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ワーカホリックとは? 仕事中毒の原因や症状と、対処法を解説

  • 公開日:2024/01/26
  • 更新日:2024/06/21

仕事に熱中するあまり日常生活に支障をきたす「ワーカホリック」は、自覚が難しい一方で数多くの危険性が指摘されています。本記事では、そんなワーカホリックに気づくためのポイントや対処法を紹介しています。

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ワーカホリックとは

ワーカホリックとは、仕事に意識を集中しすぎてその他のことが疎かになってしまう状態、いわゆる「仕事中毒」を指す言葉です。具体的には、常に仕事をしていないと落ち着かない、仕事以外の事柄に興味が湧かない、プライベートの時間も仕事のことばかり考えてしまうといったケースがワーカホリックに該当します。

ワーカホリックは仕事への意欲が高く、一見すると望ましい状態に思えるかもしれませんが、仕事への過度な依存は心身の健康や人間関係にさまざまな悪影響をもたらします。そのため、優れたパフォーマンスを安定的に発揮するためには、ワーカホリックをいかに予防・克服するかが重要となるのです。

ワーカホリックの状態と危険性

ワーカホリックの状態と危険性

ワーカホリックには、以下のような兆候と弊害が見られます。

プライベート時間の不足

ワーカホリックの状態では、人は日常生活や余暇の活動を犠牲にして仕事を優先するようになります。その結果、仕事以外での人とのつながりが希薄になり、家族や友人との関係性が悪化してしまう可能性があります。

燃え尽き症候群(バーンアウト)になる

仕事に対する過度な期待や執着は、仕事のなかで味わう落胆や挫折といったショックを増幅し、「燃え尽き症候群(バーンアウト)」と呼ばれる状態を引き起こす場合があります。

燃え尽き症候群を発症すると、ある日突然あらゆる物事への興味や意欲が失われ、仕事や生活にも大きな支障をきたします。

<関連リンク>
【コラム】職場におけるバーンアウトの心理学

心身の健康に悪影響を及ぼす

ワーカホリックによる過度なストレスは、以下のような不調を心身にもたらします。

自律神経失調症

自律神経失調症は、興奮状態を司る交感神経と鎮静状態を司る副交感神経のバランスが乱れた状態です。食欲の減退や倦怠感、動悸や吐き気といったさまざまな症状が現れます。

強迫性障害

小さな不安や心配事を理由に他のことが手につかなくなる、無意味に何度も確認してしまうといった「強迫性障害」も、ワーカホリックが原因で発症する疾患の1つです。

うつ病

うつ病は単なる感情の変化とは異なり、治療が必要となる明確な病気です。特に、理由もなく気分がひどく落ち込み回復しない、身体がだるく朝起き上がることができないといった場合にはうつ病が疑われます。

めまい

身体の平衡感覚が失われ、足元のふらつきや失神につながる「めまい」も、ワーカホリックによって引き起こされる代表的な症状です。

頭痛

ワーカホリックの状態が続くと、頭部の血管や神経、筋肉などにも負荷がかかり、その影響が頭痛となって表れることがあります。

ワーカホリックになりやすい人の8つの特徴

ワーカホリックになりやすい人の8つの特徴

ワーカホリックになりやすい人には、以下のような特徴があるとされています。

完璧主義者

ワーカホリックになる人には、自分の仕事に妥協できない、完璧主義的な考え方を持つ人が多い傾向にあります。質が高くミスのない仕事ぶりを追い求めるスタンスは、自分自身も追い込み、仕事以外の事柄への意識を希薄にしてしまいます。

また、自らの仕事の出来に満足できず、業務に費やす時間が際限なく増加してしまうことも、ワーカホリックを発症する原因の1つとなります。

責任感が強い

周囲からの期待に真摯に応えようとする姿勢は、仕事において非常に重要な資質です。しかし、そうした自らの役割に対する責任感の強さも、ワーカホリックを発症してしまう人に多く見られる典型的な特徴です。

責任感の強さは、困った時でも周りに助けを求めず、自分だけで事態を解決しようとする考え方につながります。その結果、自らの許容量を超えた仕事を抱え込み、対処に追われてワーカホリックに陥ってしまうのです。

仕事が好き

ワーカホリックは、必ずしも仕事に対してストレスを感じやすい人ばかりが陥るわけではありません。例えば、仕事が好きで働くことを楽しんでいる人も、ワーカホリックになってしまう可能性が高いとされています。

その主な理由としては、仕事が好きであるがゆえに、自分が働きすぎであることを自覚できず、過度な労働を続けてしまうことが挙げられます。

人からの評価に左右されやすい

「人から認められたい」「周囲の評価が気になる」といった感情は、仕事へのモチベーションになる一方で、時としてワーカホリックの原因にもなり得ます。特に、自分自身の考えがなく、常に人からの評価に左右されて行動してしまう場合には注意が必要です。

評価を得るために自分の能力以上の仕事を引き受けたり、本来担当しなくてよい仕事まで担当したりといった無理な働き方は、心身に大きな負荷を与えるためなるべく避けた方がよいでしょう。

人に喜ばれることが嬉しい・やりがいを感じる

自らの活躍で誰かを喜ばせたり、相手に貢献したりすることは仕事における大きなやりがいです。とはいえ、このようなやりがいを追い求めることも、一定の節度を持たなければワーカホリックの原因になってしまいます。

仕事を通じて得られるやりがいを長く味わい続けるためには、定期的なリフレッシュの機会を設けつつ、業務には余裕を持って取り組むことが大切です。

集中すると他のことが見えなくなる

仕事に限らず、1つのことに集中すると周囲が見えなくなる傾向にある人は、ワーカホリックに対して十分な警戒が必要です。

高い集中力を有していたとしても、働き方や生活のリズムをしっかりと自己管理できなければ、やがて仕事のパフォーマンスも低下してしまう可能性が高いでしょう。

プライベートの趣味がない

プライベートの趣味は、心身をリフレッシュして人間関係を広げ、仕事にもプラスの影響を与えてくれる重要な生活の営みです。

逆に、仕事以外に明確な趣味がない人は、余暇の時間も仕事についての考えに支配されやすく、ワーカホリックに陥る危険性がより大きいとされています。

友達付き合いが少ない

休日を共に過ごしたり、連絡を取り合ったりできるような仕事以外でつながりのある友人が少ないことも、ワーカホリックになりやすい人の特徴として挙げられます。

休日を趣味や遊びに費やしたとしても、そのなかで関わる相手が社内の同僚や仕事で付き合いのある人物ばかりでは、完全に仕事を忘れて気分転換することは難しいでしょう。

ワーカホリックの対処法

ワーカホリックの対処法

ワーカホリックへの対処・予防には、以下のような取り組みが有効です。

業務の棚卸しと見える化を行う

ワーカホリックの問題点は、仕事に際限なく時間を費やしてしまい、その他の活動のための時間が失われることにあります。そこで効果的なのが、現時点で自らが抱えている仕事を整理し、可視化するといった取り組みです。

例えば、現在担当している業務や案件をリストにまとめてそれぞれの所要時間を付記すれば、後回しにすべき仕事や無駄の多い作業が一目で分かり、働き方の大幅な効率化が見込めるでしょう。

仕事を持ち帰らないようにする

終わっていない仕事を持ち帰って自宅などで進めてしまうことは、仕事とプライベートの区別を曖昧にする、ワーカホリックにつながりやすい行動です。

退勤後の時間を休息やその他の活動に十分に充てるためにも、その日の仕事はその日のうちにオフィス内で完結させ、なるべく自宅に持ち帰らないことが大切です。

他人の客観的な意見を取り入れてみる

仕事に対する責任感が強すぎる、または仕事の質に関して妥協できないといった傾向がある場合には、自分以外の評価を参考にしてみるのもよいでしょう。

自分では不出来に思える仕事も、他者から見れば十分な水準に達しており、それほど気にすべき問題ではないかもしれません。逆に、自分が抱えている問題点を発見して仕事の質を高めるという観点でも、周囲に意見を求めることは非常に有効な取り組みです。

仕事とは関係のない趣味を探してみる

休日でも仕事のことばかり考えてしまうのであれば、気分転換になるような趣味を見つけることも1の選択肢です。

とはいえ、仕事に生かせるような実益の大きい趣味は、結果的に仕事について考えることにつながってしまう可能性があります。リフレッシュが目的の場合には、仕事との関連が薄い、あくまで自分自身が楽しめそうな趣味を選ぶことをお薦めします。

家族や友人とコミュニケーションを取る

仕事に関係のない家族や友人との何気ない会話は、意識を仕事から遠ざけ、自分が置かれている状況を見つめ直す良い機会を与えてくれます。

外部とのつながりを保ち、社会的な孤立を避けるためにも、日常の中のコミュニケーションは疎かにせず意識的に行うようにしましょう。

マインドフルネスを取り入れる

働くなかでのオン・オフを明確にし、働き方にメリハリをつけることは、ワーカホリックの予防に大きな効果をもたらします。その代表的な方法が、日々の生活のなかでの「マインドフルネス」の実践です。

マインドフルネスとは、余計な考えに邪魔されることなく自分の状況をありのまま知覚している状態であり、心身に数多くのプラスの効果をもたらすことが実証されています。また、マインドフルネスは瞑想によって気軽に実践が可能であり、実際に多くの企業で導入が進んでいます。

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ワーカホリックの社員がいる場合、企業の取り組みはどうするべき?

従業員の健康や生産性に悪影響を与えるワーカホリックは、人事・労務の観点でも重大なリスクとなります。もし社内にワーカホリックが疑われる従業員がいる場合には、以下のような施策を試してみましょう。

ワーカホリックへの理解を深める

企業によっては、ワーカホリックという概念に対して社内の理解が十分でない場合も想定されます。適切なフォローを行うためにも、まずは従業員やその上司を対象に、ワーカホリックの特徴や注意点を周知するところからスタートしましょう。

組織全体でワーカホリックに関する知識を深めることは、将来的に新たなワーカホリックの早期発見や、発生を予防することにも役立つはずです。

社員のコンディションや業務量を管理する

会社側によるワーカホリックへの対策として特に効果が高いのが、従業員自身の健康状態や業務量を把握し、管理するといった取り組みです。例えば、上司が定期的な見回りや声がけを行い、その場で従業員ごとの業務量を臨機応変に調整するのも1つの方法です。

ワーカホリックになりやすい人材のなかには、責任感が強く、周りを頼ることに対して消極的な人もいます。そのため、上司やマネジャーといった存在が状況を俯瞰し、積極的に介入することが大切なのです。

エンゲージメントを高める

ワークエンゲージメントとは、従業員が仕事に対して抱いているポジティブな感情を表す言葉です。具体的には、仕事への満足度と実際の活動水準が共に高く、その様子が持続していることがワークエンゲージメントの条件とされます。

また、ワークエンゲージメントの向上は、ワーカホリックや燃え尽き症候群を回避することにもつながるとされています。ワークエンゲージメントを高めたいのであれば、以下のリンクにあるような研修やセミナーなどを活用するのもよいでしょう。

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まとめ

ワーカホリックは単なる「働きすぎ」ではなく、仕事以外にもさまざまな条件が重なって引き起こされ、従業員の将来にも影響を及ぼす大きな問題です。そのため、早い段階で症状を認識し、早期に改善を図る必要があります。

とはいえ、従業員個人の力でワーカホリックに対処することには限界があります。そのため、現代においては企業にもワーカホリックへの理解を深め、率先してフォローを行うことが求められています。

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