用語集
福利厚生とは? 制度の種類、導入で期待できる効果から注意点まで解説
- 公開日:2024/01/26
- 更新日:2024/07/24
企業において福利厚生は従業員にさまざまなメリットをもたらし、定着や採用にも影響を及ぼす重要な取り組みです。本記事では、そんな福利厚生を効果的に導入・運用するための知識や注意点を紹介しています。
福利厚生とは
福利厚生とは、従業員やその家族に対して企業が提供する“給与・賞与以外の”報酬やサービスを指す言葉です。主な例としては、給与とは別に支給される各種手当や独自の休暇制度、自由に利用できる設備などが挙げられます。
また、多くの福利厚生の内容や要件は企業ごとの判断に委ねられています。そのため、福利厚生はその企業の風土や理念が表れる特徴的な要素の1つとなっています。
福利厚生の目的
福利厚生の本来の目的は、従業員やその家族に利益を還元し、生活の質を向上させることにあります。一方で、福利厚生は従業員の企業に対する印象を高め、定着や業務への意欲を後押しする目的で導入される場合も少なくありません。
特に、近年は労働人口の減少や働き方の多様化を受け、優秀な人材の確保が企業にとって大きな課題となっています。こうしたなかにあって、福利厚生には採用活動におけるアピールポイントとしての役割も期待されています。
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エンゲージメントとは
福利厚生は大きく2種類に分類される
一般的に、福利厚生は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類に分類されます。
法定福利厚生
法定福利厚生とは、法律によってすべての企業に導入が義務づけられている福利厚生です。制度の内容や利用規定などは、法律によって細かく定められています。
法定福利厚生の種類と内容
現行法では、6つの法定福利厚生が存在しています。
企業が独自に設定している福利厚生は、すべて法定外福利厚生とみなされます。法律による制限がほとんどないことから、制度の内容や要件は企業ごとにさまざまです。
法定外福利厚生の種類と内容
ここでは、法定外福利厚生の大まかな分類と代表的な例をご紹介します。
また、近年では以下のようなユニークな福利厚生を導入する企業も増えています。
こうした独自性の高い魅力的な制度を導入することで、従業員の定着率や業務に対するモチベーションを大きく高めることが可能です。
従業員の強みや好きを伸ばす「選択型研修」で自己学習を促す
数ある法定外福利厚生のなかでも、企業と従業員の双方にメリットの大きい魅力的な制度が、受講する研修カリキュラムを従業員本人が選択できる「選択型研修」です。
選択型研修の大きな利点は、決まった内容のカリキュラムを一律で受講する一般的な研修と異なり、従業員一人ひとりが自分に必要なスキルを効果的に高められる点にあります。また、学習する内容を自ら選ぶという経験は、従業員の業務への主体性やキャリアへの意識を呼び起こし、結果として組織全体の活性化にもつながるでしょう。
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自律的な学びを支援する選択型研修
福利厚生の導入で期待できる効果やメリット
福利厚生を導入することは、企業や従業員に対して数多くの効果やメリットをもたらします。
従業員満足度の向上
企業から従業員に対するサービスである福利厚生を拡充することは、従業員の職場に対する満足度を高めます。さらに、従業員満足度の改善は、近年注目を集めている「エンゲージメント」と呼ばれる指標の向上にもつながるとされています。
「エンゲージメント」とは、従業員と組織が互いに及ぼし合う影響力を表す概念であり、その値が高いほど優れた関係性を築けているものとされます。そんなエンゲージメントの向上を目指すうえで、企業が従業員を支えるだけでなく、従業員自身の主体性も高める福利厚生の導入は特に優先度の高い取り組みといえるでしょう。
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【コラム】従業員の定着・活躍につながる「エンゲージメントの向上」とは
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生産性の向上
福利厚生のなかには従業員のリフレッシュや業務効率化に効果を発揮するものも多く、導入によって生産性の向上が見込めます。
また、一見すると生産性に直接関係のない福利厚生でも、従業員のモチベーションアップにつなげられれば、業績にもプラスの影響が表れるでしょう。
定着の促進
魅力的な福利厚生が揃っていることは、従業員にとってその企業で長く働き続ける大きな動機になり得ます。そのため、すでに活躍している従業員の定着を図るうえでも、福利厚生の導入は効果的な取り組みといえます。
特に、長期的な財産形成を通じて人生設計を支えるような制度や、ライフステージの変化に対応した福利厚生は、従業員の目にも将来にわたり安心して働ける要因として映るはずです。
採用力の強化
働き方やキャリアに対する考え方が変化を続ける昨今では、「福利厚生の手厚さ」を転職先に求める条件の1つに挙げる人も珍しくありません。
なかでも、自社で独自に考案したユニークな福利厚生は、他社との差別化のポイントとして採用市場でも優れた訴求力を発揮するでしょう。
企業イメージの向上
企業が新たな福利厚生の導入に積極的に取り組む様子は、多くの人に「社会の変化に敏感である」「従業員を大切に考えている」といった好意的な印象を与えます。
加えて、特に優秀な取り組みを行っている企業は官公庁などから「安全衛生優良企業認定(ホワイトマーク)」といった認証が受けられる場合もあり、世間に対して自社の社会的価値を強くアピールできます。
節税効果
福利厚生の提供にかかる費用は、基本的に「福利厚生費」と呼ばれる会社の経費として計上できるとされています。経費として認められれば、法人税の算出額を抑えられるため、節税効果が期待できます。
とはいえ、現金による支給や極端に高額なサービス、利用機会が平等でない制度などの費用に関しては、福利厚生費として扱えない場合があるため注意が必要です。
福利厚生を導入する際の注意点
上記のようなメリットを実現するためにも、福利厚生の導入時にはいくつかの点に注意する必要があります。
導入目的を明確にする
制度のねらいが曖昧なまま福利厚生を導入すると、その導入が成功または失敗のどちらであったかを正しく判断できず、単に予算を浪費して制度を増やしただけに終わってしまう可能性があります。
予算内で効果的に福利厚生を運用するためにも、導入時にはその制度によって実現したい効果や目的をあらかじめ明らかにしておきましょう。
公平性のある制度を設計する
2020年4月に施行された「改正パートタイム・有期雇用労働法」および「改正労働者派遣法」により、企業には契約社員・パートタイム労働者・派遣社員にも正社員と同一の内容の福利厚生を適用することが義務づけられています。
そのため、新たな福利厚生を導入する際には、すべての従業員に等しく利用機会のある、公平な制度として設計することを意識しましょう。
従業員の意見やニーズを反映する
福利厚生が発揮する効果の大きさは利用する従業員のニーズにも左右されるため、制度の導入にあたっては従業員の指摘や希望を反映することも大切です。
具体的な方法としては、各従業員を対象としたアンケートの実施や、従業員が主体的に発言できる場を設けるといった取り組みで意見を集約することをお薦めします。
従業員への周知の徹底
福利厚生の導入時には、従業員に対して制度の存在を周知することも忘れてはなりません。
場合によっては、制度を知らないまま従業員が対象要件から外れてしまい、利用できる機会を永久に失ってしまう可能性もあるため、通知は社内全体に向けて広く行いましょう。
定期的な制度の見直し
福利厚生を導入・運用するうえでは、まずは制度によって従業員満足度を高めることが1つの目標となります。とはいえ、一度高めることに成功した従業員満足度がその後も変わらず維持されるとは限りません。
福利厚生の効果を常に最大化したいのであれば、導入後も定期的に制度を見直していく必要があります。例えば、以下のような記事を参考に従業員満足度への理解を深め、新たなノウハウを取り入れていくことも有効な方法です。
<関連リンク>
【サービス】従業員満足度・組織活性度の把握
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まとめ
少子高齢化や景気の影響により、一人ひとりの人材を企業がいかに確保し活躍・定着させるかが問われる現代において、福利厚生の持つ役割はより重要なものになりつつあります。
福利厚生をうまく導入・運用することができれば、企業と従業員の可能性はさらに大きく広がることでしょう。そのためにも、企業には福利厚生への理解を深め、主体的に制度づくりに取り組むことが求められています。
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