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孤立を防ぎ自律を促す、オンラインでの1on1

テレワーク環境下における、1on1ミーティングの必要性とは

  • 公開日:2020/07/13
  • 更新日:2024/04/06
テレワーク環境下における、1on1ミーティングの必要性とは

テレワークの普及により、上司と部下のコミュニケーションに大きな変化が起きています。具体的には、コミュニケーションの手段・内容(質)・量の3つの側面で起きている、次のような変化です。 ・手段:対面中心からオンラインに ・内容(質):フォーマル(進捗管理など)・インフォーマル(雑談など)の会話があった今までから、フォーマル(進捗管理など)のみに ・量:減少する傾向に こういった変化が加速すると、上司は、部下がどのような悩み・不安を抱えて仕事をしているか把握しづらく、マネジメントの負荷や難度が高まっていきます。 その対応策として、1on1ミーティングを導入検討する企業が増えています。 本稿では、セミナーでお伝えしていることを中心に、テレワークにおける1on1ミーティングの必要性・効果・押さえておきたいポイントをお伝えします。

テレワーク環境下でなぜ1on1ミーティングが必要となるのか
テレワーク環境下における、1on1ミーティング実施のポイント
テレワーク環境下における、1on1ミーティングの効果

テレワーク環境下でなぜ1on1ミーティングが必要となるのか

なぜ、テレワーク環境下において、1on1ミーティングが必要とされるのでしょうか。
それは、「1on1ミーティングが、難度の高まるマネジメントへの対応策」となりうるからです。もちろん、これだけで解決しないこともありますが、上司・部下間のコミュニケーションが変化している現代において、有効な1つの手段として注目されています。

それでは、「難度の高まるマネジメントへの対応策」について、詳しく解説していきます。まずは前提情報として、マネジャーの基本的活動であるマネジメントサイクルをご紹介します。

図表1 マネジメントサイクル:マネジャーの基本的活動

初めに、各組織に振り分けられている目標を、どのように達成していくのか手順を取り決めます。次に、その目標を達成するための資源を最適に配分し、目標達成に向けてメンバーに指示を出します。適宜計画どおりに進んでいるのかを確認しながら、問題が起きた場合は必要に応じて関係者に働きかけ、軌道修正していきます。これらが、管理職が日常行っているマネジメントのサイクルです。

テレワーク環境下においては、マネジメントサイクルを回す際に留意すべきポイントが急激に増え、「普通に回す」難度が高まります。
留意すべきポイントとしては、各プロセスで図表2のようなことが挙げられます。全てのプロセスを通して言えることは、対面から伝わる視覚的・聴覚的情報が、以前より獲得しづらくなるため、意識的に部下のコンディションを確認する必要があることです。

図表2 テレワーク環境においては、マネジメントサイクルを「普通に回す」ことが困難になる

テレワーク環境下だからこそ生まれがちなひずみとしては、下記のようなことが挙げられます。
・仕事の側面のコミュニケーションに偏りがちになり、部下の成長といった人の側面に意識が回りにくくなった結果、部下が成長を実感しづらくなる
・最低限のコミュニケーションを行うが故、任せている仕事の意味や価値を伝えきれず、作業として仕事を任せてしまうことで、部下のモチベーションが低下してしまう

こういった留意すべきポイントをサポートする施策として、1on1ミーティングが必要とされているのです。

図表3 1on1ミーティングによる対応例

1on1ミーティングを実施することで、テレワーク環境化で不足しがちなコミュニケーションの量と質を補うことができます。ここで言う、コミュニケーションの質とは、部下の感情や気持ちを汲んだ関わり方のことを指しています。加えて、業績不振時やトラブル時にのみ、指示・命令するといった、上司視点の一方的なコミュニケーションを防ぐことに繋がります。

テレワーク環境下における、1on1ミーティング実施のポイント

ここからは、1on1ミーティングで、特に意識すべきポイントとなる「4つのステップ」「3つの関わり方と基本スキル」をそれぞれご紹介していきます。
対面でも、テレワークでも、1on1ミーティングの実施ポイントは同じです。
ただし、テレワークだからこそ、「4つのステップ」と「傾聴のスキル」は、特に意識することを推奨します。その理由についても、下記で解説します。

※図表のなかにある「3つのスタンス」については、こちらをご参照ください。

図表4 1on1ミーティングにおける3つのスタンス・4つのステップ・3つのスキル

「4つのステップ」とは、1on1ミーティングの際に意識すべき面談の進め方です。具体的なステップは下記のとおりです。
ステップ1:振り返りとテーマ設定
ステップ2:話を聴く
ステップ3:学びとアクションの確定
ステップ4:励ましとサポート

この4つのステップは、経験学習サイクルに基づいています。経験学習サイクルとは、人材育成に関する最新のアプローチの1つで、「具体的な仕事上の経験を振り返り、そこから何を学んだかを明らかにし、次にやるときに応用してみる」といったサイクルを意味しています。テレワーク環境下においては、部下の自律性を高めることが重要であると前述しましたが、そのためには部下の経験学習サイクルを回す関わりこそが効果的です。

図表5 4つのステップの理論背景:経験学習サイクル

次に、「3つの関わり方と基本スキル」についてご紹介いたします。
1on1ミーティングでは、ティーチング/コーチング/フィードバックと呼ばれる、3つの関わり方を組み合わせて対話を行うことが一般的です。実際は、それぞれの部下の状況や話されるテーマに合わせて、上司の判断のもと、必要な関わり方を組み合わせて対話する、ことが期待されます。それでは、この3つの関わり方について、それぞれ効果的な場面と使い分けについて紹介していきます。

初めに「ティーチング」です。ティーチングとは、「相手の知らない知識・やり方を教える、指示する」関わり方です。一般的には、迅速な問題解決の促進や経験・知識が不足している部下の指導・教育に有効といわれています。ティーチングの主な使用場面は、部下が初めて取り組む仕事など、仕事を進める上で必要な知識を教えたり、クレームなどの緊急性の高い仕事への対応方法をアドバイスしたりするような場面が挙げられます。
続いて、「コーチング」です。コーチングとは、「対話を通じて、相手の考えや気づきを引き出す」関わり方です。部下の自律的な成長を目的に、昨今のマネジメントにおいてより身につけていくことが期待される関わり方といわれています。コーチング的な関わり方は、部下が、自分の仕事を自ら設計し、主体的に取り組むスタンスを醸成します。例えば、正解や答えのないものを生み出すような提案の場面や、今後の自身のありたい姿などを考える場合にコーチングの関わり方は有効です。1on1ミーティングは、ティーチング、フィードバックという関わり方以上に、コーチングを意識することが必要となります。
最後に、「フィードバック」です。フィードバックとは、「相手が現実と向き合う機会を提供する、要望する」関わり方です。
部下に、自分の現状や現実について向き合ってもらうことを促す際に効果的です。上司としてダメ出しをするのではなく、部下が現状を正しく認識し、今後に向けての改善案を立てられるようなサポートを心掛けることが重要です。

以上、ここまで3つの関わり方について紹介してきました。

次に、上記3つの関わり方のなかで特に自律を促す上で重要な「コーチング」における3つの基本スキルについて紹介します。
まず、1つめが「傾聴のスキル」です。傾聴のスキルとは、「話の背景にある意味や気持ちを聴くスキル」です。受容的に上司が傾聴することで、部下との間で安心・安全に対話する雰囲気を醸成できるだけでなく、自分の言葉の背景にある気持ちや価値観を上司が言語化してくれることで、新たな気づきや学びが生まれることもあります。
テレワーク環境下では、上司は、部下の心理状態を把握しづらくなり、部下は、上司に気軽に声を掛け、些細な相談をするハードルが高くなります。その為、上司への安心感や信頼関係を醸成することのできる傾聴のスキルはとても重要なスキルとなるのです。このような不安や心配になりやすい状況においては、自身の気持ちを分かってもらえている安心感を、部下は求めているのです。
2つめは「質問のスキル」です。質問のスキルとは、「相手が捉えている現状や今後に関する認識を訊くスキル」です。部下と共に経験を振り返り、学びを得ていく場面や部下と共に今後の行動を考えていく場面などにおいて、重要なスキルとなります。
最後は「認知のスキル」です。認知のスキルは、「話を通じて感じた相手の人柄やあり方を肯定的に認めるスキル」です。認知を通じて、部下は上司が自分のことをよく見てくれていることを感じ、安心して発言できるようになります。部下との関係を深めていく上でも、重要なスキルです。

以上が、1on1で特に意識すべきポイントとなる「4つのステップ」と「3つの関わり方と基本スキル」となります。1on1を進める上で参考にしてください。

テレワーク環境下における、1on1ミーティングの効果

最後に、テレワーク環境における1on1ミーティングの効果について、ご紹介します。1on1ミーティングの効果は、各社の状況によってさまざまありますが、大きく分けると下記3つに集約されます。

図表6 1on1の効果

レベル1:コンディション把握
テレワーク環境下では、日常的に部下の顔が見えないことで、部下のコンディションを把握できないという声をよく耳にします。1on1ミーティングでは、定期的にコミュニケーションの機会を設けることになるため、部下のコンディションを把握しやすくなります。

レベル2:関係性構築
弊社が行ったテレワークに関する調査では、寂しさや疎外感が増す社員が3割を超えるといった結果が出ています。定期的に対話をすることで、部下の寂しさや疎外感を軽減させる効果があると考えられます。ここで大事なことは、1on1ミーティングの場を設定するだけではなく、傾聴や認知といった、部下との関係性を構築するスキルを活用し、部下にとって本音で対話ができる場を提供することが必要だということです。

レベル3:自律促進
テレワーク環境下では、1人で仕事をする時間が長くなり、高い自律性が求められます。
1on1ミーティングで、部下の「経験学習サイクル」を回す関わりを上司が意識することで、部下が自律的に仕事を進めることを促進できます。

ここまで、テレワーク環境下における、1on1ミーティングの必要性や活用法、効果についてお伝えしてきました。とはいえ具体的にはどうやって自社に導入すればいいのか、イメージできないこともあるかと思います。

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