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東京大学発ベンチャー企業×CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)プロジェクト・第1回

2024年、東京大学発ベンチャー企業にCESを提供するプロジェクトを始動

  • 公開日:2024/12/02
  • 更新日:2024/12/16
2024年、東京大学発ベンチャー企業にCESを提供するプロジェクトを始動

リクルートマネジメントソリューションズは2024年、東京大学TLOとの協業で、東京大学発ベンチャー企業にCES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)を提供するプロジェクトを開始しました。3回にわたって、本プロジェクトの内容を詳しくお伝えします。第1回は、本プロジェクトを共に立ち上げた山本貴史氏(株式会社理研イノベーション 代表取締役社長、前・株式会社東京大学TLO 代表取締役社長)に、なぜ東京大学発ベンチャー企業にCESが必要なのかを詳しく伺いました。

本シリーズ記事一覧
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短時間で「幹部間の薄皮一枚の壁」を取っ払いたいなら、CESが手っ取り早い
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東京大学発ベンチャー企業×CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)プロジェクト・第1回
2024年、東京大学発ベンチャー企業にCESを提供するプロジェクトを始動
東大TLO社長として、数えきれないほどのベンチャー企業を見てきた
多くのベンチャー企業が、実は「チームワークで失敗」している
CESが日本中のベンチャーに広まれば、成功確率がきっと高まる

東大TLO社長として、数えきれないほどのベンチャー企業を見てきた

山本社長の画像

今回のプロジェクトは、2022年頃に、私が東京大学TLO 代表取締役社長時代に、リクルートマネジメントソリューションズに相談したことがきっかけで始まったものです。TLOとは何か。私がなぜ大学発ベンチャーにCESが必要だと考えたのか。それは私のプロフィールと合わせて語ると分かりやすいと思います。

私は新卒でリクルートに入社し、いくつかの部署を経験しましたが、そのなかにはCESを生み出した部署も含まれています。つまり、私は30年ほど前から、CESの原型を経験して知っていたわけです。その後、私は1996年にリクルート社内で新規事業を立ち上げたのですが、それが「テクノロジー・ライセンス・ビジネス」でした。

「TLO」は、Technology Licensing Organization(技術移転機関)の略称で、有益な知を世のなかに広めていくことをミッションに、大学の研究成果を特許化し、それを民間企業などへライセンスする組織です。私は当時、「企業と学生をマッチングする」新卒採用ビジネスに関わっており、次はTL・ビジネスで「企業と技術をマッチングする場」を創ろうと考えたのです。私は大学で技術移転を学んでおり、その学びを生かした新規事業でもありました。

その後、私は2000年に東京大学TLO代表取締役社長に就任し、2023年まで続けました。東京大学TLOは、文字どおり、東大の発明と企業の橋渡しをする組織です。多くは既存企業に技術供与する形でしたが、なかにはベンチャー企業を立ち上げて、事業化していくスキームも相当数ありました。つまり、私は20年以上にわたって、数えきれないほどのベンチャー企業を見てきたのです。

多くのベンチャー企業が、実は「チームワークで失敗」している

私の持論は、多くのベンチャー企業が、実は「チームワークで失敗」しているということです。私はリクルート時代には新卒採用の専門家でしたから、TLOとしての視点とは別に、人事的な視点も持っています。その私から見ると、優れた技術を持っているにもかかわらず、チームをうまく構築できずに失敗してしまうベンチャーが、山ほどあります。もちろん、大学発ベンチャーが成功するためにはビジネスプラン、資金調達、知的財産といった諸問題をクリアすることは大前提となります。しかし、それらの問題・課題を乗り越えていくためには、創業メンバーのチームワークがカギとなるのです。

なぜ創業メンバーのチームワークがカギになるかというと、大学発ベンチャーの初期の経営ボードは多くの場合「専門家の寄せ集め」だからです。高いスキルを持った多様なスペシャリストたちが集結し、短期間で大きな成果を出そうとしますが、よほどチームワークづくりに長けたリーダーがいないと、役割だけの関係性にとどまりがちです。そうすると、お互いのことをよく知らないまま、表面的なやり取りに終始し、オープンなコミュニケーションがなされず、遠慮し合ったり、仲間への不信感を高めたり、意思疎通がちぐはぐになったりすることが起こりがちなのです。

ベンチャーが成功を収めるためには、チーム内で胸襟を開いて遠慮なく話し合い、時に激しく意見をぶつけながら、それでも一丸となって目標を目指すことが欠かせません。しかし、それができないままクラッシュしてしまうケースが実に多いのです。私は長年、この問題を何とかして解決したいと思ってきました。

実は、リクルートマネジメントソリューションズに依頼する以前は、私自身がリクルート時代の経験を生かし、ベンチャー向けの簡単なディスカッションプログラムを提供していました。しかし、私は東京大学TLOの社長ですから、客観的な第三者にはなり得ません。私のプログラムでは限界があったのです。そこでコミュニケーションのプロであるリクルートマネジメントソリューションズのCE部に相談して始まったのが、今回の「東京大学発ベンチャー×CESプロジェクト」です。

CESが日本中のベンチャーに広まれば、成功確率がきっと高まる

山本社長の画像

私は現在、東京大学TLOを離れ、東京大学の副理事、理化学研究所の副理事と理研イノベーションと東京大学エクステンションの代表取締役社長を務めています。東大TLOのメンバーから、第1号案件の「株式会社Gaianixx(ガイアニクス)」へのCES提供が大成功だったと聞いて本当に嬉しく思っています。Gaianixxは、東大TLO史上最高規模レベルの18億円以上もの資金を調達している、極めて有望なベンチャーであり、半導体業界で革命を起こす可能性を秘めた技術ベンチャーです。その成功の確率を確実に高める施策となったと聞いており、本当に素晴らしい成果だと思います。

私の師匠である「技術移転の父」ニルス・ライマース氏は、アメリカのスタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、カリフォルニア大学バークレー校、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の4つのTLOを創りました。私が学んでいた時期、ライマース氏はちょうど、Google創業者のラリー・ペイジ氏やセルゲイ・ブリン氏を支援していました。今や世界的企業となったGoogleも、TLOのサポートを受けていた時期があるのです。

同じように、日本のTLOからもGoogleのような大成功を収めるベンチャーが現れる可能性が十分にあります。その最初の一歩を支援すれば、おそらくずっと継承されていくことでしょう。その意味で、これはリクルートマネジメントソリューションズにとっても価値の高いプロジェクトではないかと思います。ぜひ今後もTLOに力を貸してください。そして最終的には、CESを日本中のベンチャーに広めてほしいと思います。そうすれば、日本発のベンチャーが成功する確率はきっと高まるはずです。

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