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中小・中堅企業向けマネジメント強化セミナー開催報告

自己流マネジメントから脱却するには?

  • 公開日:2023/04/24
  • 更新日:2024/05/28
自己流マネジメントから脱却するには?

従前に比べ、マネジメントの難度は格段に上がっています。しかし、マネジメントに求められるものが変化してきているにもかかわらず、「我流でマネジメントをしており、マネジャーに必要な基本的なスキルが身についていない」「プレイング業務が多すぎて部下育成の意識が弱い」といった、マネジメントが十分に機能していないという声をよく耳にします。これは、多くの中小・中堅企業様に共通する悩みといえるのではないでしょうか。


プロフィール
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ マーケティング営業部 部長 河野 洋士
マーケティング営業部 シニアソリューションプランナー 佐藤 修美
マーケティング営業部 ソリューションプランナー 作田 直
マーケティング営業部 ソリューションプランナー 金川 奈央

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目次
今、なぜマネジャーはシンドイのか
マネジャーを取り巻く3つの変化
会社はマネジャーにどう向き合えばよいのか
マネジメント強化施策設計のポイントは「経験学習サイクル」

今、なぜマネジャーはシンドイのか

最初に、私たちが中小・中堅企業の人事担当者からよく聞く「マネジャーあるある」を紹介します。

・自ら業務を進めるプレイヤーであり続けようとする

・メンバーを細かいところまで自分の指示命令で動かそうとする

・自分の経験則や考え方にこだわり、他の考えや価値観を受け入れない

・日々の仕事を回すことだけに関心が向き、メンバーの個性や気持ちまで把握できていない

・メンバーを、好き嫌い、仕事ができるかできないかで評価する

・メンバーが期限通りに終えられない仕事を自分で巻き取って間に合わせる


ほとんどの中小・中堅企業の人事担当者が、こうしたマネジャーの存在に悩んでいます。では、なぜこうしたマネジャーが生まれてしまうのでしょうか。最大の原因は、マネジメントの望ましい方法論(原則論)に則っていない「自己流マネジメント」が現実では多いためです。

背景には、いくつかの要因があります。また、「ミドルマネジメントの負担が荷重になっている」「中堅社員が小粒化している(中堅社員の育成がうまくいっていない)」などの問題もあるでしょう。

一方で、マネジャーの側からすると、部下に仕事を任せきれないという深刻な事情があります。チーム内に難度の高い業務を遂行する人材がいなかったり、そもそも業務を遂行する人材自体が不足していたり、イレギュラー業務に対応できるのがマネジャーしかいなかったりするからです。さらに、私たちがマネジャーの皆さんにインタビューしたところ、次のような声も集めることができました。

・部下の労働時間やメンタルヘルスに配慮すると、仕事を巻き取らざるをえない

・ハラスメントが気になって部下に強い指導や要望ができない

・業績が最優先だから、自分が頑張るしかない

・会社がやることばかり増やして業務を削減しようとしないから、マネジャーがやることになる

いずれも、マネジャーの力だけでは解決するのが難しい課題です。だからこそ、マネジャーはシンドイのです。

マネジャーを取り巻く3つの変化

次に、マネジャーを取り巻く変化に目を向けましょう。大きく3つの変化があります。1つ目は環境変化です。専任マネジャーが多かったのは昔の話で、今や多くが「プレイングマネジャー」となりました。プレイヤーとしての業務もあるため忙しいのは当然です。また、係長などの中間ポジションが減り、昇進前にマネジメントの疑似体験をするプレマネジメント経験がなかなか積めない環境になりました。加えて、雇用形態の多様化、コンプライアンス対応などが増え、マネジメントそのものがさらに難度を増しています。

2つ目は、マネジャー自身の変化です。管理職になりたくない層が増え、弊社の調査では中堅社員の約7割が「なりたくない、もしくはどちらともいえない」と回答しています(出典:弊社「新人・若手の意識と学習・キャリアに関する調査」、N=400人、2013年)。マネジャーの仕事はどんどん不人気になっているのです。

3つ目は、マネジャーへの期待の変化です。これまでは組織の大半が、やるべきことが決まっている実行型組織でした。実行型組織のマネジャーの仕事は、チーム全員で実直にやりきるためにメンバーの行動を管理し、マネジャー自身が部下に教えることです。

ところが最近、多くの組織が社員に自主的な学習を求め、その成果を組織全体で共有する「学習型組織」に変わっています。学習型組織では、メンバーがやるべきことは決まっておらず、一人ひとりが自ら考えて実行し、成果やプロセスをチームで共有して相互成長につなげることが求められます。そうしないと、より予測が困難なマーケットの激しい環境変化に対応できないからです。学習型組織のマネジャーの仕事は、実行型組織とはまったく違い、メンバーと一緒になって考えることです。つまり、組織の変化によって、マネジャーに期待されること自体が大きく変わっているのです。このことがマネジメントを一層難しくしています。

3つの変化をまとめると、昇進前のプレマネジメント経験の不足・管理職志向の低下により、マネジメント能力は全体的に下がっています。

一方で、取り巻く環境の変化によりマネジメントへの期待は上がっています。

つまり、マネジャーの能力と期待レベルとのギャップが以前よりも大きくなっているのです(図表1)。

<図表1>マネジャーの能力と期待レベルのギャップ

<図表1>マネジャーの能力と期待レベルのギャップ

マネジャーの行動変容は組織全体に波及するため、マネジメント強化が人事課題の打ち手になりがちです。

そして、マネジャーの負荷はますます大きくなります。

会社はマネジャーにどう向き合えばよいのか

現代のマネジャーにはとにかく時間が足りません。以前は目標達成・メンバー育成・品質管理・健康管理ができていれば十分でしたが、現在はさらに、エンゲージメント向上・リモートワーク・働き方改革・自律支援にも対応しなくてはならないからです。会社は、そんなマネジャーたちにどう向き合えばよいのでしょうか。最も大事なのは、「マネジャーが本来すべき重要な仕事に集中するために、会社はどのような支援ができるのか?」ということです。

結論からいえば、私たちは、「最も重要な2つの仕事(部署のビジョンおよび育成計画)」に絞ってマネジャーを支援すべきだ、と考えています。2つとは、「組織に対する見立て(部署のビジョンおよび運営計画)」と「メンバー個人に対する見立て(メンバーの育成計画)」です。

特に、メンバーの育成計画がポイントです。なぜなら、学習型組織のもとでは、メンバーのやりたいことや中長期的なキャリアと、今、組織がやって欲しい仕事とを、話し合いによってすり合わせる必要があります。

メンバーのキャリアを実現させるためには、いま何の能力が足らなくて、それをどのように補っていくのか、といったメンバーの育成計画を立てられなくてはいけません。

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マネジメント強化施策設計のポイントは「経験学習サイクル」

成長するマネジャーと成長しないマネジャーの違いはどこにあるのでしょうか。図表2の調査から明らかになったのは、「自分の経験の内省」「管理職になる前の経験の応用」「部下時代に上司に期待していたことを思い出す」「困難を成長機会と捉える」「考えられることを全部やりきる」「部下と腹を割って話す」「リーダーに相談したり、任せたりする」といったことをしているマネジャーは成長している、ということです。

一言でいうと、「経験学習サイクル」を意図的に回せるマネジャーは育っている、ということです。やってみる(経験)→振り返る(省察)→何を学んだかを明らかにする(概念化)→次にやるときに応用してみる(実験)のサイクルを回すのです。例えば、「管理職になる前の経験の応用」や「困難を成長機会と捉える」ことも有効でしょう。また、振り返りから学びの概念化には、「モノサシとしてのマネジメントの基本」が武器になります。

<図表2>経験学習サイクル

<図表2>経験学習サイクル

Kolb, D.A.(1984)Experiential Learning :
Experience as the Source of Learning and Development.New Jersey: Prentice-Hallをもとに編集

ただし、中小・中堅企業は大手企業に比べて、経験学習サイクルが回りにくい現実があります。マネジャーに育てられた経験が少なく、マネジャーの上司の支援も弱いからです。だからこそ、意図的・計画的な学習設計が求められます。参加意欲の喚起・周囲の関わり・現実適用・変化実感など、さまざまな工夫を凝らしてみましょう。

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