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導入事例

INSIDES活用の「メンター制度」が5年で文化として定着し、小売業共通課題の離職率が大幅に低下

株式会社三和

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  • 公開日:2024/02/05
  • 更新日:2024/11/06

事例概要

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背景・課題

「メンター制度」は、主に新人の離職率低減を目指して2019年から始めました。新人一人ひとりに他部門の先輩をメンターにつけて、「なんとかできる離職」を減らすことをねらった施策です。初年度は、メンター制度をまずやってみることが最も重要でした。そのため、面談シートのやり取りの仕方などプロセス上改善すべき課題がいくつもあり、メンター制度を改善できるツールを探していました。

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検討プロセス・実行施策

2020年、INSIDESの存在を知ってすぐに導入を決めました。第一に、INSIDESを使うと、新人のメンタリティの変化が客観的に分かり、メンタリングの成果を確認できるのが魅力的でした。第二に、INSIDESレポートを活用することで、メンターは新人との面談で的確な話題づくりができるようになりました。第三に、「面談メモ機能」のおかげで、メンターの面談シートの執筆効率が格段に高まりました。

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成果・今後の取り組み

メンター制度は5年続けたことで、いよいよ当たり前になり、文化として定着してきました。その結果、離職率は大幅に下がりました。5年前と比べて、新入社員や若手社員の離職率はおおむね半分になっています。そして2023年度は、ついに入社後半年間の新入社員離職者がゼロになりました。主にメンター制度のおかげで新入社員・若手社員の心理的安全性が高まり、「居心地の良い場所」になったからだと捉えています。

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背景・課題

離職率低減を目指してメンター制度を導入。制度を改善できるツールを求めていた

加藤さんの写真

私たち三和は、1958年創業の会社で、東京都西南部と神奈川県全域に「超ドミナント戦略」でスーパーマーケット「sanwa」「FOOD ONE」や、ショッピングセンター「AMELIA」を合わせて77店舗(2024年1月現在)展開しています。

私たちは新卒採用に力を入れており、毎年50~80人を採用しています。2023年度は、66人の新入社員が入ってきました。私たちは現在、この新人たちを「入社後研修」と「メンター制度」で丁寧に育成する方針を取っています。

「入社後研修」は、入社してから4年にわたって月1回受講しつづけてもらい、現場の接客やマナー・ルール・ノウハウの基本を深く習得してもらう場です。私たちの現場には、催事など1年に1回しか経験できないこともありますから、実践知をしっかりと身につける期間として、4年は決して長くありません。加えて、入社後研修は新入社員の悩みに耳を傾ける支援の場でもあります。

「メンター制度」は、主に新人の離職率低減を目指して2019年から始めました。離職のなかには、どうしようもない離職となんとかできる離職があります。私たちは、新人一人ひとりにメンターをつけてコミュニケーションを増やし、「なんとかできる離職」を減らすことをねらったのです。メンターの先輩たちは皆イキイキと働いています。新人たちがそうしたメンターと接して良い刺激を受けることが、「なんとかできる離職」を減らすことにつながるのではないかと考えたわけです。

メンター制度では、必ず他部門の先輩がメンターにつきます。直属の先輩には言いづらい内容も、他部門の先輩になら言える場合もあると思います。私自身、体験者として、メンター制度は意義ある制度だと感じました。メンター制度を通じて他部門の先輩と関わりを持て、社内の人間関係が広がりました。人間関係の構築も、さまざまな面で離職防止につながります。

私たちがこのように手厚く人材育成をする理由の1つは、新人たちがたとえ離職したとしても、三和で社会人として成長できた・三和に入ってよかったと思ってほしいからです。私たちは、「社会人として成長できる会社」でありたいのです。また、退職後にお客様として当店を利用してくれることもあると思いますので、いつまでも良い関係を築きたいという気持ちもあります。

初年度の2019年度は、メンター制度をまずやってみることが最も重要でした。そのため、プロセス上改善すべき課題がいくつもありました。例えば、メンターには定期的に「面談シート」を書いてもらっていました。ただ、私たちは業務特性上、店舗スタッフは個人PCを支給されていませんから、各店舗から手書きのシートをFAXで送ってもらい、その内容を人事がPCに打ち込むやり方を取っていたのです。メンター制度は初年度から想定以上にうまくいったのですが、この面談シートのやり取りの仕方では大変だ、とも思っていました。

また、大きな課題の1つは、「うまくいっているメンターとそうでないメンターの違いが見分けられない」ということでした。メンターの成果を評価する指標を持っていなかったのです。私たちはこうした課題を解決し、メンター制度を改善できるツールを探していました。

検討プロセス・実行施策

INSIDESで個人のメンタリティを可視化できるようになり、「面談のPDCAサイクル」が回しやすくなった

INSIDESの存在を知ったのは2020年でしたが、最初から「役に立ちそうだ」と感じました。なぜなら、INSIDESを使うと、新入社員のメンタリティの変化が客観的に分かるからです。INSIDESのデータ・指標を使ってメンタリングの成果を定量的に確認できれば、うまくいっているメンタリングとそうでないメンタリングを見分けることができます。

当時始めたばかりのメンター制度のPDCAサイクルをより効果的に回すためには、この可視化がポイントだと思いました。さらに、INSIDESはメンターの成長や、メンター制度全体の仕組み改善にもつながりそうだと感じ、すぐに導入を決めました。

メンター制度は、新人たちが1カ月の新人集合研修を受けた後、現場に配属されてからスタートします。開始前には、メンター側に「メンター導入研修」を受講してもらっています。メンター制度が新人育成だけでなく、社内の人間関係を充実させ、より良い社風を育むうえで重要な施策であることを理解してもらい、メンターの役割を果たしてもらうことを目指す研修です。現在は、事前の準備として1回、実際にメンタリングを行い課題や疑問が見えてくるタイミングで1回、計年2回のメンター導入研修を実施し、腹落ち感を高めています。

新入社員には、入社後すぐにINSIDESを受けてもらいます。入社時のメンタリティを把握して、その後のメンタリティと比較したいからです。配属直後にメンタリティが急激に上下する新人がいますから、入社時のメンタリティ把握は欠かせません。また、新人たちにINSIDESに慣れてもらう意味合いもあります。その後、新入社員には毎月INSIDESを受けてもらっています。

前述のとおり、小売という業務特性上1人1台のPCがあるわけではありません。そのため、新入社員やメンターも、主にプライベートのスマートフォンやPCを使ってINSIDESを活用してもらっています。私たちのように個人PCの支給を行っていない会社でも、このようにすればINSIDESは十分に導入可能です。事前説明をきちんと行っていることもあり、そのことで問題が起きたことはありません。隙間時間にできるのが嬉しいという声も多くあります。

面談メモ機能のおかげで、メンターの面談シートの執筆効率が格段に高まった

INSIDES導入によって、メンター制度はいくつもの面で改善できました。第一に、「メンター面談の精度」が高まりました。メンターは定期的に新人と面談しますが、その際にその新人のINSIDESレポートを必ず確認してもらっています。INSIDESレポートを見れば、新人が今どのような状態にあり、何に悩んでいるのかが分かりますから、面談で的確な話題づくりができるのです。私自身、メンターを務めたときには、INSIDESレポートを活用して新人との対話のきっかけをつかみました。

一例を挙げると、INSIDESレポートでは「窮々」と出ているのに、面談では「大丈夫です」と空元気を見せる新人がときどきいます。こうしたケースでは、メンターが新人に細かく質問して、状況を具体的に話してもらうことが大切です。そうすると、空元気の裏で、実は日々の業務をこなしきれていなかったり、人間関係がうまくいっていなかったりする問題が浮かび上がってきます。問題が明確になれば、あとは解決するだけです。

第二に、INSIDESの「面談メモ機能」によって、メンターの面談シートの執筆効率が格段に高まり、頻度が増えました。先ほども触れたとおり、当初の面談シートは手書きのFAXでした。ところが、面談メモが登場したことで、面談シートをINSIDESに直接書き込めるようになったのです。多くのメンターが、「スマートフォンなどを使い、空いた時間に面談シートを簡単に書きこめるようになって、本当に楽になった」と言っています。そのおかげで、面談シートの頻度も、3カ月に1度から毎月へと無理なく増やすことができました。最近リリースされたリアクション機能も、しっかり書いてくれてありがとうという気持ちを人事から各メンターへ気軽に伝えられるので助かります。

成果・今後の取り組み

2023年度、ついに入社後半年間の新入社員離職者がゼロになった

メンター制度を始めた当初は形骸化するのではないかと不安でしたが、5年間続けたことでいよいよ当たり前になり、「文化」として定着してきました。メンター役は若い社員にお願いするようにしていますが、自身が新人の頃にメンターから良いフォローをしてもらっていると、後輩へのメンタリングも良くなります。これを毎年続けることで先輩から後輩へと良い流れが蓄積され、どんどんレベルアップしています。メンター制度を通じて、人を育てる文化が引き継がれていっているのです。

その結果、離職率は大幅に下がりました。メンター制度を始めた5年前と比べて、新入社員や若手社員の離職率はおおむね半分になっています。そして2023年度は、ついに入社後半年間の新入社員離職者がゼロになりました。これは、小売業としては画期的なことだと思います。

離職率が下がった要因はいくつかありますが、メンター制度のおかげで新入社員や若手社員の心理的安全性が高まり、三和が「居心地の良い場所」になったのが大きい、と捉えています。メンター制度が人間関係のつながりを充実させることで、同期だけでなく、先輩・後輩や他部署の人たちも信頼してよいのだ、皆が仲間なのだ、と感じられるようになった新入社員や若手社員が増えたと感じています。

また、メンター制度が浸透した結果、メンターを通じて店長層に新入社員のメンタリティ情報が伝わるようになり、人間関係がうまくいっていない新入社員を早めに異動させて離職を回避するといったことができるようになってきました。また店長層は、新入社員や若手社員の異動に合わせたメンター変更などにも、積極的に協力してくれるようになりました。こうしたことも、メンター制度が文化になった証の1つだと感じています。メンターのなかに、後輩と接することで成長する者が増えているのも嬉しい点です。

メンター制度もINSIDESの活用も、かなり完成に近づいています。しかし、まだまだ改善できることはあります。今後もメンター制度をしっかりと継続し、これまで以上に根づかせると共に、より良い制度づくりを進めていきます。そのために、私たち人事は、新入社員や若手社員にできるだけ近い存在でありつづけたいと思います。

取材日:2024/02/05

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企業紹介

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株式会社三和

三和は、地域に密着した食品スーパーマーケットとして、東京都西南部と神奈川県全域に「超ドミナント戦略」を続けている。「sanwa」と”毎日・良品・低価格”をコンセプトに開発した「FOOD ONE」、そして衣食住に関わる品を便利で快適にお買物いただけるショッピングセンター「AMELIA」の3つの業態と、番地レベルまで配慮した創意工夫で、地域のお客様のニーズに細やかに迅速に応えている。
小売業は、生産から消費に至るまでのマーチャンダイジングの過程の最終段階を担っており、消費者に最も近い位置にいる。三和は1958年の創業以来、「食」を通じて「お客様へ質の高いサービスを提供することに努め、ライフスタイルの向上に貢献し、地域の発展に寄与する」ことを追求している。そして、時代の要請に応えるべく、新しい店舗業態開発や既存店舗のさらなる充実と売場の進化に挑戦を続ける。
三和はお陰さまで1,500億円の売上を実現するに至り、地域の方々の支持の下、これまでの東京都町田市や多摩市、神奈川県相模原市を中心とした店舗展開から、さらなる規模の拡大を進める。

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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