研修の受講者および、WEB学習プログラムの受講者1840名(300名未満企業比率:8.1%)に対して、仕事をするうえで重視するキーワード、スタンスに対する意識について回答いただいたものです。

新入社員にとって会社組織内における「個の尊重」はますます重要な要素



まずは、働く環境で望むことをテーマとして扱います。



<図表1>働きたい職場の特徴

Q:あなたはどのような特徴を持つ職場で働きたいですか?(最大3つまでの複数選択/pt=ポイント)

働きたい職場の特徴の表


職場に関する質問では、どのような特徴を持つ職場で働きたいかを聞いています。結果は、「お互いに助けあう」(66.4%)が調査開始トップ、「お互いに個性を尊重する」が10年前と比較し21.8ポイント増加し過去最高で50.7%となりました。また、「アットホーム」 は37.3%で、過去最低となりました。

新入社員が働く環境で望むことの特徴としては、「お互いに助けあう」や「お互いに個性を尊重する」の選択肢にあるように、「個」が守られたままで繋がり合う意識が強まっている傾向があります。「アットホーム」は、“心理的安全性が担保された職場”という意味合いで、ある種、新入社員世代には受け入れられそうな選択肢であるものの、選択肢は過去最低となっている点は興味深い結果です。近しい選択肢の「皆が一つの目標を共有している」も10年前と比較し11.2ポイント減少しており、組織が一体化することを想起させる選択肢は受け入れられなくなってきていると考えられます。

背景として、個性を尊重することで能力を伸ばす教育方針の影響や、SNSの発展により自己表現が強化されることにより、自己への意識が一定高まっていることが考えられます。個性を持つことが当たり前の時代のなかで、組織のカラーに自分が合わせていくという発想自体が薄くなっている可能性が高いのです。また、今年の新入社員は、大学時代がコロナ対策期間と重なっていたため、就職活動がオンライン中心の世代でもあり、「職場」のイメージがつきにくいことも要因として加わると考えています。

働くうえで、自ら率先して進める自主性よりも、確実性を重視する傾向が高まる



次に、働く環境で望むことをテーマとして扱います。



<図表2>働くうえで大切にしたいこと

Q:あなたが社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?
  (最大3つまでの複数選択/pt=ポイント)

働くうえで大切にしたいことの図表


この質問では、新入社員が社会人として働いていくうえで大切にしたいことを聞いています。結果は、「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」が依然としてトップで、「任せられた仕事を確実に進めること」(38.9%)、「新しい発想や行動で、職場に刺激を与えること」(13.8%)の選択率が過去最高となりました。一方、「何事も率先して真剣に取り組むこと」(13.8%)の選択率は過去最低となりました。

「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」や「任せられた仕事を確実に進めること」の選択率が高いのは、全体傾向として、失敗への不安や恐怖が強い故、堅実に仕事を進めたい意識が強まっていることが背景にあると考えられます。近年、多くの企業より若手層の真面目な姿勢への評価の声を耳にしますが、調査結果でも「任せられた仕事」に対する意識の高さが表出しました。

一方で、「何事も率先して真剣に取り組むこと」の選択率が過去最低となったのは、「自律」を苦手とする若手層の特徴を反映している結果になったと考えています。社会の流れとして、教育やサービス提供の変化などにより、自ら自発的に行動していく経験の積みにくさが背景にあると想像できます。現代は、誰でも情報が取得でき、年齢関係なく発信や起業などにもチャレンジしやすい環境だといえます。そのような環境下で育った若手層のなかには、若手だからといってフォロワーに回るのではなく、自らも職場に刺激を与える存在になるという意思を持つ人の割合も増加していく可能性があると考えています。

上司には個性を尊重するコミュニケーションを求める傾向が続く



さらに、上司に望むことをテーマとして扱います。



<図表3>上司に期待すること

Q:あなたが上司に期待することは何ですか?(最大3つまでの複数選択/pt=ポイント)

上司に期待することの図表


この質問では、上司に期待することは何かについて聞いています。

結果は、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」(49.5%)が、昨年に引き続き1位の選択率です。「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」は、10年前から16.3ポイント増加し、過去最高の49.1 %となりました。一方、「言うべきことは言い、厳しく指導すること」は、10年前と比較し20.6ポイント減少し、 17.5%で過去最低となりました。

上司に対しても、個性を尊重するコミュニケーションを求める傾向が続いています。また、社会全体のハラスメント意識の高まりなどにより、厳しく叱られる経験が減少し、厳しい指摘への苦手意識がさらに高まっていることが考えられます。新入社員の“厳しさ”への抵抗感が年々高まるなか、特にフィードバックを行う際のコミュニケーションのアップデートが必要だといえるでしょう。

新入社員は、“厳しさ”への抵抗感はあるものの、成長を望んでいないわけではありません。決して迎合する必要はなく、ポジティブフィードバックと共に、期待を言語化して伝えていくことが重要です。

サービスやキャリアの選択肢が増え“選べる”時代
「成長実感」や「貢献実感」の内発的動機付け※ への重視度が高まる


※ 内発的動機付け:内面に湧き起こった興味・関心や意欲に動機付けられている状態のこと。
  用語集:外発的動機付けとは 内発的動機付けとは


次は、仕事で重視したいこと・スタンスに関連するテーマについて見ていきます。



<図表4>仕事をするうえで重視したいこと

Q:あなたが仕事をする上で重視することは何ですか?(n=1,520/2つまでの複数選択)

仕事をするうえで重視したいことの図表

この質問では、新入社員が、仕事をするうえで重視することについて聞いています。

トップ2は「成長」(28.8%)と「貢献」(26.7%)で、「競争」(2.4%)は引き続き最下位となっています。



<図表5>得意なスタンス・苦手意識のあるスタンス

(左)Q:「得意だな」「強みとしてさらに活かしたい」と思うスタンスにチェックを入れてください。
(n=831/複数選択)
(右)Q:「不安・苦手意識があるけど大事だな」「意識的に取り組みたい」と思うスタンスにチェックを入れてください。(n=831/複数選択)
(下)選択肢:弊社新入社員研修「F-BT」内で扱う、ビジネスパーソンに求められる6つのスタンス

得意なスタンス・苦手意識のあるスタンスの図表


この質問では、新入社員が、仕事をするうえで得意なスタンス(「得意だな」「強みとしてさらに生かしたい」と思うスタンス)・苦手意識のあるスタンス(「不安・苦手意識があるけど大事だな」「意識的に取り組みたい」と思うスタンス)について聞いています。

得意なスタンスのトップ2は「協働」 (25.9%)と「相手基準」(24.9%)でした。また、不安・苦手意識があるけど大事、意識して取り組みたいスタンスのトップ2は「試行」(28.0%)と「自発」(26.6%)でした。

この結果は、新入社員が物事の意味や価値を重視する傾向にあるため、「1位になって表彰される」などの外発的動機付けよりも、「成長実感」や「貢献実感」のような内発的動機付けを必要としていることが背景にあると考えられます。内発的動機付けを重視する背景には、かつての時代で動機付けとなっていたような、報酬・地位などの価値観軸では幸せを感じにくいという流れも重なり、優先度の高い価値観自体も変わっていったことがあると考えています。

最後に、新入社員時代に身につけるべきことの意識を見ていきます。



<図表6>身につけるべきこと
Q:新入社員時代に身につけるべきことの中で、特に重要だとあなたが考えるものを1つ選んでください。

(n=1,520/単一選択)

身につけるべきことの図表


この質問では、新入社員時代に身につけるべきことのなかで、特に重要だと考えるものについて聞いています。

新入社員時代に身につけたい力の1位は「社会人としての基本行動」(38.9%)、最下位の「会社の理念や価値観に沿った行動」 は、0.9%で1%を切る選択率となりました。

新入社員は、新入社員時代に、スタンスやマナーよりも、報告・連絡・相談、PDCAなどの基礎行動を身につけたい(「社会人としての基本行動」)と答えた割合が高い結果となりました。これは、How Toのようなインプットの方が、仕事に直接的に役立ち、効率的だと思っている傾向の表れだと推測できます。 また、実業務をよりスムーズに行いたい意識の表れでもあると推測します。一方、「会社の理念や価値観に沿った行動」の組織適応への選択率は1%を切る結果となりました。これは、「個」の意識が強まるなか、組織への帰属意識や、入社=就社の意識低下が背景にあると考えられます。


後編では、「個」の意識の高まりなどの新入社員の特徴をふまえ、上司世代との“当たり前”の差異が広がるなかで、共創するチームを創っていくにはどうしたら良いかについて解説します。

 

関連する調査レポート2023年 新入社員意識調査【後編】
「個」の尊重へ向かうZ世代を生かすための鍵


Z世代である新入社員の定着・早期立ち上がりに向けて
新入社員にとって会社組織内における「個の尊重」はますます重要な要素
働くうえで、自ら率先して進める自主性よりも、確実性を重視する傾向が高まる
上司には個性を尊重するコミュニケーションを求める傾向が続く
サービスやキャリアの選択肢が増え“選べる”時代
「成長実感」や「貢献実感」の内発的動機付け※ への重視度が高まる
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