用語集
LMSとは? 学習管理を効率的に進めるシステムのメリットや選び方
- 公開日:2024/06/14
- 更新日:2025/01/17
eラーニングの普及にともない、そのプラットフォームとしても利用されるLMSにも注目が集まっています。この記事では、「LMSとは?」という基本から、導入のメリット・デメリット、選び方まで詳しく解説します。
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LMS(学習管理システム)とは

LMSとは、Learning Management Systemの略で、「学習管理システム」と呼ばれています。LMSは、eラーニングの実施や、オフラインの研修などを含めた受講者の学習管理などのベースとなるシステムで、学習コンテンツの配信をはじめ、受講者の受講履歴や成績管理など、学習教材と受講者の情報を一元管理できます。LMSとeラーニングは、eラーニングがインターネットを通じてパソコンやスマートフォンなどで学習する方法であるのに対し、LMSは主に組織で実施する、eラーニングを含む学習を管理するシステムである、という違いがあります。
LMSの主な活用シーン
LMSが使われるのは、主に企業や学校です。例えば企業であれば、ビジネスマナーやビジネススキルなどの研修をLMSで管理することができます。
また、学校であれば、生徒がLMSでオンライン講義の受講や教材の閲覧、課題の提出などが可能です。教員は、生徒の受講履歴や教材の閲覧履歴、課題の提出状況などが確認できます。
LMSが誕生した背景
もともとeラーニングは、CD-ROMやDVDなどの教材を配布したら、あとは受講者にお任せするのが一般的でした。「受講者の学習状況を管理できない」という欠点があったのです。
その後インターネットが普及すると、オンライン上で簡単に管理できる仕組みが求められるようになりました。同時に、受講者以外が無断で閲覧するのを防がなくてはいけないなど、新たな問題も発生。対処するには専門的な知識が必要でした。
そこで登場したのがLMSです。LMSでは専門的な知識がなくても受講者の管理が簡単・スピーディに行えます。その結果、提供者は教材の作成や受講者へのサポートに注力できるようになりました。
LMSの機能

LMSの主な機能として、社員や生徒などの「受講者が利用できる機能」と、教員や研修担当者といった「管理者が利用できる機能」があります。具体的ご説明します。
受講者が利用できる機能
受講者は、ID・パスワードでログインすることで、以下のような機能が利用できます。
【講座閲覧機能】
- 受講可能な講座を閲覧する
- 受講したい講座を登録する
【学習機能】
- 講座の動画やスライドなどを閲覧する
- 学習の進捗率を確認する
【受験機能】
- テストを受験する
- レポートを提出する
- テストの得点やレポートの評価を確認する
管理者が利用できる機能
管理者は、以下のような機能が利用できます。
【講座管理機能】
- 講座の登録や編集をする
- 教材の作成や編集をする
- 講座に対応した教材を設定する
【受講者管理】
- 受講者を登録する
- 受講者に講座を割り当てる
- 受講可能期間を設定する
【履修管理】
- 受講者の学習状況や成績を確認する
- レポートの採点や評価を行う
【その他】
- 受講者からの問い合わせに回答する
- 受講者へ学習を促す
LMSを活用するメリット

LMSで学習に関する情報を一元管理することで、受講者にとっても管理者にとっても、さまざまなメリットがあります。
学習効果の向上が期待できる
LMSで進捗状況がひと目で分かるようにすることで、受講者は「教材のどこからどこまで学習するか」「苦手分野はどこか」といったことも把握しやすいため、無駄なく学習できます。学習スケジュールやテストの結果も、リアルタイムで確認できます。ゴールまでの道筋が見えやすく、モチベーションも維持しやすいでしょう。
受講者に合った教材や研修を実施できる
LMSで受講者の進捗状況や成績が自動集計し、一覧で表示することで、その結果から、受講者一人ひとりに合わせた教材の作成や研修を行うことが可能です。状況に合わせて個別にメッセージを送るなど、サポートもしやすくなります。
教材の修正も簡単です。チャットやアンケート機能があれば、受講者の意見を取り入れながらアップデートすることもできます。
管理者の業務効率化、コスト削減につながる
研修を実施する場合、その都度、場所や講師、日程を案内する労力がかかります。当日に向けた資料配布や事前課題のアナウンスなどの準備や、当日の受講者の出欠管理といった手間も必要です。しかしLMSを活用することで、そういった業務やコストを削減することができます。
例えば、オンラインで事前課題を提出するeラーニングと集合研修を組み合わせた研修を行う際には、集合研修までに事前課題が完了しているかをLMSで一元管理し、必要に応じて自動でリマインドを送るなど、研修の事前準備の業務を効率化することができます。
LMSを活用するデメリット
LMSには、いくつかのデメリットもあります。導入後のトラブルを防ぐためにも、事前に理解しておきましょう。
インターネット環境が必須
LMSの利用は、インターネットにつながっていることが前提です。インターネットが通じにくい環境では、システムにアクセスすることが難しくなるでしょう。LMSの機能のなかには、教材をダウンロードしてパソコンやスマートフォンに保存できるものもあります。LMS導入の際は、そういったオフライン環境での学習にも対応できるシステムを選ぶと、受講者にとっても安心です。
システム構築、管理におけるIT人材が必要となる
LMSのタイプによっては、一からシステムを構築し、管理やメンテナンスも自社で行う必要があります。ITに精通した人材が必要となり、人件費もかかるでしょう。逆に管理やメンテナンスが不要なタイプもあります。その場合は人件費もほとんどかからないでしょう。
適切にデータを分析しないと導入効果が薄れる
LMSでは、受講者の学習データを分析することが重要です。そうすることで受講者一人ひとりの状況を正確に把握でき、学習プランや教材を最適化することができるのです。データ分析には専門的な知識が必要で、人的コストもかかります。しかしデータ分析を適切に行うことで、LMSの導入効果を最大限に高めることができるでしょう。
LMSを効果的に活用するポイント
LMSの導入効果を最大化するためのポイントを、3つご紹介します。
導入目的を明確にする
LMSにはさまざまな種類があり、自社の目的に合った製品を選ぶことが重要です。導入の際は、LMSで何を解決したいのか、利用目的を明確にしましょう。
例えば「優れた営業トークを社内で共有したいので、動画を配信しやすいものがいい」「法令やセキュリティに関する教育を行いたいので、テスト機能が充実したものがいい」といった具合です。自社の課題を洗い出すことで、目的が見えてくるでしょう。
運用体制を構築する
LMSは導入して終わりではなく、適切に運用し続けることが大切です。導入前に運用体制をしっかり決めておきましょう。
教材の準備や管理、社内の既存システムとの連携、受講者の管理、問い合わせへの対応、メンテナンスなど、必要な作業は多岐にわたります。関連部門やスタッフと連携して、誰がどのように対応するのか、具体的に決めておくことが重要です。
導入後も分析と改善を行う
受講者の学習状況や成績データを分析することで、部署ごとの学習状況や、受講者が苦手なジャンルなど、さまざまなことに気がつくでしょう。自社教育の課題や改善点も見えてくるはずです。分析と改善を続けることで、受講者一人ひとりの学習効果を高め、会社全体の成長にもつながります。
LMSの選び方
LMSを選ぶ際は、以下がポイントとなります。
- オンプレミス型かクラウド型か
- 機能や教材は自社に合っているか
- 社内向け/社外向けで利用可能か
- コストは適切か
- サポート体制の有無
一つひとつ、具体的にご説明します。
オンプレミス型かクラウド型か
LMSには、大きく分けて2つの種類があります。
【オンプレミス型】
自社のサーバー上に構築するタイプです。導入から構築、運用まで自社で行うため、自由にカスタマイズできるのがメリットです。反面、一から開発するため初期費用が高くなります。
【クラウド型】
ITベンダーが構築したシステムを利用するタイプです。導入が簡単で、初期費用も抑えられるのがメリットです。保守や管理の手間も必要ありません。一方で、「細かいカスタマイズができない」「サービスが終了する可能性がある」などのデメリットもあります。
機能や教材は自社に合っているか
利用目的を明確にしたうえで、必要な機能が搭載されているかを確認しましょう。LMSで提供される教材を活用する場合は、自社のニーズに合っているかチェックすることも重要です。
社内向け/社外向けで利用可能か
社内向けか社外向けかも、重要なポイントです。社内研修で活用する場合は、自社のマニュアルなどをインポートしやすいものがお薦めです。受講者が社外の顧客や取引企業のメンバーなどの場合は、セキュリティが充実していると安心です。学習コンテンツを販売する場合は、決済機能も必要となるでしょう。
コストは適切か
一般的に、オンプレミス型は導入に数十万円〜百万円単位の費用が必要です。クラウド型は、初期費用が無料~数万円、月額利用料が1人あたり数百円程度かかります。導入時に必ず比較検討しましょう。
サポート体制の有無
サポート体制も重要です。導入時はもちろん、システムの設定から研修の設計、受講者の登録、導入後のトラブル対応まで、手厚くフォローしてくれる体制があると安心です。
まとめ
LMSはeラーニングに欠かせないだけでなく、企業の研修や学校における学習を管理することで、受講者の学習効果を高めるのに大きな効果を発揮するシステムです。また業務の効率化など、管理者側にもさまざまなメリットがあります。
LMSは多くのITベンダーから提供されているので、製品の機能やサポート体制をしっかり比較して、自社に最適なLMSを選ぶことが大切です。そのためには、まずは自社の課題を整理し、利用目的を明確にすることから始めましょう。
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