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連載・コラム

中小企業の人材育成を考える 第6回

人事課題の可視化を実現する「360度サーベイ(多面評価)」

  • 公開日:2023/12/25
  • 更新日:2024/05/16
新価値創造の専門家4人から熱い言葉のシャワーを浴びた4時間〈Jammin’アップデートアワー〉

弊社はこれから初めて本格的に人材育成に取り組む、という中小企業の皆様からもご相談をいただいています。 本コラムではそのようなご相談を年間約1000件お受けしている、インサイドセールス部門の担当者から人事の方に向けて、お役立ていただける情報を発信していきます。

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360度サーベイの活用が増えている背景
アセスメントとサーベイの違い
結果を次に生かすためにはフィードバックが重要
最後に

360度サーベイの活用が増えている背景

中川 和明(なかがわ かずあき)
HRD・OD事業推進部 営業推進グループ
企画スタッフ

中川さんイラスト

弊社の人材育成、組織開発部門でインサイドセールスを担当している中川和明と申します。

人事の皆様からいただくお悩みとそれに対してお答えしている内容をもとに、主に中堅・中小企業の方が人材育成について考える時にヒントになる情報を発信したくこのコラムシリーズをスタートしました。

本コラムシリーズの趣旨ついては第1回に記載していますので、ご参照ください。


中小企業の人材育成を考える 第1回
人材育成のよくあるお悩み「マネジメントを強化したい」はなぜダメなのか?

第6回となる今回は、「360度サーベイ(多面評価)」についてお話しします。

管理職育成の回でもお伝えしましたが、管理職育成に360度サーベイを活用するケースが急速に増えています。

その背景の1つには、360度での評価、特に「部下が上司を評価する」ということについての抵抗感が昔に比べて薄れてきたということもあると感じています。私たちも管理職育成に繋がる非常に有効な施策としてよくご提案をさせていただいていますが、以前は「良いのはわかるけど自社では抵抗がありそう」という反応が多い印象でした。しかし、最近はそういったお話も出ることなく実施に繋がるケースが増えています。

昔に比べて上司と部下の関係もフラット化し、お互いに定期的にフィードバックを受けることが当たり前になってきているのかもしれません。

もちろん、360度サーベイという手法自体がより求められるようになってきたという背景もあります。今の時代の管理職には年代や雇用形態も多様化しているメンバーをマネジメントしていくという難しさがありますし、これまでの延長線上ではない戦略を立案・推進していく役割を期待されている場合も少なくありません。そのような周囲の期待の変化を正しく受け止めて自身のマネジメントに反映していくために360度サーベイは有効です。

また、価値観の違う若手メンバーとのコミュニケーションでハラスメントに繋がるリスクに備えたい、というご要望も増えてきました。

人事の方にとっても自社のマネジメント層にどういう課題があるのかを定量的に把握し、手を打っていくべきポイントを明らかにすることができるツールでもあります。

アセスメントとサーベイの違い

このように「自社の人事施策の検討のために現状を明らかにしたい、そのためにツールを活用したい」というお話をいただくことも多いのですが、その際にアセスメントとサーベイ、また組織のサーベイと個人のサーベイを混同されていることがあるのに気づきました。

正しく理解いただくことで施策の検討がしやすくなりますので、ご存じの方にとっては釈迦に説法だとは思いますが少し整理してみたいと思います。

まず「アセスメント」は個人の能力を測るツールです。変化しにくい基本的な能力や一定の職務への適性を測る「適性検査」、課題解決に取り組んでもらいそのプロセスや結果をアセッサーが評価する「アセスメント研修」などの手法があります。

基本的に被評価者本人が回答したり、課題に取り組んだりした直接の結果をもとに評価を行う手法です。

一方、「サーベイ」はその組織に所属する人や、被評価者の周囲の人が評価者になります。組織または個人(上司など)をどう捉えているかを回答してもらい、その回答結果をもとに現状と課題を明らかにする手法です。つまり、サーベイはアセスメントと違って「周囲の期待に照らし合わせた評価」が結果に反映されているという特徴があります。サーベイの実施を検討したり、結果を考察していったりする場合に、このことは正しく理解しておく必要があります。

サーベイはそのような特徴からも「昔はこれで良かったけど今は違う」というようなことを明らかにする場合も有効です。

例えば、

・一昔前は部下に厳しく指導することは問題なかったが、今の若手層にはとっては有効ではなく、場合によっては離職に繋がってしまう
・ビジネス環境が変化し昔のやり方が通用しなくなっている、変化に対応する組織になってほしい

などのケースで活用いただくことも増えています。

さらに、「サーベイ」には評価の対象が組織のものと個人のものがあります。前回第5回のコラムでご紹介した弊社のエンゲージメント・ドライブは組織を対象にしたサーベイ(組織診断)です。今回のコラムでご紹介している360度サーベイ(多面評価)について弊社ではMOAというサーベイをご用意していますが、こちらは管理職などの個人について周囲からの評価を確認するサーベイになります。

マネジメント上の課題を明らかにしたい場合や、管理職育成に繋げたい場合は360度サーベイ、会社や組織の人事課題を可視化したい場合は組織診断というように使い分けていただけます。ただ、その2つの課題は影響し合っている場合も多いですので、施策検討についてはぜひご相談いただければと思います。

結果を次に生かすためにはフィードバックが重要

次にサーベイの結果を改善に繋げていくために重要なポイントについてお伝えします。

サーベイ結果の点数が低い場合に、必要以上に本人が落ち込んでしまって「自分はダメだ」という捉え方をすることは誰のためにもなりません。とはいえ、良い点も悪い点も正しく受け止め、「自分の行動が周囲の期待とずれている部分がありそうだ」と次へ課題設定していくということを1人で行うのは難しいことでもあります。

結果を次へ繋げていくためには、どのように本人に結果を返すかということが重要です。

2020年に弊社で行った調査では、360度サーベイの結果について人事から返却している企業が34.2%、上司から返却している企業が18.5%、集合研修の場で返却している企業が内製、外部委託含めて合計13.5%でした。

<図表>360度評価の結果は、対象者本人に返却していますか?

<図表>360度評価の結果は、対象者本人に返却していますか?

前章でお伝えしたことから繋がりますが、360度サーベイの結果が良くないということは「周囲の期待と本人の行動にずれがある」ということです。しかし、周囲からすると期待と違う行動だったとしても、管理職本人はその行動が良いと思って一生懸命マネジメントを行っている場合が多いと思います。もし上司からや研修の場でフィードバックするならそのことを伝えたうえで、「周囲の期待に応えていくためにはどうすれば良いか」を考えられるようにサポートしていくことが本人の納得度に繋がります。

弊社では360度サーベイのフィードバックガイダンスやコーチングサービス(サーベイフィードバックコーチング)もご用意しています。

最後に

今回は、360度サーベイ(多面評価)についてお伝えしました。

360度サーベイは、上記でお伝えしてきたように人材育成ツールとしても有用な手法ですが、人事の方にとっては定点観測していくツールとしても同時に活用いただけるという一石二鳥の側面もあります。

活用イメージや事例について無料動画セミナーでもお伝えしていますので、参考にしていただければ幸いです。

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