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トランジションとは? 一般的な意味やビジネスでの使い方を解説

  • 公開日:2014/04/18
  • 更新日:2024/06/21

トランジションとは(transition)、「移行」「変化」「過度」などの意味を持ち、一般的には動画制作で、前後のカットを自然につなぎ合わせるために使われる効果(エフェクト)を指します。一方、ビジネスにおいては、配置転換や人事異動など、ある段階から次の段階へと移行する時期を意味する言葉として使用されます。

人事領域においては、キャリア発達の過程で注目され、人に大きな変化をもたらす重大な局面(クライシス)であると同時に、それまでの経験を見直し、新しい選択肢や変化をもたらす転機でもあるとされています。

トランジションの定義

トランジションの定義

トランジションは、ビジネスキャリアの中でステージごとに期待される役割に適応し成長・転換していくことと定義されます。
日本のビジネスパーソンは、社会人となって企業組織に働き始めてから年数を重ねることで、期待される役割行動のレベルが変化していきます。その変化には、企業や業界に関わらず全てに共通しているものです。
また、期待されている役割行動へ適応していくことで、多くのビジネスパーソンが成長していることが分かっています。
こうしたビジネスキャリアの中で、ステージごとに適応し成長していく過程をトランジションと定義されるようになりました。

キャリアにおいて重要な3つのトランジション

ここではビジネスに特化し、働く人のキャリアにおける3つの重要なトランジションについてご説明します。

■学生から社会人への転換

新人として初めて学生から社会人になり、社会人としての姿勢や仕事の進め方を習得する段階におけるトランジションです。
新人や若手に早く仕事へ適応してもらい、早期に戦力となってもらいたい、と多くの企業が考えているでしょう。この社会人としての土台作りの大切な時期に、育成担当者が新人に起こりがちな課題を把握して関わっていくことが重要です。
新人や若手が、新しい職場や仕事という変化をいかに乗り越えるか自律的に習得できるよう、トランジションの考え方を取り入れて育成を行うことが有用となり得ます。

■マネジメント層への役割転換

中堅、リーダーからマネジメントへと役割が変化するタイミングも、キャリアにおける重要なトランジションです。この転換期には、自身の業務を行いながら部下のマネジメント業務にも携わるなど、対応すべきことが増えやりがいを感じる余裕すらない状況に陥る恐れがあります。
また、プレイヤーであり続けようとしてマネジメント業務に時間をさけなくなってしまったり、すべてを思い通りに動かそうとしてメンバーへの関わりが指示・命令だけになってしまったり、などの問題が起こりがちです。
このトランジションを乗り超えるには、マネジメントに期待される役割や向上が見込めるスキルを明確化し、早期から能力開発施策を行っていくことが有用とされています。

■役職担当後のプロフェッショナル転換

マネジメント役職を務めた後のプロフェッショナル転換は、人生100年時代と呼ばれるこの先のキャリア形成においてとても重要なトランジションといえます。マネジメントを退いて以降のプロフェッショナル期間が長くなれば、求められる役割の創出も急務となるでしょう。
また、役職から外れることで本人が喪失感を覚えることも避けられません。可能であればマネジメント業務に就いているうちから、適切なマインドセットを形成することが望ましいでしょう。

トランジションが重要視される理由

企業活動においてトランジションの考え方が重要視される理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
まず、企業が抱える課題として若手戦力を早期強化していかなければならないことが挙げられます。
わが国が少子高齢化に直面しているなか、労働者の減少はこの先も継続的な社会問題となっていくと見られています。

また、そのような状況下でも、新人・若手の「3年3割(新人の全体の3割が入社3年以内に離職する現象)」による早期離職の問題が指摘されています。
これからは次世代経営人材の育成なども、早期から実施することが求められていくでしょう。
キャリア形成におけるトランジションを意識し、各従業員の役割ごとに求められるスキルを明確にしていくことで、企業も人材不足の時代到来というトランジションを乗り切って人材力強化につなげなければなりません。

トランジションの重要性については、以下のコラムもぜひご覧ください。
●成長につながる“トランジション”をデザインする

トランジション・デザイン・モデル

トランジション・デザイン・モデル

■トランジション・デザイン・モデルとは

トランジション・デザイン・モデルとは、企業における役割転換に際し、早期から計画的に対応を行うことで、企業が求める役割に対して本人が適応困難となる状況を回避するモデルです。役割転換にともなう本人のギャップを取り除くだけではなく、新たな役割のもと早期の成果獲得にもつなげられます。

基本のモデルでは、社会人として課される役割を、以下のように10の段階に分けています。

1.Starter(新人・若手)
2.Player(一人立ちした社員)
3.Main Player(一人前の社員)
4.Leading Player(主力社員)
5.Expert(専門家)
6.Professional(第一人者)
7.Manager(マネジメント)
8.Director(変革担当)
9.Business Officer(事業変革担当)
10.Corporate Officer(企業変革担当)

1~4のステージを越えると、5~6のキャリアを築くケースと、7~10のキャリアを築くケースの2パターンに分岐します。この考え方では社会人としてのキャリアのなかで、6回もしくは8回の役割転換をともなうことになります。
これらの転換期において、各企業で新たな役割で求められるスキルや行動を明確にしておくなどの対処によって早期から適応を図ることが、トランジション・デザイン・モデルの趣旨といえます。

トランジション・デザイン・モデルについては下記のコラムでもご紹介しています。ぜひご覧ください。
●トランジションをデザインするメリット(役割転換不全の課題を解決する)

おわりに

同じ企業で長く勤めている間にも、役割が変化することにともなう転換期が何度も訪れます。トランジションについてその概要を知り、理解を深めることでキャリア形成における変化だけではなく、ビジネスにおけるあらゆる方針転換への適切な対処を可能にできるでしょう。

トランジションについてこちらのコラムでもご案内しています。ぜひこちらもご覧ください。
●新任マネジャーのほとんどがトランジションに苦労している
●トランジション・デザイン・モデル」とは

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