- 公開日:2024/12/09
- 更新日:2024/12/16
リクルートマネジメントソリューションズは2024年、東京大学TLOと共同で、東京大学発ベンチャーにCES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)を提供するプロジェクトを開始しました。3回にわたって、本プロジェクトの内容を詳しくお伝えします。第2回は、本プロジェクトの第1号クライアントとなった「株式会社Gaianixx(ガイアニクス)」代表取締役社長(CEO)中尾健人氏に、CESを受けることにした理由や背景、実施プロセスや成果などについて詳しく伺いました。
- 東京大学発ベンチャー企業×CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)プロジェクト・第3回
- 短時間で「幹部間の薄皮一枚の壁」を取っ払いたいなら、CESが手っ取り早い
- 東京大学発ベンチャー企業×CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)プロジェクト・第2回
- ベンチャーこそCESのようなサービスを活用した方がいい
- 東京大学発ベンチャー企業×CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)プロジェクト・第1回
- 2024年、東京大学発ベンチャー企業にCESを提供するプロジェクトを始動
- 目次
- お互いに腹を割って理解し合う機会を設ける必要を感じていた
- 大学発ベンチャーは研究開発チームと社会実装チームの対立を避けなくてはならない
- 履歴書や職務経歴書では分からないことをお互いにたくさん語り合えた
- 技術系幹部6名で驚くほど簡単に具体的な目標を決めることができた
- CESのようなサービスがここまで重要だとは思っていなかった
お互いに腹を割って理解し合う機会を設ける必要を感じていた
私たちGaianixxは2021年11月に設立した東京大学発テクノロジーベンチャー企業です。最高科学責任者(CSO)の木島健先生(東京大学 工学系研究科 特任研究員/工学博士)が発見した「多能性®中間膜」と「動的格子マッチング」の技術(マルテンサイト・エピタキシー)を市場に投入し、分野を問わず半導体の飛躍的な革新を起こすことを目指しています。日本中から、半導体業界の経験豊富な研究者・エンジニア・マネジャーなどが集まった「ディープテック企業」です。
多能性®中間膜は世界を一変させる可能性を秘めた画期的なテクノロジーで、半導体の製造コストを飛躍的に下げることができます。ただ、大手企業向けのビジネス展開となることから、事業プランと連携した綿密な知財戦略を構築する必要があり、ビジネス展開にはある程度の時間がかかります。しかし一方で、ベンチャーの宿命として、投資家からは常に短期的成果を求められています。多能性®中間膜のマーケットポテンシャルは計り知れないのですが、経営のかじ取りは決して簡単ではありません。
私たちが短期間で大きな成果を出すうえで最大のカギとなるのが、研究開発から社会実装(量産化)へのスムーズな移行です。しかし社内では、研究開発チームと社会実装チームは潜在的な役割の違いから、お互いに複雑な心境を抱えていました。またディープテック領域では尖った技術者が集うが故に、議論が空中戦となりファクトベースになりづらかったり、相容れない意見に否定的になってしまったり、自分の興味・関心を優先させ自分本位に映ってしまう行動が見られたり、ということが時に起こります。
まだ問題が大きかったわけではないのですが、小さい内に、コストをかけてでもチームビルディングを計画し、今後に向けた懸念材料を早期段階で潰しておきたいと思いました。ちょうどそのとき、リクルートマネジメントソリューションズがCESを提供してくれるという話を聞き、私はすぐに手を挙げたのです。
大学発ベンチャーは研究開発チームと社会実装チームの対立を避けなくてはならない
実は、メーカーでは、研究開発チームと社会実装チームが対立までいってしまうことは、決して珍しくありません。両者はある意味で対極的な存在で、常に対立する可能性があるのです。実際、私は前職の外資系総合電機メーカーでも同様の対立を経験しました。前職では一時期、本社の研究開発チームと社会実装チームが攻撃し合っていました。その際は、社会実装チームが、研究開発チームのペインポイント、達成しなければならない目標やKPIなどをよく理解することで歩み寄り、お互いのチームワークが機能し始めました。
大学発ベンチャーで、チームワークづくりに長けたリーダーが少ない場合、内部だけで抜本的に解決するのは簡単ではありません。また、大企業と違って私たちのような小規模企業では、この問題が大きくなれば、組織崩壊、ひいては事業存続に影響する可能性が十分にあります。大学発ベンチャーは、研究開発チームと社会実装チームの協働は絶対に避けてはならないのです。ですから、私にとってCESは本当にありがたいサービスでした。
履歴書や職務経歴書では分からないことをお互いにたくさん語り合えた
2024年、Gaianixxの技術系幹部メンバー6名が、2泊3日のCEセッションを実施しました(※詳しい内容は第3回記事で紹介します)。私はオブザーバーとして同席しました。結論からいえば、このタイミングで実施して本当によかったと思っています。
第1に、技術系幹部6名の相互信頼を一気に高めることができました。なぜなら、幼少期の家庭環境や思い出から始まって、人生のターニングポイント、これまでの苦労や失敗経験、自身の長所・短所まで、お互いのバックボーンを深く知り合うことができたからです。また、幹部は大手企業で相当のキャリアを積んできた者ばかりですから、Gaianixxに入社するにあたって「捨ててきたもの」があります。お互いがどのような決断をして、何を捨てて飛び込んできたのかを交わし合うことができたのも、私たちにとって大きな財産となりました。
社長の私が社内で企画して、このような深い話をする場を設けようとすると、権威や権力といった影響が邪魔をします。しがらみのない第三者のコーディネーターの存在によって、幹部たちが気兼ねなく、自発的に語り始め、履歴書や職務経歴書では分からないことをお互いにたくさん語り合えたのです。オブザーブしていた私は、それ以降、6人の考え方や行動がいちいち腑に落ちるようになりました。彼らのことがよく理解できるようになったのです。おそらく6人にも同じことが起きています。
技術系幹部6名で驚くほど簡単に具体的な目標を決めることができた
第2に、そうやってお互いを深く知り合い、お互いを信頼できるようになったら、技術系幹部6名で驚くほど簡単に具体的な目標を決めることができました。ある製品にどの材料を使うのか、期限をどこに設定するのか、そのためにどのようなスケジュールを引けばよいのか。そうした問いに対して、全員がセッション後半の1~2日間であっという間に答えを出して合意したのです。
本当に驚きました。なぜなら、私がこれまで定期ミーティングなどで実現したいと思っていたのになかなかできなかったことが、CESを実施したことをきっかけに、いとも簡単に実現できたからです。相互信頼を高めることの重要性がよく分かりました。
セッション終了後、幹部の1人がホンネを語ってくれました。「本当はこういうことを話し合わなければならないとずっと思っていました。でも、できていませんでした。遠慮と小さなプライドが邪魔していたからです」。CESは、私たちの遠慮と小さなプライドを流し去ってくれたのです。
CESのようなサービスがここまで重要だとは思っていなかった
しかしながら、今回のCEセッションは「出発点」にすぎません。これからどうするのかは私たち次第です。私自身は、CEセッションが無駄にならないよう、皆が日々信頼し合い、腹を割って建設的に議論し合える環境をつくるため、メンバーの心のケアに力を尽くしていきたいと考えています。
ベンチャー企業こそ、CESのようなサービスを活用した方がいいと思います。今お話ししたように、ベンチャーでは経営幹部の信頼関係を改善するだけで、コミュニケーションが本当に大きく変わる可能性があります。私は大手企業で勤務していた際にCESのようなサービスを受けたことがありますが、正直にいって、当時は同様のサービスがここまで重要だとは思っていませんでした。おそらく既存企業というしっかりとした屋台骨があり軽んじていたと思います。ところがベンチャーのような吹けば飛ぶような脆弱な屋台骨において、いくら各々の鉄骨が強靭なものでも、組み方を間違えれば機能もせず、強風が吹けばいとも簡単に崩れてしまうということを痛感し、大きな危機感を持ちました。
私たちは創業から2年以上経ってから実施しましたが、できることなら、組織の原型ができ上がった時点、ないしは私が感じたような小さな懸念が少しでも頭によぎったタイミングでセッションを行うのがベストではないかと思います。すべてのベンチャー企業にお薦めします。
- 東京大学発ベンチャー企業×CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)プロジェクト・第3回
- 短時間で「幹部間の薄皮一枚の壁」を取っ払いたいなら、CESが手っ取り早い
- 東京大学発ベンチャー企業×CES(コミュニケーションエンジニアリング・サービス)プロジェクト・第2回
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