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いかにして新人に営業を好きになってもらうか

営業ほどステキな仕事はない!

  • 公開日:2007/02/01
  • 更新日:2024/05/07
営業ほどステキな仕事はない!

顧客ニーズが多様化、高度化し、ビジネスのスピードがますます速くなっている今、営業職に配属された新人を少しでも早く一線で活躍できるように育成するには?自らも営業としてのキャリアを持つトレーナーが「新人営業に仕事を好きになってもらう秘訣」を語ります。

営業の喜びを知らずに、営業を去っていく若者たち。
お客様からの「ありがとう」が、営業のモチベーション。
運命の出会い、ドラマチックな人生。営業だからこそ。

営業の喜びを知らずに、営業を去っていく若者たち。

営業を取り巻く環境は、企業の外も内も大きく変わりました。外部的な変化から言いますと、商品やサービスが多様化し、多くの知識やスキルが要求されるようになったこと。弊社の場合を例にとると、創業時のサービスはひとつだけでした。それが今や分厚いカタログまである。「これ全部覚えるの?」そこでまず意気消沈してしまう人が多いですね。加えて、売るという意味合いが以前とは変わってきていることです。これは量販店やコンビニを見たら一目瞭然です。「いいものを作りましたから置いてください」ではもはや通用しません。お客様の売上に貢献できるような提案力やコンサルティング力が求められるようになっているのです。

一方、企業内の変化としてはビジネスや経営にスピードが求められるようになり、人材の育成にもじっくり時間をかけることができなくなってきています。ちょうど10年位前でしょうか、大手電機メーカーの研修全般をお手伝いさせていただいたことがあったのですが、教育体系を拝見したら入社から一人前になるまで10年位のタームでできていました。今では考えられません。営業で言うなら「明日から売ってもらっていいよ」というくらいの早期戦力化が、今では求められているからです。

バブル後の採用抑制や成果主義の導入で、組織もいびつになっており、本来若手の力になってあげるべき上司や先輩も自分のことで目いっぱいで、じっくりとサポートしてあげることができないという現状もあります。仕事は大変だし、頼れる人もいない。新人の営業にとってこれはつらいです。最近の若手はまじめでおとなしい人が多いので、それでもなんとか頑張ろうとはするのです。でも、いくら頑張っても結果がついてこない。売れない。そうすると、もう我慢ができなくなってくる。ふと周りを見ると、こんなつらい目をしなくても別の道があるじゃないか・・・。結果、転職という選択になるのは自然の流れですね。彼らや彼女たちが次に選ぶ職種は、営業以外。営業に対してマイナスイメージを持ったままその後の人生を歩んでしまうという、私のような立場の人間にしてみたら、実に悲しいことが起こってしまうわけです。

お客様からの「ありがとう」が、営業のモチベーション。

弊社にはBASIC(新人営業担当者基礎研修)をはじめ何種類かの営業向けプログラムがありますが、プログラムを開発するに当たっては日本のさまざまな業界業種のトップセールスにインタビューを行い、なぜ売れているのかを分析していくことから始めました。彼らがすごいのは「目標達成意欲が非常に高いから」と思われがちなのですが、調査をしてみるとそれだけではありませんでした。むしろ数字は結果にしか過ぎなく、彼らを支えているのは「なんとかしてお客様のお役に立ちたい」というお客様本位の考え方、顧客志向であることがわかったのです。どういう時に最も喜びを感じるかという質問に対しても「お客様に感謝の言葉をいただいた時」という回答がダントツでした。営業に挫折してしまう人は、一度も「ありがとう」と言われたことがなかったりします。上司は「売れ」「回れ」と言うけれど一体なんのために?という肝心なところが抜けたままになっています。私たちの研修では、そこにぜひ気づいてほしいと思っています。

ただ新人の場合、営業経験がなくお客様と接したこともありませんので、お役に立てた時の感覚が実感値としてはわかりません。彼ら彼女たちに、唯一あるのは顧客経験なんですね。いいサービスを受けた時の喜びや感動、これは誰しもありますから、そういう実体験をもとに、顧客の立場で感じた気持ちを、営業としての自分に投影させていくようにしています。ここがわかるとスキルの吸収もぐっと早くなりますね。逆に最初に小手先のスキルに走ってしまうと、やはり行き詰まってしまうケースが多い。時々「自分はクロージングが弱いので、キラートーク(殺し文句)を教えてもらえますか?」という質問を受けますが、そのようなものは残念ながらありませんし、仮にそれらしきものを身に付けたとしても役には立ちません。確かにお客様のニーズをつかむための質問の仕方というような方法論はありますし、私たちも研修の中に取り入れています。でも、そんな方法論を知らなくても「お客様のお役に立ちたい」と思えば、自然と質問は出てくるものなんです。そちらの方がいい質問だったりする。質問の順番なんてどうでもいいんですね。

スキルや知識を教える営業研修はたくさんありますが、私たちのように営業の姿勢やスタンスに軸足を置いたものはほとんどないと思います。BASICはあるメガバンクに社内インストラクターを養成して実施していただいているのですが、お客様が評価してくださるのも、まさにその点です。「金融の知識も経営に対するコンサルティングも必要だけど、営業はやっぱりスタンスだよね」と。こうした言葉をいただけるのはやはりうれしいですね。

運命の出会い、ドラマチックな人生。営業だからこそ。

研修の際に「皆さんは営業職に対してどんなイメージをお持ちですか?」という質問を投げかけてみることがあります。いつも期待をして返事を待っているのですが、残念ながら未だ多くの人は営業という仕事に対してあまり良い印象を持っていないようですね。皆さん、露骨に口には出しませんが、しっかりと顔に書いてある。「ほんとはマーケティングや企画をやりたかったんですが、営業になっちゃいました」「なんでオレが営業なんですかね」・・・。確かにしんどい職種だと思いますよ。求められることが変わってきたとはいえ、昔も今も売上目標があることには変わりがありません。売れていないと数字のプレッシャーがいかに強いか、それは経験した人間にしかわかりません。

ただ、営業をやることでしか体験できない喜びや感動や可能性があることをぜひ知ってほしいのです。営業はその気になれば、いくらでも自分を磨くことができ、成長させることができる仕事です。日々の仕事の中で、運命の人と出会い、人生がドラマチックに変わった。こういう例は枚挙にいとまがありません。人に出会えることがチャンスだと考えれば、営業ほどチャンスに溢れた仕事はないでしょう。考え方ひとつで変わる。営業という仕事に出会えたことをハッピーであると考え、一人でも多くの人が自分の可能性とチャンスを広げることができるようなお手伝いができたらと思っています。

執筆者

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研究員

和田 康裕

1988年リクルート入社。人事部、就職情報誌事業部を経て、1993年営業教育事業部の立ち上げに携わる。トレーナー、営業、商品開発、コンサルタントなどを経て、2016年より現職。

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