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導入事例

2015年から、「女性活躍推進」を管理職向け研修・女性係長向け研修の両輪で継続している

株式会社豊田自動織機

2015年から、「女性活躍推進」を管理職向け研修・女性係長向け研修の両輪で継続している
  • 公開日:2023/04/10
  • 更新日:2024/07/24

事例概要

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背景・課題

2015年1月に立ち上げた「女性活躍推進プロジェクト」は、最終的に女性活躍推進施策の提言をまとめて、経営会議で社長と経営陣に対し説明しました。提言を受け、「管理職/全社員の意識改革」や「女性キャリア支援」に取り組む方針を固めました。私はそれ以来、管理職・女性社員合同の「キャリア面談実践研修」や女性係長向けの「女性キャリア形成研修」をはじめとするさまざまな施策に継続的に取り組んでいます。

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検討プロセス・実行施策

女性係長向け「女性キャリア形成研修」では、キャリアの振り返りや棚おろしの後、自分の志向の認識、行動とスキルを整理したうえで、キャリアビジョンを描きます。「キャリア面談実践研修」の特徴は、管理職と女性社員が合同で参加し、キャリア面談を行った後に面談の振り返りを一緒に実施するところです。管理職が女性社員の気持ちや考え方を理解することで、両者のすれ違いは少なくなり、本音を言いやすい関係性を築くことができます。

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成果・今後の取り組み

2つの研修をセットで行うことで効果があると思います。女性のキャリアプランを実現するには上司の理解を得る必要があり、キャリア面談実践研修がその機会になっています。さまざまな取り組みにより係長クラスまでの成長スピードの男女差は縮まり、他の管理指標も良くなりました。課長以上の男女比率に関してはまだ改善の余地があります。最終的なゴールは、推進活動を行わずとも、女性が活躍している姿です。今後も改善を重ね、活動を続けます。

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背景・課題

2015年、社会の要請からチャンスを得て「女性活躍推進プロジェクト」を発足

2015年、社会の要請からチャンスを得て「女性活躍推進プロジェクト」を発足

弊社が最初に女性活躍推進に取り組んだのは 2008年です。そのときはあまり活動は拡がりませんでした。次のチャンスが巡ってきたのが2015年でした。社会の要請もあり、2015 年1月に「女性活躍推進プロジェクト」を立ち上げました。

「女性活躍」は弊社の経営上の課題でもあり、良いタイミングでした。部長職の女性社員がリーダーとなり、さまざまな職種の男女社員10名ほどでプロジェクトチームを組み、私は事務局を務めました。

プロジェクトを進めるうえで、人事部の思い込みだけでなく社員の声を聞くことが重要と考え、まずは半年強をかけて、インタビューとデータ分析による現状把握を行い、問題のブレイクダウン・真因追究による課題の深掘りなどを行いました。

弊社が考える女性活躍推進の目指す姿は、「仕事の質が高まる」「仕事の範囲が広がる」「昇格・職位が付与されている」の3つに性差がない状態であること。しかし当時は、男性社員と比較して、女性社員の退職が多い、役職者が少ないなどの差がありました。仕事を与える管理職と女性各々に課題があると考えました。
女性活躍推進プロジェクトは、それらのことを指摘し、取り組み案を提言しました。この提言を受けて、「管理職/全社員の意識改革」「女性キャリア支援」「柔軟な働き方推進」の3点に取り組む方針を固めました。

社内に向けては、キックオフイベントや社内報を介して女性活躍推進の考えを伝えていきました。

私はこのとき以来、女性活躍推進施策に取り組みつづけてきました。リクルートマネジメントソリューションズとは、管理職・女性社員合同の「キャリア面談実践研修」と、女性係長向けの「女性キャリア形成研修」を一緒に実施してきました。そのほかに、管理職向けの「多様な人材活躍管理職セミナー」なども行いました。

業務として取り組んでいることですが、そこには私自身の想いも込めています。私が、豊田自動織機に入社したころは弊社だけではなかったと思いますが、女性の仕事が限定されて当たり前の時代でした。今はずいぶん変わってきましたがジェンダーバイアス「性別に対する役割分担意識」は、まだまだ日本社会のなかにも残っています。これからの若い皆さんが力を発揮しやすい世のなかに、会社に少しでもなるように力を尽くしたいと考えています。

検討プロセス・実行施策

全員でキャリア面談の改善点について話し合う

当初、管理職向けの意識改革セミナーと女性向けのキャリア研修を導入する予定でしたが、管理職と女性へのメッセージに一貫性を持たせるため、この2つを並行して企画していました。

リクルートマネジメントソリューションズをパートナーに選んだのは、女性向けのキャリア研修に加え上司・部下合同で参加するキャリア面談実践研修もあわせてご提案をしていただいたからです。ご提案が良いと思ったのはキャリアプランを実行するには管理職の後押しが欠かせず、女性社員が自分のキャリアプランを作るだけでは、絵に描いた餅に終わってしまうからです。女性活躍を推進するためには、管理職と女性社員のどちらも変わる必要があります。

全員でキャリア面談の改善点について話し合う

キャリア面談実践研修では、管理職と女性社員が実際のキャリア面談を2度実施します。研修を即実践につなげるための工夫です。研修の前半で管理職だけが学んだ後、引き続き管理職と女性社員の合同セッションを行います。1度目のキャリア面談をした後、一人ひとりが面談を振り返り、管理職同士・女性社員同士のグループで振り返りをします。

そのあと管理職と女性社員全員での発表・質疑応答を経て、最後にもう1度キャリア面談をします。管理職と女性社員での質疑応答では、管理職と女性社員が一緒に面談の良かった点、改善点の他に、日々感じている本音を話し合うことがポイントです。「普段は聞けない本音が聞けてよかった」と毎回受講者からは声が上がります。さらに、管理職と女性社員がお互いのことを知るためにインタビューし合う場も用意しています。自分の上司の仕事の経験や想いについて、あらためて話を聞く機会を持つことで、お互いのことを知ることができてよかった、という声をよく耳にします。

弊社の管理職で最も多いのは、女性社員に悪気なく配慮や遠慮をしてしまうパターンです。例えば、最近はなくなりましたが、以前は結婚した女性社員には海外赴任を打診しない、という管理職がいました。管理職はあくまでも善意の配慮をしていたのですが、それでは女性社員はチャンスを逃してしまいます。そうしたことの積み重ねが、男女の成長の差につながります。管理職にこうした事実を認識してもらうことが大切です。

最近の管理職に多いのは、「女性社員の背中をどこまで押してよいのか分からない」という悩みです。なぜなら女性社員のなかには、自信がないために大きな仕事の担当をためらってしまう人がいるからです。この悩みを抱える管理職には、「もうひと押しするか、ストレッチ業務を少しずつ任せていってほしい」と伝えています。彼女たちは、自信はなくても、やる気がないわけではないのです。大事なのは、管理職が背中を押すと同時にフォローすることです。スモールステップを踏んで徐々にレベルを上げていくのも効果的です。管理職がこうした女性社員の気持ちや考え方を理解することができれば、女性部下の育成に良い影響があると思います。

一方の女性係長向け「女性キャリア形成研修」は、2日間にわたって行います。こちらは初期に係長経験の長い方から実施した後、現在は新任の女性係長に向けて実施しています。この研修では、女性係長にキャリアの振り返りや棚おろしをしてもらった後、自分の志向を認識したり、行動とスキルを整理したりして、キャリアビジョンを描いてもらいます。

どちらの研修も、一貫してリクルートマネジメントソリューションズの梶陽子トレーナーにお願いしてきました。基本的な内容や方針は変わっていませんが、世の中が変化し、会社の課題感や女性活躍推進の浸透度も変わるため、内容は毎年ブラッシュアップしています。また、受講者の特性や顔ぶれに合わせて、毎回細かな内容変更も行っています。梶トレーナーには、毎年のブラッシュアップも、毎回の細かな変更も即座に対応していただけて感謝しています。梶トレーナーは同志だと考えています。

2015年からずっと、リクルートマネジメントソリューションズと共に両研修を継続してきました。また、意識変革の優先順位が高いのは管理職だったため、管理職向けの「多様な人材活躍管理職セミナー」を初年度は、既存管理職約800名に対して実施し、その後は毎年、主に新任管理職に対して実施しています。さらに今回は詳しくお話ししませんが、2020~2021年には技能職女性とその上司にも研修を実施しました。

女性活躍推進は1社だけの問題ではありませんので、会社間の情報共有も大事です。トヨタグループでは、女性活躍推進の担当者間で情報共有をしています。悩みを相談したり、成功事例を共有し、力を合わせて共同での取り組みを進めたりしています。私にとっては、こうした仲間の存在も大きいです。

成果・今後の取り組み

係長までの成長の男女差は少なくなってきたが、課長以上は改善の余地がある

係長までの成長の男女差は少なくなってきたが、課長以上は改善の余地がある

女性係長が自らのキャリアプランを作り、上司の後押しを得ながら、そのキャリアプランを実務に織り込んでいく方法は効果の上がりやすい方法だと思います。さまざまな取り組みの結果、係長クラスまでは成長の男女差は少なくなってきました。

他の管理指標も、確実に良くなってきました。全社的に、女性活躍の意識が浸透している結果だと考えています。しかし、課長以上の育成に関してはまだ改善の余地がありますので、女性活躍推進の活動は今後も欠かせません。

最終的なゴールは、女性活躍推進が要らなくなることです。そのゴールを目指して、今後も改善を重ねながら、活動を続けていきます。

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HRDトレーナーの声

梶陽子の顔写真

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDトレーナー 梶 陽子

豊田自動織機様の藤原様とのお付き合いは2015年9月にスタートしました。女性活躍推進法が施行された前年です。最初に担当させていただいたのは女性係長向けのキャリア研修、そして彼女たちの上司の方々との面談実践演習、既任の管理職の方々を対象とした女性活躍推進のための研修と続きました。

最初は「なんで女性だけ集めるのか」という疑問の声からのスタートでした。研修が終了すると「男女関係なく、部下にどう接していくのかについてのヒントがもらえた(管理職の方)」「(まだ女性だけ集められるのは納得いかないけれど)自分のキャリアについて上司と一緒に考えられて本当に貴重な時間だった(女性係長)」という声をいただけ、手ごたえを感じました。

受講者の意識の変化や課題をくみ取り、その後毎年のブラッシュアップを重ねました。そうして得られているものは受講者の方々の意識と行動の変化です。

管理職側の変化は、女性社員への向き合い方です。女性には無理だろうという固定観念を自覚し、女性社員の内面・本心を知ることが大事である、ということに大きな気づきを得ている方が多くいらっしゃいます。女性社員は、自分に限界を作っていた内面に気づくと同時に、自分の仕事に対する誇りや愛着を言葉にして、前向きに行動を変えていく方が毎年現れます。

これだけの変化が感じられるのは、藤原様の強い信念によるもので、男女関係なく自分の本当の力を開花させてほしい、という強い想いをお持ちだからこそです。

何が課題でどんなプログラムにすれば受講者たちに響くのか、どうしたらそれが実現できるのかを一緒に考え、同志として邁進できていることを本当にありがたく思っております。そしてまさしく継続は力なりです。

女性活躍推進の施策が不要になってすべての社員の方から、プライベートも大切にしながら充実した職業人生を送っている、という声が聞こえてくるのを楽しみにしています。

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企業紹介

株式会社豊田自動織機

株式会社豊田自動織機

社祖・豊田佐吉が発明したG型自動織機の製造・販売のため、1926年に設立された。以来、繊維機械事業に加え、エンジンや自動車、フォークリフトなどの産業車両やカーエアコン用コンプレッサー、カーエレクトロニクス製品の開発・生産に乗り出すなど、「世の中に役立つことをしたい」の考えのもと、常に新たな事業に挑戦すると同時に、本格的な海外展開も進めてきた。また、各事業には他事業と共通する課題や技術が数多く存在するため、事業部間の連携を強め、新たな価値創造に取り組んでいる。今後の事業展開においても、繊維機械事業を原点に、自動車関連事業と産業車両・物流事業を両輪として事業を展開していく方針に変わりはなく、世界のお客様のニーズを先取りした新たな価値の創造に積極的に挑戦していく。

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