社外評価の高い若手人財を育てるために、「完全オンライン・実践重視型のロジカルシンキング研修」を開発

社外評価の高い若手人財を育てるために、「完全オンライン・実践重視型のロジカルシンキング研修」を開発

プロジェクト概要

背景・課題

社内・社外問わず高く評価されるだけの実力の早期形成を支援するために、完全オンライン・実践重視型のロジカルシンキング研修の開発を決めました。「1〜2日のリアル研修だけでは、ロジカルシンキング力が定着しない」「社員を研修場所に集めるのは非効率」という集合研修の2つの悩みを解決するために、半年ほどの完全オンライン研修を用意して、そのあいだロジカルに考え続けてもらうことをねらいました。

検討プロセス・実行施策

2019年10月、ラーニングマネジメントプラットホームを自社開発中だったリクルートマネジメントソリューションズと共同開発を始めました。弊社・佐藤が開発チームに加わったことで難易度調整などもうまくいきました。2020年10月に始まった第1回には、新卒入社1〜3年目のうち46名が自らの意志で参加しました。事前に予習してきて、対話の場では議論だけをする「反転学習」のプログラムです。

成果・今後の取り組み

総じて出席率が高く、1人も脱落することなく研修を終えることができました。営業車のなかから参加するメンバーもおり、営業機会や業務時間を奪うことなく学習機会を提供できたことを実感できました。十分に歯ごたえを感じて悩みながら取り組めるプログラムになっています。全体的な効果は事前の期待通りで、回を追うごとに、ロジカルなアウトプットの質が目に見えて高まっていきました。

背景・課題

1〜2日の集合研修だけではロジカルシンキング力が定着せず、1カ所に集めるのも大変だった

大垣様

大垣:「完全オンライン・実践重視型のロジカルシンキング研修」を開発しよう、と考え始めたのは、2018年の終わり頃です。背景には、日本社会と日本企業の変化があります。以前の日本では終身雇用・就社の傾向が強く、研修もそれに合わせて、社内で活躍するためのスキルセットを教える内容が主流でした。私たちも例外ではありませんでした。ところが、今や日本でも、終身雇用と就社は当たり前でなくなりつつあります。今後は、人財流動性がより一層高まるでしょう。私たちには、社外でも通用するスキルを持った人財を育てる責任が出てきました。さらに言えば、社内・社外問わず高く評価されるだけの実力の早期形成を支援することが、自社の企業力・採用力向上につながる時代にもなってきたのです。

私たちは、社内・社外問わず高く評価されるだけの実力の早期形成を支援するための1丁目1番地は、「ロジカルシンキング力」を磨くことだ、と考えています。そこで考えついたのが、完全オンライン・実践重視型のロジカルシンキング研修です。

ロジカルシンキングの集合研修は、以前から行っていました。ただ、従来の研修には2つの問題がありました。1つは、「1〜2日のリアル研修だけでは、ロジカルシンキング力が定着しない」ことです。これは集合研修の大きな悩みでした。もう1つは、「社員を研修場所に集めるのは非効率」ということです。味の素(株)は日本全国に社員が散らばっており、研修を受けてもらうには、業務を離れて研修場所に来てもらう必要がありました。当然ながら、移動・宿泊などのコストもかかります。集合研修は社内コネクション構築の場でもあり、1カ所に集まるのは悪いことばかりではないのですが、苦労が多いことは確かです。

完全オンライン研修なら、2つの課題を解決できるのではないか、と考えました。半年ほどのオンライン研修を用意して、継続的に考えつづけてもらえば、ロジカルシンキング力の定着が見込めるはずだ、と考えました。また、完全オンライン研修なら、社員は業務を離れて集まる必要がありません。オンライン研修は、社員が全国に散らばっている私たちのビジネス形態に適した形なのです。

2019年10月に、リクルートマネジメントソリューションズと共同開発を始めた時点で、以上の考えはおおよそまとまっていました。コロナ禍以前から、完全オンラインの研修を実施することを決めていたのです。

検討プロセス・実行施策

コロナ禍以前に完全オンライン研修の共同開発を開始。ポイントは半年間の継続的学習

大垣:共同開発の相手にリクルートマネジメントソリューションズを選んだのは、偶然の出会いがきっかけでした。あるとき、別件でお話ししている最中に、ラーニングマネジメントプラットフォーム(現:Learning Pit)を自社開発中だと伺ったのです。2019年の春頃、私たちがちょうど完全オンライン研修を企画・構想していたときでした。これは、私たちにとって新たな挑戦ですから、新たにプラットホームを開発している方々と一緒に作るのがふさわしいのではないかと考えました。私たちの方からお声がけして、共同開発が始まりました。

開発時のターニングポイントは、弊社の佐藤が開発チームに加わったことでした。佐藤は、2020年7月に事業部門から人事へ異動してきたのですが、現場で若手社員とよく接しており、彼・彼女らの様子やレベル感をよく知っていたのです。佐藤がチームに入ったことで、研修の難易度をうまく調整できました。

佐藤:私がプロジェクトに参加した当初の率直な感想は、「基礎的なスキルの習得にもっと重点を置いた方がよい」でした。大垣が考えている以上に、若手社員には基礎的なスキルの習得が不足していると感じていたからです。まず基礎をしっかり身につけるようなプログラムへと調整していきました。また、研修で最も重要なのは、現場でロジカルシンキングを生かして、成果につなげることです。現場でどのように生かしてもらいたいかをイメージしながら、具体的なプログラムを練っていきました。

大垣:第1回の研修は、2020年10月〜2121年3月に実施しました。開発を始めたのは新型コロナウイルスの流行以前で、当時は完全オンライン研修がどれほど理解を得られるか半信半疑な部分もありましたが、2020年のコロナ禍では問題なく受け入れられました。開発当初はまったく想定していなかったことです。研修対象者は入社1〜3年目です。完全挙手制で受講者を募集し、46名が参加しました。

佐藤:オンライン研修は全8回・各2時間で、3週間に一度ほどのペースで実施しました。各回に動画講義と予習課題がついており、必ず予習してからオンライン研修に臨んでもらいました。オンライン研修では、ほとんど予習課題と応用課題のディスカッションだけを行います。参加者が事前に予習してきて、対話の場では議論だけをする「反転学習」です。さらに、事後課題にも取り組んでもらい、半年間継続してロジカルに考えつづけてもらいました。

ソリューションアーキテクトの声
姜_櫻井

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDサービス開発部
シニアソリューションアーキテクト 姜 舜伊
マネジャー 櫻井 勇太


「研修を実施しても効果が持続しない」「オンライン研修ならではの価値を出したい」といったお声が昨今増えてきております。特に「オンラインならでは」という点は新型コロナウイルスの流行を起点にますます注目が集まり、多くの人材開発部門の皆様がご関心を寄せているテーマだと思います。味の素(株)様は、コロナ禍前からこのような問題意識を既にお持ちで、このたび共同で開発を進める貴重なチャレンジをさせて頂きました。

今回のご支援を通じて我々が最も大事にしたことは、「研修効果を高めるための最適な学習は何か?」という本来の目的に立ち返り、オンラインを有効なツールとしていかに活用するかを問い続けたことです。このことが、本施策を推進するうえで一番の肝となりました。加えて、これらを味の素(株)様やパートナー(株式会社HRインスティテュート)の皆様と「共創」していくプロセスこそが、枠にとらわれない新しい価値を実現する力強いエンジンとなりました。

これまでは、「階層・一律・役割」研修が、日本型の人事制度上で極めて合理的な研修体系でした。しかし、従来型の人事制度の限界が叫ばれる今、「選択・自律的・スキル」研修の必要性がますます高まっております。また、国内外の学校教育などに目を向けてみると、企業教育よりも先進的な事例がいくつもあり、これからの新入社員や若手の「教育への当たり前基準」もさらに変わってくる時代に入ります。

今回の新しいスキル学習は既に他企業様にも導入が進んでおりますが、このことは各社様のなかで研修目的(なにを身につけさせたいのか)の問い直しだけでなく、学習の「要素」「構造」「手法」の再構築が必要になっていることの表れと手ごたえを感じております。 我々としても、これまでの業界の常識をあらためて問い直し、VUCA時代に必要とされる学習の提供を引き続き目指したいと考えております。

成果・今後の取り組み

回を追うごとにロジカルなアウトプットの質が目に見えて高まっていった

佐藤様

佐藤:結論から言えば、かなりうまくいきました。総じて出席率が高く、1人も脱落することなく研修を終えることができました。何人か欠席することもありましたが、誰もが自らキャッチアップして遅れを取り戻し、その後は積極的に議論に参加していました。なかには、営業活動の合間に営業車のなかから研修に参加したメンバーもいました。参加者から営業機会や業務時間を奪うことなく学習機会を提供できたことを実感したエピソードです。

だからといって、内容は決して簡単ではありません。1〜3年目社員が、十分に歯ごたえを感じながら取り組めるプログラムになっています。実際、受講者たちは皆、悩みながら前進していました。私自身も若い頃にこの研修を受けていたら、もっと上手に議論や交渉や企画ができただろう、と思うような研修内容に仕上がっています。

その社員だけでなく、参加社員は誰もが前向きに頑張っており、助け合いながら学んでいました。終盤には、互いにディスカッションの善し悪しを指摘し合い、高め合うような関係性ができ上がっていました。職場でもそのままの実力を発揮してもらえたら、味の素(株)がもっと伸びることは間違いありません。

大垣:全体的な効果は、事前の期待通りでした。予習→ディスカッション→事後学習→予習→ディスカッション……のサイクルを回すことで、ロジカルシンキングがはっきりと定着していきました。回を追うごとに、ロジカルなアウトプットの質が目に見えて高まっていったのです。確かな手ごたえを感じています。1〜3年目社員がうまく交じり合い、刺激を与え合う関係になっていったのも印象的でした。

もちろん多少の改善点はあるのですが、2021年以降も継続してこの研修を実施する予定です。さらに今後は、他の能力を磨く完全オンライン研修も開発して、近い将来、30歳までに社会一般で求められる能力をしっかりと磨けるオンライン教育体制を整えたいと考えています。

企業紹介

味の素株式会社
「佳良にして廉価なる調味料を造り出し滋養に富める粗食を美味ならしむること」これは、明治時代の科学者であり、うま味調味料「味の素(R)」の原点となった“うま味”の発見者、池田菊苗博士の言葉です。1908年に発見された“うま味”の主成分は、アミノ酸の1つであるグルタミン酸。「粗末な食事を、少しでもおいしく食べたい。」 という当時の日本をとりまく食事情が、食材のおいしさを引き立てるうま味調味料「味の素(R)」の誕生へとつながりました。
「アミノサイエンス」で、世界中の人々のウエルネスを実現すること。それが私たちのお客様への約束です。「アミノサイエンス」とは、味の素グループ独自の科学的アプローチ。アミノ酸が持つ無限の可能性を追求し、こころとからだの健康に役立つ商品やサービスを提供する。毎日をもっとおいしく、もっと快適にするために、私たち味の素グループは、これからも新たな挑戦をつづけてまいります。