導入事例
333人全員が「自ら考えて行動する」自発力重視の新入社員研修へ
清水建設株式会社
- 公開日:2024/01/29
- 更新日:2024/07/09
事例概要
背景・課題
清水建設では、若手の頃から自ら前面に立って施主・工事長・地域住民など社外の人たちと接することがあります。そのため、新入社員の頃から「自分で考えて行動する力」が求められますが、「どうすれば自ら考えて行動できるようになるのか」については、研修などで教えてきませんでした。そこで私は、新入社員全体研修に「自ら考えて行動することを学ぶ研修」を加え、新入社員の自発性を高められないだろうかと考えました。
検討プロセス・実行施策
先に単独で導入していた設計部門が、自律型人材に育てる新入社員研修「F-BT」を高く評価していました。F-BTでのトレーナーの関わりは、納得感が高く、明確なフィードバックなら、叱られるのが苦手な新入社員にも届くことを知り、F-BTを全体研修に導入することを決めました。333人が一堂に会するためのレイアウトや準備を念入りに行った結果、スムーズに実施できました。
成果・今後の取り組み
実際にF-BTを受講した新入社員の感想は総じて好評で、半年経った今でも、「あの研修はよかったです」という感想をもらうことがあるほどです。ただ、個人的には「職場における実践の継続性」に課題を感じています。今後は管理職向けのOJT研修なども行い、新人たちが自ら行動を起こす力を継続的に磨けるようにしたいと考えています。最終的には、新人若手社員の主体性の高さを清水建設の文化にすることを目指しています。
背景・課題
入社1年目から「自分から行動を起こせる人」になってもらいたい
清水建設は毎年多くの新入社員を採用しており、2023年度も333名が入社しました。彼らは最初に、2週間の新入社員全体研修を受講します。私は、2022年度から全体研修の担当になったのですが、「研修は、あくまで研修」というスタンスを持っているように見える新入社員が増えているのではと感じていました。
一方で現場をよく知る部門人事からは、「新入社員には、もう少し学習意欲を持ってほしい」とか、「新入社員であっても、自ら考えて行動してもらいたい」といった声が上がっていました。
清水建設には、若手を信頼し、仕事をどんどん任せる風土があります。特に建築・土木の施工管理は、入社1年目から、現場に出入りする職人の方や建設現場の工事長と話し合って、物事をすすめていく必要があります。上司がいないときなどは、自らが前面に立って、施主・工事長・地域住民と接することもあります。なかには、若手のうちから、担当をもって現場に関わってもらう機会もあるため、新入社員の時から分からないことを積極的に聞いたり調べたりして、自分なりに考えて行動を起こし、問題を解決できる力が求められます。ところが、特に重要な「自分で考えて行動する力」が、かつてよりも、求められるところに達していないように感じることが増え、人事課題となっていました。
他方で、管理職の方にもこれまでとは異なる、個に寄り添うマネジメントが求められるようになっている背景から、もっと部下の声に耳を傾けてもらうため、管理職向けの傾聴トレーニングなども実施してきました。ただ、その副作用として、上司は部下を必要以上に叱りにくくなっています。叱って育てる方法がもはや通用しなくなったのです。そのために、新入社員の主体性がこれまで以上に必要になっている側面もあります。
また、施工管理は施主・工事長・地域住民・現場の作業員など、社外のさまざまな人と接しますから、配属時に社会人としてのあいさつ、受け答えができることが欠かせません。施工管理以外の仕事も、社内外とのコミュニケーションが多くあるのが、清水建設の特徴です。しかし、最近は電話応対の経験が減っているなど、入社前にビジネスマナーを身につける機会が少なく、マナー面にも力を入れた方がよいと感じていました。
リクルートマネジメントソリューションズの「マナー研修」(※)は、単にマナーだけを教えるのではなく、コミュニケーションの一環としてマナーを教えるという内容でした。その方が、新入社員の納得感も醸成できると考え、魅力に感じました。
※信頼関係を築き、仕事をスムーズに進めるためのビジネスマナー実践研修「BMS」
検討プロセス・実行施策
先に単独で導入していた設計部門が、自律型人材に育てる「F-BT」研修を高く評価していた
今回、リクルートマネジメントソリューションズの「F-BT」を導入したきっかけは、社内にありました。私たちの設計部門が、以前から単独でF-BTを導入していたのです。設計部門の部門人事は、「F-BTは受講させる意味がある」と高く評価していました。設計部門の新入社員は能力が高いメンバーが集っています。
しかし、いざ仕事に取り掛かると、難易度の高い業務に苦戦する場面も出てきます。設計部門の部門人事は、「頭でわかっているつもり」と「実践してみてできる」のギャップを理解してもらいたいという思いのもと、研修内での実践が多いF-BTを導入しました。結果、F-BTで実践をしながら自律的な仕事の進め方を体感したことも後押しとなり、仕事場面で早期から自律的行動が見られるようになったというのです。
設計部門の部門人事は、特にF-BTでのトレーナーのフィードバックの細かさと明確さを褒めていました。例えば、ある新入社員に対しては、普段の仕事ぶりを丁寧にヒアリングしたうえで、「上司にもっとこまめに報連相した方がよい。それが上司に信頼感を与えるのだから」と的確なアドバイスをしてくれたというのです。納得感が高く、明確なフィードバックであれば、叱られるのが苦手な新入社員にも届くのです。こうしたフィードバックを得られれば、今の新入社員たちも自律的な内省・気づきから、行動変化・成長につなげていくことができます。私はこの評判を聞いて、F-BTを全体研修に導入しようと考えました。
333人が一堂に会するためのレイアウトや準備を念入りに行った
全体研修でF-BTを実施するのは大変でした。333人を2会場に集め、60チームに分けて一斉に行ったからです。特にコロナ禍のため、一定の距離をつくったり、チームごとに仕切ったりする必要があり、レイアウトに苦労しました。一方で念入りに準備を行ったかいがあり、当日はスムーズに進められました。
私たちはリアル研修にこだわりがありました。清水建設はビジネスの特性上、たとえコロナ禍であっても、現場での作業や対話は欠かせません。新人たちはリモート授業などに慣れている世代ですが、だからこそ新人研修はリアルで実施し、少しでも現場業務に近い環境を用意したいと考えました。また、全体研修は同期の横のつながりをつくれる貴重な機会です。その機会を奪いたくない、という気持ちもありました。苦労はありましたが、リアルで実施してよかったと思っています。
成果・今後の取り組み
管理職向け研修なども行い、新入社員が主体性を継続的に磨けるようにしたい
実際にF-BTを受講した新入社員たちの感想は、総じて好評です。「仕事の進め方が具体的に分かりました」「講師から細かいフィードバックをもらえてよかったです」といった声を多くもらっています。半年経った今でも、「あの研修はよかったです」という感想をもらうことがあるほど、記憶に残っているようです。
なかには、F-BTのトレーナーから評価をもらえなくて悔しそうにしていた新入社員もいましたが、真剣に取り組んだ結果だと感じています。また、人事部内でもF-BTとBMSは好評です。ある部門研修担当者からは、「今年の新入社員はまじめで一生懸命な者が多い」というフィードバックをもらいました。
ただ、個人的には、職場での「継続性」や「連続性」に課題を感じています。せっかく良い研修を受けても、意識して続けていないと忘れてしまう可能性もあります。今後さらに取り組みたいこととしては、学んだことを職場で継続して実践してもらえるように働きかけを行っていきたいと考えています。
一方で、新入社員を受け入れる側の管理職や先輩方が、F-BTの内容を理解しておくことも課題です。例えば、上司がF-BTの用語「Focus」「Action」「Reflection」を日常会話にちょっと持ち出すだけで、新入社員は研修内容を思い出して、ハッとするでしょう。管理職向けOJT研修などを行うことが、新入社員のF-BTの学びの継続性をより高めるはずです。
私はF-BTを通して、主体的に考えて行動を起こせる新入社員を1人でも多く増やすことをねらっています。仮に1人が自発的になれば、同期や周囲もきっとよい影響を受けるでしょう。そうして最終的には、新人若手社員の主体性・自発性・自律性の高さを清水建設の文化にすることを目指しています。
ソリューションプランナーの声
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
ソリューションプランナー
南 有紗
清水建設様では、若手の頃から、施主・工事長・地域住民の方など関係者が多く緊張感のある建設現場などの職場で、自ら前面に立ち様々な関係者を動かしていくことが求められます。また、上司や先輩も日々忙しい中で、疑問点や自分の考えを自分から発信し周囲に確認をとりながら仕事を進めていくことが必要です。
そんな職場で社会人として新たな一歩を踏み出す新入社員が、「自分なりに考えて自ら行動を起こすこと」の重要性を腹落ちして理解し、職場で実践するイメージがつけられる3日間にしたい、これが新入社員研修に込めた思いでした。
それはもちろん、清水建設の人事の皆さまも同じで、330名を超える新入社員全員にどうすればこのメッセージが届くか、人事の皆さまと最善の方法を模索しながら当施策を進めてまいりました。まだ取り組みは始まったばかりで、もっと全員が主体的に取り組む工夫を、もっと職場実践・継続に繋がる工夫を、とよりよくすべき点は多数ありますし、そこに皆さまと一緒に挑戦できることを嬉しく思います。
弊社一丸となって、変革期を迎える清水建設様のさらなる発展に寄与できるよう、今後も支援させていただきたいと思っております。
企業紹介
清水建設株式会社
清水建設の創業は1804(文化元)年。越中富山の大工であった初代清水喜助が江戸・神田鍛冶町で開業したことに始まる。初代喜助が創業当時から目指したのは、「誠心誠意、心を込めて仕事に取り組み、良いものをつくって信頼されること」。そして今、清水建設は、お客様、そして社会のニーズに応えるため、常に新しい知識や技術を追究している。「建設事業(建築、土木、海外建設)」を柱に、非建設事業である「不動産開発」「エンジニアリング」「LCV(ライフサイクル・バリュエーション)」「フロンティア」の4分野で事業を展開している。シミズグループは、 建設事業の枠を超えた不断の自己改革と挑戦、多様なパートナーとの共創を通じて、時代を先取りする価値を創造(スマート イノベーション)し、人々が豊かさと幸福を実感できる、持続可能な未来社会の実現に貢献する。
※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。
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