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公開日:2024/02/26
更新日:2024/02/26

THEME 組織開発

調査レポート仕事における余白・遊びに関する実態調査

余白・遊びが個と組織にもたらすもの 仕事における気分転換・交流・制度の実態とは

余白・遊びが個と組織にもたらすもの 仕事における気分転換・交流・制度の実態とは
執筆者情報
技術開発統括部
研究本部
組織行動研究所
研究員
大庭 りり子

プロフィール

仕事における余白・遊びは、関連する概念も含めると非常に幅広い。本調査においては、(1)業務時間内の気分転換、(2)業務時間内外の社内交流、(3)仕事の内容や進め方に余裕をもたせる制度と捉えることとした。余白・遊びは実施の当事者のみならず、組織にとっても有意義なものと見なすことができるのか。そうだとするならば、余白・遊びが生まれやすいのはどういった職場なのか。これらを検討すべく、(1)(2)(3)に関する実態や考えを尋ねた。

 

調査概要



仕事において何を余白・遊びと捉えるかは、個々人の価値観や、これまでどのような職場において働いてきたのかという経験によって、意見が分かれるだろう。また、時代の移り変わりによって、さまざまな余白・遊びが生じたり消えたりしてきたものと思われる。本調査では、(1)業務時間内の気分転換(以下、「気分転換」)、(2)業務時間内外の社内交流(以下、「交流」)、(3)仕事の内容や進め方に余裕をもたせる制度(以下、「制度」)の3つに大きく分けて捉えることとし、それらの実態と背景にある考えや職場の雰囲気に迫った。

図表1は本調査の調査概要である。調査対象は、従業員規模50名以上の企業で働いている正社員のうち、入社して半年以上が経過している人とした。


<図表1>調査概要「仕事における余白・遊びに関する実態調査」
調査概要「仕事における余白・遊びに関する実態調査」

職場における余白・遊びの実態と満足度



最初に、気分転換・交流・制度の実態を見ていきたい。本調査では、気分転換の具体例として「新聞や本を読むこと」「散歩、ストレッチなどの軽い運動」などの7項目、交流の具体例として「食事会や飲み会」「社員旅行」などの4項目、制度の具体例として「フレックスタイムなど、働く時間を柔軟に選べる制度」「テレワークやフリーアドレスなど、働く場所を柔軟に選べる制度」などの10項目を示し、気分転換は直近1週間の業務時間内での実施頻度、交流は直近1年間の業務時間内外での実施頻度、制度は所属企業での有無および期間を限定しない活用の経験を尋ねた。併せて、それぞれの満足度も聞いた(図表2)。なお、今回は交流を日頃のコミュニケーションというよりもイベント要素をもつものと置いたため、「雑談」は交流ではなく気分転換の具体例とした。


<図表2>気分転換・交流・制度の満足度と実施・活用の実態〈単一回答/n=808/%〉
気分転換・交流・制度の満足度と実施・活用の実態


まず、気分転換のうち、「雑談」「おやつを食べたり飲み物を飲んだりすること」「個人のスマートフォンなどのチェック」など、その場を離れずにできる場合が多い項目は、いずれも60%以上が直近1週間に複数回実施していた(「ほぼ毎日行った/週に数回は行った」)。また、最も実施率の低かった「仮眠」に関しても、38.5%の人が直近1週間に1度は実施していた(「ほぼ毎日行った/週に数回は行った/1度は行った」)。なお、気分転換のすべての項目に「行わなかった」と回答した人は5.0%であったことから、職務の性質や職場の環境はさまざまであっても、何かしらの形で気分転換は行っている人が多いといえよう。

一方で、交流は、最も実施率の高かった「食事会や飲み会」に関しても、直近1年間に複数回実施した(「月に1回以上は行った/年に数回は行った」)という回答は42.9%にとどまった。そして、その他すべての項目において、直近1年間に1度でも実施した(「月に1回以上は行った/年に数回は行った/年に1度は行った」)という回答は5〜10%にすぎなかった。なお、交流のすべての項目に「行わなかった」と回答した人は36.4%であった。

制度は、「フレックスタイムなど、働く時間を柔軟に選べる制度」および「テレワークやフリーアドレスなど、働く場所を柔軟に選べる制度」については、存在する(「会社の制度として存在し、活用したことがある/会社の制度として存在するが、活用したことはない」)という回答が50%程度であり、そのうち、「活用したことがある」という回答は全体の30%を超えていた。その他の項目はいずれも、「会社の制度として存在し、活用したことがある」という回答は20%以下であったことに加え、多くの項目で「分からない」という回答が20%を超えていた。この点から察するに、仕事の内容や進め方に余裕をもたせるような諸制度は、働く時間、場所といったほとんどの人に関連することがらを除いて、有無の周知が行きわたっていない場合が一定数あるのではないか。言うまでもなく、存在を知っていなければ活用はできないため、活用率に課題を抱えている組織においては、その可能性に留意されたい。

なお、満足度はいずれも50%以上が「非常に満足している/満足している/やや満足している」であり、なかでも交流に関しては68.9%が肯定的な回答であった。

出社頻度が低い人は雑談の実施頻度も低い



次に、気分転換・交流・制度の個別項目の実施頻度・有無と活用経験に関して、企業属性(業種・従業員規模)、回答者個人属性(年代・階層・職務系統・出社頻度・労働時間)によって、項目ごとに出現率が異なるかを統計的に確認した。ここでは特徴的な結果を取り上げることとする。特に多くの項目で偏りが見られたのは出社頻度であった。例えば、「雑談」は「ほとんど出社しない」の場合に他の出社頻度と比べて雑談の実施頻度が低かった。なお、他の気分転換の項目は、「ほぼ毎日出社」「週に数日出社」「月に数日出社」「ほとんど出社しない」のうち、「週に数日出社」が最も実施頻度が高かった。

また、職務系統(営業系、接客・サービス系、企画・事務系、専門職系、生産・製造系)の別では、時間の使い方の裁量や顧客との関わり方などの違いから、気分転換のしやすさや必要性に差異がある可能性を推察していたが、気分転換のすべての項目で、職務系統による傾向の違いは確認されなかった。ただし、交流においては「食事会や飲み会」の実施頻度に関して、営業系は高く、接客・サービス系および生産・製造系は低いことが確認された。

食事会や飲み会は満足度に必ずしも結びつかない



それでは、気分転換・交流の実施や制度の活用と各々の満足度の関係性を見ていこう。はじめに、気分転換の各項目の実施と満足度の関係について定量的に確認すべく、気分転換の各項目に関して、頻度は問わず1回でも実施した群(「ほぼ毎日行った/週に数回は行った/1度は行った」)とまったく実施していない群(「行わなかった」)に分け、満足度の違いを確認した(図表2右)。すると、すべての項目で統計的に有意な差が見られ、いずれも実施群の方が満足度の回答の平均値は高かった。つまり、気分転換の具体例として示した7項目は、すべて気分転換の満足度につながり得るものだといえる。

次に、交流の各項目に関して、同様に、頻度を問わず1回でも実施した群(「月に1回以上は行った/年に数回は行った/年に1度は行った」)とまったく実施していない群(「行わなかった」)に分け、満足度の違いを確認したところ、「食事会や飲み会」以外のすべての項目で有意差が見られた。すなわち、交流の具体例として示した4項目のうち、「食事会や飲み会」は、交流の満足度に必ずしも結びつかないと解釈できよう。なお、交流も、すべて実施群の方が満足度の回答の平均値が高かった。「社員旅行」「運動会・ゴルフコンペなどのスポーツ大会」「クラブ活動・部活動」に関しては、実施率が5〜10%と低かったことを考慮すると、それらは意欲的な人だけが参加するような場だからこそ参加した人の満足度は高く、他方、「食事会や飲み会」は意欲の高低にかかわらず参加せざるを得ない場合が少なくないため参加しても満足度が向上するとは限らないのではないか。組織に「遊び」を増やそうと試みる際、交流の場を設けることは比較的安易な手段として想起されるが、義務的な参加は満足度につながらない可能性がある点には注意を払いたい。

制度に関しては、まず、活用したことがある群(「会社の制度として存在し、活用したことがある」)と活用したことがない群(「会社の制度として存在するが、活用したことはない/会社の制度として存在しない」)に分け、満足度の違いを確認したところ、「副業・兼業の制度」以外のすべての項目で群間に有意差が見られ、活用群の方が満足度の回答の平均値は高かった。また、活用しているかは問わず制度が職場に存在している群(「会社の制度として存在し、活用したことがある/会社の制度として存在するが、活用したことはない」)と存在していない群(「会社の制度として存在しない」)に分けた場合は、すべての項目で有意差が見られ、存在群の方が満足度の回答の平均値が高かった。この結果から、自身が活用していなくても、職場に各種制度が存在していると、存在しない場合と比べて満足度が高いと考えられる。仮に現状の活用率が高くなかったとしても、必要とされていないと判断し廃止してしまうのではなく、多角的に検討しながら、制度の設置・維持に努めていきたい。

頻度の多寡よりも個人の希望に沿った実施が重要



続いて、気分転換・交流・制度の各項目の実施・活用と満足度の関係について定性的に確認したい。図表3は、気分転換・交流・制度それぞれの満足度の回答理由の抜粋だ。十分に実施できており満足している場合もあれば、あまり実施しないで済んでいることに満足している場合もあることが分かる。


<図表3>気分転換・交流・制度の満足度の理由〈自由記述から抜粋〉
気分転換・交流・制度の満足度の理由


まず、気分転換に関しては、「特に気兼ねなく好きなときに休憩できるような社風なので、メリハリをつけながら仕事に取り組むことができていて良いと思います」「テレワークで自分のペースで気分転換できているから」といったコメントが見られ、頻度の多寡よりも、自身が希望したタイミングで実施できることが満足度の向上に寄与する可能性が推し量れた。一方、「在宅勤務だと、つい休憩をとらずに仕事をしてしまい、気分転換が不足してしまう」とのコメントも見られ、リモートワークが満足・不満足どちらの理由としても挙げられている点は興味深い。先ほど、多くの気分転換の項目において「週に数日出社」している人の実施頻度が最も高い旨が確認されたことも併せて考えると、リモートワークは気分転換を促進するとも抑制するとも一概にはいえないものなのだ。

交流については、「煩わしい付き合いがないことに満足している」「社内の雰囲気は悪くないが、プライベートの時間を使ってまで交流したいとは思わない」といった、実施しないことに満足するコメントが多く見られた。また、「コロナ禍前は今以上に交流があったので、少し物足りない」といった、コロナ禍を経て交流の頻度や在り方に変化が生じた可能性を示唆するコメントも複数見られた。

制度に関する記述には、「社員のことを考えているんだなと思うから」といった、組織の従業員への姿勢を表すものと捉えたコメントが複数あった。そして、不満足の理由としては、「何も制度がないから」という趣旨のものが多く、次いで「業務量やスキルにより、偏りが出る」といった不公平感を述べるものが目立った。気分転換・交流とは異なり、基本的に制度は個人の意思で設置・活用できない。だからこそ、活用の機会が合理的な理由なく一部の従業員に限定されることが不満につながるのだろう。

気分転換と交流のどちらも満足している人は48.9%



以降は、職場単位で実施しやすい気分転換と交流に絞って考察を進める。ここまでの分析で、それらは実施頻度を単に増やせば増やすほど良いという類いのものではなく、個々人の希望に沿った頻度やタイミングで実施できることが重要である可能性が示唆された。そのため、実施頻度ではなく満足度に着目して考えていきたい。

気分転換と交流の双方に満足している人は、どの程度いるのだろうか。今回の調査では満足度を6段階で聞いているため、「非常に満足している/満足している/やや満足している」と回答した人を「満足」、「まったく満足していない/満足していない/あまり満足していない」と回答した人を「不満足」とし、それぞれの満足・不満足群のかけ合わせで4群に分けた(図表4)。すると、(1)共に満足という人が48.9%で最も多く、(4)共に不満足および(3)交流のみ満足という人がそれぞれ20%ほどだった。全体の半数が双方に満足しているというのは、前向きな結果のように見受けられる。


<図表4>気分転換の満足度と交流の満足度のクロス集計〈単一回答/n=808〉
気分転換の満足度と交流の満足度のクロス集計

気分転換の満足は組織にとっても好影響



それでは、個人が気分転換・交流に満足していることは、組織にとっても良い影響があるのか。「結果として組織の効率や機能が高まる、自発的な役割外行動」を示す組織市民行動(以下、「OCB」)と「従業員の会社に対する愛着や貢献の意志」を示すエンゲージメントを結果変数とし、気分転換・交流の満足度との関係性を見てみよう(図表5)。なお、本調査では、「職場を休んでいた人を援助する」など6項目の平均値を「OCB」、「仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる」など3項目の平均値を「エンゲージメント」とした。


<図表5>気分転換と交流の満足度の組み合わせ別、組織市民行動(OCB)とエンゲージメント
     〈単一回答/n=808〉
気分転換と交流の満足度の組み合わせ別、組織市民行動(OCB)とエンゲージメント


まず、「OCB」については、(1)(共に満足群)と(4)(共に不満足群)、および(1)(共に満足群)と(3)(交流のみ満足群)に統計的に有意な差が見られた。つまり、気分転換に満足していない人は、同僚や上司を援助したり、個人的に関心をもったりしていない傾向にあるといえる。

「エンゲージメント」においても、(1)(共に満足群)と(4)(共に不満足群)、(1)(共に満足群)と(3)(交流のみ満足群)に有意差が見られた。こちらも同様に、気分転換に満足していない人は、エンゲージメントが低い傾向にあるということだ。なお、エンゲージメントの高さは長期的な組織への貢献、ひいては離職の防止につながるものとされているため、重要な指標に据えている企業が多いだろう。

ややもすれば、特に気分転換は、個人のみに資するような印象を抱きがちである。しかし、これらをふまえると、構成員が満足に気分転換することは、組織にとってもポジティブな影響があるといえるのではないか。本人が満足に気分転換できているからこそ、同僚や上司に援助行動を行ったり、組織に愛着をもって働くことができたりする可能性がある、ということだ。そして、それは組織としてのパフォーマンスの向上や離職の防止などにつながり得るのである。

43.1%の人が気分転換等に後ろめたさを感じている



ここからは、さらに絞り込み、結果変数との関係が強かった気分転換にフォーカスして分析を進める。交流や制度と異なり、気分転換は多くが個人の判断で実施するものだ。また、いずれの項目も実施と満足度が連動しており、個人にとって実施のデメリットはないように思われる。しかし、気分転換が思うようにできていない人(満足度が低い人)は全体の41.1%と少なくない。気分転換ができていない人には、どういった背景があるのだろうか。

今回は、「後ろめたさ」が関係しているかもしれないと考え、「業務時間内に目の前の業務以外に時間を割くこと」に後ろめたさがあるか、と尋ねたところ、全体の43.1%がある(「非常にあてはまる/あてはまる/ややあてはまる」)と回答した(図表6)。なお、「目の前の業務以外」という聞き方は気分転換以外の要素も含まれるだろうが、気分転換を促進ないしは阻害する背景を広く捉えて検討すべく、あえて直接的なワーディングは避けた。


<図表6>気分転換等の後ろめたさ〈単一回答/n=808/%〉
気分転換等の後ろめたさ


また、後ろめたさに関して、企業属性(業種・従業員規模)、回答者個人属性(年代・階層・職務系統・出社頻度・労働時間)において、群間で統計的に有意な差があるか確認した。すると出社頻度の「ほぼ毎日出社」「週に数日出社」と「ほとんど出社しない」の間に有意差が見られた。出社していると、互いの姿が直接目に入るため、後ろめたさを感じやすくなることは想像に難くない。

図表7は、上記の設問の回答理由の抜粋である。


<図表7>後ろめたさの理由〈自由記述から抜粋〉
後ろめたさの理由


後ろめたさがあると回答した理由としては、「目の前の仕事でみんな忙しくしているから、仕事をさぼっているようで後ろめたい」「他の人の視線が気になるから」といったコメントが見られ、同僚が気分転換等をしていないなか、自分だけが気分転換等を実施する際に後ろめたさを感じることが多いようであった。また、「業務の種類的に自分の進捗を待っている人がいる仕事が多いため、なるべく早く目の前の業務を完了したいと思っているので」などのコメントにあるように、仕事の相互依存性、すなわち自分の仕事が他のメンバーの仕事と依存し合い影響し合っていると感じている程度が高い場合は、目の前の業務に直接関係のない気分転換等に時間を割くことを後ろめたく感じやすいと考えられる。

他方、後ろめたさがない(「まったくあてはまらない/あてはまらない/あまりあてはまらない」)と回答した理由を見ると、「業務以外のことでも、広い意味で役立つ日が来ると信じているから」「それが長い目で見て効率的だから」といったコメントがあり、長い時間軸で考えた際に、気分転換等は自身にも組織にも資するものであると捉えている場合が多いことがうかがえる。この点からも、やはり気分転換の満足度が高い人はエンゲージメントも高い傾向にあることは納得感が高い。長期的な組織への貢献を見据えているからこそ、自身が気分転換をすることに否定的にならずにいられ、また、気分転換を前向きに実施できているからこそ、長期的に組織に貢献したいと思えるという好循環が想定できる。

後ろめたさは実施頻度でなく満足度と関係がある



それでは、後ろめたさは気分転換の実施を阻害し得るのか。はじめに、後ろめたさが高い(「非常にあてはまる/あてはまる/ややあてはまる」)人と低い(「まったくあてはまらない/あてはまらない/あまりあてはまらない」)人の2群に分け、気分転換の実施頻度の全項目平均値の差を見たところ、統計的に有意な差は見られなかった(図表8上)。後ろめたさは、実施を抑制するほどの力をもつ要素ではないのだろうか。しかし、実施しているからこそ後ろめたさを感じる人、後ろめたいからこそ実施できていない人が混在しており、有意差が表れなかったとも考えられる。それでは、同じように気分転換をしていたとして、後ろめたさを感じている場合とそうでない場合で満足度に違いはあるのだろうか。その点を探るべく、気分転換の実施頻度高群・低群に分けて、後ろめたさと満足度の関係を確認した。


<図表8>気分転換の実施頻度・満足度と後ろめたさの関係
気分転換の実施頻度・満足度と後ろめたさの関係


その結果、気分転換実施頻度高群・低群のどちらにおいても、後ろめたさの高低で統計的に有意な差が見られ、後ろめたさ高群の方が気分転換の満足度が低かった(図表8下)。すなわち、気分転換を多く実施している場合も、後ろめたさを感じつつ実施していると、満足度は低いのだ。ともすれば、OCBやエンゲージメントという形で組織に良い影響を与える可能性も低くなるため、後ろめたさは本人にとっても組織にとっても良いものではないといえるだろう。このことから、組織としては、単に気分転換を認めるだけでなく、後ろめたさを感じさせないような職場づくりが必要だと考えられる。

気分転換等が後ろめたい職場は余裕がなく冷ややかな傾向



そこで、後ろめたさを感じさせないような職場の特徴を検討したい。職場の特徴について問い、「常に時間に追われている」など3項目の平均値を「余裕のない職場」、「冷ややかな雰囲気が流れている」など3項目の平均値を「冷ややかな職場」、「異動による人の入れ替わりが激しい」など2項目の平均値を「流動性の高い職場」と名付けた。それぞれ6点満点中3.5点を境に高低群に分け、後ろめたさの得点の違いを見たのが図表9である。


<図表9>職場風土による後ろめたさの違い
職場風土による後ろめたさの違い


結果としては、3つのすべての高低群で統計的に有意な差が見られた。つまり、余裕のない職場・冷ややかな職場・流動性の高い職場で働いている人は、業務時間内の気分転換等に後ろめたさを感じている傾向にあるということだ。余裕のなさや冷ややかさについては職場単位で対処できる部分があるだろう。それらの緩和を通じて、気分転換等に対する後ろめたさを感じさせないようにすることが、気分転換の満足度の向上につながると考えられる。そして、異動や採用などで人が流動すると、関係性を新たに構築する必要などから後ろめたさを感じやすくなる可能性も留意しておきたい。

今回の調査を総括する。まず、仕事における余白・遊びを気分転換・交流・制度と大まかに分類し、実施頻度や有無の実態と満足度、それらの関係性を見た。そののち、気分転換・交流の満足度が高いと、組織市民行動やエンゲージメントなどの観点から、組織にも良い影響をもたらし得ることを把握した。そして、気分転換の満足度は後ろめたさによって阻害される可能性があること、その背景の一例には職場の余裕のなさ・冷ややかさ・流動性の高さがあるということを確認できた。

「余白・遊びのある職場」と耳にしたときの印象は、冒頭に書いたように、人によって大きく異なるだろう。本人にとっては良いものだが、他者や組織にとっては悪いものだという考え方も少なくないかもしれない。しかし、必ずしもそうではなく、余白・遊びをもった柔軟な個と組織であろうとすることが、さまざまな可能性につながることを示せていれば嬉しい。



※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.73 特集1「仕事における余白と遊び」より抜粋・一部修正したものである。
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調査概要
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食事会や飲み会は満足度に必ずしも結びつかない
頻度の多寡よりも個人の希望に沿った実施が重要
気分転換と交流のどちらも満足している人は48.9%
気分転換の満足は組織にとっても好影響
43.1%の人が気分転換等に後ろめたさを感じている
後ろめたさは実施頻度でなく満足度と関係がある
気分転換等が後ろめたい職場は余裕がなく冷ややかな傾向
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