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連載・コラム

中小企業の人材育成を考える 第1回

人材育成のよくあるお悩み「マネジメントを強化したい」はなぜダメなのか?

  • 公開日:2022/12/23
  • 更新日:2024/05/16
人材育成のよくあるお悩み「マネジメントを強化したい」はなぜダメなのか?

■プロローグ
弊社ではこれから初めて本格的に人材育成に取り組む、という中小企業の皆様からもご相談をいただいています。 本コラムではそのようなご相談を年間約1000件お受けしている、インサイドセールス部門の担当者から人事の方に向けてお役立ていただける情報を発信していきます。

目次
はじめに
中小企業でよく伺う人材育成のお悩みとは
人材育成がうまくいかない要因は何か
抽象ワードにのみ込まれず課題を明確にしていく
最後に

はじめに

中川さんイラスト

中川 和明(なかがわ かずあき)
HRD・OD事業推進部 営業推進グループ
企画スタッフ

弊社の人材育成、組織開発に関するサービスを提供している部門でインサイドセールスを担当している中川和明と申します。インサイドセールス部門とは人事の方からの人材育成や組織開発についてのご相談、ご依頼を最初にお受けする部門です。冒頭でもお伝えしたように、私は初めて弊社にご相談いただく方を中心に年間約1000社の人事の方とお話をしています。そのうちの多くの方は人材育成自体に初めて取り組むか、取り組み始めてみたもののうまくいっていないというお悩みを抱えています。私はインサイドセールスという立場ですので、最終的に弊社のサービスをご紹介させていただくことももちろんありますが、最初は人事の方のお悩みを伺って、一緒に整理して、もう一度自社で何に取り組むのかを考えていただく、というやり取りになることが非常に多いです。

そのようにご相談をいただく日々のなか、いくつか皆様のお悩みの共通項として見えてきたポイントがあります。もしかしたら、それらのポイントを事前に知っておいていただければ、中小企業の人事の皆様が自社の施策を考える際の助けとなるのではないか、と思ったのがこのコラムシリーズを始めるきっかけです。ぜひそのような視点で読んでいただけると嬉しいです。

また、本題に入る前にもう一点補足させてください。本コラムでは一定規模以下の従業員規模の企業群を「中小企業」という呼称で書かせていただいております。厳密な基準は置いていませんが、弊社も間違いなく中小企業です。なぜそのような括り方をしているのかというと、大手企業と中小企業では後述のように組織課題や人材育成についてのお悩みの種類が違う傾向があるからです。

一方、企業における組織や組織課題の特性は単純に従業員規模だけで括れるものではありませんので、従業員数が少なくても自社には中小企業の組織課題はあてはまらないな、ということもあります。ここでは多く見られる傾向として「中小企業」という括り方をさせていただいていることをご理解いただければ幸いです。

中小企業でよく伺う人材育成のお悩みとは

初めてご相談を受ける際、人事の方がよく口にされるお悩みとして出てくるのは、「自社では人が育たない」というご相談です。

具体的には、下記のような声を伺います。

・若手社員がなかなか一人で仕事が進められるようにならない

・社員の基本的なビジネススキルが不足して困っている

・主体的に必要なスキルを身に付けてほしいのだが、うまくいっていない

・離職が多いことも気になっている

解決策として、「ロジカルシンキングなどのビジネススキルを学ばせたい」「マネジメントを強化したい」という具体的なご要望を初めから伝えていただくことも多いです。

しかし、そのような具体的なご要望を伺った際でも私はいつも課題の整理から一緒にさせていただくことにしています。

そうやって、お悩みを人事の方と会話しながら整理していくと、「人が育たない」の大きな原因として下記の2つが浮かび上がってきます。


(1)目指す人材像が明確に示されていない
(2)育てる人(マネジメント・先輩)の力量が不足している

特に1つ目については、目の前の問題への意識はあっても、どのような姿が目指すべきものなのかは明確になっておらず、そのため育成方針が立てられない、という状況が多く見られます。また、2つ目のような状況が見えてきても、ではどのようなマネジメントを実践してほしいのか、という具体的なイメージを持たれていない場合もあります。マネジメントや育成については次回以降のコラムで取り上げていく予定です。

人材育成がうまくいかない要因は何か

1. 目指す人材像に紐付く経営方針がない

上記で「目指す人材像が明確に示されていない」ということをお伝えしましたが、これに実際に取り組もうとするのは簡単なことではありません。本来は経営が示す方向性があり、そこに紐付けてどのような人材像が必要かを定めていくのが理想です。ただ、経営方針が示されていなかったり、示されていても人材要件に紐付けるためには漠然としすぎていたり、ということも現実にはありがちなケースです。

では経営方針ができるまで待っていよう、というわけにもいかないのが現実、人事の方としては目の前にある人材育成課題を解決していかなくてはなりません。そのような場合に私がよくお薦めするのは、人事施策を現状や目指す方向を明らかにするために実施しましょう、ということです。具体的には360度サーベイなどを通して、自社の現状や、うまくいっている組織の状態や上司像を明らかにしていくのです。一見回り道のようですが、スタート地点(現状)とゴール地点(ありたい姿)を決めておくと、その先に続く施策がうまくいったかどうかを振り返りながら進めることができます。

2. 課題の抽象度が高いままになっている

もう1つよくある要因として考えられるのは「人材の課題の抽象度が高いままになっている」というものです。

例えば、

・マネジメントを強化したい(マネジメントに課題がある)
・若手の主体性を高めたい

などの言葉で課題設定が終わってしまっている場合です。

テーマとして抽象化しておく分にはよいのですが、「では実際にマネジメントの場でどのようなことが起きていますか?」と伺うと、具体的な場面が出てこないこともあります。

同じ「マネジメントに課題がある」でも、「部下に暴言を吐きハラスメントの危険性がある状態」なのか、「昔ながらの背中を見て育てのスタイルになってしまって部下が育ちづらい状態」なのかで、打ち手は変わってきます。つまり、課題を抽象度が高いままにしておくと、その後、真の原因を見つけにいき、そこから適切な打ち手を考えることができなくなってしまうのです。

「とりあえずマネジメント研修をやる」のような施策になってしまうのはとてももったいないため、そのような場合は具体的な場面などを伺ったり、問題と感じていることを掘り下げたりしてお話しながら、「課題を具体化する」ことに一緒に取り組ませていただいています。

抽象ワードにのみ込まれず課題を明確にしていく

繰り返しになりますが、初めて人事施策に取り組む中小企業の人事の方に1つ参考にしていただけそうなこととして、「抽象ワードにのみ込まれないこと」が重要なポイントだと考えています。

上記でお伝えしたのと別の角度から1つ例をお話しすると、昨今よく出てくるご相談で「自律」というワードがあります。さまざまな場面で使われますが、ここでは「社員に一律の研修で強制的に学ばせるのではなく、自律的に学ぶようにしたい」というようなお話です。正直に申し上げると、最初に挙げたような「人が育たない」というお悩みの現状から、「社員が自律的に学んでいる状態」を一足飛びに実現するのはかなり難しいことです。

そこで、なぜ「自律的に学ぶ」状態をつくりたいのかを伺っていくと、強制的に学ばせるよりも自律的に学ぶ方が本人も学びの目的を理解しており学習効果が高いから、というようなお話をよくお聞きします。つまり、本当に実現させたいことは「自律的に学ぶこと」ではなく、「社員が学びの目的を理解し、本人にとって適切な学びを学習効果高く受けられること」だと分かってくるのです。

そうすると、「単に選択型研修を導入するのではなく、学びの前後を丁寧に設計する」「上司が育成課題をすり合わせて、部下の学びをサポートできるようになる」など具体的な次の一歩が見えてきます。

最後に

今回は第1回ということで人事課題の整理についてお伝えしてきました。本コラムが貴社のお悩みの解決に向けた一助になると幸いです。次回以降では、具体的な課題としてご相談に乗ることの多い、マネジメントやZ世代の育成など、個別テーマについてお伝えしていく予定です。中小・中堅企業向け無料オンラインセミナーも定期的に開催していますので、ぜひご活用ください。

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