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導入事例

キャリア採用の強化にともない、キャリア入行者と受入部店の両者に向けた「オンボーディングハンドブック」を制作・配布

株式会社三菱UFJ銀行

キャリア採用の強化にともない、キャリア入行者と受入部店の両者に向けた「オンボーディングハンドブック」を制作・配布
  • 公開日:2023/04/10
  • 更新日:2024/07/09

事例概要

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背景・課題

2019年頃からキャリア採用を強化し、2022年には、全行150以上のポジションでキャリア採用を実施するまでになりました。今後一層キャリア採用を強化していくうえでも、「キャリア入行者を受け入れる土壌・文化づくり」が必要になりました。そこで、誰もがキャリア入行者のオンボーディングに必要なことを理解できる「オンボーディングハンドブック」を全行に配布することを決めました。

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検討プロセス・実行施策

ハンドブックの制作にあたって、アンケートやインタビューで100名以上のキャリア入行者たちの生の声を集めました。その結果、キャリア入行者が独特な文化に直面する場面や、コンディションが落ち込みやすいタイミングが分かりました。それらの内容を「三菱UFJ銀行あるある」や「入行後の壁」としてまとめ、キャリア入行者向け、受入部店向けの2種類のハンドブックをリリースしました。

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成果・今後の取り組み

行内からのオンボーディングハンドブックの反響はとても大きいです。部店でも、ハンドブックの声を参考に独自の取り組みを増やすなど、受け入れの様子が変わってきています。人事でもオンボーディングメンター制度を導入し、メンターの皆さんが新規キャリア入行者の悩みを吸い上げてくれています。

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背景・課題

2019年頃からたった3年で、全行でキャリア採用が当たり前に。キャリア入行者を受け入れる土壌づくりが必要になった

2019年頃からたった3年で、全行でキャリア採用が当たり前に。キャリア入行者を受け入れる土壌づくりが必要になった

二宮:三菱UFJ銀行では、2019年頃からキャリア採用を強化し始めました。それ以前も部門によってはキャリア採用を行っていましたが、限定的な動きでした。ところが、3年後の2022年には、全行150以上のポジションでキャリア採用を実施するまでになったのです。あっという間に、行内にキャリア採用が広まりました。

柿沼:その一番の要因は「求められる専門性の高まり」にあります。例えば、グローバル金融に関わる部門では、国際金融規制への対応がこれまで以上に強く求められています。それなら、国際金融規制の専門家を増やすためにキャリア採用をしよう、となるわけです。ほかに、サイバーセキュリティの専門家やDXの専門家、システム監査の専門家なども必要です。当然ながら、金融関連のさまざまなスペシャリストも求めています。2019年頃、いくつかの部門がそうして転職マーケットにスポットを当てました。キャリア採用に成功する部門が出てくると、「それなら私たちも」という部門が増え、結果的に3年ほどでキャリア採用が当たり前になったのです。もちろん、新卒採用は引き続き重要な採用チャネルです。そこに高い専門性・多様性を維持する役割としてキャリア採用の選択肢が加わったわけです。

キャリア採用を推進するためには、採用ホームページの制作や採用フローの体系化など、人事が対応すべきことが数多くあります。その1つに、「キャリア入行者を受け入れる土壌・文化づくり」がありました。キャリア採用がどれだけうまくいったとしても、キャリア入行者の皆さんが入行後に定着し、活躍できなければ水の泡です。入行・定着のハードルを下げて、彼らを受け入れる環境を整えることも人事の使命の1つです。

二宮:新卒入行者が多い支店には新卒育成カルチャーが根づいています。各支店に指導担当者が在籍しており、新入行員の配属後1年にわたって、しっかりと指導やフォローをするのです。この仕組みは人事部と部店が共同で作り上げています。しかし、キャリア採用のフォロー体制については、これまでは部店に任せていました。そのため、以前からキャリア採用に力を入れていた部門には手厚いフォロー体制がある一方で、始めたばかりの部門にはそうした体制がなく、キャリア入行者が放置されてしまう可能性がありました。そうなれば、立ち上がりも適応プロセスも遅くなってしまいます。

新卒入行者と違い、キャリア入行者は、キャリアも肩書きも年齢も入行時期もバラバラです。新卒のように育成の仕組みを一律で作るのは難しい。そこで生まれたのが、「オンボーディングハンドブック」を制作するアイディアです。誰もがキャリア入行者のオンボーディングに必要なことを理解できる一冊を全行に配布すれば、キャリア入行者を受け入れる土壌づくりができる、と考えました。

検討プロセス・実行施策

キャリア入行者たちの生の声をまとめて、キャリア入行者の「ジャーニーマップ」や「三菱UFJ銀行あるある」を作成

キャリア入行者たちの生の声をまとめて、キャリア入行者の「ジャーニーマップ」や「三菱UFJ銀行あるある」を作成1

柿沼:リクルートマネジメントソリューションズの皆さんに相談した時点では、どの企業でも通用するような汎用的・定型的なオンボーディングハンドブックの配布を考えていました。

ところがリクルートマネジメントソリューションズの方々から、「キャリア入行者の皆さんにアンケートを取り、インタビューしましょう」「SPIの傾向分析も行いましょう」「そして、御行の実態に即した御行らしいハンドブックを制作しましょう」と提案をいただいたのです。振り返ると、この提案がターニングポイントでした。ありがたい提案でした。

二宮:その後、2019年以降の入行者100名以上にアンケート調査とSPIの受検を、そのうち数名の方にはインタビュー調査への協力を依頼しました。アンケートに対して、キャリア入行者の皆さんはものすごい熱量でいろいろなことを書いてくれました。例えば、「マニュアルがどこにあるか分からない」「社内メールなのに丁寧すぎる」「社内用語は分からないものがいっぱい」など、入行1年経った今でもこんなことに悩んでいるといった声をたくさんもらいました。これらの声は、「三菱UFJ銀行あるある」としてハンドブックに盛り込んでいます。

アンケートやインタビューからは、キャリア入行者の皆さんの本気度やMUFGに対する期待をひしひしと感じました。MUFGで真剣にキャリアを築こうとしているからこそ、皆さん本気で意見して、MUFGを変えようとしてくれたのです。その熱意が嬉しかったです。

柳田:私は新卒で三菱UFJ銀行に入行したので、独自の文化やルールを当たり前のように感じていましたが、アンケートやインタビューの結果を受けて「キャリア入行者の皆さんが、社内でここまで大きな壁を感じていたのか」「MUFGならではの文化やルールは、そんなに独特なのか」と衝撃を受けました。入行後の壁やギャップを少しでも軽減できる、サポートやフォロー体制が必要であると、あらためて感じました。キャリア入行者の生の声をオンボーディングハンドブックに落とし込むことで、キャリア入行者の早期定着を目指しました。

柿沼:アンケートとインタビューから分かったことの1つは、「入行1年後の壁」の存在でした。実は、入行直後のサポートは手厚い、という声が案外多かったのです。ところが、入行後1年ほど経つと、周囲からはフォロー不要な頼もしい存在に見えるのですが、本人たちはまだまだ独自の文化、言葉遣い、作法に戸惑うことが多い、という実態が見えてきました。入行後1年くらいだと、行内にどのような部署があって何をしているのか、誰に何を相談したらよいか、といったことも十分に把握しきれていないのです。そこでハンドブックに、キャリア入行者の「ジャーニーマップ」を掲載して、入行1年後の壁を全行に広く認識してもらえるようにしました。

一方で、キャリア入行者の話をよく聞くうちに、彼らの入行1年後の壁は、新卒入行者が支店から本社に初めて異動したときに突き当たる壁と、ほぼ一緒であることも分かってきました。実は新卒入行者も、支店から本社に異動すると、やはり文化の違いに戸惑うことが多いのです。支店のマネジャーたちにそう説明すると、誰もがよく理解してくれます。当然ながら、新卒入行者とキャリア入行者には共通点もあるわけで、そういう意味で私たちは難しく考えすぎる必要はないのです。アンケート・インタビューからは、そうしたことも見えてきました。

二宮:こうして2022年9月に、オンボーディングハンドブックが完成しました。オンボーディングハンドブックは、「キャリア入行者向け」と「受入部店向け」の2種類を用意しました。キャリア入行者と受入部店では、強調したい点や伝える内容の優先順位が異なるからです。キャリア入行者には人事制度や福利厚生のことを詳しく伝え、受入部店向けには初期・中期・後期の支援方針を詳しく盛り込んでいます。

柿沼:さらに同年11月には、オンボーディングハンドブックのガイダンスを全部店に向けて行いました。出来上がったハンドブックの完成度を見て、ただ配布するだけではなく、より深くキャリア入行者の現状を理解するために、現場で生かしてほしいと思うようになったのです。それほどの想いがこもったハンドブックが完成しました。

キャリア入行者たちの生の声をまとめて、キャリア入行者の「ジャーニーマップ」や「三菱UFJ銀行あるある」を作成2

柳田:ただ、実際にハンドブックを制作してみて、それだけではフォローが足りない、と思いました。そこで併せて、人事部主導の「入行時オリエンテーション」を始めることに決めました。また、アンケートのなかにはキャリア入行者同士のつながりを求めている声も多くありましたので、オリエンテーション内でキャリア入行者の方々が、つながりを持てる仕組みも作っています。

柿沼:さらに、「オンボーディングメンター制度」も始めることにしました。これは、キャリア入行者の皆さんに、キャリア入行者コミュニティを主体的に作ってもらい、そのコミュニティに新規キャリア入行者のメンターを担ってもらう制度です。この制度は、アンケートで「横のつながりが欲しい」という声が多く寄せられたことから用意したものです。MUFGは新卒入行者の横のつながりが強い会社ですから、キャリア入行者の皆さんも横のつながりを求めるのは自然なことです。

柳田:現在は、キャリア入行者の皆さんを対象に社内公募を行い、10名ほどの方をリーダーに指名して、主体的なコミュニティづくりを進めてもらっています。このリーダーたちの熱量がまた非常に高く、すでに懇親会やランチ会を開催し、新規キャリア入行者の悩みをどんどんキャッチアップしています。

成果・今後の取り組み

キャリア入行者たちの「生の声」が、新規入行者にも受け入れ側の部店にも、経営層にも響いている

柿沼:経営層にもハンドブックを共有しているのですが、特に「三菱UFJ銀行あるある」を読んで、全員が何度も頷いていました。他社で豊富な経験を積んできたキャリア入行者が行内に与えるインパクトを重視していること、キャリア入行者に期待していることがよく分かりました。

二宮:このように、オンボーディングハンドブックに対する社内からの反響は大きいです。部店の動きも変わってきており、例えばマネジメントとキャリア入行者の座談会を開催する部門などが出てきています。

柳田:オンボーディングメンター制度は早くも機能しており、メンターの皆さんが新規キャリア入行者の悩みを吸い上げてくれています。そのなかには、上司には話しにくい悩みも含まれています。キャリア入行者同士が相談し合える場の有効性がよく分かってきました。さらに、オンボーディングメンターのコミュニティは、キャリア入行者が社内のいろいろな部署の人たちとつながったり、社内の仕組みを理解したりするうえでも機能しています。

柿沼:先日、私自身がキャリア入行者を部下として受け入れましたが、オンボーディングハンドブックの内容が役立っています。彼女のオンボーディングで特に気をつけたことの1つは、役割・期待・立ち上がりプランを明示することです。ハンドブック内に、そうしたことを明示してほしいという生の声があったからです。採用した時点で、私は彼女のスキルや経験がMUFGで間違いなく生きると確信していましたが、具体的な言語化まではしていませんでした。役割や期待を明示することで、私自身も彼女に何を求めているのかがはっきりしました。お互いに良いプロセスを踏めたと感じています。

柳田:今後は入行1年後の壁、入行2年後の壁を乗り越えてもらうための新たな研修や場づくりなども構想しています。

二宮:三菱UFJ銀行は、今も新卒中心の会社だと思われているかもしれません。しかし、ここまでお話ししてきたとおり、この数年でキャリア入行者が急増しました。我々はキャリア入行者に対して、仕事の即戦力としてだけではなく、MUFGを変える声を持っている人としても期待しています。我々はしっかりとその声を拾いますし、人事として今後も、キャリア入行者が溶け込みやすい環境づくりを進め、より多くのキャリア入行者をサポートしていきたいと考えています。

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企業紹介

株式会社三菱UFJ銀行

2004年(平成16年)「三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスによる経営統合」を発表。総資産約190兆円におよぶ総合金融グループが誕生すると共に、2006年(平成18年)には「三菱銀行」「東京銀行」「三和銀行」「東海銀行」を源流に持つ「三菱東京UFJ銀行」が設立された。さらに、グループ一体運営を国内外に明示しブランドの統一を図るべく、2018年(平成30年)4月、名称を「三菱UFJ銀行」(英語名:「MUFG Bank」)へと変更。

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