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導入事例

「成長を実感できる会社」をつくるため、マネジメント研修や次世代リーダー育成を変革

日本電子計算株式会社(JIP)

「成長を実感できる会社」をつくるため、マネジメント研修や次世代リーダー育成を変革
  • 公開日:2022/10/17
  • 更新日:2024/07/10

事例概要

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背景・課題

日本電子計算株式会社(以下、JIP)は、これからの日本に必要な「自らITアセットを持ってサービスを展開するITサービスベンダー」です。現在は、この長所を生かす経営を推し進めています。松永社長就任以来、最も力を入れているのは、社員一人ひとりが「成長を実感できる会社」をつくることです。なぜなら、人が会社で働く理由は、突き詰めれば、社会的・人間的・スキル的な成長実感に尽きるからです。

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検討プロセス・実行施策

30回以上の社員対話会を経て、会社の「10年後のありたい姿」を決めました。人事部はその方針のもと、10年後に、「成長と活躍」「多様性の尊重」「公正な処遇」をベースにチャレンジするプロフェッショナル集団となることを目指します。そのために現在、「自律支援」と「マネジャー育成」に注力しています。例えば、新たな価値を創造する為の「チャレンジ時間」施策を、スタートしました。

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成果・今後の取り組み

マネジメント研修は、リクルートマネジメントソリューションズの皆さんと共に随時改良を進めており、新人マネジャーの意識が目に見えて変化しています。例えば最近は、事前課題や職場実践に真剣に取り組む受講者が増えました。今後は特に、「キャリアパスの明確化」と「経験・スキルの可視化」に力を入れていく予定です。また、「次世代経営者の育成」を進めたいとも考えています。

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背景・課題

JIPに来てみたら、すでに「これからの日本に必要なITサービスベンダー」だった

JIPに来てみたら、すでに「これからの日本に必要なITサービスベンダー」だった

松永:私は、2021年6月に日本電子計算株式会社(以下、JIP)の代表取締役社長に就任しました。それ以前は親会社のNTTデータに在籍しており、直近は金融部門の責任者(取締役常務執行役員 バンキング統括本部長)を務めていました。NTTデータ時代、グループ会社のJIPとは仕事上のつながりがあり、多少は知っている会社でした。

しかし、社長に就任して驚きました。JIPを知れば知るほど、私がNTTデータ時代に「これからの日本に必要なITベンダーはこういうビジネスモデルだ」と、思い浮かべていたとおりの会社だったからです。ごく簡単に説明すると、欧米でいえばセールスフォースやSAPのような「自らITアセットを持ってサービスを展開するITサービスベンダー」だったのです。相当早い段階から、サブスクリプション型のサービスも提供しています。私は、グループ会社にこんな会社があることを知りませんでした。現在は、この長所を生かす経営を推し進めています。

他にも2点、JIPには面白い特徴があります。1つは、グループ会社の一員にもかかわらず、グループ外販の売上高が94%(2021年3月期)に達することです。NTTデータグループ内の仕事が極端に少ないのです。もう1つは、SME(中小企業)にフォーカスしたビジネスをしていることです。証券業界・金融業界を中心としたSMEや地方公共団体、教育機関などに向けて、各業界が求めるITサービスを定型的・汎用的・標準的かつ安価に提供するのが、私たちJIPのビジネス方針です。

社長就任以来、私が最も力を入れているのは、社員一人ひとりが「成長を実感できる会社」をつくることです。なぜなら、社員がJIPに入社・在籍する理由は、結局は、自分を社会的・人間的・スキル的に伸ばすことができる機会や場がある、ということだと考えるからです。人が会社で働く理由は、突き詰めれば、成長実感に尽きるのです。もちろん経営課題は他にも多くありますが、私は「成長を実感できる会社づくり」を重視しています。

検討プロセス・実行施策

30回以上の社員対話会を経て、会社と人事部の「10年後のありたい姿」を決めた

松永:社長に就任して第一に進めたのは、「社員対話会」です。これまで30数回にわたって、役員・マネジャー・一般社員と直接話し合ってきました。対話テーマは「10年後のありたい姿」です。一人ひとりが10年後にどうありたいのか、会社が10年後にどうあるのがよいのかを語り合うのです。その結果まとまった「10年後のありたい姿」がこちらです(図表1)。現在の中期経営計画は、この10年後のありたい姿からバックキャストして考えました。今後も、社員たちと話し合いを続けていきます。

<図表1>「10年後のありたい姿」

<図表1>「10年後のありたい姿」

また、「K-com(かこむ)プロジェクト」という次世代リーダー育成施策も行っています。第1回では各部署から若手メンバーを募り、私と対話しながら、ステークホルダーの視点で会社案内の見直しに取り組んでもらいました。会社全体の理解を深めながら、相互に情報交換してもらうことが主な狙いです。それから、最大の経営課題の1つは、ベテラン社員から中堅・若手社員への「スキルトランスファー」であり、その解決にも動き出しています。

30回以上の社員対話会を経て、会社と人事部の「10年後のありたい姿」を決めた

國分:中長期で人事・人財を考えるのが人事部の仕事です。そこでまず私たちは松永の想いを受け、人事部としての「10年後のありたい姿」を考えました(図表2)。

一言でまとめれば、私たちは10年後に、「成長と活躍」「多様性の尊重」「公正な処遇」をベースにチャレンジするプロフェッショナル集団となることを目指します。現在は、この10年後のありたい姿を軸に据えて、さまざまな取り組みを進めています。

<図表2>人事部としての「10年後のありたい姿」

<図表2>人事部としての「10年後のありたい姿」

特に注力している取り組みは2つです。1つ目は「自律支援」です。私たちは、新人教育を一貫して重視しており、「ゼロからプロへ」という標語を立て、実際にIT未経験の新人社員を数多くプロへと羽ばたかせてきました。新人に関しては、これまでと変わらず、手厚く育てていきます。しかし、入社5年目以降の社員には、自律的に考えて行動を起こすことを学んでほしい、と願っています。自分はどんなプロになりたいか、そのためにどのようなスキル・経験が必要か、何の研修を受けたらよいかを、自ら考えられるようになってもらいたいのです。現在、そうした自律支援に力を入れています。実は、私たちは約3000種もの研修を揃えており、社員がその気になれば、いくらでも学べる機会を用意しています。

谷藤:例えば、自律支援の一環として、全社員に新たな価値を創造し、更なる成長を遂げる為の「チャレンジ時間」施策を、スタートしました。チャレンジ時間とは、自分にとってチャレンジだということであれば、どんな業務にも自由に使ってよい時間です。社内外の誰かに話を聞きにいったり、他部門と交流したり、研修を受けたりと、実際に社員たちはさまざまな用途に使っています。実は、この記事のインタビューも、私たち人事部がチャレンジ時間を使っています。社内に自律を促す以上、人事部が率先してチャレンジしたい、と考えてのことです。始めたばかりですが、チャレンジ時間は自律支援に効果がありそうです。

國分:2つ目は「マネジャー育成」です。私たちの最大の組織課題の1つは、ミドルマネジメントです。プロフェッショナル集団であるがゆえに、マネジメント志向の社員が少なく、マネジメントのプロが不足する事態になりがちです。 私たちは現在、リクルートマネジメントソリューションズの力を借りながら、マネジメント研修を総合的に見直しています。特に、コンセプチュアルスキルと経営視点を強化し、また、良識ある判断と、腹の据わった決断ができるマネジャーを多く育てたい、と考えています。1つ目の「自律支援」においてメンバーの自律をサポートするのもマネジャーの重要な役割です。会社のあるべき姿を目指してメンバーの自律を促すマネジャーの育成を行っていきます。

成果・今後の取り組み

マネジメント研修の改良の結果、新任マネジャーの意識が目に見えて変化している

マネジメント研修の改良の結果、新任マネジャーの意識が目に見えて変化している

谷藤:成果の面でいえば、マネジメント研修は、リクルートマネジメントソリューションズの皆さんと共に随時改良を進めており、新任マネジャーの意識が目に見えて変化しています。

例えば、実施している研修には、「事前課題→研修→職場での実践」というサイクルがありますが、最近は、事前課題に取り組んでくることで研修に来たときに真剣に取り組む姿勢ができている受講者が増えました。また、もともとプレイヤー志向の強い社員が多い当社ですが「マネジャーになったからには頑張ろう」と考えるマネジャーも増えています。マネジメント研修の改良効果は確実に上がっています。

リクルートマネジメントソリューションズの皆さんは、私たちの社内状況をよく知り、さまざまなことに機敏に細かく対応していただける心強い存在です。トレーナーの方々も、研修報告会には必ず同席してもらい、生の声を届けてもらっています。コロナ禍にいち早くオンライン対応をしてもらえたのも嬉しいことでした。

今後の取り組みですが、人事制度としては特に「キャリアパスの明確化」と「経験・スキルの可視化」に力を入れていく予定です。例えば、マネジャーとメンバーが、1on1のときに一緒に見ながら今後のキャリアを話し合える「経験スキルマップ」の作成を行っている最中です。階層別研修などとも紐づけながら、キャリアパスの明確化を、自発的なキャリアアップ・異動などにつなげていきたいと考えています。

松永:最後に、私から少しだけお話しします。私は今後、「次世代経営者の育成」を進めたいと考えています。これは社長の仕事です。私も含めて、JIPはしばらくNTTデータ出身者が社長を務めています。しかし、NTTデータとはかなり異なるビジネスを行っており、グループ外販の売上比率が高い会社ですから、本来はJIP社内から社長が出るのが自然な流れです。私は、社内から社長を出すことを目標として、これから次世代経営者育成に着手します。

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HRDトレーナーの声

永井 顕一の顔写真

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDトレーナー 永井 顕一

JIP様と10年以上お付き合いさせていただいているなかで感じているのは、「大手グループの一員でありながら、新しいことに積極的に取り組む柔軟性がある」ということです。

その要因はさまざまだと思いますが、そもそも変化の速いIT業界にいること、会社が「社員がより実力を発揮できる環境づくり」に向けて、独立系時代から経営の意思決定のスピードが速かったことがあると思います。企業規模的にも、社員同士お互いの顔が見える、経営と現場の距離が近いということも、企業変革しやすい点なのでしょう。変化し続けるからこそ、60年も存続しているともいえます。

IT業界のエンジニア全般にいえますが、JIP様の社員の皆さんは本当に真面目で、お客様のシステムが安定稼働し、有効に活用されるための努力を惜しまない、自身の技術に対してプライドを持つ方々です。そうであるがゆえに、自社内のことよりも顧客を優先してしまいがちで、これを放置すると職場やチームの関係性が薄れ、コミュニケーションロスから製品品質に影響を及ぼしてしまうことにつながりかねません。だからこそ、マネジメント層の動きが非常に重要であり、私は研修を通じて「技術とマネジメントのプロ」の輩出を全力で支援したいと考えています。

今後に向けてとても明るい材料があります。最近、人事制度改定によって「行動評価」の内容が大きく刷新されたことです。顧客への価値提供(Value)やチャレンジの行動をより評価するようになり、10年後のありたい姿に向けて何をすればいいのかの指針となりました。経営層だけでなく管理者層、一般層がこれに基づいて行動し、それが当たり前の組織になったとき、“新しい企業文化の創造”がなされると思っています。

取材日:2022/10/17

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企業紹介

日本電子計算株式会社(JIP)

日本電子計算株式会社(JIP)

1962年の設立以来、証券総合サービスのOmegaFS、総合行政サービスのWizLIFEなど証券分野、公共分野で豊富な実績を有するほか、金融、一般事業法人、大学、教育などのさまざまな分野で多様なITサービスを提供してきました。システム開発に加えて、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)も含めた総合的なITサービスを提案できるところが当社の特色です。また、NTTデータをはじめとするグループ企業とのシナジーを最大限発揮できるところも強みです。私たちは「お客様とともに、ITで新たな価値を創造する」というJIP Visionの下、DXのコンセプトづくりからその実現まで一貫してサポートしていきます。そして、より便利で暮らしやすく、人にやさしい社会の実現を目指し、お客様と共に新たな価値の創造に努めていきます。

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