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連載・コラム

中小企業の人材育成を考える 第3回

新入社員・若手社員育成の肝となる“オンボーディング”

  • 公開日:2023/05/08
  • 更新日:2024/05/16
新入社員・若手社員育成の肝となる“オンボーディング”

■ プロローグ
弊社では、これから初めて本格的に人材育成に取り組む、という中小企業の皆様からもご相談をいただいています。 本コラムではそのようなご相談を年間約1000件お受けしている、インサイドセールス部門の担当者から人事の方に向けて、お役立ていただける情報を発信していきます。

「新人・若手のオンボーディング」への関心が高まっている
新人・若手への期待は「主体的」や「自律的」
Z世代の新人の特徴とは
新人オンボーディングの進め方
最後に

「新人・若手のオンボーディング」への関心が高まっている

中川さんイラスト

中川 和明(なかがわ かずあき)
HRD・OD事業推進部 営業推進グループ
企画スタッフ

弊社の人材育成、組織開発部門でインサイドセールスを担当している中川和明と申します。

人事の皆様からいただくお悩みとそれに対してお答えしている内容をもとに、主に中堅・中小企業の方が人材育成について考える時にヒントになる情報を発信したくこのコラムシリーズをスタートしました。

本コラムシリーズの趣旨ついては第1回に記載していますので、ご参照ください。


中小企業の人材育成を考える 第1回
人材育成のよくあるお悩み「マネジメントを強化したい」はなぜダメなのか?

第3回となる今回のテーマは、新入社員・若手社員の育成やオンボーディングについてです。「オンボーディング」という言葉は新しく組織に加わったメンバーの定着・戦力化を促進するための取り組みのことを指し、ここ数年で頻繁に使われるようになってきました。それだけ新人や若手社員の定着、戦力化に課題を感じられている人事の方が多いということの表れともいえます。

一般的に「新入社員研修」というと4月に入社した新入社員にビジネスマナーや社会人の基本を学んでもらう研修のイメージがあるかもしれません。しかし実は、最近弊社にいただくご相談のなかでは入社時の研修よりも、その後の期間も含めた定着や早期立ち上がり支援の内容の方が増えています。具体的には「新人に早く主体的、自律的に動けるようになってほしい」「入社した新人の元気がなくなってしまっている」「新人・若手の離職に悩んでいる」というようなお悩みやご相談です。

なぜこのような状況が起きているのでしょうか。今回もよくご相談いただく事例からその背景を考察していきたいと思います。

オンボーディングをイメージするイラスト、上手く行ってないパターン(暗く落ち込んでいる)と、上手く行っているパターン(明るくイキイキなど)に分かれる

新人・若手への期待は「主体的」や「自律的」

昨今、新入社員をどのように育成したいかという観点で必ずといってよいほど出てくるワードは「主体的」「自律的」です。以前からよく出てくる観点ではありましたが、さらによく伺うようになった印象があります。

その背景には新人を取り巻く環境が影響しています。変化のスピードが激しいビジネス環境のなかで職場における上司や先輩もどんどん余裕が持てなくなっています。手厚く新人を教育したりフォローしたりすることができなくなっているのです。

そのため新人には「分からないことは自分で聞きにきてほしい」「何をすればよいか教えられるのを待つのではなく、自分で考えてみるようになってほしい」というような期待が増しています。

また、中小企業においては同じ職場に近い年次の人がおらず、身近な育成担当を付けられないというお悩みもよく伺います。今までの延長線上にないビジネスを展開していくために、新人には先輩のようにではなく新しい基準で育ってほしい、というようなお話もありました。新人への期待はますます高まっています。

このような状況のなか、実際の新人の様子を研修の場で見ていると配属されている職場によってかなり差が出ているのではないかというのが私の実感です。

日常からフィードバックをするなどの関わりをされている新人は成長も早く、元気に過ごしているケースが多いですが、育成的な関わりが少ない職場の新人は1人で抱えて思い悩んでしまっている傾向があります。

もちろんそれぞれの個性や仕事内容などによっても差は出てくると思いますが、育成方針が統一されていないと職場によって成長が左右されてしまう側面は否めません。

Z世代の新人の特徴とは

ここまで新人を取り巻く環境の変化についてお伝えしてきました。もう一方の観点では今の時代の新人自身の特徴を押さえておく必要があります。よくいわれるZ世代というのは1990年代後半から2000年代に生まれた人を指す言葉です。現在の新入社員や若手社員層がその世代にあたります。当然ながら世代だけではなく個々人の特徴があることが前提ではありますが、ここでは世代的な特徴としてお伝えしていきます。

Z世代はその育ってきた環境から「自発」や「試行」といったことが苦手な傾向があるといわれています。この特徴から、昨今の職場環境で期待が高まっている「主体的」や「自律的」というスタンスにマッチしない場合があるのです。もちろん、今の新人が主体的、自律的に仕事に取り組むことができない、というわけではありません。そのような姿勢を身に付けていくためには先輩や上司が彼らの特徴をつかんで関わっていくことが重要になるということです。例えば、主体的に業務に取り組ませるためには、「あえて何も教えずに放り込んでみる」というやり方ではうまくいかない可能性が高く、今の世代の新人に合わせたアプローチをしていくことが効果的です。

しかし、多くの育成を担当する側の上司や先輩は新人とは育ってきた世代背景が違うため、自分たちが育ってきたやり方や過去の育成方法ではうまくいかない場合があるのです。



Z世代の特徴や効果的な育成方法については
こちらのコラムで詳しくお伝えしているのでぜひご参照ください。
【VUCA × Well-being 時代のニューノーマル】Z世代の新人・若手の育て方・生かし方

新人早期戦力化にお薦めの研修です。
セルフリーダーシップを発揮し、よりよい状況を自分でつくる|X-SHIP(クロスシップ)

新人オンボーディングの進め方

ここまで、今の時代に「新人オンボーディング」がより求められるようになっている背景についてお伝えしてきました。次に、新人オンボーディングに取り組むための進め方をお話ししていきたいと思います。

先にお伝えしたように、育成する側の上司や先輩が今の時代の新人の特徴を押さえておくことはとても重要なポイントになります。もし、貴社の管理職の方が部下の育成に関わるための方法を体系的に学んでいないとしたら、本来は新人を迎え入れる前に管理職育成施策を実施することがお薦めです。

ただ、多忙な職場環境のなかで何回も研修を受ける時間が取れない、ということも多いかと思います。その場合は「新人の受け入れ」を軸に上司やOJTリーダーなどが事前に育成担当者向けの研修を受け、新人を迎え入れるにあたってどのような育成プランを立てるかを考えていくことを通して職場全体の育成力をアップしていくことをご提案しています。

また、育成プランを立てる際には「どのタイミングで何ができているとOKなのか」という育成基準を決めておくことが重要です。育成基準がないとどうしてもできていないことばかりに目が行ってしまうためです。新入社員はできないことが多くて当然ですから、「このタイミングでは何ができていればOKなのか」ということを育成担当者と新入社員で共通認識として持っておくことは大事なポイントになります。

下記は弊社でご提供している新入社員の育成プランです。

貴社に合った育成プランのご相談も承っていますので、ぜひお問い合わせください。

自ら行動し経験から学ぶ自律型人材に育てる|F-BT

自律的に行動し経験から学ぶ実践力向上研修|F-BT compass

セルフリーダーシップを発揮し、よりよい状況を自分でつくる|X-SHIP(クロスシップ)

育成プランの図

最後に

コラムシリーズ第3回となる今回は、新入社員・若手社員のオンボーディングについてお伝えしてきました。社会人になって最初の数年はビジネスパーソンの土台をつくる大事な時期ですので、貴社の育成プランの参考にしていただけると幸いです。

Z世代の新人・若手の育成や中小・中堅企業向け無料オンラインセミナーも定期的に開催していますので、併せてご活用ください。

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