「カオナビ」導入によって、短期間で支店の垣根を取り払うことに成功し、「多支店協働プロジェクトチーム」が生まれてきた

「カオナビ」導入によって、短期間で支店の垣根を取り払うことに成功し、「多支店協働プロジェクトチーム」が生まれてきた

プロジェクト概要

背景・課題

支店の壁を越えたワークシェア、人材育成、適正配置、適正評価、ベテラン社員から若手社員への技術継承などを実現するために、経営も各支店も「技術と人事の見える化」の実現を望んでいました。2020年に基幹システムを入れ替えましたが、それだけでは十分ではありませんでした。そこで2021年3月にタレントマネジメントシステムの導入を決定しました。

検討プロセス・実行施策

タレントマネジメントシステム導入の意思決定から3カ月で、すでに社内に存在して容易に取り込み可能なデータだけを実装してリリースし、使いながら改善していく手法を取りました。入力しやすさや分かりやすさを重視して、技術指標を4つに絞り込みました。また、カオナビに面談シートを実装し、人事の見える化の一環として、カオナビ機能を利用したキャリア面談制度を導入、マネジメント研修も併せて実施しました。

成果・今後の取り組み

顔写真がずらりと並ぶインターフェイスなどが好評を得ており、カオナビは各支店のマネジャークラスがよく見るツールになっています。それだけでなく、全社対応も着実に進んでおり、ある支店のプロジェクトに他支店のメンバーが加わる、「多支店協働プロジェクトチーム」の事例が増えてきました。マネジメント研修も、意識改革や共通言語の醸成につながったことは間違いありません。

背景・課題

支店の壁を越えたワークシェアと、人材育成・適正配置・適正評価のために「技術と人事の見える化」をしたかった

望月様
望月:私たちオオバは、数年前から「技術と人事の見える化」を推進してきました。その背景には、いくつかの想いや考えがあります。特に社長の辻󠄀本が、全社的に人材を活かす「ワークシェア」を進めたいと強く考えていました。それだけでなく、人材育成・適正配置・適正評価を促進するために、見える化を実行したいという想いもありました。

市川:私たちは1922年創業の建設コンサルタントで、全国各地の支店が独立して動く風土が伝統的に根づいていました。支店内でチームを組み、各地域のまちづくりに携わる組織体制になっており、支店を超えたチームづくりを行う習慣がありませんでした。支店ごとのカラーにもかなりの違いがあります。

その風土が変わる契機となったのが、2011年の東日本大震災です。東北復興支援のために全国の支店メンバーが集結し、全社協力体制のもとで皆が力を尽くしました。このとき、一時的に支店を越えたチーム編成を行ったことで、はじめて全社的な交流が発生したのです。その現場で、他の支店にも魅力的な人材がたくさんいる、ということを多くの社員が体感しました。その後は本社だけでなく、各支店においても支店の垣根を取り払いたい、全社対応のワークシェアをしたい、という機運が徐々に高まっていました。

しかし当時は、ワークシェアを実現する手立ては、個人の暗黙知しかありませんでした。「東北復興支援のときに一緒になったあの人にお願いしよう」という、属人的なワークシェアしか実現しなかったのです。これではいっこうに広がりません。ですから、技術の見える化は支店側の希望でもありました。

一方で、全社対応が可能になれば、落札できる案件は間違いなく増やせます。経営として、全社的なワークシェアを実現したいと考えるのは当然のことです。

それから、技術の見える化や全社対応を進める背景には、もう1つの大きな課題があります。それは「技術継承」です。これから、豊かな技術や経験を備えた60代の社員が退職していきます。私たちとしては、彼らの技術・経験を若手社員に継承したいのです。全社対応を実現して、社内の技術継承を進めたいというねらいもありました。

望月:「技術と人事の見える化」の第一弾として、私たちは2020年に基幹システムを入れ替えました。これによって、各支店のマネジャーが支店内の配下情報を見ることができるようになりました。また、各メンバーの保有資格の見える化も進めました。ただ、これだけではワークシェアは実現できず、人材育成・適正配置・適正評価にも十分ではありません。それならタレントマネジメントシステムを導入しよう、と意思決定をしました。

検討プロセス・実行施策

タレントマネジメントシステム導入決定から3カ月でリリース。使いながら改善していく手法を取った

美濃田様

望月:リクルートマネジメントソリューションズにお願いしたのは、当社への理解がすでに深かったことと、多くの事例に基づいたアドバイスをしてもらえることが大きな理由でした。リクルートマネジメントソリューションズから、優れたタレントマネジメントシステムとして「カオナビ」を紹介してもらい、最終的に導入を決めたのが2021年3月です。急ピッチで準備を進め、2021年6月から稼働を開始しました。導入決定から3カ月で、すでに社内に存在して容易に取り込み可能なデータだけを実装してリリースし、使いながら改善していく手法を取りました。

美濃田:カオナビの導入は、技術本部と人事総務部が協力して進めました。導入にあたって、私が最大のポイントだと考えたのは、「技術力の測定指標」の整理です。カオナビをワークシェアに役立つツールにするためには、各社員に自らの技術や実績をしっかり入力してもらう必要があります。その際、測定指標の善し悪しによって、入力しやすさや分かりやすさに大きな違いが出るだろうと思い、「我々コンサルタントの技術力とは何か」というところから考え始めました。

[サンプル画面1]

サンプル画像1

さまざまな検討を経て、私たちは「技術資格」「業務表彰」「学協会活動」「継続研鑽」の4つに測定指標を絞り込みました。建設業界では、技術資格は指標として最も重要で分かりやすいものです。また、私たちにとっては学協会での活動や論文寄稿・発表なども技術力を測る上では欠かせない要素であり、実績となります。継続研鑽は講習会参加や自己学習の日々の学びの履歴です。

誰もが自らの技術情報をこの4指標に整理すれば、自分の技術や実績を棚卸ししながら、技術の見える化を分かりやすく実現できると考えました。

望月:なお、これらの技術力測定指標は、現時点では評価システムとダイレクトに結びつけてはいません。

それとは別にカオナビに「キャリア面談シート」を実装し、カオナビ導入と並行して「キャリア面談制度」を導入しました。カオナビの技術情報を、人材育成や適正配置にも活用したいと考えてのことです。キャリア面談制度の導入にあたっては、マネジャー向けの「マネジメント研修」も併せて実施しました。マネジメント研修は以前から実施を検討しており、このときがベストタイミングだと判断しました。マネジメントレベルのばらつきが経営課題の1つになっており、マネジャーの能力向上を行いたいと考えていたのです。

市川:1つだけ付け加えると、カオナビには各社員の「現在の手持ち業務量データ」も載せています。このデータがないと、新たなプロジェクトに参加してもらってよいタイミングかどうかが分からず、ワークシェアが進みませんから。

成果・今後の取り組み

各支店のマネジャークラスが毎日見るツールになり、支店を超えたプロジェクトチームが立ち上がってきた

市川様

市川:カオナビは、各支店の現場では好評を得ています。カオナビが何よりよかったのは、顔写真がずらりと並ぶインターフェイスです。ちょうどコロナ禍の真っ最中で、なかなか対面で会えない事情もあって、他支店のメンバーの顔が見え、Web会議前に他支店から参加するメンバーの顔も知ることができるという点がまず好印象でした。美濃田が技術力測定指標を整理してくれた効果もあり、タレントマネジメントシステムとしても使いやすいという感触を持った者が多かったです。それから、カオナビを全社導入したことで、経営が本気で全社協力体制をつくろうとしているのだ、というメッセージを感じ取った社員が多くいました。本気度が伝わったという意味でも効果があったのです。

[サンプル画面2]

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全メンバーの情報を見る権限があるのはマネジャー以上ですが、支店マネジャーの多くがカオナビをよく活用していると聞いています。「この支店の○○さんは、こんな資格・経験を持っているのか」「この支店にはこんなスペシャリストがいるのか」といった他支店の情報を知るきっかけになることが、たいへん有用なようです。

私たちのねらいどおり、支店を超えたチームづくりが多くなってきています。実際に、ある支店のプロジェクトに他支店のメンバーが加わって、「多支店協働プロジェクトチーム」を立ち上げる事例が増えてきました。短期間で、支店間の垣根をかなり取り払えてきた実感があります。私が所属する営業本部では、いくつかの支店メンバーでプロジェクトを組むことで、より多くの案件を取りにいけると考えています。また、「新しい技術を身につけたい」と希望する若手社員には、その技術や経験を持つベテラン社員の下につけて、技術継承をねらうといった取り組みも始めています。こうした全社対応は今後さらに当たり前になるでしょう。そのとき、カオナビは欠かせない存在になるはずです。

美濃田:実は現在、社内のカオナビユーザーからさまざまな改善要望が届いています。彼らは日々使っているからこそ、さまざまなことに気がつくのです。私たちとしても、使ってもらいながら完成度を高めていくつもりでしたから、多くの改善要望が届くのは嬉しいことです。

当然ながら、データはもっと充実させる予定です。今取り組んでいるのは、業務実績データの増量です。現在は全社員の過去数年間の業務実績を入れていますが、さらに遡って増やしたいと考えています。業務実績データ量が増えれば、ワークシェアの精度をより高められるでしょう。

望月:現在のカオナビは、主にマネジャークラスが使うツールになっていますが、今後は現場メンバーも活用できるようにしていきます。全社員がカオナビの恩恵を得ている実感を持てる状態にしたい、と考えています。

なお、並行して実施したマネジメント研修は、多くのマネジャーが熱心に受講し、効果を実感していると聞いています。なかには、自分のマネジメントの問題に直面して、大きなショックを受けていたマネジャーもいました。彼らの意識改革や共通言語の醸成につながったことは間違いありません。今後は、カオナビをマネジメント変革と人材成長のツールとして、カオナビの活用度を高めていきたいと考えています。

コンサルタントの声
岩下広武マネジャー

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
コンサルティング部マネジャー 岩下 広武


今回の施策が実効性の高いものになった要因として、2点挙げられます。

まず、会社として何を実現するための施策であるかを、最初に明確にして進めた点。具体的には、弊社のご支援をスタートさせるにあたり、社長にお話をうかがい、今後のオオバを取り巻く環境認識と、10年後に実現したいオオバの姿を明らかにしました。その実現にあたり、今回の施策がどのような意味を持つのかをプロジェクト内で共有できていたことで、複数の部署が参画したプロジェクトであっても、目線を揃えて進めることができたと考えます。

次に、現場が積極的に参画している点。オオバ様の「“100点”よりもまずはやってみる」という姿勢が生きていると思います。それにより、スピード感を持った導入が実現し、早期から、各支店で使っていただきながらご意見やアイデアをいただくことができました。例えば、面談シートを使った「キャリア面談制度」については、初回が終わったタイミングで、実施状況や改善要望をアンケートによって全社員に確認し、プロジェクトで結果を踏まえた課題設定を行いました。さらに、各支店では「よりよくするにはどうしたらよいか」「こんなことが見えるとさらに活用が進む」という意識でカオナビをご活用いただいているため、美濃田様のコメントにもありますように、さまざまな改善要望が出されています。これは言い換えると、活用の可能性と意欲が広がっているということです。人材価値最大化のため、ワークシェアや人材育成のみならず、適正配置・適正評価への活用も期待できます。今後のカオナビ活用の進化が楽しみです。

企業紹介

株式会社オオバ
測量設計業務の大半が官庁直営で行われていた時代に、これを民業(民間)として育成しようという理想のもと、1922年(大正11年)に創業。2022年に創業100年を迎える。創業以来、「優れた技術と豊富な経験を活かし、高品質のサービスを提供することにより社会の発展に貢献するとともに、顧客・株主・社員の期待に応えること」という企業理念を掲げ、現在では国内外における社会資本整備に関わるコンサルティングサービスを提供している。


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