マネジメント人材育成ブック【4】女性マネジャーの特徴(マネジメントの男女差研究) 女性マネジャーは
より「部下」をよく見ている

近年、私たちが行ったマネジメント(に関する)研究を6つのテーマでまとめ直した『マネジメント人材育成ブック』より、第4章は、「女性マネジャーの特徴」として、女性マネジャーの研究、マネジメントの男女差研究についての研究の成果をお知らせします。

はじめに、架空の会社・X食品の新任営業マネジャー(加藤洋介)と、社内の誰かが対話する「ストーリー」がついています。
それぞれの章の研究成果を受けた内容となっておりますので、本文の導入として気軽にお読みください。

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第4話 新任マネジャー、女性マネジャーに相談する

オフィスの近くにあるイタリア料理店は、今日も相変わらず繁盛していてにぎやかだ。その中に、加藤と栗原課長がいた。2人はもう食べ終わっていて、お茶を飲みながら話している。

加藤「栗原課長、今日はありがとうございます。」

栗原「加藤くんが、私と一緒にランチをしようなんて珍しいわね。いったいどうしたの?」

加藤「実は…田中部長が、栗原課長にアドバイスをもらってこいって言われたもので。」

栗原「へえ、何の?」

加藤「今年の春、僕の部署に異動してきた若手女性社員の鈴木さんの成績が、4カ月経っても全然伸びないんです。どうしたらいいのかわからなくて、部長に相談したら、そういうことは栗原課長に聞くのがいいと言われたので。」

栗原「わかった。とりあえず、現状を詳しく教えて。」

加藤は鈴木さんのこと、加藤が鈴木さんにどのように接しているかをひととおり語った。

栗原「…だいたいわかった。加藤くん、鈴木さんは最近、表情や話し方に変化はなかった?」

加藤「ちょっと思い出せません。」

栗原「じゃあ、鈴木さんと会話する頻度は減っていない?」

加藤「どうだったかな…?」

栗原「やっぱり。加藤くんは、鈴木さんのことをよく見てないと思うな。私は、最近、私にあまり近づいてこないとか、昨日よりも表情が硬いとか、声のトーンが明るいとか、メンバーのちょっとした変化にいつも気をつけています。マネジャーは、そのくらい部下を観察しないとダメだと思う。特に、問題を抱えているメンバーには注意しないと。」

加藤「…なるほど。」

栗原「毎日観察していたら、声をかけたほうがいいタイミングは自然とわかってくるはずだから、そこですかさずこちらから声をかけてあげるのが大事。マネジャーの方から心を開かないと、向こうも心を開いてくれないからね。」

加藤「わかりました。」

栗原「私は、企業のマネジャーは“部活のマネジャー”に似ていると思っているの。つまり、メンバーの活躍を支えるのが私の役目。そのためには、相手を信頼して、こちらの心を開いてコミュニケーションを取って、温かく見守ることが大切で、その基本になるのが毎日のコンディションやモチベーションをしっかり観察すること。」

加藤「栗原課長は、そこまで細かくマネジメントしているんですね。ビックリしました。でも、正直に言って、自分が栗原課長を真似できるとは思えません。多分、無理です。」

栗原「それなら、メンバーの観察はいろいろとよく気がつくメンバーに任せて、彼・彼女からメンバーの変化を逐一教えてもらうのはどう?」

加藤「それはいいアイデアですね。帰ったら、早速始めたいと思います。本当にありがとうございます。田中部長が、栗原課長の話を聞いてごらんと言った意味がよくわかりました。」

栗原「私の方が田中部長よりも良いアドバイスができるから? どうなんだろう。もしかしたら、私は女性だから、そういうことが得意なのかもしれないわね。」

加藤「そうかもしれません。いずれにしても、勉強になりました! 今日は僕が払います。」

栗原「あら、ホント? じゃあ、お言葉に甘えて、ごちそうになります。どうもありがとう。」
 

今後の日本には、女性的な特性を活かして活躍する
女性マネジャーがどうしても欠かせない

2016年4月、「女性活躍推進法」が制定されました。この法律は、女性活躍推進の一環として、企業に管理職の女性比率を押し上げることを推奨しています。また、その10年ほど前から、女性管理職を増やす必要があるという考え方は日本にも少しずつ広まってきており、多くの企業が女性管理職比率を高めようと試みてきました。これらの成果として、女性管理職は徐々に増えていますし、今後も増えていくでしょう。

ただ、これまでの日本企業には、いわば「男性マネジャーと同じように活躍する女性マネジャー」が多かったように思います。しかし、そうしたことができる女性は比較的少数で、増やすのは現実的ではありません。つまり、今後、日本で女性マネジャーを増やしていく上では、共感性、協調性、謙虚さなどの女性的な特性を活かして活躍する女性マネジャーがどうしても欠かせないのです。

では、女性ビジネスパーソンが、自らの女性的な特性を活かして、高いパフォーマンスを発揮するマネジャーになるにはどうしたらよいのでしょうか。私たちは2015年から、顧客接点系管理職の「男女の違い」を独自に研究してきました。最初に定量調査(図表1)を行い、その結果を踏まえて定性調査(図表2)を実施しました。この章では、これらの研究から見えてきたことをお伝えします。

なお、この研究は「男女の全体的な違い」に注目したもので、個別特性に言及したものではありません。当然、男性的特性をもった女性、女性的特性をもった男性など、個別にはさまざまな方がいます。


昇進意欲は低いが、実際に管理職になったら
自分らしさを活かして活躍する女性マネジャーが多い

顧客接点系管理職の男女を対象とした定量調査では、大きく2種類の調査を行いました。1つは「マネジメント行動」の調査です。結論から言うと、女性マネジャーは総じて7つの行動を男性よりも重視していることがわかりました(図表3)。このうち6つは私たちの仮説通りで、1つだけが仮説と異なりました。


私たちは事前に、身近な男性・女性マネジャーにインタビューを行い、男女マネジャーにそれぞれ特徴的なマネジメント行動の仮説を立てました(図表4)。簡単に言えば、女性マネジャーは「部下のコンディション・成長・共感・不安・平等性・仕事プロセス・変化」を重視したマネジメントを行うだろうと考えたのです。結果的には、仮説中の1項目、「管轄組織の方針や目標を部下に伝える際には、相手が共感できるかどうかを重視している」だけが、女性マネジャーよりも男性マネジャーの方が多かったのですが(図表5・図表6) 、ほかの6項目は女性マネジャーの方が上で、6項目の仮説は支持されました。総じて言えば、やはり女性マネジャーは、基本的には「部下を第一に考えたマネジメント」を行っているようです。ただし、方針を伝える際には、女性マネジャーの方が、意外と自分のメッセージをしっかりと伝えているのです。


もう1つは、「志向・満足度」の調査です。この調査でわかったのは、女性の方が昇進前の昇進意欲が低いことです(図表7)。しかし、実際にマネジャーとなった後の満足度を見ると、女性の方が総じて高くなっています(図表8)。また、女性マネジャーは男性マネジャーに比べて、課長を続けたい意志が強いこともわかりました(図表9)。つまり、マネジャーにはなりたくないと思っていたけれど、実際になってみると、実はマネジャーは自分らしさを活かすことができ、成長でき、誇りをもって働ける仕事だと気づく女性ビジネスパーソンが多いのです。「マネジャーの食わず嫌い」とも言うべき現象が起きているというわけです。もしかすると、「女性ビジネスパーソンにはマネジャーの食わず嫌いが多い」という事実を伝えるだけで、マネジャーを目指す女性が増えるのかもしれません。


バックナンバー

第1章 マネジャーになる(マネジャーへのトランジション研究)

第2章 経験から学ぶ(経験学習論・経験デザイン研究)

第3章 成果をあげるミドル・マネジャーとは(ミドル・マネジャー研究・これからのミドル・マネジャー研究)

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この他、第4章では定量調査の結果を受けて行った定性調査からも面白いことがわかっています。ぜひ第4章の全体をこちらからお読みください。
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