2010年度新入社員意識調査 新入社員は何を求め、何を不安に思っているのか?

執筆者情報
組織行動研究所
マネジャー
主任研究員
兼 HR Analytics & Technology Lab
入江 崇介

2010年はいわゆる「ゆとり世代」大卒者の入社元年となりました。ここ数年、人事向けの業界紙を含め、さまざまな場面でこのキーワードを目にします。企業の採用・育成の現場でもこの話題には事欠かないことと思います。

しかし、彼/彼女らは、急激な経済環境の悪化に基づく企業の新卒採用の絞込みの影響を受け、「いきなり厳しい現実に直面をした」世代とも言うことができます。この厳しい現実の中で、新入社員となった彼/彼女たちは、社会人生活をスタートするにあたって、今どんな思いを抱いているのでしょうか?

あらためて彼/彼女らを先入観にとらわれず、しっかりと理解するために、弊社のデータをご確認いただければと思います。


調査概要

弊社のリクルートマネジメントスクール(研修公開コース)では、毎年新入社員研修「8つの基本行動」の受講者にご協力いただき、新入社員意識調査を行っています。調査概要は以下となります。

■「2010年度新入社員意識調査」の概要

なお、今年度は調査領域の変更を行いましたので、昨年度までの結果との比較などは行っておりません。今年度からの経年変化は、来年度以降ご紹介させていただきます。

大切にしたいのは、周囲から浮いた存在にならないこと?

はじめに、新入社員に「社会人として働いていくうえで大切にしたいと思っていること」を尋ねた結果をご紹介します。

図表01 あなたが社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?(選択率順)

「社会人としてのルール・マナーを身につける」「周囲との良好な関係を築く」の選択率の高さには、近頃の若者の特徴と言われる「浮いた存在にはなりたくない」という思いが反映されているようです。また、「仕事に必要なスキルや知識を身につける」「任された仕事を確実に進める」の選択率の高さからは、「失敗したくない」という思いが垣間見られます。

一方で、「仕事で高い成果を出す」「新しい発想や行動で職場に刺激を与える」の選択率の低さからは、「まだ自分自身に自信がもてない」「必要以上にがんばる必要はない」という思いがうかがえます。

職場に求めるものは、周囲との良好な人間関係?

次に、新入社員に「自分が働きたい職場の特徴」を尋ねた結果をご紹介します。

図表02 あなたはどのような特徴を持つ職場で働きたいですか?(選択率順)

「ルール・決め事が明確」の選択率が低くなっていますが、その他の選択肢は一定の割合で選択されています。また、約半数の新入社員が「お互いに助けあう」を選択しており、続いて「活気がある」「アットホーム」を選択しています。個人プレーというよりも、お互いに関わりあいながら働くような職場を新入社員は求めているといえます。

上司には「個人」として関わって欲しい?

続いて、新入社員に「上司に期待すること」を尋ねた結果をご紹介します。

図表03 あなたが上司に期待することは何ですか?(選択率順)

「相手の意見や考え方に耳を傾ける」と同時に、「言うべきことは言い、厳しく指導すること」の選択率も高くなっています。このことは、「やさしさ」だけではなく「厳しさ」も上司に求めていることを示すとともに、前提として上司とコミュニケーションをとっていたい、上司に見ていて欲しいという思いを示しているとも解釈できます。

一方で、「部下に仕事を任せること」の選択率は極めて低く、ここからも新入社員の自信のなさや、人との関わりがなくなることへの不安がうかがえます。

やはり、苦手なコミュニケーション力を強化したい!

また、新入社員が「これから身につけたい力」を尋ねた結果をご紹介します。

図表04 あなたがこれから身につけたい・伸ばしたいと思っている力は何ですか?(選択率順)

半数以上の新入社員が「コミュニケーション力」を選択しており、コミュニケーション力への不安がかなりこの世代には深刻なもののようです。一方でPCスキルの選択率は低く、PCスキルに対する自信は高いようです。

なお、「これから働く上で大切にしたいこと」として選択率が高かった、弊社8つの基本行動のテーマでもある「マナー」は、これから身につけたい力として集中的に選択されたわけではありませんでした。このことは、形式としてのマナーについては研修である程度自信が持てた反面、より高いレベルで相手の期待に応えるためには形式だけではなく、相手の意を汲み取ること、すなわちコミュニケーションが不可欠であることを新入社員が感じ取った結果とも解釈できます。

とにかく「仕事についていけるか」が不安!

最後に、新入社員の「仕事・職場生活をするうえで不安」を尋ねた結果をご紹介します。

図表05 あなたが仕事・職場生活をするうえで不安に思っていることは何ですか?(選択率順)

選択率を見ると、「先輩・同僚とうまくやっていけるか」「上司とうまくやっていけるか」というコミュニケーション上の不安より、まずは「仕事についていけるか」に不安があるようです。

一方で、厳しい状況を目の当たりにしているものの、「雇用」に対する不安は相対的に低いことが今回の調査結果からうかがえます。新卒採用市場だけでなく、中途採用市場も必ずしも活性化していない現状を考えると、「終身雇用」に対する根強い信頼があるのではないかと考えられます。

また、「これから大切にしたいこと」で「会社の文化・風土を尊重すること」の選択率が低かったことと関係があるのかもしれませんが、「会社の風土が自分に合ったものか」という不安も低いという結果は特徴的なもののように思えます。このことは、「会社の文化・風土という曖昧なもののイメージがわかない」「そもそも、会社という大きなレベルのことは考慮していない」、もしくは「会社の文化・風土に合っているから採用されたという自信がある」「自分を適応させていくことに自信がある」からなのかが分かりませんが、注目すべき結果かもしれません。

最後に

今回の調査の結果から、今年の新入社員の特徴として、「まずは足元を固めたい」「人と関わっていたい」「チーム・集団でがんばりたい」というものが見て取れました。

このような特徴は、「自律したプロフェッショナル像」とは一見異なるかもしれませんが、新入社員はそこへの第一歩を踏み出すステージと考えれば、必ずしもマイナスではなく、むしろ日本企業の特徴を考えるとプラスといえます。

彼/彼女らの特徴を、単に特徴ではなく「持ち味」と捉え、それをどう活かしていくか、このことはこれからの経営人事にとって重要な課題のひとつといえます。これまでも「小さな成功体験を積ませる大切さ」が説かれてきましたが、「足元の自信」を築いた上で、積極的なチャレンジにシフトしていけるように支援すること、このようなことがこれからの若手の人材育成にとって大切なことなのかもしれません。

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