導入事例
決め手は「実名制サーベイ」であること。個人単位の可視化で具体的な打ち手に繋げ、導入1年で新卒離職ゼロを実現
株式会社トヨタシステムズ

- 公開日:2025/04/21
- 更新日:2025/04/24
事例概要

背景・課題
組織の拡大やリモートワークの導入によりコミュニケーションが希薄になった結果、帰属意識や働きがいの低下など、エンゲージメントの悪化が散見され始めました。これらの課題を解決するために、「人間関係」「コミュニケーション」に焦点を当てた取り組みが必要であると判断しました。しかし、上司によって日頃の対話の質にはばらつきがでるという課題があったためインサイズを利用し始めました。

検討プロセス・実行施策
インサイズの活用を決めた理由は、「実名制であること」「専門コンサルタントの伴走」「使い勝手の良さ」です。実名制サーベイであることで、誰がどんな状態なのか、個人単位で可視化され、具体的な打ち手に繋げられます。その分、運用にあたっては現場とよくコミュニケーションを取り、信頼獲得に努めています。

成果・今後の取り組み
導入して1年弱ですが、すでに明らかな成果が1つ出ています。「2024年度の新入社員の離職者が現時点でゼロ」だということです。採用コストを考えると、インサイズは非常に費用対効果の高いツールです。現在は主に新入社員のオンボーディングに利用していますが、今後はインサイズで蓄積したナレッジを上司・職場先輩・本人の人材育成や採用活動にも活用したいと考えています。
背景・課題
1on1は欠かせない施策だが、上司による質のばらつきが課題だった

尾藤:私たちトヨタシステムズは、2019年にトヨタ自動車の情報子会社3社が統合し誕生したトヨタグループのIT中核会社です。クルマづくりを支えるエンジニアリング分野、トヨタのコーポレートシステムやトヨタファイナンスを支えるコーポレート・ファイナンス分野、世界中のトヨタグループを繋ぐインフラ分野などの幅広い領域で、サービス企画・提案から構築・導入・運用に至るトータルITソリューションを提供しています。
ITシンクタンクとして、研究開発や新規事業開発にも力を入れています。
私が所属するインフラ事業本部は、トヨタグループのグローバルインフラを一手に引き受ける組織で、本部所属の社員は700名以上に上ります。2024年1月、この部門の人事施策の一環として、インサイズを導入しました。
インサイズ導入の背景には、売上や組織規模の拡大によるマネジメント工数増、リモートワークの普及によりコミュニケーションが希薄になるケースもあり、離職要因として解決すべき課題となりました。以前よりも社員の帰属意識が下がったり、働きがいを感じにくかったりという傾向が出ていたのです。また、エンゲージメントスコアの結果も芳しくない部署もありました。悩みを抱え込み、メンタル不調に陥る社員もやや増えており、特に新入社員はメンタル面で不安定になりやすくなっていました。
これらの課題を解決するためには、まずフォローが必要な社員を発見し、改善に向けて支援する必要がありました。職場でのメンタル不調の多くは、「人間関係」や「コミュニケーション」に原因があります。私たちが介入してそうした問題を解決すれば、状況が改善するケースは多いのです。
仕事はチームで取り組むため、人間関係が良好になればコミュニケーションの量と質も高まり、上司・部下間やメンバー同士の相互リスペクトが深まります。中長期的には、組織の風通しが良くなるだけでなく、結果的にエンゲージメントや生産性の向上、キャリア自律に繋がると考えています。
そのための取り組みとして、上司・部下間のコミュニケーションを高めることが必要なのですが、日頃のコミュニケーションや1on1などは上司によって量・質のばらつきが出てきます。そこで、バラツキの見える化や、コミュニケーション不調による個人の悩みを早期に特定し改善するため、ツールの導入に踏み切りました。
検討プロセス・実行施策
私たちが求めていたのは、個別具体的な打ち手が分かる「実名制サーベイ」

尾藤:インサイズは、既存の匿名サーベイに加えてインフラ事業本部独自に導入しました。全社施策としてすでに組織課題可視化ツールは導入されていたのですが、匿名のサーベイであるため、組織の平均値しか分からないのが悩みだったのです。また、結果を見てもその要因をはっきりと特定できないこともあり、必要な人に必要なフォローを行うことが困難でした。
インサイズの導入を決めた理由は3つあります。一番の決め手は、インサイズが実名制のサーベイであったことです。匿名サーベイでは、本当にフォローを必要としている少数が埋もれてしまう可能性があります。「誰がフォローを必要としているのか」「どんなことに課題を感じているのか」を明らかにするためにも、実名制であることは重要でした。その点、インサイズは組織全体だけでなく、ワークメンタリティやストレス要因を個人単位で可視化でき、具体的な打ち手に繋げやすいのです。
2つ目は、実際に使用して強く感じたことですが、「専門コンサルタントの伴走」です。専門コンサルタントがフィードバックやアドバイスをしてくれるのは嬉しいです。私たち自身でもサーベイの結果を分析していますが、専門家のアドバイスから新たな気づきを得られることもあり、私たち運用者の成長にも繋がっています。また、専門家のアドバイスという裏付けがあるおかげで、私が社内に向けて発信する内容への納得感や信頼感が高まるという効果があります。
3つ目は、「使い勝手の良さ」で、これもありがたい点です。例えば、「チームマップ」を見れば、ワークメンタリティが悪化しているメンバーが一目で分かり、フォローアップの優先順位が付けられます。さらに、個人の「ワークメンタリティ推移」ではメンタリティの移り変わりが表示され、現在の心理状態が一時的なものなのか継続しているのかを確認することができます。
丁寧なフォローを通じ、新入社員のメンタリティ悪化やネガティブな離職を防ぐ

尾藤:現在、私たちはインサイズを1on1施策とオンボーディングで活用しています。現場上司とそのメンバーは2カ月に1回、新入社員はそれに加えて月1回の頻度で私と1on1を行っています。サーベイの結果を受けて、1on1での声かけや、場合によっては私からその上司にコミュニケーションを取るなどして、個別に改善を図っています。
新入社員に関しては、入社1年目の配属後から3年目まで、月1回のサーベイを実施する運用とし、そのデータは原則、私だけが確認しています。直属の上司ではない私がサーベイ結果を閲覧する立場にあることで、心理的安全性を高めるねらいがあります。1on1の場やサーベイに寄せられた相談事には丁寧に向き合い、対話を通じてコミュニケーションの具体的なノウハウをアドバイスしたり、時には本人の自覚を促したりしています。
新入社員のメンタリティの悪化はほとんどが人間関係に起因するものです。ここに特に力を入れることで、困っている新人を1人でも救いたいという想いがあります。多くの場合、早期離職は私たちにとっても本人にとってもネガティブなことです。防止できるなら、それに越したことはありません。
実名制サーベイの効果を最大限発揮するためには、現場からの信頼獲得が欠かせない

尾藤:インサイズを活用するうえで、私が第一に重視しているのは、社員との「信頼構築」です。インサイズデータを見て個人を特定する行為は、さまざまなリスクを孕んでいます。私や上層部を信頼できなければ、社員は腹を割って相談してくれないでしょう。
サーベイの結果が悪化したときに声をかけたとしても、正直に話してくれない可能性があります。そのため、私は新入社員だけでなく現場のメンバーと日頃からコミュニケーションをよく取って、信頼獲得に努めています。
フォローの必要なメンバーを発見したときの介入方法は、本当にケースバイケースです。基本的には人間関係を改善するわけですが、上司・職場先輩・周囲などに原因があるケースもあれば、本人に原因があるケースもあり、誰も悪くないケースもあります。
例えば、本人はコミュニケーション不足だと感じているのに、上司・先輩はコミュニケーションは十分だと捉えている「認識違いのケース」がよくあります。実際には、上司・先輩のコミュニケーションは指示や指摘にとどまっており、日常会話が少ないのです。上司・先輩は指示や指摘をコミュニケーションだと捉えているのですが、本人はそれをコミュニケーションとは捉えていないわけです。こうした認識の違いは、発生しがちな問題です。この場合は上司や先輩に日常会話を増やすようにアドバイスし、1on1を奨励すると、ほとんどは改善します。
一方で、いつもワークメンタリティが悪いメンバーも一定数います。このタイプのなかには、実は不平不満や悩みがあるわけではなく、単にネガティブ思考が強く、常にシビアな見方をしている人がいます。自分にも他人にも厳しいタイプです。この社員との1on1の際に、そういった考え方の傾向があるかもしれないという対話をしたところ、自身の思考の癖を自覚するようになり、行動に変化が表れました。その結果、上司や周囲との関係性が良くなり、メンタリティが改善したことがありました。
新人の場合は、忙しさや叱責、コミュニケーションの行き違いなどで、ワークメンタリティが急速に悪化するケースが珍しくありません。彼らは意思表示がまだ上手にできないことも多く、上司や職場の先輩に言いたいことが言えずに悩みを抱え込むようなこともよくあります。こうしたケースは、本人あるいは上司・先輩に1on1で改善策を伝えると、ほぼ100%改善します。新人は環境の変化に敏感に反応するため、対応はスピード感がポイントです。メンタリティ悪化のサインを見逃すと大事になりかねません。
成果・今後の取り組み
2024年度の新入社員の離職者は現時点でゼロ

尾藤:2024年に使い始めたばかりですから、本格的な成果が表れるのはまだ先です。ただ、現時点(2025年1月時点)でも、すでに明らかな成果が1つ出ています。それは、「2024年度の新入社員の離職者が現時点でゼロ」だということです。
さまざまな要因が影響しているとは思いますが 、インサイズを活用した仕組みによって、新人たちが抱える問題を早期に発見・対処できているのは確かです。採用コストを考えると、新入社員の離職を1名救えるだけで充分です。インサイズは非常に費用対効果が高いと思います。
今後は、インサイズを1on1やオンボーディング以外に活用したいと考えています。具体的には、これまでのインサイズの取り組みで蓄積したナレッジの社内還流です。このナレッジを整理して、新人のメンターである職場先輩たちに伝えれば、先輩の育成に繋がるでしょう。また上司のなかには、部下とのコミュニケーションや成長支援があまり得意でない方もいます。私は今、インサイズを使って、上司や先輩のコミュニケーション力やキャリア開発スキルを高める方法も模索しています。さらに、インサイズの結果から見えた入社後ギャップの傾向など、蓄積したナレッジやノウハウを採用活動に生かすことも視野に入れています。
冒頭で語ったとおり、良好な職場の人間関係構築ならびにコミュニケーションの質を高めることは、中長期的にはエンゲージメントや生産性の向上に繋がります。さらにいえば、組織内の相互理解・信頼が深まることで、上司の業務負担の軽減、部下の能力の底上げやメンバーの自律促進といった効果も期待できます。良いことずくめなのです。その起点として、インサイズを継続活用したいと考えており、今後は他本部や全社にも展開することを構想しています。
取材日:2025/01/20

企業紹介

株式会社トヨタシステムズ
トヨタグループのITソリューション企業として、サービスの企画・提案から構築・導入・運用に至るトータルITソリューションを提供している。「最適解を、ITで。」のスローガンのもと多岐にわたる課題に挑戦し、世界のリーディングITカンパニーを目指す。
※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。
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