特集
2014年新入社員調査より
今年の新入社員が求めていることとは?
- 公開日:2014/05/21
- 更新日:2024/04/11

今年の新入社員は、何を大切にして働きたいと思い、どのような期待と不安を持っているのでしょうか? 実際の研修場面で見られた特徴も踏まえながら、調査結果を解釈していきます。
リクルートマネジメントソリューションズでは、毎年、新入社員に社会人としてのスタートをきるにあたっての意識調査を行っています。調査は、「新入社員の期待や不安を明らかにすること 」を目的に、5つの質問についてそれぞれの選択肢のうち、当てはまるものを最大3つまで選択する形式で行いました。2014年3月24日~4月16日に、全国各地で開催した新入社員導入研修「8つの基本行動」の当該期間での受講者1,093名(男女比=約6:4/最終学歴:大卒以上=83.8%/300名未満企業比率=72.1%) を対象としています。
「がむしゃら」より「効率よく」
はじめに、今年の新入社員は、社会人として働いていくうえで何を大切にしたいと思っているのでしょうか?
選択率上位の順位は昨年からほぼ変わらず、「社会人として必要なマナーや仕事の能力を身につけたい」「周囲と良好な関係を築きながら着実に仕事ができるようになっていきたい」という思いに大きな変化はないようです。

しかし細かく見てみると、今年は「仕事で高い成果を出すこと」の選択率が上がっている一方、「何があってもあきらめずにやりきること」「何事も率先して真剣に取り組むこと」の選択率が下がっています。
加えて、直近5年間(2010~2014年)の変化を見ると、「何があってもあきらめずにやりきること」「社会人としてのルール・マナーを身につけること」の選択率が大きく下がり、「仕事で高い成果を出すこと」「失敗を恐れずにどんどん挑戦すること」の選択率が上がっています。
実際の研修においても、今年の新入社員は指示されたことを素直にきちんとこなす人が多く見られた反面、途中で自分の判断で作業をやめてしまう人も見られました。また、より高いレベルを目指して自分なりに工夫したり、自主的に練習したりする人は、あまり見られませんでした。
仕事では、何事もやりきりたいというより、成果が出るものを選択して、効率的に取り組みたいと考える傾向が過去と比較して強まっているようです。
したがって、新入社員が高いレベルで仕事をやりきるためには、上司・先輩は作業の内容ではなく、成果や達成の基準を明確に示すサポートをしていく必要があるかもしれません。
次に、「新入社員はどのような職場で働きたいと考えているのか」について掘り下げていきます。
「厳しい職場」より「気楽な職場」
新入社員が働きたいと考える職場の特徴として、昨年も上位であった「お互いに助けあう」「アットホーム」「活気がある」は引き続き高い選択率となりました。また、「お互いに個性を尊重する」の選択率が上がっています。一方で、今年は「お互いに鍛えあう」「お互いに意見を言いあえる」の選択率が下がりました。

「職場で互いのやり方や主張をぶつけあいながら研鑽する」というよりは、「活気のある居心地のよい職場で、みんなと足並みを揃え、助けあいながら働きたい」という傾向が今年はさらに強まったことがうかがえます。
実際の研修でも、今年の新入社員は開始直後から参加者同士で打ち解け、和やかな雰囲気を作っていました。しかし、互いに積極的に自分の意見や考えを表明して、時には成果のために厳しい指摘を行うという動きは、あまり見られませんでした。
上司・先輩としては、チームの成果のためにはメンバー同士の厳しい指摘も時に重要であるという意識づけや、相互フィードバックの場の設定、そして前提としての信頼関係づくりが必要かもしれません。
続いて、「新入社員は上司に何を期待しているのか」についても掘り下げていきます。
「厳しく指導」より「優しく傾聴」
上司への期待として、上位項目の順位は昨年と変わりませんが、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」の選択率が上がった一方で、「言うべきことは言い、厳しく指導すること」「仕事に情熱を持って取り組むこと」の選択率が下がりました。

また、「よいこと・よい仕事をほめること」「周囲を引っ張るリーダーシップ」の選択率が下がっており、部下への動機づけについて昨年ほどは期待をしていないようにうかがえます。
さらに、直近5年間の変化を見ると、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」「職場の人間関係に気を配ること」の選択率が大きく上がっている一方で、「周囲を引っ張るリーダーシップ」「好き嫌いで判断しないこと」は大きく下がっています。
実際の研修でも「教わっていないからやれない、できない」という内容の発言が多く聞かれました。つまり、自分に対する評価は低く、多くの人が講師に対して「わからないので細かいところまで教えてほしい」という期待を持っていました。また、講師が問題点を指摘し理由を尋ねると、ショックを受けてしまい全く回答ができなくなる人も散見されました。
昨年の新入社員の求める上司像「コーチのように伴走してくれる上司」と比較すると、今年は「寄り添って教えてくれる上司」を求めているようです。
調査では、社会人として「これから身につけたい力」「仕事・職場生活をするうえでの不安」も尋ねています。次のページで、その結果も併せて確認していきましょう。
「相手に伝える」より「自分で考える」
最も身につけたい力は、例年と同様に「コミュニケーション力」で、次が「専門知識」となりました。ただ、「コミュニケーション力」の選択率は昨年と比較して大幅に低下しており、代わりに「専門知識」の選択率は上がっています。
また、今年は「プレゼンテーション力」の選択率も大幅に下がり、「語学力」「文章力」の選択率は上がっています。
相手のことを理解し、相手に対して適切に意図を伝えるなどの対人関係力を高めることへの関心は弱くなってきているようです。職場においては、新入社員の意図や思いが周囲に正しく伝わっているかを意識的に確認する必要があるかもしれません。

また、不安に思っていることでは、例年選択率の高い「仕事についていけるか」「先輩・同僚とうまくやっていけるか」「上司とうまくやっていけるか」の選択率は下がったものの、全体の順位は昨年と同じ結果となりました。
その中で、今年選択率が上がっている項目を見ると、「自分が成長できるか」「私生活とのバランスが取れるか」などが挙げられます。
これらの調査結果から、今年の新入社員は周囲との関係を築くことに関する不安は昨年よりも小さく、自分の能力形成を着実に行うことへの関心が高いことがうかがえます。新人に関わる際には、業務遂行とコミュニケーションを通じて、どのような力が本人に身についているのかを意識して伝える必要がありそうです。
次のページでは、調査から見えてきた特徴と、実際の研修でのエピソードなどを踏まえて、どのように新人に関わるべきかを考えていきます。
「やれと言われたのでやっていたのですが……」
今年の新入社員導入研修を振り返って、講師からいくつかの印象的なコメントをもらいました。
・挨拶の練習で、淡々と同じことを繰り返すグループに「違う観点でも練習したら?」と講師から投げかけると、「やれと言われたので繰り返しやっていたのですが……」という回答が返ってくる
・旅行代理店のケースワークで、「旅行のパンフレットを送ってほしい」という要望の背景にあるお客様の「期待」を書き出せない
・全体的に真面目で、指示を逸脱したり、やり過ぎたりしたことを講師が指摘する場面が皆無だった
このようなエピソードから、指示されたことをソツなくこなすものの、指示されたことの背景や意図を考えて自らの行動を変えることは苦手、という今年の新入社員の特徴が読み取れます。
ただ、思い返すと10年前から「指示待ち」「ハングリーさに欠ける」「小さくまとまっている」といった、前述した特徴に近い評価を新入社員はされています。
受け入れ側に求められることは、こういった特徴を考慮しつつも、「真面目で素直」「貢献意欲が高い」「ITスキルが高い」といった強みに目を向け、それらを発揮できる仕事や場をデザインすることかもしれません。
仕事を任せる際も「これをやっておいて」と指示をし、できていないことを問題指摘するばかりではなく、「この仕事では何が達成できればいいと思う?」と新入社員に問いかけ、一緒に考える場をつくる工夫が求められるでしょう。目的や周囲の期待を考え、自分で仕事の進め方を考える場を意図的につくることが、新入社員の意欲を高め、また自立を早めることにつながっていきます。
新入社員の個性を理解した上司・先輩からの関わりを通じて、彼・彼女らが社会人として生き生きと働けるようになることを願っています。
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