部長に求められる役割を考える
〜経営人材として活躍できるために部長職で求められるチャレンジ〜
近年、次代を担う経営人材の育成に多くの企業の関心が集まっています。ミドル(課長)層を中心とした選抜教育にすでに何年も前から取り組んでいる企業も数多くあります。共通する問題意識は、「現在の経営陣の次を担えるような幹部が育っていないように感じる」というもので、多くは現経営陣からそうした言葉が漏れるようです。
弊社ではここ数年、優れたリーダーやマネジャーはどのように育つのかをテーマとして数多くの企業のご協力をいただきながら調査研究を進めてきました。そして、マネジャー育成において次の二つの前提条件を確認するに至りました。
一つは、ロワー、ミドル、シニアそれぞれのマネジメントのステージ(段階)で求められる役割と直面するチャレンジが異なること。もう一つは、各ステージで直面するチャレンジにうまく対処し、乗り越える経験(チャレンジからの学習)がマネジャーをさらに次のステージに向けて成長させるということです。こうした、マネジャーとしてのキャリアの「トランジション(移行)」については、過去のレポートでも述べてきました。
今回、シニア・マネジメントのステージである「部長」に着目するのは、このステージでのチャレンジが、次世代経営人材としての重要な能力開発機会であるにも関わらず、他の階層(例えば課長層や役員層)に比べて、任用時の役割認識や能力開発の支援がさほどなされていないという問題意識からです。