社員のクリエイティビティをこれまで以上に活かすために「ロジカルに考え抜く力」を強化

社員のクリエイティビティをこれまで以上に活かすために「ロジカルに考え抜く力」を強化

プロジェクト概要

背景・課題

PAC(パブリック・アカウント・センター※電通のビジネスプロデュース領域を担う一局)の主な仕事は、中央省庁や地方自治体など公共のクライアントが抱える社会課題へのソリューション提案です。電通社員はクリエイティブな発想を得意としていますが、より複雑化が進む社会課題をこれまで以上に深く掘り下げて考え抜くという点において課題を抱えていました。そこでクリエイティビティを一層活かすため、ロジカルに考え抜く力を強化したいと考え、ビジネスプロデューサー向けの「考え抜く力を高める研修」を行いました。

検討プロセス・実行施策

非常に忙しい局員が多いため、3か月にわたる長期プログラムの中で実施前は多くの脱落者が出てしまうことも覚悟していましたが、実際は1人もやめることなく終了でき、事前課題の実施率も事後アンケートの評価も非常に高く、大変満足しています。また、リクルートマネジメントソリューションズの研修はリアルタイムの学びを大切にしているイメージがあったのですが、録画を活用した反転・反復学習は効果的で、リモート環境への変化に柔軟に対応されたのだと感じました。

成果・今後の取り組み

会議中に「MECE」などの用語が飛び交うようになりました。研修での学びが、資料や打ち合わせに反映されていると感じることもよくあります。また、事後アンケートには、「研修を通して、仲間の考え方がよく分かった」という声が目立ちました。全員がお互いに局内の仲間をよりよく理解できたことも大きな成果です。

背景・課題

クリエイティブな発想は得意だが、社会課題を掘り下げて考え抜く点で課題を抱えていた

半田様1

半田:電通では、2019年に「INPUT! 365」という全社ムーブメントを始めました。多様な仕掛けで全社員の学びを誘発する活動です。背景には、電通にはOJTを重視する伝統があり、社員のインプット時間が一般企業の 5分の1程度しかなかった、という事実があります。3年間さまざまな取り組みを続けてきた結果、全社サーベイでは能力開発の機会や会社の成長支援に関する項目が大きく改善 し、INPUT! 365は個人の学びを促進する施策として定着しつつあります。今回の施策も、その一環と言えます。

土居:今回の「考え抜く力を高める研修」を導入したのは、私が部長を務める「PAC局」です。PACはパブリック・アカウント・センターの略で、中央省庁や地方自治体など公共のクライアントにソリューションを提案する組織です。PAC局では局長のリードのもと、2021年度から「パブリック・アカデミー」を始めました。INPUT! 365に呼応して、PAC局の持続的成長のために独自の研修コースを立ち上げたのです。その一環が、考え抜く力を高める研修です。

PAC局の主な仕事は、クライアントが抱える社会課題へのソリューション提案です。しかし、日本社会の本質的課題を発見し、適切なソリューションを創出するのは決して簡単ではありません。電通社員は総じてクリエイティブな発想を得意としていますが、ロジカルシンキングを体系立って学んだ者は少なく、より複雑になっている社会課題をこれまで以上に深く掘り下げて考える点で課題を抱えていました。また、最近はコンサルティングファームなどが競合になる案件が増えており、ロジカルに考え抜く力をつける必要がさらに高まっていました。そう考えていたときに、半田から考え抜く力を高める研修を紹介されました。

半田:強みであるクリエイティビティを活かして、電通にしかできない面白くて楽しいソリューションを生み出すことは私達の得意分野です。今回の研修の目的は、この強みを補強することと捉えています。クリエイティビティをこれまで以上に活かすために、ロジカルに考え抜く力を強化しようとしているのです。

検討プロセス・実行施策

「問いを立てる力・情報を構造化する力・自論を定める力」の3つの力を体系立てて学ぶことに共感した

土居様1

土居:リクルートマネジメントソリューションズの「考え抜く力を高める研修」を選んだ理由は2つあります。1つは、研修の意図と内容に共感したこと。「問いを立てる力」「情報を構造化する力」「自論を定める力」の3つの力を体系立てて学ぶことが、まさにPAC局の営業職に必要だと感じたのです。もう1つは、社内の他部署がすでに考え抜く力を高める研修を導入し、高い成果をあげていたことです。過去の社内実績が周囲の理解を促し、導入を後押ししたことは確かです。

半田:私は以前、リクルートマネジメントスクールで「使える!ロジカルシンキング」を受講し、その講師の手腕に感銘を受けました。INPUT! 365でも、同講師にはすでにいくつかの研修を担当していただいており、その講師が実施する研修なら、土居の要望を叶えられると考えました。また、リクルートマネジメントソリューションズの研修はリアルタイムの学びを大切にしているイメージがあったのですが、録画を活用した反転・反復学習はオンラインでは特に効果的で、コロナ禍に柔軟に対応されたのだと感じました。

全体的に「Why」を深掘りし、考え抜く習慣を身につけようとする姿勢が強まった

土居:「考え抜く力を高める研修」は全8回のプログラムです。今回はPAC局の営業職から24名を受講者として選抜しました。PAC局の全メンバーの約4分の1に当たります。ベテラン社員から若手社員まで、多様なメンバーに参加してもらい、2021年10〜12月に実施しました。8回のうち 7回は、朝活研修として週1回、朝8〜10時にリアルタイムのオンラインで開催。最終の8回目のみ対面で、3時間に延長して行いました。なお、本来は完全オンラインのプログラムで、対面での研修はカスタマイズです。柔軟に対応していただき感謝しています。

正直なところ、実施前は多くの脱落者が出ることも覚悟していました。忙しい者が多かったからで す。事後アンケート結果も、悲惨な結果になるかもしれないと想定していました。しかし実際には1人も脱落することなく終了でき、事後アンケートの評価も非常に高く、大変満足しています。事前課題の実施率も高く、多くの人が真面目に受講してくれました。

半田:事前課題の動画が短く、忙しい社員にもハードルが低かった点が良かったのではないかと感じています。

土居:それから、研修中に強く感じたのは、局内メンバーだけで研修を受講するメリットです。自己紹介や距離感を縮めるためのコミュニケーションが必要なく、議論が深まるスピードが速かったと感じています。特に目を引いたのは、誰かが発表しているときのチャットが非常に活発かつ濃密だったことです。また、8回目のリアル開催は、局内コミュニケーションを円滑にする意味でも大きな効果がありました。

半田:私がオブザーブした限りでは、序盤はロジカルシンキングに不慣れで、戸惑っている社員が多くいました。アイディア発想力やクリエイティビティが高いために、どうしてもすぐに打ち手を考えてしまうのです。しかし、講師がまさにそのことを的確に指摘してから、全体的にWhyを深掘りし、考え抜く習慣を身につけようとする姿勢が強まりました。

企画者の声
櫻井勇太

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDサービス開発部 マネジャー 櫻井 勇太


DX時代といわれる昨今、事業の急速な変化が求められていることが増えてきています。電通様のように、クライアントの課題がこれまで以上に複雑に絡み合ってきているなか、「従来の企画力や解決策では、お客様の課題を解決できない」そんな問題に直面している企業の皆様も多いのではないでしょうか。

今回の施策では、「考え抜く力を高める」というテーマのもと、2時間×8回の分散学習コンテンツを導入いただきました。この研修には、反転・反復学習を用いています。参加者の皆様には、事前に動画学習と課題に取り組んでいただき、研修当日はディスカッションを中心としたセッションに参加いただきました。また、ディスカッションの内容も、正解があるものではなく、自ら考え抜くことに重点を置いたテーマを用意しました。こういった分散学習は、記憶に定着しやすく、またオンラインだからこそ実現しやすい内容であると、企画者としても手応えを感じています。

変化が激しい時代においては、自ら「問いを立てる」ことで、前提や規制を疑い変えていくこと。「情報を構造化する」ことで、曖昧な課題を紐解いていくこと。「自論を定める」こと で、正解がない状況でも自分なりの結論を持つこと。これらが重要になってきています。今後もVUCA時代に必要なスキルをいかに定着させていくかにこだわりながら、開発を進めていきたいと考えています。

成果・今後の取り組み

会議中に「MECE」などの用語が飛び交うようになり、研修での学びが資料や打ち合わせに反映されている

土居様2

土居:反復学習を取り入れた結果、回を追うごとに身についている実感を持ちました。実際に、会議中に「MECE」などの用語が飛び交うようになり、研修での学びが、資料や打ち合わせに活かされていると感じることもよくあります。まだ研修終了から日が浅いので、明確な成果があったと言い切ることはできませんが、考え抜く力を日々磨いている社員は間違いなく増えました。

また、事後アンケートでは、「研修を通して、仲間の考え方がよく分かった」という声が目立ちました。実は私自身も、メンバーがどんな風に考えるのかを知ることができて有益でした。特に、若手社員の考え方への理解が深まったことがありがたかったです。中堅・ベテラン社員のなかにも、新たな一面を見せてくれたメンバーが何人もいました。副次的な効果ですが、全員がお互いに仲間をよりよく理解できたのは、PAC局にとって大きなことです。今後は残りのメンバーにも受講してもらい、局全体の考え抜く力を高めたいと考えています。

半田様2

半田:人事としては、リモート時代に反転・反復学習はとても相性がよく、聞くだけでは忘れてしまう内容もワークショップと組み合わせることで、より理解が深まる仕組みになっていると感じました。今後は、「考え抜く力を高める研修」を他部門にも横展開することも想定しています。他部門のニーズと合致することが前提ですが、同様の悩みを抱える部門は多く、可能性は十分にあるでしょう。

また、私は今回、この研修にオブザーバーとして伴走しましたが、今後はこうした「伴走型人事」のスタイルが求められると考えています。組織課題は多様かつ複雑で、外から見ているだけでは詳細まで理解することができません。伴走して研修等を一緒に取り組むことで、組織の課題感、参加者の変化を肌で感じることができ、次なる現場課題に即した人事施策を提案することにつながると考えるからです。

土居:現場としては、現場を知っている人事が研修を企画すると、実効性が高まると感じています。私は伴走型人事を歓迎しています。

半田:それから、今回よく分かったのは、「現業チームで学ぶ可能性の大きさ」です。研修で最も難しい課題の1つが「研修の転移(研修で学んだことを、現場業務に活かすこと)」ですが、転移を起こす有力な方法の1つは、今回のように現業チームで受講することだと思うのです。土居が話したように、現業チームで話し合うと議論の深まりが早 く、また現場でもお互いに刺激しながら学びを活用し合うことができます。部長の土居の「研修をきちんとやってください」という言葉に強い影響力があることも、人事としては非常に助かりました。研修転移をよりよく実現するために、今後は現業チームでの研修を増やすことを検討しています。

企業紹介

株式会社電通
顧客のマーケティング全体に対するさまざまなソリューション提供に加え、デジタル時代の変革に対応する効率的な広告開発、最適な顧客体験のデザイン、マーケティング基盤そのものの変革や、さらには顧客事業の変革をも推進している。また、マーケティング領域を超えて進化させた多様なケイパビリティを掛け合わせ、顧客と社会の持続的成長に貢献する統合ソリューションを提供していく。

株式会社電通コーポレートワン
(株)電通において主要コーポレート機能を担う人財、(株)電通マネジメントサービスと(株)電通ワークスの人財の集約と統合を通じて発足した、電通ジャパンネットワークにおけるコーポレートプラットフォーム。ファイナンス、人事、法務、システムといった機能分野に止まらず、内部監査やM&A、サイバーセキュリティやCoE推進といった分野まで、電通ジャパンネットワークのビジネスの進化に必要とされる機能の一元的な提供を図る。